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本当の気持ち

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先生と再会してから半年が過ぎた。
再会してから時間さえあれば、先生と会って、お互いの家に泊まったりして。
今日も先生のアパートで一晩を過ごした。

でもこの現実が未だに信じられなくて、隣で寝ている先生の頬をそっと触る。
頬から伝わる体温を感じて、本当に先生がここにいるって実感する。
そんなことを繰り返していると、先生の目が開いた。

「ちょっとくすぐったいんだけど…」
寝ていたと思っていた先生は、いつの間にか起きていたらしい。
「おはよ」
そう投げかけると、先生は照れ臭そうに「おはよ」って言ってくれた。

それだけで幸せで、このままずっと俺の腕の中に納まっててくれないかなって思う。


先生は教養試験に受かって、来週から新しい学校へ赴任するらしい。
今日はその面談があるとかで、急いでベッドから降りようとした。

「ちょっと待って」

そんな先生の腕を引っ張ったもんだから、先生も態勢を崩して俺の上に覆いかぶさる形になった。

「積極的ですね、先生」
「ちょっ、里巳くんが腕引っ張るからでしょ」
先生はそう言いながら頬を赤く染めた。

「照れてる先生もかわいい」
「からかわないで」
「からかってない、本当に思ってます」
そう言って先生の後ろ頭を手をまわしてぐっと自分に近づかせる。

チュッとリップ音をならせば、
「バカっ」
って言って先生はベッドから降りてしまった。

まだ全然足りないのに。


「私、9時には家出るけど里巳くんも一緒に出れそう?」
先生が慌ただしく準備をしながら俺に聞いてきた。
あーあ、先生に予定がなければもっと一緒にいられたのに。

「先生の用事は何時に終わります?」
「午前中には終わると思うけど」
「じゃあ、ここで待っててもいいですか?」
「え、でも授業は?」
「今日は午後からなんで。少しでも先生と一緒にいたから、お昼ご飯作って待ってる」
そう言うと先生は優しく笑った。

「分かった。楽しみにしてるね、里巳くんの料理」
ほら、そんな顔したら脳みそが溶けてしまう。

先生に気づかれないようにそっと近づいて、
「早く帰って来て」
そう言ってまたキスを落とす。


先生が出て行った後のアパートは急にシーンとして、それがすごく寂しく感じる。
早く帰ってこないかなって、ベッドで転がりながら思って。
今の自分の状態があまりに自分らしくなくて、可笑しかった。


そのままいつのまにか寝ていたらしくて、目が覚めると11時を過ぎていた。

「やばっ、先生帰ってくるじゃん」
急いで体を起こして、冷蔵庫に入ってる食材を適当に取り出す。

時間がないから簡単にチャーハンを作った。
高校を卒業してから一人暮らしをしながら自炊してたから、多少のものは作れる。
先生、喜んでくれるといいな。

チャーハンが出来上がったのに先生はまだ帰ってこなくて。
座って待っていようとリビングに向かう途中で、棚にぶつかった。
その拍子に一冊のノートが床に落ちてしまった。
拾おうと思って手を伸ばすと、めくれていたページは先生の字で埋まっていた。

「日記?」

一番上には日付が書いてあったから、なんとなくそう思った。




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