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22.初恋に捕らわれている…?
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……?どういう意味かしら……?
真意が分からずに私はエレナ様を見つめた。
エレナ様はまた椅子に腰を下ろし、私の目を真正面から見つめ返してくる。
「あなたはダミアン・ウィルコックスからあなたが与えているのと同じくらい誠実な愛情を返してもらえる日が来るのを待っているのだと思うけれど、正直に言ってね、あの男の人間性からしてそれは無理だと思うわ」
「…………。」
「でも他の人ならどうかしらね。あなたはとても美しくて可愛いし、学園にいた頃からモテモテだったじゃないの」
「……え?い、いえ、そんなことなかったはずで…」
「ううん。モテてた」
エレナ様はきっぱりと断言した。
「あんな男に拘らなくても、あなたを大切にしてくれる男性は他にいくらでもいるはずよ」
「…エ、エレナ様……。でも、わ、私は既婚者ですので…」
「それが何よ!向こうは自由がどうのとやりたい放題じゃないの!しかも互いに自由に生きようと、あなたにも好きにしていいと言っているんでしょう?なら好きになさいよ!あなたも他の男性とデートするのよ!」
え…………ええ……?!
「そっ!そんなこと……、…っ?!」
「ねぇ、聞いて、クラウディアさん」
エレナ様は私の両手を突然ガシッと握ると、とても真剣な表情で仰った。
「いろいろな人に目を向けてみて、自分の気持ちを確認するのも大事だと思うわ。他の男の人を見てみてもやっぱりウィルコックス伯爵令息のことだけが特別だと思えるのか、それとも……、ただ、自分の心が“初恋”に捕らわれているだけなのか」
「…………え……」
初恋に……捕らわれている……?
「あなたはとても真面目な人だから、子どもの頃の彼の一言で自分の一生の気持ちを決めてしまったのだと思うわ。ご両親からも彼と結婚するのよと言われれば、そりゃ貴族の娘としてはい分かりましたってなるわよね。でもね、選択肢は他にもあるのよ。私のようにね」
「……他の、選択肢…………?」
そんなこと、考えてみたことさえなかった……。
「そうよ。いざとなれば離婚すればいいだけよ。もっと素敵な人と結ばれればいいじゃないの。それって相手次第ではあなたが思うほど難しいことではないと思うわ」
「そっ、そんな……」
ダミアン様と離婚して、他の男性と、結婚……?!
突拍子もないエレナ様の言葉にどう反応すればいいのか分からない。固まってしまった私を見て、エレナ様はクスリと笑った。
「ごめんなさい。さすがに話が飛躍し過ぎたわね。でも本当に、気分転換のつもりで他の人と出かけてみるくらい罰は当たらないと思うわよ。そんなギスギスした屋敷の中に閉じこもっていたら心が病気になってしまうわ。…そうねぇ…、例えば、アーネストなんてどうかしら?彼っていいと思わない?あなたと気が合うみたいだし、いまだに婚約者もいないし。食事にでも行ってみたら?」
「っ、アーネスト様……。そういえば、先日の同窓会の時に、よかったら今度食事にでもって…」
「言ってたの?」
「あ、いえでも、社交辞令だとは思いますけれど」
「違うわ!」
「…え?」
「違うと思うわ。彼ね、あなたと話すのが好きなのよ。一緒にいて楽しいみたい。今度誘われたら食事くらいしてみたら?気が紛れるわよ」
「…は、はい」
エレナ様はやけにアーネスト様と食事に行くことを勧めてくる。……そうかな。……でも、こうして屋敷を出て気の合う方とお喋りをするだけで随分と気が紛れるのは確かだ。
…もし、またアーネスト様からお食事のお誘いがあったら……、行ってみるのもいいかもしれない。
「……ふふ。ありがとうございます、エレナ様。前向きに考えてみますわ。たまには日記に楽しい出来事も書きたいですし。あ、今日は書けますけど。ふふ」
「あら、嬉しいわ。あなたの日記に私が登場するのね。…………ん?日記って、……いつから書いてるの?」
「結婚した日からですわ。……本当は幸せな結婚生活の記憶を残しておきたくて書こうと思ったのですが……、今のところ、私の唯一の気持ちの吐き出し口になっているんです。だから今日はエレナ様に聞いていただけて嬉しかったですわ」
「……そう…………。と、いうことは、彼にされたこと、言われたこと……そう言ったことを全部日記に記録してあるわけね?」
「ええ、そうですね。…とても我が子ができた時に見せられる内容ではなくなってしまいましたが…」
「クラウディアさん!」
エレナ様はまた突然私の両手をガシッと握った。
「それ、これからもちゃんと書き続けてね。いつ誰が来たか、何時までいたか、いつ帰ってこなかったか、あいつにどんな言葉を言われたか。そういうの、全部よ」
「っ?…は、はい。そうします」
やけに熱のこもったエレナ様の瞳に促されるように、私はそう返事をしたのだった。
真意が分からずに私はエレナ様を見つめた。
エレナ様はまた椅子に腰を下ろし、私の目を真正面から見つめ返してくる。
「あなたはダミアン・ウィルコックスからあなたが与えているのと同じくらい誠実な愛情を返してもらえる日が来るのを待っているのだと思うけれど、正直に言ってね、あの男の人間性からしてそれは無理だと思うわ」
「…………。」
「でも他の人ならどうかしらね。あなたはとても美しくて可愛いし、学園にいた頃からモテモテだったじゃないの」
「……え?い、いえ、そんなことなかったはずで…」
「ううん。モテてた」
エレナ様はきっぱりと断言した。
「あんな男に拘らなくても、あなたを大切にしてくれる男性は他にいくらでもいるはずよ」
「…エ、エレナ様……。でも、わ、私は既婚者ですので…」
「それが何よ!向こうは自由がどうのとやりたい放題じゃないの!しかも互いに自由に生きようと、あなたにも好きにしていいと言っているんでしょう?なら好きになさいよ!あなたも他の男性とデートするのよ!」
え…………ええ……?!
「そっ!そんなこと……、…っ?!」
「ねぇ、聞いて、クラウディアさん」
エレナ様は私の両手を突然ガシッと握ると、とても真剣な表情で仰った。
「いろいろな人に目を向けてみて、自分の気持ちを確認するのも大事だと思うわ。他の男の人を見てみてもやっぱりウィルコックス伯爵令息のことだけが特別だと思えるのか、それとも……、ただ、自分の心が“初恋”に捕らわれているだけなのか」
「…………え……」
初恋に……捕らわれている……?
「あなたはとても真面目な人だから、子どもの頃の彼の一言で自分の一生の気持ちを決めてしまったのだと思うわ。ご両親からも彼と結婚するのよと言われれば、そりゃ貴族の娘としてはい分かりましたってなるわよね。でもね、選択肢は他にもあるのよ。私のようにね」
「……他の、選択肢…………?」
そんなこと、考えてみたことさえなかった……。
「そうよ。いざとなれば離婚すればいいだけよ。もっと素敵な人と結ばれればいいじゃないの。それって相手次第ではあなたが思うほど難しいことではないと思うわ」
「そっ、そんな……」
ダミアン様と離婚して、他の男性と、結婚……?!
突拍子もないエレナ様の言葉にどう反応すればいいのか分からない。固まってしまった私を見て、エレナ様はクスリと笑った。
「ごめんなさい。さすがに話が飛躍し過ぎたわね。でも本当に、気分転換のつもりで他の人と出かけてみるくらい罰は当たらないと思うわよ。そんなギスギスした屋敷の中に閉じこもっていたら心が病気になってしまうわ。…そうねぇ…、例えば、アーネストなんてどうかしら?彼っていいと思わない?あなたと気が合うみたいだし、いまだに婚約者もいないし。食事にでも行ってみたら?」
「っ、アーネスト様……。そういえば、先日の同窓会の時に、よかったら今度食事にでもって…」
「言ってたの?」
「あ、いえでも、社交辞令だとは思いますけれど」
「違うわ!」
「…え?」
「違うと思うわ。彼ね、あなたと話すのが好きなのよ。一緒にいて楽しいみたい。今度誘われたら食事くらいしてみたら?気が紛れるわよ」
「…は、はい」
エレナ様はやけにアーネスト様と食事に行くことを勧めてくる。……そうかな。……でも、こうして屋敷を出て気の合う方とお喋りをするだけで随分と気が紛れるのは確かだ。
…もし、またアーネスト様からお食事のお誘いがあったら……、行ってみるのもいいかもしれない。
「……ふふ。ありがとうございます、エレナ様。前向きに考えてみますわ。たまには日記に楽しい出来事も書きたいですし。あ、今日は書けますけど。ふふ」
「あら、嬉しいわ。あなたの日記に私が登場するのね。…………ん?日記って、……いつから書いてるの?」
「結婚した日からですわ。……本当は幸せな結婚生活の記憶を残しておきたくて書こうと思ったのですが……、今のところ、私の唯一の気持ちの吐き出し口になっているんです。だから今日はエレナ様に聞いていただけて嬉しかったですわ」
「……そう…………。と、いうことは、彼にされたこと、言われたこと……そう言ったことを全部日記に記録してあるわけね?」
「ええ、そうですね。…とても我が子ができた時に見せられる内容ではなくなってしまいましたが…」
「クラウディアさん!」
エレナ様はまた突然私の両手をガシッと握った。
「それ、これからもちゃんと書き続けてね。いつ誰が来たか、何時までいたか、いつ帰ってこなかったか、あいつにどんな言葉を言われたか。そういうの、全部よ」
「っ?…は、はい。そうします」
やけに熱のこもったエレナ様の瞳に促されるように、私はそう返事をしたのだった。
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