22 / 59
22. 二通の手紙
しおりを挟む
それから数日後、私の元に思わず眉間に皺が寄ってしまうような手紙が二通届いた。それはトラヴィス殿下からのお出かけのお誘い……ではなかった。
「……ウィンズレット侯爵家から……?私と母に……?なぜ」
一通は茶会の誘いだった。よりにもよって、アンドリュー王太子殿下の婚約者となったエルシー・グリーヴ男爵令嬢の養父母である、ウィンズレット侯爵家から。かの家が王太子殿下から頼み込まれ、半ば強引にエルシー嬢を戸籍上の養女にさせられたことは社交界の誰もがすでに知っている。
その茶会に、エルシー嬢本人がいないのならばまだいい。
ところが、添えられた手紙にはこう記してあった。
“ アンドリュー王太子殿下の妃となるべく日夜勉学に励む娘エルシーへ、どうぞ激励のお言葉をかけてやっていただきたく存じます ”…………
(本気?これ、本気でうちに送ってきたの?宛先間違ってない?)
あの良識溢れるウィンズレット侯爵夫人が……?何かの間違いだと思いたい。
そして……
「………………。」
茶会の招待状と同封されていたウィンズレット侯爵夫人からの手紙を手にしたまま、私はテーブルの上に置いてあるもう一通の手紙に目をやった。
本来ならば何を差し置いてもこちらを真っ先に開けなくてはならなかったのだろう。
でもものすごく嫌な予感がして、どうしても開けたくない。……無視してしまおうかしら。
(……それはさすがにマズいわよね)
王家の紋章の封蝋が施された、質の良い紙質の封筒に渋々手を伸ばす。ため息が漏れた。
(変な内容じゃありませんように。何も面倒なことが書いてありませんように……)
私の元にアンドリュー様からの手紙が届く時点で面倒がないわけがない。だけど私はそう願った。おそるおそる開封し、祈る思いで手紙を開く。……分厚い。何枚あるのかしら、これ。
“ メレディア・ヘイディ公爵令嬢
僕は君に詫びなければならない。君には君の言い分があったはずなのに、僕はエルシーの言葉だけを鵜呑みにして大勢の前で君を糾弾してしまった。
あれから何人もの学友たちから意見された。
エルシーは繊細な性格で、よかれと思ってしてくれたのであろう君の助言を、強い非難の言葉と勘違いしてしまったようだ。彼女も深く反省している。しかしながらこのような誤解が生じたのは………… ”
「…………。…………はぁ……。嘘でしょ……」
長い長い手紙の内容を要約すると、僕の誕生日パーティーの日のアレ、本当悪かったね。君はそんなことする人間じゃないはずだって皆が僕を責めてくるんだよ。悪かったとは思うけど、エルシーと会話する時にものすごく優しく話さなかった君にも落ち度があるよ。だから誤解を招いたんだよ(だからそもそも話したこと自体がないんだってば)。それと、エルシーの王太子妃教育が全然進まず困っている。それ以前に基本的なマナーや淑女教育さえままならない。助けてほしい。あの子も毎日必死なんだけど、何せ元男爵令嬢だから。君らのような高位貴族の娘たちとは基盤が違うから。大変なのも仕方ないよね。どうかどうか助けてほしい。ウィンズレット侯爵家の茶会で、高位貴族の淑女たちの立ち居振る舞いを実際に目の前で見せたいし、その界隈の人たちと交流させたいし、何より君から妃教育の勉強のコツを教えてやってほしい。エルシーができるだけ早く習得できるように。本気でお願いします。こっちは尻に火がついています。……こういうことらしい。
厚顔無恥にもほどがある。
(何よこれ。あのご令嬢、あの日パーティー会場で言ってたわよね。私から殴られたとか、アクセサリーをゴミ箱に捨てられたとか。言ってなかったかしら?何でその辺はなかったことになってるわけ?)
公衆の面前であれほど私を侮辱しておきながら、追い詰められたら途端に助けてください?私を何だと思ってるのよ。なぜ一方的に捨てられた形のこの私が、その原因となったご令嬢に尽くしてそんな面倒なことをしなきゃならないわけ……?
ふつふつと湧き上がってくる怒りと、疫病神がのしかかってきているかのごとくずんずん重くなる肩。
ウィンズレット侯爵夫人からの手紙は封が切られていた。宛名が連名だったから、先に母が目を通したのだろう。私は重い足取りで階下の母の元へ向かった。
「……お断りしてもいいのよ、メレディア。……そうしましょうか」
「……お母様……」
むくれた私の顔を見て、手紙に目を通したことを悟ったのだろう。私が居間に足を踏み入れるなり、母はそう言った。
「とてもウィンズレット侯爵夫人らしくないお誘いだとは思うけれど。……王太子殿下からのお手紙には、何と?」
「まさにその茶会のことでしたわ。エルシー嬢の王太子妃教育や淑女教育がまるで進まないから、私からかの方へ助言をしてほしいと。高位貴族のご婦人やご令嬢方と交流させることで皆の立ち居振る舞いを勉強させたい意図もあるようでしたわ」
「まぁ……。呆れたものね。あなたにそれを頼んでくるなんて。厚顔無恥にもほどがあるわ」
母も私と全く同じ感想を持ったようだ。その眉間に皺が寄った。
「おそらくウィンズレット侯爵夫人は、アンドリュー様に頼み込まれたのではないでしょうか。侯爵邸で茶会を開き、私たちを招いてほしいと」
エルシー嬢を養女にする際にも、アンドリュー様がかなりしつこく押したらしいという噂だ。
「今頃頭を悩ませていらっしゃるわね、きっと。……どちらでもいいわ、メレディア。出向いていってそちらの方に格の違いを見せつけるもよし、きっぱりとお断りしてもよし。……まぁ、ウィンズレット侯爵夫人には少しご迷惑をおかけしてしまうかもしれないけれど」
「……少し考えさせてくださる?お母様」
部屋に戻り、熟考する。別にアンドリュー様の頼みを無下にすることには何ら抵抗はない。それによって国王陛下からの叱責があるなんてこともないだろう。陛下はアンドリュー様の独断での婚約解消をお許しになってはいないようだし、我がヘイディ公爵家にも丁寧な謝罪があった。
ただ、ウィンズレット侯爵夫人の人の良さそうなお顔が頭をよぎる。王家の縁戚に当たる侯爵家当主の、温厚で知性溢れる気立ての良い奥方。パーティーや茶会で顔を合わせるたびにとても温かい笑顔でご挨拶をくださる素敵な方だ。母も昔から親しくしている。
(……一度くらい、いいかな。ウィンズレット侯爵夫人のお顔を立てるためと思えば)
夫人もきっと大変な思いをされていることだろう。縁もゆかりもない男爵家の令嬢を突然養女として迎えるよう王太子殿下から頼み込まれ、戸籍上だけの縁かと思いきや今度はその養女のために邸で茶会を開けと……。
(アンドリュー様が顔を出されるかは分からないけれど、お会いできたら一度苦言を呈することくらいは許されるわよね)
その翌日、私は茶会に参加する旨の返事をウィンズレット侯爵家に宛ててしたためたのだった。
「……ウィンズレット侯爵家から……?私と母に……?なぜ」
一通は茶会の誘いだった。よりにもよって、アンドリュー王太子殿下の婚約者となったエルシー・グリーヴ男爵令嬢の養父母である、ウィンズレット侯爵家から。かの家が王太子殿下から頼み込まれ、半ば強引にエルシー嬢を戸籍上の養女にさせられたことは社交界の誰もがすでに知っている。
その茶会に、エルシー嬢本人がいないのならばまだいい。
ところが、添えられた手紙にはこう記してあった。
“ アンドリュー王太子殿下の妃となるべく日夜勉学に励む娘エルシーへ、どうぞ激励のお言葉をかけてやっていただきたく存じます ”…………
(本気?これ、本気でうちに送ってきたの?宛先間違ってない?)
あの良識溢れるウィンズレット侯爵夫人が……?何かの間違いだと思いたい。
そして……
「………………。」
茶会の招待状と同封されていたウィンズレット侯爵夫人からの手紙を手にしたまま、私はテーブルの上に置いてあるもう一通の手紙に目をやった。
本来ならば何を差し置いてもこちらを真っ先に開けなくてはならなかったのだろう。
でもものすごく嫌な予感がして、どうしても開けたくない。……無視してしまおうかしら。
(……それはさすがにマズいわよね)
王家の紋章の封蝋が施された、質の良い紙質の封筒に渋々手を伸ばす。ため息が漏れた。
(変な内容じゃありませんように。何も面倒なことが書いてありませんように……)
私の元にアンドリュー様からの手紙が届く時点で面倒がないわけがない。だけど私はそう願った。おそるおそる開封し、祈る思いで手紙を開く。……分厚い。何枚あるのかしら、これ。
“ メレディア・ヘイディ公爵令嬢
僕は君に詫びなければならない。君には君の言い分があったはずなのに、僕はエルシーの言葉だけを鵜呑みにして大勢の前で君を糾弾してしまった。
あれから何人もの学友たちから意見された。
エルシーは繊細な性格で、よかれと思ってしてくれたのであろう君の助言を、強い非難の言葉と勘違いしてしまったようだ。彼女も深く反省している。しかしながらこのような誤解が生じたのは………… ”
「…………。…………はぁ……。嘘でしょ……」
長い長い手紙の内容を要約すると、僕の誕生日パーティーの日のアレ、本当悪かったね。君はそんなことする人間じゃないはずだって皆が僕を責めてくるんだよ。悪かったとは思うけど、エルシーと会話する時にものすごく優しく話さなかった君にも落ち度があるよ。だから誤解を招いたんだよ(だからそもそも話したこと自体がないんだってば)。それと、エルシーの王太子妃教育が全然進まず困っている。それ以前に基本的なマナーや淑女教育さえままならない。助けてほしい。あの子も毎日必死なんだけど、何せ元男爵令嬢だから。君らのような高位貴族の娘たちとは基盤が違うから。大変なのも仕方ないよね。どうかどうか助けてほしい。ウィンズレット侯爵家の茶会で、高位貴族の淑女たちの立ち居振る舞いを実際に目の前で見せたいし、その界隈の人たちと交流させたいし、何より君から妃教育の勉強のコツを教えてやってほしい。エルシーができるだけ早く習得できるように。本気でお願いします。こっちは尻に火がついています。……こういうことらしい。
厚顔無恥にもほどがある。
(何よこれ。あのご令嬢、あの日パーティー会場で言ってたわよね。私から殴られたとか、アクセサリーをゴミ箱に捨てられたとか。言ってなかったかしら?何でその辺はなかったことになってるわけ?)
公衆の面前であれほど私を侮辱しておきながら、追い詰められたら途端に助けてください?私を何だと思ってるのよ。なぜ一方的に捨てられた形のこの私が、その原因となったご令嬢に尽くしてそんな面倒なことをしなきゃならないわけ……?
ふつふつと湧き上がってくる怒りと、疫病神がのしかかってきているかのごとくずんずん重くなる肩。
ウィンズレット侯爵夫人からの手紙は封が切られていた。宛名が連名だったから、先に母が目を通したのだろう。私は重い足取りで階下の母の元へ向かった。
「……お断りしてもいいのよ、メレディア。……そうしましょうか」
「……お母様……」
むくれた私の顔を見て、手紙に目を通したことを悟ったのだろう。私が居間に足を踏み入れるなり、母はそう言った。
「とてもウィンズレット侯爵夫人らしくないお誘いだとは思うけれど。……王太子殿下からのお手紙には、何と?」
「まさにその茶会のことでしたわ。エルシー嬢の王太子妃教育や淑女教育がまるで進まないから、私からかの方へ助言をしてほしいと。高位貴族のご婦人やご令嬢方と交流させることで皆の立ち居振る舞いを勉強させたい意図もあるようでしたわ」
「まぁ……。呆れたものね。あなたにそれを頼んでくるなんて。厚顔無恥にもほどがあるわ」
母も私と全く同じ感想を持ったようだ。その眉間に皺が寄った。
「おそらくウィンズレット侯爵夫人は、アンドリュー様に頼み込まれたのではないでしょうか。侯爵邸で茶会を開き、私たちを招いてほしいと」
エルシー嬢を養女にする際にも、アンドリュー様がかなりしつこく押したらしいという噂だ。
「今頃頭を悩ませていらっしゃるわね、きっと。……どちらでもいいわ、メレディア。出向いていってそちらの方に格の違いを見せつけるもよし、きっぱりとお断りしてもよし。……まぁ、ウィンズレット侯爵夫人には少しご迷惑をおかけしてしまうかもしれないけれど」
「……少し考えさせてくださる?お母様」
部屋に戻り、熟考する。別にアンドリュー様の頼みを無下にすることには何ら抵抗はない。それによって国王陛下からの叱責があるなんてこともないだろう。陛下はアンドリュー様の独断での婚約解消をお許しになってはいないようだし、我がヘイディ公爵家にも丁寧な謝罪があった。
ただ、ウィンズレット侯爵夫人の人の良さそうなお顔が頭をよぎる。王家の縁戚に当たる侯爵家当主の、温厚で知性溢れる気立ての良い奥方。パーティーや茶会で顔を合わせるたびにとても温かい笑顔でご挨拶をくださる素敵な方だ。母も昔から親しくしている。
(……一度くらい、いいかな。ウィンズレット侯爵夫人のお顔を立てるためと思えば)
夫人もきっと大変な思いをされていることだろう。縁もゆかりもない男爵家の令嬢を突然養女として迎えるよう王太子殿下から頼み込まれ、戸籍上だけの縁かと思いきや今度はその養女のために邸で茶会を開けと……。
(アンドリュー様が顔を出されるかは分からないけれど、お会いできたら一度苦言を呈することくらいは許されるわよね)
その翌日、私は茶会に参加する旨の返事をウィンズレット侯爵家に宛ててしたためたのだった。
146
お気に入りに追加
2,611
あなたにおすすめの小説
半月後に死ぬと告げられたので、今まで苦しんだ分残りの人生は幸せになります!
八代奏多
恋愛
侯爵令嬢のレティシアは恵まれていなかった。
両親には忌み子と言われ冷遇され、婚約者は浮気相手に夢中。
そしてトドメに、夢の中で「半月後に死ぬ」と余命宣告に等しい天啓を受けてしまう。
そんな状況でも、せめて最後くらいは幸せでいようと、レティシアは努力を辞めなかった。
すると不思議なことに、状況も運命も変わっていく。
そしてある時、冷徹と有名だけど優しい王子様に甘い言葉を囁かれるようになっていた。
それを知った両親が慌てて今までの扱いを謝るも、レティシアは許す気がなくて……。
恵まれない令嬢が運命を変え、幸せになるお話。
※「小説家になろう」「カクヨム」でも公開しております。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!
ユユ
恋愛
酷い人生だった。
神様なんていないと思った。
死にゆく中、今まで必死に祈っていた自分が愚かに感じた。
苦しみながら意識を失ったはずが、起きたら婚約前だった。
絶対にあの男とは婚約しないと決めた。
そして未来に起きることに向けて対策をすることにした。
* 完結保証あり。
* 作り話です。
* 巻き戻りの話です。
* 処刑描写あり。
* R18は保険程度。
暇つぶしにどうぞ。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる