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9. 婚約解消に向けて②
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「サーシャ様。あんな男の言葉、無視して良いのですよ」
「良いのよ。私が無事に子供を産めないのは事実だから……」
身体つきのことはどう言われても気にしない。
胸の大きさが私と同じくらいの大きさのお母様は、私達兄妹を無事に育ててくれた。だから反論出来る。
身体が細いことを言われても、私より細身で母親になれた人は何人も居るから気にならない。
けれども、私が無事に子を授かれないのは決まっていること。
だから何も言い返せなくて。
悔しくて。
涙を堪えられなかったのよね……。
「出産は体力が無いと難しいそうですよ? 食事を抜かれていたら、無事に産める方が奇跡だと思います」
「その知識はどこから来てるの……?」
「奥様とお話しした時に聞いたのです。出産は体力勝負だと」
「そうだったのね」
伯爵家なら、普通はお医者様や使用人からの助けがあるけれど、ダリアの男爵家だとお財布事情から難しくなるかもしれない。
だからダリアには先に教えていたのだと思う。
私も子供を産むのは命懸けということは聞いていたけれど、細かい知識は無かったのよね……。
「それと、いざという時のために医学書も読んでいますから」
「もう読んでいたのね?」
「最近読み始めたばかりですよ?」
「そ、そうだったのね」
なんとも言えない空気になってしまったけれど、お陰で落ち着くことは出来た。
だから、話し合いをしていた部屋に戻る私。
「席を外してしまって申し訳ありません」
「こちらこそ、息子が失礼なことを言ってしまって申し訳ありませんでした」
部屋に入ると、すぐにブラフレア伯爵様から頭を下げらていて、戸惑ってしまう。
オズワルド様はというと、グリグリと頭をテーブルに押さえつけられていて、今もジタバタと暴れている。
「オズワルド! お前も謝りなさい!」
「割れる、頭が割れる! 跡継ぎの大事な頭割れちゃっていいのですか!?」
「そんな腐った頭、一度割った方が良いわ! 分かったらさっさと謝れ!」
「あの、ブラフレア伯爵様……。
大変言いにくいのですが、この机は安物ですので本当に割れてしまいます」
「そうか、それは失礼した」
「はあ、死ぬかと思った」
拘束が解けて頭を上げたオズワルド様は悪びれた様子も無く、不貞腐れた様子でソファに身を投げた。
伯爵様の方は、見習いたくなるような姿勢を貫いているというのに、どうしてこんな出来損ないになってしまったのかしら?
演技だけは得意なオズワルド様のことだから、教育も演技で切り抜けたのかしら?
ちなみに、私は伯爵夫人になる前の教育などはされなかったから伯爵家の教育事情は分かっていない。
私の家のマナーや作法に関する教育が公爵家並に厳しいことは分かっているのだけど……。
厳しい原因は、元王女様だったお母様に恥をかかせないため。
お陰で高位の家の方のパーティーに参加しても恥をかくような事は無いけれど、婚約期間がたったの1ヶ月になってしまった。
「証拠には全て目を通しました。全てこちらの有責で受け入れます。
慰謝料は今月中にお渡しします」
「ご理解頂けたようで何よりです。
婚約はこのような形となってしまいましたが、物の取引はお互いの領民の命がかかっていますので、今まで通り行いましょう。
サーシャ、これでも良いかな?」
「はい。私としてはオズワルド様との結婚が無くなれば良いですから」
そう口にして、婚約解消の書類にサインをする私。
オズワルド様のサインはというと……。
「書け」
「嫌です」
「書け」
「……」
……伯爵様の圧に負けて、渋々書いていた。
散々馬鹿にした私との婚約解消を嫌がるだなんて、何か理由があるのかしら?
気のせいだと良いのだけど……。
「良いのよ。私が無事に子供を産めないのは事実だから……」
身体つきのことはどう言われても気にしない。
胸の大きさが私と同じくらいの大きさのお母様は、私達兄妹を無事に育ててくれた。だから反論出来る。
身体が細いことを言われても、私より細身で母親になれた人は何人も居るから気にならない。
けれども、私が無事に子を授かれないのは決まっていること。
だから何も言い返せなくて。
悔しくて。
涙を堪えられなかったのよね……。
「出産は体力が無いと難しいそうですよ? 食事を抜かれていたら、無事に産める方が奇跡だと思います」
「その知識はどこから来てるの……?」
「奥様とお話しした時に聞いたのです。出産は体力勝負だと」
「そうだったのね」
伯爵家なら、普通はお医者様や使用人からの助けがあるけれど、ダリアの男爵家だとお財布事情から難しくなるかもしれない。
だからダリアには先に教えていたのだと思う。
私も子供を産むのは命懸けということは聞いていたけれど、細かい知識は無かったのよね……。
「それと、いざという時のために医学書も読んでいますから」
「もう読んでいたのね?」
「最近読み始めたばかりですよ?」
「そ、そうだったのね」
なんとも言えない空気になってしまったけれど、お陰で落ち着くことは出来た。
だから、話し合いをしていた部屋に戻る私。
「席を外してしまって申し訳ありません」
「こちらこそ、息子が失礼なことを言ってしまって申し訳ありませんでした」
部屋に入ると、すぐにブラフレア伯爵様から頭を下げらていて、戸惑ってしまう。
オズワルド様はというと、グリグリと頭をテーブルに押さえつけられていて、今もジタバタと暴れている。
「オズワルド! お前も謝りなさい!」
「割れる、頭が割れる! 跡継ぎの大事な頭割れちゃっていいのですか!?」
「そんな腐った頭、一度割った方が良いわ! 分かったらさっさと謝れ!」
「あの、ブラフレア伯爵様……。
大変言いにくいのですが、この机は安物ですので本当に割れてしまいます」
「そうか、それは失礼した」
「はあ、死ぬかと思った」
拘束が解けて頭を上げたオズワルド様は悪びれた様子も無く、不貞腐れた様子でソファに身を投げた。
伯爵様の方は、見習いたくなるような姿勢を貫いているというのに、どうしてこんな出来損ないになってしまったのかしら?
演技だけは得意なオズワルド様のことだから、教育も演技で切り抜けたのかしら?
ちなみに、私は伯爵夫人になる前の教育などはされなかったから伯爵家の教育事情は分かっていない。
私の家のマナーや作法に関する教育が公爵家並に厳しいことは分かっているのだけど……。
厳しい原因は、元王女様だったお母様に恥をかかせないため。
お陰で高位の家の方のパーティーに参加しても恥をかくような事は無いけれど、婚約期間がたったの1ヶ月になってしまった。
「証拠には全て目を通しました。全てこちらの有責で受け入れます。
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「ご理解頂けたようで何よりです。
婚約はこのような形となってしまいましたが、物の取引はお互いの領民の命がかかっていますので、今まで通り行いましょう。
サーシャ、これでも良いかな?」
「はい。私としてはオズワルド様との結婚が無くなれば良いですから」
そう口にして、婚約解消の書類にサインをする私。
オズワルド様のサインはというと……。
「書け」
「嫌です」
「書け」
「……」
……伯爵様の圧に負けて、渋々書いていた。
散々馬鹿にした私との婚約解消を嫌がるだなんて、何か理由があるのかしら?
気のせいだと良いのだけど……。
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