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人生は晴れときどき雨、
2 曇り
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別れて初めての休日。
つらいとか悲しいとかそういう事は思わなかったけれど、いつも一緒にいたやつがもういないわけで、少し寂しいな、と思った。
毎週休みの前日からうちに泊まりに来てゲームしたりセックスしたり、時々趣味のハイキングに行ったり。と言っても本格的なものではなく適当に楽しみながら歩くというものだった。
「……」
やっべーひとりだと何すりゃいいんだ?
「うーん。よし、ハイキングへ行こう」
何ていうか自分でも軽ーって思ったけど、それが自分だし、深く考えてもしょうがない。
お気楽極楽でいこうじゃないか。
俺はいつもより少ない荷物をリュックにつめて出かけた。
さて、どこへ行こうか。
適当に歩いてみるのも楽しいかもしんない。
日が暮れるまで歩いてみるか。
景色を楽しみながらひとりでてくてく歩いて行く。
時々犬や猫に会って撫でさせてもらったり、珍しい蝶を見つけて写真に撮ったり。
うははいとりでも楽しいじゃん♪
「うわっ」
きょろきょろ景色を楽しみながら歩いていたので足元をよく見ていなかった。何かに躓いたらしい。
「あいたたた」
見事に顔面から地面につっこんだ俺は服についた泥を両手ではたきながら障害物を確かめた。
「うっわ、人じゃないか。ごめん! 大丈夫?」
高校生くらいの男の子が蹲っていた。
男の子は右腕を押さえ俺をぎろりと睨んだ。
俺はお慌てて駆け寄った。
「まじ大丈夫か? うわーごめんなー本当ごめん」
「……」
男の子の服についた泥をおおかたはたいて、ちらりと顔を見た。
びっくりするくらい美形で、俺は一瞬息をするのも忘れてしまった。
ギロリ。本当にそんな感じで男の子は俺を睨んだ。
なまじ美形なもんだからものすごく冷たい印象を受けた。
「どこ見て歩いてるんですか? 右腕痛いんですけど?」
「え? あ? 右腕?」
見ると男の子の右腕が赤く少しだけ腫れているようにみえた。
「びょ……病院行こう! まだやってるはず、急ごう!」
男の子をタクシーに押し込み近くの整形外科へと急いだ。
*****
骨折はしていなかったが少し骨にヒビが入っており、利き腕だったので日常生活に支障をきたす事が分かった。
会計を済ませ俺は勢いよく頭を下げた。
「本当ごめん! その腕が治るまでキミが不自由ないようにするから!」
「何をしてくれるんです?」
「えっとごはん作ったり? 掃除したり? 洗たくしたり?」
「なんで疑問形……。僕の名前は葛城 光ひとり暮らしなのでほんと――に困るのであなたの家で面倒みてください。そうすればあなたの謝罪を受け入れます」
「あ……っと、俺の名前は正月 一、しょうがつ いちじゃないからな?」
と、いつもなら確実に小笑いくらいとれるネタをぶっこんだが葛城はくすりともしなかった。
こうやって超絶美形の不愛想な高校生、葛城 光との共同生活が始まった。
つらいとか悲しいとかそういう事は思わなかったけれど、いつも一緒にいたやつがもういないわけで、少し寂しいな、と思った。
毎週休みの前日からうちに泊まりに来てゲームしたりセックスしたり、時々趣味のハイキングに行ったり。と言っても本格的なものではなく適当に楽しみながら歩くというものだった。
「……」
やっべーひとりだと何すりゃいいんだ?
「うーん。よし、ハイキングへ行こう」
何ていうか自分でも軽ーって思ったけど、それが自分だし、深く考えてもしょうがない。
お気楽極楽でいこうじゃないか。
俺はいつもより少ない荷物をリュックにつめて出かけた。
さて、どこへ行こうか。
適当に歩いてみるのも楽しいかもしんない。
日が暮れるまで歩いてみるか。
景色を楽しみながらひとりでてくてく歩いて行く。
時々犬や猫に会って撫でさせてもらったり、珍しい蝶を見つけて写真に撮ったり。
うははいとりでも楽しいじゃん♪
「うわっ」
きょろきょろ景色を楽しみながら歩いていたので足元をよく見ていなかった。何かに躓いたらしい。
「あいたたた」
見事に顔面から地面につっこんだ俺は服についた泥を両手ではたきながら障害物を確かめた。
「うっわ、人じゃないか。ごめん! 大丈夫?」
高校生くらいの男の子が蹲っていた。
男の子は右腕を押さえ俺をぎろりと睨んだ。
俺はお慌てて駆け寄った。
「まじ大丈夫か? うわーごめんなー本当ごめん」
「……」
男の子の服についた泥をおおかたはたいて、ちらりと顔を見た。
びっくりするくらい美形で、俺は一瞬息をするのも忘れてしまった。
ギロリ。本当にそんな感じで男の子は俺を睨んだ。
なまじ美形なもんだからものすごく冷たい印象を受けた。
「どこ見て歩いてるんですか? 右腕痛いんですけど?」
「え? あ? 右腕?」
見ると男の子の右腕が赤く少しだけ腫れているようにみえた。
「びょ……病院行こう! まだやってるはず、急ごう!」
男の子をタクシーに押し込み近くの整形外科へと急いだ。
*****
骨折はしていなかったが少し骨にヒビが入っており、利き腕だったので日常生活に支障をきたす事が分かった。
会計を済ませ俺は勢いよく頭を下げた。
「本当ごめん! その腕が治るまでキミが不自由ないようにするから!」
「何をしてくれるんです?」
「えっとごはん作ったり? 掃除したり? 洗たくしたり?」
「なんで疑問形……。僕の名前は葛城 光ひとり暮らしなのでほんと――に困るのであなたの家で面倒みてください。そうすればあなたの謝罪を受け入れます」
「あ……っと、俺の名前は正月 一、しょうがつ いちじゃないからな?」
と、いつもなら確実に小笑いくらいとれるネタをぶっこんだが葛城はくすりともしなかった。
こうやって超絶美形の不愛想な高校生、葛城 光との共同生活が始まった。
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