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···❆クラソフィア入都編❆···

はじめての世界

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「ついた。もう目を開けても大丈夫だ」

 セルの声を聞いて、閉じていた目を開ける。

「ここはドゥアンセラの草原だ。誰もいないところに転移したが、まさかここに転移するとはな」
「??ここだと何かあるの?」
「いや、ない。ただ、街がすぐそこだから、すぐに着けると思っただけだ」
「街?」
「ああ。あの森を抜けた先にある。少しだけだが、上の方に街の外壁が見えるだろう」
「あ、ほんとだ。壁が見えるわ」
「森はそれほど広くないから、昼を少し過ぎたくらいにつくだろう」
「そのくらいなら紫たちにも負担が掛からずに済みそうだね」
「早く着くためにも行くぞ」
「うん!!」

 いくら整備されている道であっても、森の中でデコボコしている。転けたり枝が当たったりしないように、慎重にそれでいてできるだけ早く森を進む。狭間の世界にいるときはブレザーの高校の制服だったが、今はセル様が替えてくれたのか膝より下の動きやすい七部袖のワンピースにマントを羽織っている形になっていた。藍色のワンピースの裾には白で色々な花の刺繍が施されていた。
 セルの服は少し変わっていて、白い長袖のシャツに藍色のズボンというラフな格好だ。私と同じくマントを羽織っている。腰には何かの革でできたバッグがついていた。

「そういえば、これから行く街はどんなところなの?」
「クラソフィアという街だ。ここらでは1番大きな街で、領都でもある。国の名前は、ソルラント王国。賢王トルセア・ソルラントが治める国で、この世界で1番平和な国だ。冒険者も多く、法律も緩い。貴族もほとんどが平民や冒険者を蔑んだり下に見たりしない。ここはミトク・レンディアス辺境伯の領地で、辺境にあるからか、冒険者も行動しやすい」
「そうなのね……」

 冒険者……。知ってる者ならば、誰もが憧れる職業だろう。どんな感じなのだろうか……。

「弥生、この世界での俺たちの設定だが、夫婦でいこうと思う」
「夫婦?」
「ああ。いきなり、何も持たずに子どもを抱えて森から出てくるんだ。怪しむだろうから、設定を考えておかないと」
「確かに……」
「荷物は馬車に入っていて、その馬車は魔物に襲われたから捨ててきたということにしよう。このバッグはマジックバッグだから、これに食料と少しの金、毛布に服を入れていることにしよう」

 マジックバッグだったんだ!!

 ん?だけど、お金とかもうふとか持ってないのにどうするつもりだろう?

 不思議に思って聞くと、セルは口の端をクイッとあげて笑った。

「忘れたのか?俺は神だぞ?そのくらい持ってる。お前も持ってるはずだぞ?」
「けど、私マジックバッグ持ってないよ?」
「ステータス見てみろ」


~ · ~ · ~ · ~ · ~ · ~ · ~

ヤヨイ・ユヅキ(柚月 弥生)
レベル1
年齢∶16
種族∶人族(半神半人)
職業∶水神の眷属

HP∶600/600
MP∶10000/10000
 力 ∶105
攻撃∶132
防御∶164
魔攻∶320
魔防∶457
素早さ∶126

固有ユニークスキル
 聖魔法(LV.1)/言霊ことだま魔法~言葉~(LV.1)
 急成長/経験値倍増
スキル
 隠密(LV.1)/隠蔽(LV.10)MAX
 鑑定(LV.7)/空間魔法(LV.5)
 水魔法(LV.1)/氷魔法(LV.1)
 光魔法(LV.1)/闇魔法(LV.1)
 精霊魔法(LV.3)/刀術(LV.8)
 薙刀術(LV.7)/古武術(LV.6)
 暗器術(LV.5)/サバイバル術(LV.6)
 料理(LV.10)MAX/家事(LV.10)MAX
耐性系スキル
 状態異常·特殊能力無効/精神苦痛耐性(LV.6)
 肉体苦痛耐性(LV.8)

称号
 異世界人/転生者/水神の眷属
 黒龍と白龍の母親/水神の妻(仮)

~ · ~ · ~ · ~ · ~ · ~ · ~


 ……うん、紫たちよりもチートだね。っていうか、妻(仮)って何よ?

「空間魔法があるはずだ。それでインベントリが使えるぞ」
「本当!?」
「中のものは確認しようとすれば、自然と浮かび上がってくる」

 えーと……食料に服と下着、毛布が2枚に、お金が金貨30枚……あ、刀と薙刀だぁ!!暗器もある!!

「どうだ?足りそうか?」
「うん!!もうバッチリ!!これだけお金があれば、しばらくの間は大丈夫そうね!!」
「金は俺も金貨50枚程持っている。あとは……俺の名前だが、流石にヴィグセルツのままだとあれだからな。セルンと名乗ることにする。ファミリーネームは借りるぞ」
「夫婦だし、違うほうがおかしいもんね」
「今日から俺はセルン・ユヅキだ。俺を紹介するときは間違えるなよ」
「頑張る」
「……門が見えてきたぞ」

 セルに言われて前を見ると、大きな門があり、人が沢山並んでいた。人族だけじゃなく、獣人、竜人、精霊族、妖精族に……あれ?魔族がいるけど大丈夫なの?

「セル、この世界で魔族ってどういう扱いなの?」
「魔族は敵としている国は多々あるな。ただし、この国は別だ。この国は昔から魔王国と仲がよく、差別は禁止とされている。国民にも結構魔族が見られるぞ」
「そうなんだ……」

 同じ世界でも、結構違うものね……
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