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いよいよ冒険者です!!

宿屋に着きました

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「わあ!!兄様、いい匂いだよ!!これは……鳥かな?」
「本当だ!!買いたいけど、その前に宿に行って荷物を置こう」

 え~と、門番さんが言うには煉瓦造りの大きな建物の手前の道を左っと……あった!!

「兄様、あれじゃない?」
「そうだね、あれだね」

 私達が見ている方向にはペガサスの形をした看板があり、その下に蹄の形の看板もぶらさがっていました。

 戸を開けて中に入ると、受付らしき場所に14歳くらいの女の子がいた。

「いらっしゃいませ。お食事のお客様ですか?それともお泊りですか?」
「えーと、これ、父からです」
「はい。確認させてもらいますね。少々お待ちください」

 タマ兄様がお父さんから貰ったアイテムボックスから紹介状を出して渡すと、女の子はそう言って奥へ確認しに行きました。親か誰かに聞くのでしょう。

 しばらくすると18歳くらいの男の子、いえ、この世界は15歳で成人なので青年でしょうか?とりあえず、その青年を連れて女の子が戻ってきました。

「紹介状、確認しました。セイソウさんの子だったんですね」
「はい。僕は玉響といいます。隣にいるのは双子の妹の刹那です」
「刹那です。少しの間お世話になります」
「私はロゼットです。自分で言うのもなんですが、この宿の看板娘です。こちらこそ少しの間ですが、よろしくお願いします」
「俺はハオラだ。この宿の婿養子で、このロゼットの夫だ。セイソウさんにはいつもお世話になっている」

 どうやらロゼットさんとハオラさんは夫婦らしいです。ロゼットさんは成人したばかりみたいなので、新婚さんでしょうか?一応平民の女性は13で結婚できるのですが、そういう人はほとんどいません。男性は15歳で結婚できます。私達の今の容姿は10歳くらいだから、結婚できるまであと5年……長い。やっぱり式は挙げたいですからねぇ。

 あ、私達フィアニシアキャットは、人化での姿が1歳までに10歳になり、そこからは一年で1歳ずつ見た目の年をとります。

 ちなみに二人の容姿は、金色に先が赤い髪のロゼットさんは、大体155センチくらいの身長で薄紅の瞳、甘栗色の髪のハオラさんは身長170センチ強でヘーゼルの瞳です。

「紹介状には泊まりと書いてありましたが、何泊ご利用になりますか?」
「セツ、何泊にする?」
「何泊でもいいよ。でも……そうだな、兄様とゆっくりしたいから、さっき狩ったものってたしか11日分はあったよね?それでいかない?」
「そうだね。僕もセツとゆっくりデート観光とかしたいしね」
「11日ですね?わかりました。990ジュジュとなりますが、おまけして950ジュジュにしておきますね」
「いいんですか?」
「ええ。ねえ?ハオ」
「ああ。お得意様の子供だからな」
「そういうことなら……」

 ……さっきから思ってたけど、私が言いたいこと、思ったこと、全て兄様が言ってくれてるなあ。しゃべる必要が全くありません。兄様すごいなぁ……。

「?セツ?どうしたの?」
「あ、ごめんね、タマ兄様。兄様ってやっぱりすごいなぁって思って」
「いきなりどうしたの?」
「えっとほら、私、コロンに入ってから自己紹介とかの最低限しか話してないでしょ?それって、兄様が私の言いたいこと、思ったこと全て言ってくれていたからなんだけど……」
「そうだったの?でもセツこそすごいよ。セツも僕の考えてること、大体分かるでしょ?」
「そうだけど……やっぱり兄様の方が凄いと思う」
「クスッ仲が良いんですね」

 ⁉ロゼットさんとハオラさんがいること忘れていました!!

「当たり前です!!」

 兄様ですからね!!番ですからね!!

「セツナちゃんは10歳くらいですか?」
「はい。昨日10になりました」
「じゃあもう番の夢は見たのですね」

 そう、番の夢は魔獣以外にも番持ちの種族なら必ず見ます。獣人も番がおり、10歳になると番の夢を見るのです。そして男性は、番の夢を見たからにはもう番がいると認識されて、成人をしていなくとも大人の扱いを受けるのです。

「ええ」
「ふふっ、それじゃあセツナちゃん、女子会しませんか?夜食後にでも私の部屋でどうですか?」
「!!はい、お邪魔させてもらいますね」

 兄様に一言知らせようと隣を見ると、隣は隣でハオラさんと夜に会う約束をしたようでした。

「兄様、夕食の後にロゼットさんのお部屋へ行っていいかな?女子会するの!!」
「うん、分かった。その間、部屋にハオラさんを招いてもいいかな?」
「タマ兄様はタマ兄様で男子会ですか?食事が終わった一刻ほどで戻るね」
「わかったよ。こっちもそれを目安にしておくね」
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