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垂直落下
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火が、氷が、雷が、突風が、砂塵が、一度に起こるにはありえない自然現象が、魔法によって顕現する。
ダダダダダダダダダ…………ッッ!!
その中を更に銃弾が飛び交い、戦場は終息に向けて加速していく。
砂塵が舞い上がり視界が封じられる中、それを割って飛び込んでくる忍者たち。俺は白い球体と黒い球体から十本の刃を生み出し、それらを自在に動く鞭のように振るい、かかってくる忍者たちを跳ね除ける。
『代償』でレベルを二つ消費した事で、俺の強化は忍者軍団を上回ったらしく、『マリーチの加護』と『狂宴』でバフが掛かっている忍者軍団も、こちらの速度には付いてこられないようだ。
「はあ、はあ、はあ……」
とは言え、付いてこられないのは己の身体も同様で、動く度に筋肉と心肺機能が悲鳴を上げる。「死んでくれ」とか言ったの、格好付け過ぎたかな?
全合一が全開状態の俺に死角はなく、忍者たちの攻撃への対応は球体の剣に任せ、俺は刃に止められた忍者たちを、バンバンと改造ガバメントを撃ちまくっていった。
当然分身も多数いるが、本体に一段劣る分身で今の俺を捉えきれるはずもなく、動き回れば自然とどれが本体で分身か分かってくる。あとは本体の方を狙い撃てば良いだけだ。
とは言え相手も精鋭の忍者軍団。レベルこそこちらが上だが、その磨かれたプレイヤースキルは驚嘆に値するもので、改造ガバメントなんていくら撃っても致命傷に至らない。
「しぶとい……!」
思わず愚痴が声になってこぼれる。このレベルになってくると、俺の銃撃のプレイヤースキル程度じゃあ、相手を倒せなくなってくるな。俺は銃による相手の掃討を諦め、『空間庫』に改造ガバメントを仕舞うと、白と黒の球体に手を突っ込んで、球体から伸びる刃の数を倍に増やした。
バザン……ッ!!
四十本の刃の斬撃で、この世の終わりのようだった魔法による現象を一気に薙ぎ払う。
その直後に生まれる硬直時間。この瞬間を狙って、俺は四十本の刃を辺りを包囲する忍者軍団目掛けて伸長させる。
流石の精鋭たちも、これには対処し切れなかったようだ。何人かには避けるなり弾くなりされてしまったが、この攻撃で忍者軍団を約半数まで減らす事に成功した。
が、そこに油断が生まれた。
ドスッ。
影に潜み機会を窺っていた小太郎くんに、背後から腹を貫かれたのだ。
「ぐっ!」
直ぐ様白刃の一つを振って小太郎くんを追い払うも、腹からはドポドポと血が流れ出て止まらない。当然か。『回復』がないんだから。俺は直ぐ様『空間庫』からポーションの入った小瓶を取り出すが、向こうにとってもこれは好機だ。見逃す手はない。
ダダダダダダダダダ…………ッッ!!
ここぞとばかりに降り注ぐ銃弾と魔法の雨あられ。ポーションを口にする暇などあるはずもなく、俺は痛みと熱を発する腹の傷口を押さえながら、逃げ回るはめになった。
それでも何とか傷口にポーションを振り掛け、傷を塞ぐと、俺を追ってくる忍者軍団を振り返る。眼前で小太郎くんがこちらに向かって村正を振るっていた。
瞬間的に後ろに跳ねて避けるも、顔面から胸をざっくりいかれる。
「ううッ、うああああああッッ!!」
俺の目には、スローモーションで小太郎くんの後ろから追撃してくる忍者たちの姿が見えた。この追撃を食らったら俺は死ぬ。そんな直感から俺は白と黒の球体から出せるだけの刃を出すと、周囲に向かって暴れさせた。無軌道に無作為に、半ばヤケになって暴れさせたその刃は、運良く小太郎くんを退け、忍者軍団をほぼ壊滅させたが、残る忍者軍団にも自死を厭わぬ特攻を決意させてしまった。
俺の刃に斬り裂かれながらも、刀を脇に構えて突っ込んでくる忍者たち。その数は一人減り二人減り三人減り、ザクザクと四肢を犠牲に仲間を犠牲に、俺に到達したのは、四人だった。四方から俺の胴に刀を突き刺し、更にスクラムを組むように俺をがっちりと抑え込む四人の忍者。
「ふぐッ!!」
形にならない声を漏らしながら、俺は両の手に白剣と黒剣を持ち、四人を斬り裂く。その生々しい感触に歯ぎしりしながら、スクラムを解こうとするも解けず、何やら自分の頭上に影が差した事に悪寒を感じて上を向けば、そこには『空間庫』の出入り口が一つ。そこから円筒状の何かがこちらに向かってゆっくりゆっくり落ちてこようとしていた。
「あれって…………ミサイルか?」
直径五十センチ以上はありそうなミサイルに、思わず一瞬呆けてしまった。だって、人ひとり倒す為にミサイルまで用意するか? どこから調達してきたんだよ? あんなの使用すれば、この砂地一帯吹き飛ぶぞ? そこまでして俺を殺したかったのか? 自分たちだって死ぬんだぞ?
そう思って横目で小太郎くんの姿を探せば、小太郎くんは俺の剣を食らっていたらしく、百香に肩で支えられながらこちらを見遣り、そして二人して影に沈んでいく最中だった。
ああ、そうか。俺だけ死ぬんだな。いや、これだけ忍者軍団を殺したんだ。俺だけ死ぬ。ってのはおかしな話か。
「ごは……っ!」
口から大量に血が出てきた。血を失い過ぎた。死ぬのか? 俺は白剣と黒剣を地に突き立て踏ん張る。いや、ここで死ぬ訳にはいかない。意識が混濁する。とりあえず何かアクションを起こさないと……。傷を、治さないと…………。俺が『空間庫』からハイポーションを取り出したのと、ミサイルが落ちたのは、ほぼ同時だった。
ダダダダダダダダダ…………ッッ!!
その中を更に銃弾が飛び交い、戦場は終息に向けて加速していく。
砂塵が舞い上がり視界が封じられる中、それを割って飛び込んでくる忍者たち。俺は白い球体と黒い球体から十本の刃を生み出し、それらを自在に動く鞭のように振るい、かかってくる忍者たちを跳ね除ける。
『代償』でレベルを二つ消費した事で、俺の強化は忍者軍団を上回ったらしく、『マリーチの加護』と『狂宴』でバフが掛かっている忍者軍団も、こちらの速度には付いてこられないようだ。
「はあ、はあ、はあ……」
とは言え、付いてこられないのは己の身体も同様で、動く度に筋肉と心肺機能が悲鳴を上げる。「死んでくれ」とか言ったの、格好付け過ぎたかな?
全合一が全開状態の俺に死角はなく、忍者たちの攻撃への対応は球体の剣に任せ、俺は刃に止められた忍者たちを、バンバンと改造ガバメントを撃ちまくっていった。
当然分身も多数いるが、本体に一段劣る分身で今の俺を捉えきれるはずもなく、動き回れば自然とどれが本体で分身か分かってくる。あとは本体の方を狙い撃てば良いだけだ。
とは言え相手も精鋭の忍者軍団。レベルこそこちらが上だが、その磨かれたプレイヤースキルは驚嘆に値するもので、改造ガバメントなんていくら撃っても致命傷に至らない。
「しぶとい……!」
思わず愚痴が声になってこぼれる。このレベルになってくると、俺の銃撃のプレイヤースキル程度じゃあ、相手を倒せなくなってくるな。俺は銃による相手の掃討を諦め、『空間庫』に改造ガバメントを仕舞うと、白と黒の球体に手を突っ込んで、球体から伸びる刃の数を倍に増やした。
バザン……ッ!!
四十本の刃の斬撃で、この世の終わりのようだった魔法による現象を一気に薙ぎ払う。
その直後に生まれる硬直時間。この瞬間を狙って、俺は四十本の刃を辺りを包囲する忍者軍団目掛けて伸長させる。
流石の精鋭たちも、これには対処し切れなかったようだ。何人かには避けるなり弾くなりされてしまったが、この攻撃で忍者軍団を約半数まで減らす事に成功した。
が、そこに油断が生まれた。
ドスッ。
影に潜み機会を窺っていた小太郎くんに、背後から腹を貫かれたのだ。
「ぐっ!」
直ぐ様白刃の一つを振って小太郎くんを追い払うも、腹からはドポドポと血が流れ出て止まらない。当然か。『回復』がないんだから。俺は直ぐ様『空間庫』からポーションの入った小瓶を取り出すが、向こうにとってもこれは好機だ。見逃す手はない。
ダダダダダダダダダ…………ッッ!!
ここぞとばかりに降り注ぐ銃弾と魔法の雨あられ。ポーションを口にする暇などあるはずもなく、俺は痛みと熱を発する腹の傷口を押さえながら、逃げ回るはめになった。
それでも何とか傷口にポーションを振り掛け、傷を塞ぐと、俺を追ってくる忍者軍団を振り返る。眼前で小太郎くんがこちらに向かって村正を振るっていた。
瞬間的に後ろに跳ねて避けるも、顔面から胸をざっくりいかれる。
「ううッ、うああああああッッ!!」
俺の目には、スローモーションで小太郎くんの後ろから追撃してくる忍者たちの姿が見えた。この追撃を食らったら俺は死ぬ。そんな直感から俺は白と黒の球体から出せるだけの刃を出すと、周囲に向かって暴れさせた。無軌道に無作為に、半ばヤケになって暴れさせたその刃は、運良く小太郎くんを退け、忍者軍団をほぼ壊滅させたが、残る忍者軍団にも自死を厭わぬ特攻を決意させてしまった。
俺の刃に斬り裂かれながらも、刀を脇に構えて突っ込んでくる忍者たち。その数は一人減り二人減り三人減り、ザクザクと四肢を犠牲に仲間を犠牲に、俺に到達したのは、四人だった。四方から俺の胴に刀を突き刺し、更にスクラムを組むように俺をがっちりと抑え込む四人の忍者。
「ふぐッ!!」
形にならない声を漏らしながら、俺は両の手に白剣と黒剣を持ち、四人を斬り裂く。その生々しい感触に歯ぎしりしながら、スクラムを解こうとするも解けず、何やら自分の頭上に影が差した事に悪寒を感じて上を向けば、そこには『空間庫』の出入り口が一つ。そこから円筒状の何かがこちらに向かってゆっくりゆっくり落ちてこようとしていた。
「あれって…………ミサイルか?」
直径五十センチ以上はありそうなミサイルに、思わず一瞬呆けてしまった。だって、人ひとり倒す為にミサイルまで用意するか? どこから調達してきたんだよ? あんなの使用すれば、この砂地一帯吹き飛ぶぞ? そこまでして俺を殺したかったのか? 自分たちだって死ぬんだぞ?
そう思って横目で小太郎くんの姿を探せば、小太郎くんは俺の剣を食らっていたらしく、百香に肩で支えられながらこちらを見遣り、そして二人して影に沈んでいく最中だった。
ああ、そうか。俺だけ死ぬんだな。いや、これだけ忍者軍団を殺したんだ。俺だけ死ぬ。ってのはおかしな話か。
「ごは……っ!」
口から大量に血が出てきた。血を失い過ぎた。死ぬのか? 俺は白剣と黒剣を地に突き立て踏ん張る。いや、ここで死ぬ訳にはいかない。意識が混濁する。とりあえず何かアクションを起こさないと……。傷を、治さないと…………。俺が『空間庫』からハイポーションを取り出したのと、ミサイルが落ちたのは、ほぼ同時だった。
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