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愛してるってなに?

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「タッチ」

「へ?」
先生はキョトンとした顔をしていて、それがまたかわいい。

「俺、鬼なんで」
そう言うと先生は「やられたー!」って言って頭を抱えた。
そんな頭抱えるほどのこと?
大げさなリアクションをとる先生を見ていると、先生はスッと顔を上げた。

「里巳くんは蜘蛛タイプなんだね」
って、いきなり訳わからないこと言ってきて。
「自分から捕まえに行くんじゃなくて、罠を張って獲物をじっと待ってる」
「え、っと」
俺はただ疲れてたから休んでただけなんだけどな…。
「私はまんまとハメられたわけだ!悔しい」

今日の先生はいつもよりも表情ゆたかで。
割と高めのテンションに少し驚いている。
なんか、勝手に悔しがってるし。

でもそんな先生がすごくかわいい。


「タッチされた相手にはタッチし返せないんだったよね」
そう言いながら先生は立ち上がって、辺りを見渡した。
多分他の生徒を探している。
「里巳くんもずっとここにいたら捕まっちゃうわよ」
先生は俺に背を向けて俺から離れていく。

「まっ…」


待って。


そう言いそうになって慌てて口を閉じる。
引き止めてどうすんだよ…。
頭をくしゃくしゃとして、俺も立ち上がった。

その時、突然立ち眩みが襲ってきて、足元がふらついた。
そのまま倒れるとまずいと思ってすぐにしゃがんだ。

「え?里巳くん大丈夫!?」
背を向けて行ってしまった先生は、なぜか俺の様子に気づいて戻って来たみたいだ。

来なくていいのに…。

「ちょっと立ち眩みしただけですから…」
「え、でも顔色悪いよ?」
「しばらくしたら治るんで…大丈夫です」

本当は頭もガンガンに痛くて、視界が揺れて平衡感覚が分からなくなってる。
でも先生にはかっこ悪いところを見られたくなかった。

「ダメだよ、掴まって」
先生は俺を支えるようにして持ち上げた。
大丈夫だって言ってるのに。

俺は昔から体が弱かった。
小さい時は貧血で倒れることもしばしば。
高校生になってからはなかったのに、よりによってなんで今なんだよ…。

先生は俺より体が小さいくせに、俺を一生懸命支えてくれてる。
細い腕が折れてしまうんじゃないかって、こっちが心配になるくらい。

「本当に大丈夫ですから、一人で歩けます」
先生から離れようと体重を自分中心に戻そうとすると
「ダメだって言ってるでしょ」
そう言ってまた先生に寄りかかる形になってしまった。

先生って意外と頑固だな。

先生の体温が自分の体を通して伝わってくる。
あったかい。
もうろうとする意識の中で、俺はただその温もりを感じていた。
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