世界⇔異世界 THERE AND BACK!!

西順

文字の大きさ
上 下
24 / 632

島の東へ

しおりを挟む
 俺は今、ヌーサンス島を南の港跡からぐるりと島の東に向かって探索している。崖下の湖と繋がっているであろう川か湖を発見する為だ。


 探索の邪魔をし、襲い来るのは数々の魔物や野生動物たち。ベナ草がみっちり生えて、足元の視界が悪いのを良い事に、トカゲや角ウサギ、ヤギが草陰から襲い掛かってくる。


 しかし俺には通用しない。大トカゲ戦以来、野生の勘を鍛えに鍛えまくったお陰で、俺は360度どこから攻撃を受けようと、対処出来るようになっていた。今後の課題はこの探知範囲をどこまで拡張していけるかだ。


 何故なら、俺の探知範囲の外から、一気に急襲してくる輩がいるからだ。それは鳥。


 鳥のスピードと言うものは馬鹿に出来ない。何でも、鷹の仲間であるハヤブサは獲物を狩る時、上空からの急降下により、時速四百キロ近く出すのだそうだ。この島の鳥がどれ程俺にとって脅威か、理解いただけただろうか? いや、流石に四百キロは出ていないだろうけど。


 そして鳥は今日も上空から急襲を仕掛けてくる。


 鳴きながら上空を旋回していたかと思ったら、あっという間に急降下して俺の前に現れる。正にハヤブサの如しだ。


 俺だってやられてばっかりではない。鳴き声が聞こえたらすぐに臨戦態勢を取り、どこから鳥が襲ってこようと、大丈夫なように黒剣を構える。やられるより速く剣を打ち込む為だ。


 しかし鳥は一瞬の内に俺の探知範囲に入ったかと思ったら、死角から一撃食らわせて戦線から華麗に離脱を繰り返し、俺を苦しめてくるのだ。これが一羽ならまだしも、三羽四羽と徒党を組んで時間差で攻撃してくるのでたちが悪い。


 それでも俺のプレイヤースキルが向上したからだろう。四羽のうち、二羽までは返り討ちに出来るようになってきた。


「ムカつく。何が頭にくるって、あれで魔物じゃないってんだから、この世界の生き物はどうなってるんだ?」


『魔物なんてのは、生物の分類の一部でしかないからな』


「そうなの?」


『生物の中で、体内に魔石を有するようになったものを魔物と呼ぶのだ』


「有するようになった? まるでどの魔物も初めは魔物じゃなかったかのような口振りだな?」


『うむ。生物が魔物へと変貌するのは、食の好みや環境の変化など様々だが、初めから魔物として世に産み落とされた生物と言うものは、人工物以外にはおるまい』


 成程。魔物にも色々あるんだねえ。まあ、それを知ったからって鳥の強さは変わらないんだけど。


『まあ、ハルアキの技量も上がってきている。ここらでレベルが上がれば、技量の分上乗せされて鳥にも対応出来るようになるだろう』


 そう。俺がプレイヤースキルを磨いているのは、これが理由でもある。同レベル帯でどれだけプレイヤースキルを上げているかで、次のレベルにレベルアップした時の上乗せ分が違ってくるのだ。知ってたらもっとプレイヤースキル磨いてきてたのに。


 だが考えてみれば当然だろう。俺たちの世界ではレベルアップはない。プレイヤースキルが全てだ。プレイヤースキルをどれだけ磨き、どれだけ向上させていけるか、の世界なのだ。


 そして、もし俺たちの世界にレベルアップの仕組みが導入されたら? プレイヤースキルを磨いてきた者と、そうでなかった者が、等しくレベルアップするのは、俺から見ても不条理である。


 なのでこの世界でのレベルアップには、プレイヤースキル、技量の向上、努力の結果による上乗せが発生する仕組みだ。良い仕組みだと思う。神様グッジョブ。



 東の山のたもとには小さな滝があった。着地点は滝壺になっていて、そこから東の海へ小川が流れている。


 滝を見上げて、ああ成程。と俺は得心した。この滝、恐らく山の中腹にある村の水路と繋がっている。


 山頂の湖から水路で中腹の村を通った水は、ここの滝へと流れ落ちていたのだ。そしてこの滝の滝壺が、崖下の湖と地下で繋がっているのだ。


 何故分かるのかって? だって滝壺の周り、カエルだらけだからな。え? 何これ? 大量発生? 百匹以上なんて言葉が生易しい。


『この量のカエルは初めて見るな』


 マジかー。


 襲って来るカエルたちを、俺は黒剣でぶった斬って回った。黒い刃の波動でもって、数匹を一度にぶった斬る。一度に十匹以上が襲い掛かり、それを横に一閃するのだ。


 それでも止まらない怒涛のカエル攻勢。俺に覆い被さり、引っ掻き噛み付いてくる。


「どぅああああッ!!」


 カエルが近過ぎて剣なんて振るっていられない。俺はアニンをグローブに変化させ、殴る。殴る。殴る。蹴りも加えて格闘戦だ。


 飛びかかってくるカエルを殴り、引っ掴まったカエルを引き剥がして地面に叩き付ける。足に噛み付いた奴はそのまま蹴り上げてやった。格闘戦は格好付け過ぎだった。ただ暴れただけだ。


 気付けば動くカエルの姿は見えず、辺りを埋め尽くすカエルの死屍累々。小川はカエルの血で赤く染まり、小川に落ちたカエルを、魚たちが我先に貪り食っていた。


 そして俺は、こんなアホみたいなカエルたちとの血闘によって、レベルを上げたのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す

佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。 誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。 また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。 僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。 不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。 他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います

処理中です...