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トンデモSFです(補考)
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「何を他人事みたいに。この魔力の引力を利用して魔法は運用されているのよ?」
「そうなのか?」
「そうよ。魔法で何もない所から、炎や水が出てくる事を不思議に思った事はなかったの?」
まあ、なかったと言えば嘘になるけど。
「これも魔力の超次元的引力で簡単に説明出来るわ。実質、人体や魔石はそれ自体複雑な魔道具としての性質を持っているから、そこに強大な魔力があれば、魔力を思い描く形に集中させるだけで、事象が生まれ、炎や水は生み出されるの」
成程?
「なあ、俺は『空間庫』って言う、異空間に物を収納出来るスキルを持っているんだけど、あれはどんな理屈なんだ?」
「あれは、時空が持つ拡張性を使っているのよ」
「拡張性?」
「現在でもこの宇宙が広がっていっている事は知っているわよね?」
俺は首肯する。まあ、良く聞く宇宙論だな。
「あれは低次元よりも高次元の方が広くて魔力が多く、その高次元にある魔力の引力によって広がっていくのだけど、拡張性があると言う事は、つまりは時空が折り畳まれて小さくなっていると言う事なのよ」
「ああ、成程。その折り畳まれて小さくなっている時空を、少し拡張して使うのが『空間庫』なのか」
俺の返答に満足なのか、浅野は鷹揚に頷いてみせる。きっとそれぞれの魔法やスキルが、浅野には説明出来るのだろうけど、俺には更に気になる事が出てきてしまった。
「んで、何でそもそも俺たち人間は、こんな魔法の行使なんて事が可能なんだ?」
魔法の行使には、スキルやギフト、魔石や魔法陣など、必要な法則性があるが、浅野に聞く限り自由度も高そうだ。
「それは魔力には、ユーザー効果と呼ばれる、強力な人間原理と言うか、強力な観察者効果と言うか、そう言う力が働くからよ」
「まあた、難しい専門用語が出てきた」
タカシが辟易したようにテーブルに突っ伏す。
「人間原理?」
と今度は小太郎くんが尋ねてきた。
「人間原理はさっきL魔王と話していた、この宇宙がまるで人間に都合が良いように出来ているって話だよ」
「観察者効果は?」
「観察すると言う行為によって、観察対象の結果が変化するって話。観察するって行為は、観察対象に多かれ少なかれ関わるって事だから、観察するのとしないので、結果が変化するって言われているんだよ」
「ふ~ん」
俺の説明を聞いて、小太郎くんは分かったような分からないような顔だ。まあ、そうだよねえ。俺は浅野に向き直って話を続けた。
「ユーザー効果って言うのは聞かないけど、言わんとしている事は分かるよ。この世界が上位世界の何者かによって創造され、運営されているのなら、その者たちが認知し、書き換え可能な世界でなければ、存在していないだろうからね」
「そう言う事よ。まあ、実質私たち自体時空と魔力で構成されているのだから、私たちの意思が魔法に反映されるのも当然。との考え方も出来るけどね」
成程、それもそうだな。さて、話を戻そう。
「この、ガイツクールって、大丈夫なのか?」
「大丈夫って?」
「その、人間の意識を乗っ取ったりしないかって話」
「何それ? ああ、私たちがそっちの戦いが終わった後に、乗り込んで行った時用に、何か仕掛けがしてあるんじゃないかって事? そんな事しないわよ」
ああ、それは考えていなかったな。その可能性もあったのか。
「いや、実はさ、俺とこのアニンは現在同化の最中なんだけど、問題発生しているんだよねえ」
「問題?」
何でちょっと嬉しそうなんだよ?
「ああ。同化が進むと、享楽的になると言うか、凶暴性が増して、暴走してしまうんだよ」
「何それ?」
訳分からん。みたいな顔をするな。質問しているのはこっちだ。
「どうやら化神族って言うのはそう言う種族らしくてさ。代々所有者を乗っ取り、凶暴化させてきた過去があるらしい」
「ふ~ん。謎ね」
「謎なんだよ」
「でもまあ、ガイツクールは魔法生体兵器だから、武器としての本能と、生命としての本能が混ざり合って、強く現出しているのかも知れないわ」
武器としての本能と生命としての本能が混ざり合った結果か。まあ、確かに人間にも、生きたいと言う生存本能と、戦いたいと言う闘争本能が存在しているしな。
「でも、さっきも言ったけど、ガイツクールは地球を超える魔法科学文明によって作られ、その中でも貴重な部類なのよねえ。だから世の中に出回る前に、何重にも安全管理と品質チェックがしっかり行われているはずなのよ」
確かに、生命を一つ生み出すなんて、簡単な作業じゃないよな。しかもそれが武器として扱われるとなれば尚更だ。安全管理と品質チェックは万全に行われていたはず。
「となると、何者かが意図的に化神族にこの機能を施して、向こうの世界にばら撒いた。って可能性が出てくるな」
「へえ、何者がそんな仕掛けをしたのか気になるけど、つまり工藤くんは、ウイルス付きのガイツクールを掴まされて難儀していると」
直球過ぎじゃね? まあ、それこそ大昔の魔王がそんな事を仕掛けてきていても驚かないな。その場合、どこから化神族を入手したかだよなあ。いや、向こうの世界の古代文明は現在の文明よりも高度な文明だったらしいし、向こうの世界で自力で作られていてもおかしくないのか。
「う~ん、私がそちらに行ければ、じっくり調べて書き換え可能なんだけどねえ。今はここを離れられないから……、いえ、ちょっと待って、出来るかも知れないわ」
おお! 流石は才女!
「まあ、かなり痛みは伴うでしょうけど」
それは嫌だなあ。
「そうなのか?」
「そうよ。魔法で何もない所から、炎や水が出てくる事を不思議に思った事はなかったの?」
まあ、なかったと言えば嘘になるけど。
「これも魔力の超次元的引力で簡単に説明出来るわ。実質、人体や魔石はそれ自体複雑な魔道具としての性質を持っているから、そこに強大な魔力があれば、魔力を思い描く形に集中させるだけで、事象が生まれ、炎や水は生み出されるの」
成程?
「なあ、俺は『空間庫』って言う、異空間に物を収納出来るスキルを持っているんだけど、あれはどんな理屈なんだ?」
「あれは、時空が持つ拡張性を使っているのよ」
「拡張性?」
「現在でもこの宇宙が広がっていっている事は知っているわよね?」
俺は首肯する。まあ、良く聞く宇宙論だな。
「あれは低次元よりも高次元の方が広くて魔力が多く、その高次元にある魔力の引力によって広がっていくのだけど、拡張性があると言う事は、つまりは時空が折り畳まれて小さくなっていると言う事なのよ」
「ああ、成程。その折り畳まれて小さくなっている時空を、少し拡張して使うのが『空間庫』なのか」
俺の返答に満足なのか、浅野は鷹揚に頷いてみせる。きっとそれぞれの魔法やスキルが、浅野には説明出来るのだろうけど、俺には更に気になる事が出てきてしまった。
「んで、何でそもそも俺たち人間は、こんな魔法の行使なんて事が可能なんだ?」
魔法の行使には、スキルやギフト、魔石や魔法陣など、必要な法則性があるが、浅野に聞く限り自由度も高そうだ。
「それは魔力には、ユーザー効果と呼ばれる、強力な人間原理と言うか、強力な観察者効果と言うか、そう言う力が働くからよ」
「まあた、難しい専門用語が出てきた」
タカシが辟易したようにテーブルに突っ伏す。
「人間原理?」
と今度は小太郎くんが尋ねてきた。
「人間原理はさっきL魔王と話していた、この宇宙がまるで人間に都合が良いように出来ているって話だよ」
「観察者効果は?」
「観察すると言う行為によって、観察対象の結果が変化するって話。観察するって行為は、観察対象に多かれ少なかれ関わるって事だから、観察するのとしないので、結果が変化するって言われているんだよ」
「ふ~ん」
俺の説明を聞いて、小太郎くんは分かったような分からないような顔だ。まあ、そうだよねえ。俺は浅野に向き直って話を続けた。
「ユーザー効果って言うのは聞かないけど、言わんとしている事は分かるよ。この世界が上位世界の何者かによって創造され、運営されているのなら、その者たちが認知し、書き換え可能な世界でなければ、存在していないだろうからね」
「そう言う事よ。まあ、実質私たち自体時空と魔力で構成されているのだから、私たちの意思が魔法に反映されるのも当然。との考え方も出来るけどね」
成程、それもそうだな。さて、話を戻そう。
「この、ガイツクールって、大丈夫なのか?」
「大丈夫って?」
「その、人間の意識を乗っ取ったりしないかって話」
「何それ? ああ、私たちがそっちの戦いが終わった後に、乗り込んで行った時用に、何か仕掛けがしてあるんじゃないかって事? そんな事しないわよ」
ああ、それは考えていなかったな。その可能性もあったのか。
「いや、実はさ、俺とこのアニンは現在同化の最中なんだけど、問題発生しているんだよねえ」
「問題?」
何でちょっと嬉しそうなんだよ?
「ああ。同化が進むと、享楽的になると言うか、凶暴性が増して、暴走してしまうんだよ」
「何それ?」
訳分からん。みたいな顔をするな。質問しているのはこっちだ。
「どうやら化神族って言うのはそう言う種族らしくてさ。代々所有者を乗っ取り、凶暴化させてきた過去があるらしい」
「ふ~ん。謎ね」
「謎なんだよ」
「でもまあ、ガイツクールは魔法生体兵器だから、武器としての本能と、生命としての本能が混ざり合って、強く現出しているのかも知れないわ」
武器としての本能と生命としての本能が混ざり合った結果か。まあ、確かに人間にも、生きたいと言う生存本能と、戦いたいと言う闘争本能が存在しているしな。
「でも、さっきも言ったけど、ガイツクールは地球を超える魔法科学文明によって作られ、その中でも貴重な部類なのよねえ。だから世の中に出回る前に、何重にも安全管理と品質チェックがしっかり行われているはずなのよ」
確かに、生命を一つ生み出すなんて、簡単な作業じゃないよな。しかもそれが武器として扱われるとなれば尚更だ。安全管理と品質チェックは万全に行われていたはず。
「となると、何者かが意図的に化神族にこの機能を施して、向こうの世界にばら撒いた。って可能性が出てくるな」
「へえ、何者がそんな仕掛けをしたのか気になるけど、つまり工藤くんは、ウイルス付きのガイツクールを掴まされて難儀していると」
直球過ぎじゃね? まあ、それこそ大昔の魔王がそんな事を仕掛けてきていても驚かないな。その場合、どこから化神族を入手したかだよなあ。いや、向こうの世界の古代文明は現在の文明よりも高度な文明だったらしいし、向こうの世界で自力で作られていてもおかしくないのか。
「う~ん、私がそちらに行ければ、じっくり調べて書き換え可能なんだけどねえ。今はここを離れられないから……、いえ、ちょっと待って、出来るかも知れないわ」
おお! 流石は才女!
「まあ、かなり痛みは伴うでしょうけど」
それは嫌だなあ。
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