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涙も枯れるくらい泣き続け、ようやく落ち着いてきた成願寺。
改めて六人でクリスマスパーティを始めた。
最初は大泣きしてしまった事や男が好きというカムアウト後でも五人の変わらない態度に戸惑っていた成願寺だったが、段々と昔からの友人のように接する事ができるようになっていた。
さすがみんなのオカン宮園さまだな、なんて言うけど、宮園だけではきっと同じ結果にはならなかっただろう。
この五人だったからこそ成願寺の心は開き、救われた。
これからは六人。長い付き合いになりそうだ。
翌日、学校は冬休みに入ったいたが成願寺が告白し成願寺を傷つけた相手は部活で学校に来ているという。
成願寺は新学期が始まる前にどうしても一言言いたいのだそうだ。
けじめをつけて来年みんなと笑い合うために。
宮園たちも成願寺について行くと言った。だけど、これは自分のけじめだからと断られてしまった。
でも、この五人がそのくらいの事で引き下がるはずもなく、こっそりと隠れて成願寺の様子を見守っていた。
何事もなければよし、もし成願寺を更に傷つけようとするなら容赦はしない。
二人が連れ立って校舎裏にやって来た。
成願寺の後ろに続く男はとても嫌そうな顔をしている。
「――で、話って何。もうはっきり断っただろう?また好きとか?きめーんだけど」
前髪をかきあげ恰好つけている様が笑える。
あんなに好きだったのになんだこれ、と思う。
「お前に言いたいことがあるんだ。俺はもうお前の事なんて好きじゃない。それを言いたかっただけ」
「はぁ?なんだそれ!お前みたいなクズやろーが俺様の事好きじゃないなんて言っていいと思って…!?」
掴みかかろうとする男。
ざざっと成願寺を庇うように五人は前に出た。
「お前さ、勘違いしてないか?」
「お前なんて恰好よくなんてないじゃん。恰好いいっていうのは哲みたいなのを言うんだ」
「お前みたいに性格の曲がったやつどうしようもねーな」
「本当。バカはバカでも救いようのないバカだね」
ボロカスに言われ男の肩が怒りに震える。
「―――なんで…」
成願寺の呟きだった。
「そりゃさ、俺たち「「「「友だちだろ?」」」」」
「俺さテニス部に知り合いいるんだけど、お前どうしようもないクズだな。お前の話色々聞いたぜ?んで、好きな子がいるらしいな?その子優しい人がタイプらしけど。その子がこの話知ったら…どう思うかねぇ?」
他人の純粋な恋心を気持ち悪い、クズだとわめく男の話。
「なっ…!?」
「まぁ俺はお前とは違って優しいからさ、一度だけチャンスをやるよ」
と、悪い顔で笑う宮園。
わ。宮園怒らせると怖い!と宮園以外の五人は青ざめる。
「―――成願寺に謝ってもらおうか?そして、もっと人の気持ちが分かる人になりなさいな」
ギロリと睨む宮園はなかなかの迫力だ。
男もさっきまでの勢いを無くし、しおしおとしおれている。
「――――わる…かった…」
「―――だって。成願寺、これでいいか?」
「あぁ。もう一度言うけど、俺はもうお前の事好きじゃない。だから、もうお互いに気にしない事にしよう」
「わか…た」
去って行く男。
改めて六人でクリスマスパーティを始めた。
最初は大泣きしてしまった事や男が好きというカムアウト後でも五人の変わらない態度に戸惑っていた成願寺だったが、段々と昔からの友人のように接する事ができるようになっていた。
さすがみんなのオカン宮園さまだな、なんて言うけど、宮園だけではきっと同じ結果にはならなかっただろう。
この五人だったからこそ成願寺の心は開き、救われた。
これからは六人。長い付き合いになりそうだ。
翌日、学校は冬休みに入ったいたが成願寺が告白し成願寺を傷つけた相手は部活で学校に来ているという。
成願寺は新学期が始まる前にどうしても一言言いたいのだそうだ。
けじめをつけて来年みんなと笑い合うために。
宮園たちも成願寺について行くと言った。だけど、これは自分のけじめだからと断られてしまった。
でも、この五人がそのくらいの事で引き下がるはずもなく、こっそりと隠れて成願寺の様子を見守っていた。
何事もなければよし、もし成願寺を更に傷つけようとするなら容赦はしない。
二人が連れ立って校舎裏にやって来た。
成願寺の後ろに続く男はとても嫌そうな顔をしている。
「――で、話って何。もうはっきり断っただろう?また好きとか?きめーんだけど」
前髪をかきあげ恰好つけている様が笑える。
あんなに好きだったのになんだこれ、と思う。
「お前に言いたいことがあるんだ。俺はもうお前の事なんて好きじゃない。それを言いたかっただけ」
「はぁ?なんだそれ!お前みたいなクズやろーが俺様の事好きじゃないなんて言っていいと思って…!?」
掴みかかろうとする男。
ざざっと成願寺を庇うように五人は前に出た。
「お前さ、勘違いしてないか?」
「お前なんて恰好よくなんてないじゃん。恰好いいっていうのは哲みたいなのを言うんだ」
「お前みたいに性格の曲がったやつどうしようもねーな」
「本当。バカはバカでも救いようのないバカだね」
ボロカスに言われ男の肩が怒りに震える。
「―――なんで…」
成願寺の呟きだった。
「そりゃさ、俺たち「「「「友だちだろ?」」」」」
「俺さテニス部に知り合いいるんだけど、お前どうしようもないクズだな。お前の話色々聞いたぜ?んで、好きな子がいるらしいな?その子優しい人がタイプらしけど。その子がこの話知ったら…どう思うかねぇ?」
他人の純粋な恋心を気持ち悪い、クズだとわめく男の話。
「なっ…!?」
「まぁ俺はお前とは違って優しいからさ、一度だけチャンスをやるよ」
と、悪い顔で笑う宮園。
わ。宮園怒らせると怖い!と宮園以外の五人は青ざめる。
「―――成願寺に謝ってもらおうか?そして、もっと人の気持ちが分かる人になりなさいな」
ギロリと睨む宮園はなかなかの迫力だ。
男もさっきまでの勢いを無くし、しおしおとしおれている。
「――――わる…かった…」
「―――だって。成願寺、これでいいか?」
「あぁ。もう一度言うけど、俺はもうお前の事好きじゃない。だから、もうお互いに気にしない事にしよう」
「わか…た」
去って行く男。
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