482 / 642
凝固点降下
しおりを挟む
「蘇から醍醐を作る場合、蘇、この場合はフレッシュチーズになるんですけど、ここに穴を空けて冷却します。すると、その穴から醍醐が滲み出てくる。と本草綱目には書かれており、その事から、醍醐とは蘇の内部の脂肪分であり、蘇と醍醐で凝固点が違うから、蘇は冷えて固まるけれど、脂肪分である醍醐は固まらず、滲み出てくるのだろう。と言うのが、現代研究から導き出されている解答ですね」
語る田町さん。
「つまり、その冷やして固めたフレッシュチーズを、更に冷やせば、醍醐、アルミラージの方から勝手にフレッシュチーズより出てくる。って話ですね」
俺の返答に皆が首肯する。これは一度聞いただけで理解するのは難しいな。
「それで合っていると思います。ただ、このフレッシュチーズだけを凝固させて、脂肪分だけを取り出すとなると、その温度が何度なのか、かなり検証が必要になってきます」
そうだよねえ。と言うか、既にバヨネッタさんと武田さんとミカリー卿が静観モードに入っているんですけど。
「氷水でボウルを冷やして、ハイポーション入りのフレッシュチーズを作った訳ですから、零度よりは確実に低い温度ですよねえ」
「何で零度以下だと言い切れるんだ?」
とデムレイさんが尋ねてきた。デムレイさん、カッテナさん、ダイザーロくんなんかは、今回のアルミラージ再現実験で地球の温度の計り方なんかを学んだけど、魔法のある向こうの人だと初見じゃ分からないか。
「水で出来た氷は零度以下にはならないからです」
「それは違います」
割って入ってきたのは田町さんだ。
「水で出来た氷も零度以下になります」
「え? そうなんですか?」
水で出来た氷は零度以下にならないのだと思っていた。
「たとえば冷凍庫で水を凍らせた場合、水は基本的に零度で凍り始めて、全て凍るまで零度のままですが、水が全て氷に変わると、最終的に氷の温度は冷凍庫の内部と同じ温度まで下がるんです」
へえ、そうだったのか。水はいつでも零度以下にはならないと思っていたけど、それは単に水の凝固点が零度なだけなのか。
「う~ん? つまり二人の話からすると、その零度以下の氷を使って冷やせば良い訳か?」
首を捻るデムレイさん。
「その為には、この部屋を零度以下にしなければなりませんね」
「あ、そうなるのか」
と田町さんの説明にデムレイさんは顔をしかめる。寒いのが苦手なんだろうか?
「部屋を氷漬けにすれば良いのかい?」
今の説明を聞いていたのだろう。部屋の隅でミカリー卿が魔導書を取り出している。
「ええと、どのくらいまで冷やせますか?」
本当に部屋を氷漬けにして貰うつもりはないが、どれくらいの事が出来るのか尋ねてみた。
「そうだねえ。一頁使い切れば、完全凍結も可能だよ」
その完全凍結とやらがどのくらい凄いのか知らないけれど、バヨネッタさんが横で、「やるじゃない」みたいな雰囲気出しているから凄いのだろう。仮にその完全凍結が絶対零度なら、死ぬけどね。
「完全凍結となると、アルミラージの脂肪分も凍結してしまいそうですから、ミカリー卿の手を借りるのは最終手段とさせてください」
「そうかい? 言われてみれば、私は氷結系の魔法を使えるが、その温度を計ったりなんてしてこなかったな。攻撃や防御に使うものだし、調理には向いていないかもね」
かもね。ではなく向いていないと思いますよ。
「ええと、実験に取り掛かります」
音頭を取る田町さん。とりあえず三月だと言うのに部屋に冷房を入れて、実験開始だ。
「まず、零度ではフレッシュチーズにまでしかならないのは昨日までで確認済みです。その後、冷凍庫で冷やしましたが、家庭用冷蔵庫の冷凍庫はマイナス18℃までなので、それ以上冷やす必要があります」
「どうするんですか? ドライアイスですか? それとも思い切って液体窒素?」
「その二つも持ってきていますが、まずは氷に塩を振り掛け、凝固点降下を起こすところから始めましょう」
ああ、氷に塩を振り掛けると、温度が零度以下に下がるってやつか。あれ凝固点降下って言うんだ。
「どれくらいまで下がるんですか?」
「塩の場合、最大で約マイナス21℃です。次に塩化マグネシウムで試します。こちらはマイナス33℃ですね。その次が塩化カルシウム。これでマイナス55℃まで下がります」
へえ。塩以外でも下げられるんだな。
「ちなみに、ドライアイスと液体窒素だとどのくらいの温度になるんですか?」
「ドライアイスでマイナス79℃。液体窒素になるとマイナス196℃から210℃ですね」
「結構差がありますね。マイナス100℃くらいの液体とかないんですか?」
「ありますよ。塩素ですけど」
それは駄目かなあ。
そうこう話している間も田町さんは実験の準備を進め、俺たちは氷に塩から順に実験を重ねていったのだった。
「駄目ですねえ」
結果、全てハズレで終わった。いや、分かった事もある。ハイポーション入りのフレッシュチーズは、ドライアイスで冷やしても完全には固まらず、アルミラージも滲み出てこない。だが、液体窒素では固まるけれどフレッシュチーズ自体壊れてしまうのだ。これではアルミラージを取り出すどころではない。
「やっぱり塩素? それともキセノン? クリプトンも候補かしら?」
田町さんは度重なる失敗から、額に片手を当てて考え込んでいる。
「そう言えば……」
と暗い雰囲気のキッチンスクールのスペースで、努めて明るくアンリさんが俺に話し掛けてきた。
「氷に塩と言いますと、オル様もハルアキくんの塩で氷を溶かしておられましたね」
そう言えば、『清塩』を手に入れた後、魔法科学研究所で、俺の『清塩』をオルさんに調べて貰った事があったっけ。ポーションにも含まれているヒーラー体が、俺の『清塩』にも含まれているとか。その時にオルさんが俺の塩で氷を溶かしていたっけ。あれって凝固点降下を試していたのか。
「確かに、俺の『清塩』は普通の塩とは違いますし、試してみますか」
と明らかに期待薄な望みに懸けて、俺たちはハイポーション入りのフレッシュチーズをボウルに入れ、更にそのボウルを、氷を俺の『清塩』で溶かした液体の入ったボウルに浸ける。温度はマイナス90℃から110℃だ。するとどうだろうか。フレッシュチーズに空けた穴から、油状のものが滲み出てきたではないか。
「こ、これがアルミラージ……?」
ほぼ透明に近い金色の油が出てきた事に俺たちは驚き、困惑していた。
語る田町さん。
「つまり、その冷やして固めたフレッシュチーズを、更に冷やせば、醍醐、アルミラージの方から勝手にフレッシュチーズより出てくる。って話ですね」
俺の返答に皆が首肯する。これは一度聞いただけで理解するのは難しいな。
「それで合っていると思います。ただ、このフレッシュチーズだけを凝固させて、脂肪分だけを取り出すとなると、その温度が何度なのか、かなり検証が必要になってきます」
そうだよねえ。と言うか、既にバヨネッタさんと武田さんとミカリー卿が静観モードに入っているんですけど。
「氷水でボウルを冷やして、ハイポーション入りのフレッシュチーズを作った訳ですから、零度よりは確実に低い温度ですよねえ」
「何で零度以下だと言い切れるんだ?」
とデムレイさんが尋ねてきた。デムレイさん、カッテナさん、ダイザーロくんなんかは、今回のアルミラージ再現実験で地球の温度の計り方なんかを学んだけど、魔法のある向こうの人だと初見じゃ分からないか。
「水で出来た氷は零度以下にはならないからです」
「それは違います」
割って入ってきたのは田町さんだ。
「水で出来た氷も零度以下になります」
「え? そうなんですか?」
水で出来た氷は零度以下にならないのだと思っていた。
「たとえば冷凍庫で水を凍らせた場合、水は基本的に零度で凍り始めて、全て凍るまで零度のままですが、水が全て氷に変わると、最終的に氷の温度は冷凍庫の内部と同じ温度まで下がるんです」
へえ、そうだったのか。水はいつでも零度以下にはならないと思っていたけど、それは単に水の凝固点が零度なだけなのか。
「う~ん? つまり二人の話からすると、その零度以下の氷を使って冷やせば良い訳か?」
首を捻るデムレイさん。
「その為には、この部屋を零度以下にしなければなりませんね」
「あ、そうなるのか」
と田町さんの説明にデムレイさんは顔をしかめる。寒いのが苦手なんだろうか?
「部屋を氷漬けにすれば良いのかい?」
今の説明を聞いていたのだろう。部屋の隅でミカリー卿が魔導書を取り出している。
「ええと、どのくらいまで冷やせますか?」
本当に部屋を氷漬けにして貰うつもりはないが、どれくらいの事が出来るのか尋ねてみた。
「そうだねえ。一頁使い切れば、完全凍結も可能だよ」
その完全凍結とやらがどのくらい凄いのか知らないけれど、バヨネッタさんが横で、「やるじゃない」みたいな雰囲気出しているから凄いのだろう。仮にその完全凍結が絶対零度なら、死ぬけどね。
「完全凍結となると、アルミラージの脂肪分も凍結してしまいそうですから、ミカリー卿の手を借りるのは最終手段とさせてください」
「そうかい? 言われてみれば、私は氷結系の魔法を使えるが、その温度を計ったりなんてしてこなかったな。攻撃や防御に使うものだし、調理には向いていないかもね」
かもね。ではなく向いていないと思いますよ。
「ええと、実験に取り掛かります」
音頭を取る田町さん。とりあえず三月だと言うのに部屋に冷房を入れて、実験開始だ。
「まず、零度ではフレッシュチーズにまでしかならないのは昨日までで確認済みです。その後、冷凍庫で冷やしましたが、家庭用冷蔵庫の冷凍庫はマイナス18℃までなので、それ以上冷やす必要があります」
「どうするんですか? ドライアイスですか? それとも思い切って液体窒素?」
「その二つも持ってきていますが、まずは氷に塩を振り掛け、凝固点降下を起こすところから始めましょう」
ああ、氷に塩を振り掛けると、温度が零度以下に下がるってやつか。あれ凝固点降下って言うんだ。
「どれくらいまで下がるんですか?」
「塩の場合、最大で約マイナス21℃です。次に塩化マグネシウムで試します。こちらはマイナス33℃ですね。その次が塩化カルシウム。これでマイナス55℃まで下がります」
へえ。塩以外でも下げられるんだな。
「ちなみに、ドライアイスと液体窒素だとどのくらいの温度になるんですか?」
「ドライアイスでマイナス79℃。液体窒素になるとマイナス196℃から210℃ですね」
「結構差がありますね。マイナス100℃くらいの液体とかないんですか?」
「ありますよ。塩素ですけど」
それは駄目かなあ。
そうこう話している間も田町さんは実験の準備を進め、俺たちは氷に塩から順に実験を重ねていったのだった。
「駄目ですねえ」
結果、全てハズレで終わった。いや、分かった事もある。ハイポーション入りのフレッシュチーズは、ドライアイスで冷やしても完全には固まらず、アルミラージも滲み出てこない。だが、液体窒素では固まるけれどフレッシュチーズ自体壊れてしまうのだ。これではアルミラージを取り出すどころではない。
「やっぱり塩素? それともキセノン? クリプトンも候補かしら?」
田町さんは度重なる失敗から、額に片手を当てて考え込んでいる。
「そう言えば……」
と暗い雰囲気のキッチンスクールのスペースで、努めて明るくアンリさんが俺に話し掛けてきた。
「氷に塩と言いますと、オル様もハルアキくんの塩で氷を溶かしておられましたね」
そう言えば、『清塩』を手に入れた後、魔法科学研究所で、俺の『清塩』をオルさんに調べて貰った事があったっけ。ポーションにも含まれているヒーラー体が、俺の『清塩』にも含まれているとか。その時にオルさんが俺の塩で氷を溶かしていたっけ。あれって凝固点降下を試していたのか。
「確かに、俺の『清塩』は普通の塩とは違いますし、試してみますか」
と明らかに期待薄な望みに懸けて、俺たちはハイポーション入りのフレッシュチーズをボウルに入れ、更にそのボウルを、氷を俺の『清塩』で溶かした液体の入ったボウルに浸ける。温度はマイナス90℃から110℃だ。するとどうだろうか。フレッシュチーズに空けた穴から、油状のものが滲み出てきたではないか。
「こ、これがアルミラージ……?」
ほぼ透明に近い金色の油が出てきた事に俺たちは驚き、困惑していた。
0
お気に入りに追加
331
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる