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三日目

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宿の出口では、別れを惜しむ姉妹と、シュヴァルツ、ラーオークの濃厚なキスが長く続く……隠そうともしないその行為にさすがに呆れたのか、アリナが注意した。
「二人とも、そろそろ出発するわよ」

その言葉がなければ別れのキスはいつまで続いたのか……物陰から隠れて見ている二人の少年が不憫で仕方ない……

「なんだよ、男二人は随分と楽しんでたみたいだな」
従者のデミリアが嫌味を込めてなのかそう言った。

「いえ、男の嗜みですから、求める女性がいればそれに応えないわけにはいかないので」
「この馬車内にもこんな美人が三人もいるのに、他所の女にばかり手を出して、嗜みにしてはゆるいわね」
「何言ってるんですか、三人とも一度はお誘いしてますよ、ちゃんとフラれてるじゃないですか」
シュヴァルツがそう言う……前の宴の時ってやっぱり誘われてたのね……それにアリナもちゃんと断ってるんだ……ちょっと昨日の彼女を見てると危うい感じがあって心配だったから安心した。

「そうだったかい、そりゃ失礼したね、今度はもっと上手く誘っておくれ」
デミリアさん……そんなこと言ったら本気にするじゃないですか……

「それでは最高の流儀でお誘いします……」
ほら……本当に誘ってきたら人妻なのにどうするつもりだろ……


予定通りの行程で、今日はちゃんとした町での宿泊となる……明日からはまた大きな町で宿泊できなくなりそうなので、この機会に良い宿で泊まることにした。

「すごい……こんな店初めて……」
食事も高級な店をシュヴァルツが予約してくれた……お代も彼もちで、太っ腹なところを見せてくれた。

「もしかしてだけど、これが最高の流儀ってわけじゃないわよね」
この店にはデミリアも招待されている……彼女の指摘通りに、おそらくこれはシュヴァルツの最高の流儀の一部であろう……と言うことは彼は本気でデミリアを誘うつもりなのだろうか……

高級な料理に高級なワイン……誘いの前菜にしては十分に思えるが、さすがは子持ちのデミリア、一枚上手のように見える。

「私にはちょっと味が薄いわね、もうちょっと濃い方が好みなんだけど」
「それは失礼した、直ぐに代わりを持って来させます」
シュヴァルツもそれに対抗するように直ぐに対応する。

シュヴァルツはデミリアに付きっ切りでエスコートしている……完全にターゲットにしているようだけど……見るとラーオークはアリナにアプローチしてるみたい……こうして冷静に見ると、この食事の席で、私はちょっと浮いた感じになっていた……
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