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✽第一幕 妖狐転生✽

11話 魔力とは奥が深いものじゃな

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 花梨の両手に乗っておる魔石を見比べる。

「ふむ。左てのマナをこめたほうが、右ての魔りょくをこめたものにくらべて、透きとおってきらきらしておるように思う」
「その通りです。透き通っているのは、純度の高い証で、輝きは魔力の強さの証なのですわ」
「じゅん度がたかいほど、とうめいになるのは分かるが、魔りょくがつよいほうがかがやくとはどういうことじゃ?」

 純度というのはそのまま魔力に不純物がないから濁らないということじゃろうが……。

「魔力が一人ひとり違うというのはさっき話しましたね。一人ひとり違うというのは、魔力量だけではなく魔力波と呼ばれる魔力の波長や魔質と呼ばれる魔力の純度もそうです。
 魔力の波長は、一卵性の兄弟でもない限り、絶対と言っていいほど同じものがありません。そうですね……音楽のように思ってくだされば分かりやすいですわ。音を小さくしたり大きくしたり、伸ばしたり短くしたり、同じ音を続けたり変えたり……。好きなように音楽を作れと言われたら、似たような音になっても全てが全く同じものは出来ないと思います。それと同じですわ。
 音に不協和音があるように、波長にも合わないものがあるのです。魔力の受け渡しの際体調が悪くなったりするのは、このせいです。親と魔力の受け渡しができるのは、子供が親の魔力の波長の一部を引き継いでいるからだと言われていますわ」

 花梨は話しながら、また新たに何か板のようなものを出す。

「これは魔力板と言います。魔力量や魔力波、魔質、あとは属性を調べることができますわ」
「む、ぞくせい?」
「はい。属性は、火、水、風、土の四大属性と、それに光、闇を加えた六属性が基本属性と呼ばれています。その他にも基本属性から派生した氷属性や花属性、毒属性と言った派生属性、複数の属性を掛け合わせてできる複合属性があります」
「どうやってしらべるのじゃ?」
「この板に前足を置くと、板が勝手に魔力を読み取り調べてくれます」

 おお、それは凄いのぅ。妾はまだ魔力が扱えんからな、助かるのじゃ。

 早速ペタリと前足をのせる。すると、板は軽くピカリと光り、前足から何かが吸われるような感覚に陥る。多分、この吸われているのが魔力なのじゃろう。

 その奇妙な感覚に力が入らず思わず倒れそうになるが、何とか踏ん張る。しばらくすると、光が弱まり、吸われる感覚も無くなった。

「もう離していただいて大丈夫ですわ」

 花梨に言われて前足を戻すと、花梨はまた何かを取り出した。

「花梨、それはなんじゃ?」
「ピファニ紙と言うピファナニアと呼ばれる植物から作られる紙ですわ。魔力伝導がいいため、魔法陣を書くのに使ったり、魔道具に使われたりします。他にも色々な方法がありますが、今回はこのピファニ紙を使って魔力板が姫様の魔力から読み取った魔力情報を移してきいきます」

 花梨はピファニ紙の束から1枚ペラリと取って、魔力板へと載せる。そしてその上に違う魔力板を置いてピファニ紙を挟み込むようにすると、まだ淡く光っていた魔力板が数回脈動し、完全に光が消えた。何とも綺麗な光景じゃ。

「終わったようですわね」

 花梨が魔力板を退けると、さっきの光のように淡く青く光っているピファニ紙があった。和紙のようなその紙が光っているのはとても美しかった。

「さて、では結果を見ていきましょう」
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