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どうやら魔獣に転生したらしいです
僕の妹が可愛すぎた
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起きたら洞窟の中だった。
何言っているんだって思うだろ?でも本当のことだから仕方ない。
僕はさっきまで病院の中にいたはずなんだけどな。いや、足の健が切れちゃってね。こう、プツッと。くせになっちゃってるのか、一度切れたらもうどんどん同じ場所が切れる。しかも、今回はいつもよりもひどくてね。左足の健が切れてたんだけど、幸い利き足は右だし松葉杖で生活してたら階段から落ちて、左足かばったら右足の健が切れましたよ、ええ。歩けなくなって入院しました。
そういえば。入院してるとき相部屋だったんだけど、隣に20代半ばの動物好きの女の人がいたなあ。確か、同じ本読んでて仲良くなったんだよな。僕より10近く上の年して、冒険者になってみたいとか言ってたな。その笑顔が無邪気で、僕よりも年下に見えたっけ。可愛かったなあ。
まあ、それは良い。今は、どうして僕は洞窟の天井を見上げているかってことだ。
……多分、いくら考えたって答えは出ないだろう。だから、とりあえずこれだけ言っておこうかな。
知らない天井だ、と。
え、いや、別にいいでしょ。ファンタジーの定番だし。さっき自分の身体見たけど、どう見たって僕動物、多分猫に転生してるもん。それもかなり可愛い子猫だと思う。尻尾3本あったけど。異世界転生ってやつだと思う。
父と兄二人がいたけど、まあ過ぎたものは仕方ない。今世の家族と仲良く暮らしていくので見守っていてください、天国の父と兄達。……ん?父と兄達って死んでたっけ……ま、いいや。
そろそろ起きるか。
起き上がって辺りを見回すと、僕の丁度左の少し離れたところに同じ種族らしき子がいる。多分同い年くらい。生まれて間もなさそうだね。
僕はその子を前足でゆさゆさと揺らす。
……起きない。
前足でてしてし叩いてみる。
……起きない。反応はしてるみたいだけど……。
にしても可愛いな、この子。前世では動物とか子供とか、それほど可愛いとは思わなかったんだけど、なぜだかこの子が凄く可愛く思える。
月のような白い毛並みに、耳と口周り、そして尻尾の先が、そう、墨汁ののような純粋な黒色で可愛らしい。
あ、起きた。
その子は、起きたと思ったら自分の身体を眺め始めた。
いや、眺めるのはいいけど、少しこっちを見てくれないかな?
てしてしをバシバシに変えてみた。
やっとこっち向いた……って何この子、可愛すぎませんか?
目の前のこの子は、目を見開いて固まってしまったけど、それは僕も同じだ。何なのこの子。見開いた目は銀色でまさに月をそのままはめ込んだような……とにかく可愛い。目がくるくるつぶらで、黒い耳はピンと立っていながらも何処か不安げで。
誰にも見せたくない、そんな可愛さなんだ。
……よしっ、とりあえず話かけてみよう。と思ったら向こうから話しかけてきた。
『もしもーし、きっこえーてるー?』
『うん、きこえてるー。そっちもきこえてるー?』
『うん、きこえてるー』
『やっと反応してくれたね。あんなに揺らしたり叩いたりしたのに返事しなかったから』
『え?あれって貴方がやってたんですか?』
『え?うん、そだけど』
『そなんだ。なんかごめんね?』
『別にいいよ』
なんだろう、凄く気が合いそう。でも、なんかどっかでこんな感じ感じたんだよなあ。
『ねえ、ところで貴方誰?』
『さあ?誰だろ?君こそ誰?』
『さあ?誰だろ?』
『『うーん』』
僕が誰、か。僕もさっき目が覚めたばかりだからなあ。
前を見ると、首をかしげている可愛らしい姿が写った。か、可愛いっ!!
『ねえ、私今更気付きました。これ、口開いてません!!なんというか、頭に響くような感じ!!』
『!?ホントだ!!』
言われてみれば、僕は口を開いていない。それはこの子もだ。……驚いた顔も、目をキラキラさせて可愛い。
……なんだろう、左方向からズリズリ何か引きずる音と、ダンッという音が聞こえる。この子も気になるようだ。
一緒に音の先を見ると……馬より2回りほど大きな僕たち、という感じの生き物が何かを引こずっている。
ついでに反対っ側を見てみると、これまた馬より少し大きな僕たち、という感じの生き物が寝そべって、優しい目で僕たちを見ていた。
『……ねえ、思ったんだけどあれ、僕たちの親じゃないかな?』
『うん。私もそう思う。だってここには私たち以外にはいないもんね。ということで、貴方は私の兄のようですよ?』
『うん、そうだね。君も僕の妹のようですよ?』
『そうだね。
とりあえず、あそこに寝転がってこちらを見ている母親らしき生物にお乳たかりに行こう』
『そうだね。お腹空いた』
『うん、お腹空いた』
お腹を空かせた僕たちは、母親(仮)のところへと短い足で向かった。……何そのお腹の音、可愛い。
何言っているんだって思うだろ?でも本当のことだから仕方ない。
僕はさっきまで病院の中にいたはずなんだけどな。いや、足の健が切れちゃってね。こう、プツッと。くせになっちゃってるのか、一度切れたらもうどんどん同じ場所が切れる。しかも、今回はいつもよりもひどくてね。左足の健が切れてたんだけど、幸い利き足は右だし松葉杖で生活してたら階段から落ちて、左足かばったら右足の健が切れましたよ、ええ。歩けなくなって入院しました。
そういえば。入院してるとき相部屋だったんだけど、隣に20代半ばの動物好きの女の人がいたなあ。確か、同じ本読んでて仲良くなったんだよな。僕より10近く上の年して、冒険者になってみたいとか言ってたな。その笑顔が無邪気で、僕よりも年下に見えたっけ。可愛かったなあ。
まあ、それは良い。今は、どうして僕は洞窟の天井を見上げているかってことだ。
……多分、いくら考えたって答えは出ないだろう。だから、とりあえずこれだけ言っておこうかな。
知らない天井だ、と。
え、いや、別にいいでしょ。ファンタジーの定番だし。さっき自分の身体見たけど、どう見たって僕動物、多分猫に転生してるもん。それもかなり可愛い子猫だと思う。尻尾3本あったけど。異世界転生ってやつだと思う。
父と兄二人がいたけど、まあ過ぎたものは仕方ない。今世の家族と仲良く暮らしていくので見守っていてください、天国の父と兄達。……ん?父と兄達って死んでたっけ……ま、いいや。
そろそろ起きるか。
起き上がって辺りを見回すと、僕の丁度左の少し離れたところに同じ種族らしき子がいる。多分同い年くらい。生まれて間もなさそうだね。
僕はその子を前足でゆさゆさと揺らす。
……起きない。
前足でてしてし叩いてみる。
……起きない。反応はしてるみたいだけど……。
にしても可愛いな、この子。前世では動物とか子供とか、それほど可愛いとは思わなかったんだけど、なぜだかこの子が凄く可愛く思える。
月のような白い毛並みに、耳と口周り、そして尻尾の先が、そう、墨汁ののような純粋な黒色で可愛らしい。
あ、起きた。
その子は、起きたと思ったら自分の身体を眺め始めた。
いや、眺めるのはいいけど、少しこっちを見てくれないかな?
てしてしをバシバシに変えてみた。
やっとこっち向いた……って何この子、可愛すぎませんか?
目の前のこの子は、目を見開いて固まってしまったけど、それは僕も同じだ。何なのこの子。見開いた目は銀色でまさに月をそのままはめ込んだような……とにかく可愛い。目がくるくるつぶらで、黒い耳はピンと立っていながらも何処か不安げで。
誰にも見せたくない、そんな可愛さなんだ。
……よしっ、とりあえず話かけてみよう。と思ったら向こうから話しかけてきた。
『もしもーし、きっこえーてるー?』
『うん、きこえてるー。そっちもきこえてるー?』
『うん、きこえてるー』
『やっと反応してくれたね。あんなに揺らしたり叩いたりしたのに返事しなかったから』
『え?あれって貴方がやってたんですか?』
『え?うん、そだけど』
『そなんだ。なんかごめんね?』
『別にいいよ』
なんだろう、凄く気が合いそう。でも、なんかどっかでこんな感じ感じたんだよなあ。
『ねえ、ところで貴方誰?』
『さあ?誰だろ?君こそ誰?』
『さあ?誰だろ?』
『『うーん』』
僕が誰、か。僕もさっき目が覚めたばかりだからなあ。
前を見ると、首をかしげている可愛らしい姿が写った。か、可愛いっ!!
『ねえ、私今更気付きました。これ、口開いてません!!なんというか、頭に響くような感じ!!』
『!?ホントだ!!』
言われてみれば、僕は口を開いていない。それはこの子もだ。……驚いた顔も、目をキラキラさせて可愛い。
……なんだろう、左方向からズリズリ何か引きずる音と、ダンッという音が聞こえる。この子も気になるようだ。
一緒に音の先を見ると……馬より2回りほど大きな僕たち、という感じの生き物が何かを引こずっている。
ついでに反対っ側を見てみると、これまた馬より少し大きな僕たち、という感じの生き物が寝そべって、優しい目で僕たちを見ていた。
『……ねえ、思ったんだけどあれ、僕たちの親じゃないかな?』
『うん。私もそう思う。だってここには私たち以外にはいないもんね。ということで、貴方は私の兄のようですよ?』
『うん、そうだね。君も僕の妹のようですよ?』
『そうだね。
とりあえず、あそこに寝転がってこちらを見ている母親らしき生物にお乳たかりに行こう』
『そうだね。お腹空いた』
『うん、お腹空いた』
お腹を空かせた僕たちは、母親(仮)のところへと短い足で向かった。……何そのお腹の音、可愛い。
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