上 下
14 / 90

11話:清水azureのホラーゲーム配信 後編

しおりを挟む
『うわ…ここって地下牢みたいだね…』

ドアを開けて先に進むと、地下牢があった…

『うぅ…なんか出てきそう…』

〈さっきまでの威勢はどうしたw〉
〈ビビるアザーちゃん可愛い〉
〈悲鳴ください〉

周囲にある牢屋を確認しながら道を進む。
コツコツッ…と歩く音が響いている。

『ねぇ、足音大きくない?これこの足音聞きつけてゾンビが来るとかないよね…』

ピチャッッ…  すると突然足音が変わった。

『え…?なんかピチャッッって鳴ったんだけど…』

下を向いて確認すると血が溜まっていた。その血は真新しく、血の匂いが画面越しに感じる。血は奥に続いており、奥で何かが起きているというのは一目瞭然だった。

『ねぇ…血が新しいんだけど…これ絶対に奥に居るよね?……、ふぅ…ここで怖がってちゃだめだ…先に進まないといつまで経ってもおわらないから…』

〈えらい〉
〈その調子!〉
〈頑張れー!〉

道を進むのを再開する。進んでいくこと数分。
ついに血の跡が途切れた。あたりを見回すと、右手の牢屋の入口前方に何か食べられたあとの骨があった。人間の骨ではないことは分かるが何の動物の骨かは分からない…

『何の動物の骨だろこれ… 少し肉がこべりついているけど… ネズミの毛皮…?いや、そんなわけないよね…こんな大きいネズミいないと思うし…』

もっとよく骨を確認するために骨に近付く。

すると、グォォォォォォッッッ……!という声とともに前の牢屋からゾンビが勢いよく出てきた。

『うわぁぁぁぁぁあぁぁぁぁッッッッッッッッッ!?!?!?!?!?』

〈こわっ〉
〈やべぇ今日トイレに行けねぇよw〉
〈悲鳴助かる〉
〈悲鳴デカすぎて鼓膜死んだ〉

『い、勢いよく出てこないでよ……!うぅ…っやばいっ…!何で戦えばいいんだ。どうしよう…』

〈ナイフ使って〉
〈こういうときのナイフよ〉
〈混乱しているアザーちゃん可愛い〉

『そ、そうだナイフがあった… これならいける!』

そう言って早速ナイフを取り出して、ゾンビの腹を斬りつけた…

切った感触がコントローラーで伝わってきて気持ち悪い… 

『おらおらおらおら!』

ゾンビの腹を何回も斬りつける…
これでどうだ!意外とゾンビも楽勝か?
流石にこれで死ぬだろう…

〈アザーちゃんゾンビって腹を斬るだけじゃ死なないよ!〉
〈頭狙わないと…〉
〈やばい…〉

『え…?頭?』

すると今まで積極的に攻めてこなかったゾンビが急に突進してきた。

『うわぁっ!?!?きゅ、急に来ないでっ!』

突進してきたゾンビに床に押し倒される…
画面にゾンビの醜い顔がでかでかと映り、口を大きく開いて私にむしゃぶりついた。
そして食べられる音が響きながら、画面にはDIEDの文字か浮かび上がる…

『………………』

〈こわすぎ〉
〈まさかここで負けるとはw〉
〈ここ一番簡単なチュートリアルみたいなもんなんだけどなぁ〉

アザーは放心状態で、コメントになにも反応せずに、ずっと画面を見ていた。
ハッッ…!と急に目が開くと、小刻みに体が震え始める。

『………ぅっ……うぅ…怖いっ…無理っ…!!むりだよっ!倒せるわけないよっ……!目の前で食べられるところ…見せられるとかトラウマになるよっ……!』

涙を目に溜めながら、さっきのことを思い出しては体が震える。

〈涙声のアザーちゃん可愛い〉
〈確かにトラウマになるね…〉
〈そんなにやばいなら配信やめる?〉
〈流石に泣くほどなら…〉

コメント欄にも心配する声があがってきた。

『……いやっ!大丈夫…最後までちゃんとやるって決めたから!』

アザーはコンテニューを押して、さっき来た道を進み始めた。

『次は勝つんだから!』




――――――――――

『うっ… うぅ…』

〈負けてて草〉
〈おい、2度目だぞw〉

結局2度目も負けた。頭を斬ろうとしたが、ナイフを間違えて落として食べられて死んだのだ。

『つ…次は勝つんだから!』






――――――――――

『うっっ………うぅ…勝てないよぉ…怖いよぉ』

〈負けてんやんw〉
〈ここでこんなに負ける人初めて見た〉
〈頑張ってアザーちゃん!〉
〈流石、プロフィールにゲーム下手くそと書いてあった女だ…〉

結局3度目も負ける。単純に操作が下手くそすぎて、ナイフが頭に当たらなかった。

『なんで勝てないのぉ…?これじゃあいつまで経っても先に進めないよ……』

〈適当に振り回すんじゃなくて、ちゃんとタイミング見てナイフを振れば当たるよ〉

『ありがとう!それでいくよ!』





ゾンビと対峙する… ゾンビが突進してきたが、動かない。ゾンビに床に押し倒される。ゾンビが口を大きく開いて食べようとした瞬間
ドスッッッ…!! ゾンビの頭にナイフを突き刺した。

『やったぁぁぁぁぁ!倒したァァァァ!!!』

〈おめでとう!〉
〈すごい〉
〈おめでとう〉
〈頑張ったね~!〉

『じゃあ今日はこれで配信終わるね。時間ちょうどいいし… というかストーリー結構進んだんじゃない?あの強敵のゾンビ倒したし…』

〈いや草〉
〈あのゾンビチュートリアルみたいなもんだが〉
〈まだ1章の10分の1も進んでいません()〉

『1章の10分の1も!?!?やっぱり無理だよぉ!!!』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

タイは若いうちに行け

フロイライン
BL
修学旅行でタイを訪れた高校生の酒井翔太は、信じられないような災難に巻き込まれ、絶望の淵に叩き落とされる…

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

初恋の幼馴染の女の子の恰好をさせられメス調教もされて「彼女」の代わりをさせられる男の娘シンガー

湊戸アサギリ
BL
またメス調教ものです。今回はエロ無しです。女装で押し倒されいますがエロはありません 女装させられ、女の代わりをさせられる屈辱路線です。メス調教ものは他にも書いていますのでよろしくお願いいたします

可愛い男の子が実はタチだった件について。

桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。 可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け

三限目の国語

理科準備室
BL
昭和の4年生の男の子の「ぼく」は学校で授業中にうんこしたくなります。学校の授業中にこれまで入学以来これまで無事に家までガマンできたのですが、今回ばかりはまだ4限目の国語の授業で、給食もあるのでもう家までガマンできそうもなく、「ぼく」は授業をこっそり抜け出して初めての学校のトイレでうんこすることを決意します。でも初めての学校でのうんこは不安がいっぱい・・・それを一つ一つ乗り越えていてうんこするまでの姿を描いていきます。「けしごむ」さんからいただいたイラスト入り。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

兄たちが溺愛するのは当たり前だと思ってました

不知火
BL
温かい家族に包まれた1人の男の子のお話 爵位などを使った設定がありますが、わたしの知識不足で実際とは異なった表現を使用している場合がございます。ご了承ください。追々、しっかり事実に沿った設定に変更していきたいと思います。

処理中です...