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パキッ。
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洞穴の階段を下る。メンバーは俺、バヨネッタさん、オルさん、リットーさん、バンジョーさん、シンヤたち勇者パーティだ。
「どこに向かっているんだ?」
閉塞的な洞穴の階段を、無言で下る事に堪えられなくなったシンヤが話し掛けてきた。
「バヨネッタさんご用達の武器屋だよ」
勇者パーティも、いきなり転移扉で洞穴に直結されて困惑していたらしく、俺の話を聞いて得心顔だ。
「誰かさんのせいでかなり武器を消耗してしまったからね」
バヨネッタさんの言葉に、シュンとするシンヤ。
「す、すみません」
「もう良いわよ。別に勇者だけのせいじゃないし」
その発言に首を傾げる勇者パーティ。
「シンヤが来る前に一戦、俺たちは大激戦を繰り広げていたんだよ。ほら、シンヤがこっちに来てすぐに倒したあの不定形物だよ」
「…………そうだったっけ? 記憶にないけど」
シンヤはそうかもな。
「でなければ、勇者ごときにあんなに苦戦していないわよ」
バヨネッタさんの発言に苦笑いのシンヤ。ラズゥさんはそれに対してムスッとしていた。だがまあ、大激戦二連発が大変だったのは確かだしなあ。
俺たちは軽口を交わしながらゴルードさんの武器屋に到着した。
「また人数が増えていないか?」
扉を開けるなり、不満気な顔を隠さないゴルードさん。
「あら? そんな事言って良いのかしら? 珍客よ? なにせパジャンの勇者御一行なのだから」
「勇者だと!?」
驚きながら扉を全開にしたゴルードさんは、素早く目を動かし、それぞれの武器をチェックすると、照準をシンヤに定めて、ズンズンと近付いていくと、その腰にぶら下げている刀と剣をジロジロと間近で見遣る。
「お前が勇者か?」
パジャン語で尋ねるゴルードさん。ビビりながら頷くシンヤ。と言うかゴルードさんもパジャン語しゃべれるんだな。一応客商売だからかなあ。言わずもがなオルさんもしゃべれるし、なんか皆、ちゃんと勉強しているんだよなあ。俺も勉強頑張らなければ。
「この剣が霊王剣なのは分かるが、もう一つの刀はなんだ?」
バヨネッタさんを振り返るゴルードさん。
「キュリエリーヴよ」
「キュリエリーヴだと!?」
バヨネッタさんの発言に、改めて刀をマジマジと見遣るゴルードさん。
「ええっと、あのう」
その対応に困って、シンヤはこちらに助けを求めてくるが、すまん。俺にもどうしようもない。と首を横に振る。
「ゴルード、あなた客をいつまで入り口で待たせておくつもり?」
それを知ってか知らずか、バヨネッタさんが口添えしてくれた。それにハッとしたゴルードさんは、未だシンヤの腰の物を名残り惜しそうに見遣りながらも、全員を店内に招き入れてくれた。
「それで? 今回はどんな要件なんだ?」
店内のテーブルや椅子の置かれたスペースで、皆が席に着いたところでゴルードさんがバヨネッタさんに尋ねてきた。
「銃砲類が相当数壊れてしまってね。その補充に来たのよ」
「相当数?」
ゴルードさんは、バヨネッタさんの言に腕を組んで片眉を上げる。
「とりあえず、バヨネットを三百丁、大砲を五十台、明日までに用意してちょうだい」
「相変わらずお前は無茶振りが過ぎるぞ」
腕を組んだまま嘆息するゴルードさん。確かに。俺も同意する。
「だからオルを連れてきたのよ」
「僕その為に連れてこられたんですか!?」
オルさんに事情が通じていないんですけど? バヨネッタさんって、ちょくちょく報連相を疎かにするよね?
「無茶振りが過ぎませんか?」
俺が口を挟むと、バヨネッタさんは口の端を上げてみせる。勝算ありと言う事だろうか?
「私だってそれが無茶な数字である事は分かっているわ」
そうなのか。
「ゴルード。あなたの事だから、何かしら対価があれば、それ相当の物を用意出来るんじゃないかしら?」
バヨネッタさんの発言に、ゴルードさんが苦い顔をする。当たりを引いたらしい。
「ならこちらも一つ注文を出させて貰おう」
とゴルードさんも口角を上げた。
「霊王剣ね。良いでしょう」
「いや、何が良いんですか!?」
いきなり霊王剣の名を出されて、びっくりしたシンヤが腰を上げた。
「大丈夫よ。流石に壊したりはしないと思うわ。多分」
「多分ってなんですか!? 多分って!?」
いきなりの事に我が剣を守ろうとするシンヤだったが、バヨネッタさんからあんな視線を送られては仕方がない。俺はシンヤに対して『時間操作』タイプAを使って、シンヤの時間を遅速させると、その腰の霊王剣を取り上げた。
「すまん、シンヤ」
「と、友達だと思っていたのに」
などと茶番を繰り広げるが、実際のところ、それ程お互い危機感を持ってはいなかった。
俺は素直にシンヤから取り上げた霊王剣を、ゴルードさんの前に置いた。
「ふ~む。これが最古の聖剣、霊王剣か」
言いながら霊王剣を手に持つゴルードさん。いつの間にかオルさんがその後ろに立って覗き込んでいた。まあ確かに、ゴルードさんと同じ『再現』持ちなら、霊王剣の構造は気になるよねえ。
「キュリエリーヴは良いのですか?」
俺の発言にビクッとなるシンヤ。
「ああ。キュリエリーヴは刃が神鎮鉄で出来ているだけで、構造はシンプルだからな。再現するのに材料がないだけで、材料さえあれば再現可能だ」
まあ、それはそうかも知れないなあ。などとぼんやり霊王剣を触っているゴルードさんを見遣る。
パキッ。
そんな音が霊王剣から聞こえてきた。目がシャキンとなって霊王剣を持つゴルードさんを凝視すると、霊王剣が、柄のところで折れていた。
「どこに向かっているんだ?」
閉塞的な洞穴の階段を、無言で下る事に堪えられなくなったシンヤが話し掛けてきた。
「バヨネッタさんご用達の武器屋だよ」
勇者パーティも、いきなり転移扉で洞穴に直結されて困惑していたらしく、俺の話を聞いて得心顔だ。
「誰かさんのせいでかなり武器を消耗してしまったからね」
バヨネッタさんの言葉に、シュンとするシンヤ。
「す、すみません」
「もう良いわよ。別に勇者だけのせいじゃないし」
その発言に首を傾げる勇者パーティ。
「シンヤが来る前に一戦、俺たちは大激戦を繰り広げていたんだよ。ほら、シンヤがこっちに来てすぐに倒したあの不定形物だよ」
「…………そうだったっけ? 記憶にないけど」
シンヤはそうかもな。
「でなければ、勇者ごときにあんなに苦戦していないわよ」
バヨネッタさんの発言に苦笑いのシンヤ。ラズゥさんはそれに対してムスッとしていた。だがまあ、大激戦二連発が大変だったのは確かだしなあ。
俺たちは軽口を交わしながらゴルードさんの武器屋に到着した。
「また人数が増えていないか?」
扉を開けるなり、不満気な顔を隠さないゴルードさん。
「あら? そんな事言って良いのかしら? 珍客よ? なにせパジャンの勇者御一行なのだから」
「勇者だと!?」
驚きながら扉を全開にしたゴルードさんは、素早く目を動かし、それぞれの武器をチェックすると、照準をシンヤに定めて、ズンズンと近付いていくと、その腰にぶら下げている刀と剣をジロジロと間近で見遣る。
「お前が勇者か?」
パジャン語で尋ねるゴルードさん。ビビりながら頷くシンヤ。と言うかゴルードさんもパジャン語しゃべれるんだな。一応客商売だからかなあ。言わずもがなオルさんもしゃべれるし、なんか皆、ちゃんと勉強しているんだよなあ。俺も勉強頑張らなければ。
「この剣が霊王剣なのは分かるが、もう一つの刀はなんだ?」
バヨネッタさんを振り返るゴルードさん。
「キュリエリーヴよ」
「キュリエリーヴだと!?」
バヨネッタさんの発言に、改めて刀をマジマジと見遣るゴルードさん。
「ええっと、あのう」
その対応に困って、シンヤはこちらに助けを求めてくるが、すまん。俺にもどうしようもない。と首を横に振る。
「ゴルード、あなた客をいつまで入り口で待たせておくつもり?」
それを知ってか知らずか、バヨネッタさんが口添えしてくれた。それにハッとしたゴルードさんは、未だシンヤの腰の物を名残り惜しそうに見遣りながらも、全員を店内に招き入れてくれた。
「それで? 今回はどんな要件なんだ?」
店内のテーブルや椅子の置かれたスペースで、皆が席に着いたところでゴルードさんがバヨネッタさんに尋ねてきた。
「銃砲類が相当数壊れてしまってね。その補充に来たのよ」
「相当数?」
ゴルードさんは、バヨネッタさんの言に腕を組んで片眉を上げる。
「とりあえず、バヨネットを三百丁、大砲を五十台、明日までに用意してちょうだい」
「相変わらずお前は無茶振りが過ぎるぞ」
腕を組んだまま嘆息するゴルードさん。確かに。俺も同意する。
「だからオルを連れてきたのよ」
「僕その為に連れてこられたんですか!?」
オルさんに事情が通じていないんですけど? バヨネッタさんって、ちょくちょく報連相を疎かにするよね?
「無茶振りが過ぎませんか?」
俺が口を挟むと、バヨネッタさんは口の端を上げてみせる。勝算ありと言う事だろうか?
「私だってそれが無茶な数字である事は分かっているわ」
そうなのか。
「ゴルード。あなたの事だから、何かしら対価があれば、それ相当の物を用意出来るんじゃないかしら?」
バヨネッタさんの発言に、ゴルードさんが苦い顔をする。当たりを引いたらしい。
「ならこちらも一つ注文を出させて貰おう」
とゴルードさんも口角を上げた。
「霊王剣ね。良いでしょう」
「いや、何が良いんですか!?」
いきなり霊王剣の名を出されて、びっくりしたシンヤが腰を上げた。
「大丈夫よ。流石に壊したりはしないと思うわ。多分」
「多分ってなんですか!? 多分って!?」
いきなりの事に我が剣を守ろうとするシンヤだったが、バヨネッタさんからあんな視線を送られては仕方がない。俺はシンヤに対して『時間操作』タイプAを使って、シンヤの時間を遅速させると、その腰の霊王剣を取り上げた。
「すまん、シンヤ」
「と、友達だと思っていたのに」
などと茶番を繰り広げるが、実際のところ、それ程お互い危機感を持ってはいなかった。
俺は素直にシンヤから取り上げた霊王剣を、ゴルードさんの前に置いた。
「ふ~む。これが最古の聖剣、霊王剣か」
言いながら霊王剣を手に持つゴルードさん。いつの間にかオルさんがその後ろに立って覗き込んでいた。まあ確かに、ゴルードさんと同じ『再現』持ちなら、霊王剣の構造は気になるよねえ。
「キュリエリーヴは良いのですか?」
俺の発言にビクッとなるシンヤ。
「ああ。キュリエリーヴは刃が神鎮鉄で出来ているだけで、構造はシンプルだからな。再現するのに材料がないだけで、材料さえあれば再現可能だ」
まあ、それはそうかも知れないなあ。などとぼんやり霊王剣を触っているゴルードさんを見遣る。
パキッ。
そんな音が霊王剣から聞こえてきた。目がシャキンとなって霊王剣を持つゴルードさんを凝視すると、霊王剣が、柄のところで折れていた。
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