転生先は水神様の眷属様!?

お花見茶

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···❆転生前・狭間編❆···

異世界の神様

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「ん…ここは……」

 急に眩しくなり目を開けると、そこは花畑だった。

「わぁ……!!綺麗……」

 うっとりとその景色に見入っていると、後ろからカサッと草と布が擦れる音がした。

「目が覚めたか」

 ハッとして後ろを振り向くと、そこには絶世の超絶イケメンが!!え?言葉がおかしい?そんなのどうでもいいでしょ。通じればいいのよ、通じれば。私は思わず、そのイケメンを観察した。髪は藍色を青に近くしたような色に、透き通るようなサファイアの切れ長の瞳、まつげは長く、肌も白い。おまけに眉も整っていて、もう何でもありかと思ってしまうような見た目の、クールな雰囲気のイケメンさんだ。面食いの私にはたまらない。というか、その中でも私の好みどストライク。

「えっと、あの……」
「ここは死後の世界だ。と言っても、その一つ前の生者の世界との狭間だがな。俺達は狭間の世界と呼んでいる」
「狭間の世界……綺麗なところ」
「気に入ったようだな」
「あの、私がここにいるってことは、私はやはり死んだのでしょうか……?」
「あぁ。本当ならそのまま死後の世界に行く予定だったんだが、俺がここに呼び止めた」
「貴方が、ですか?」
「ああ。実は、俺はお前のいた世界とは違う世界の神でな、水神をやっている」
「異世界の神様……」
「そうだ。それで、俺の上司、つまり世界神が俺達四神に眷属を作るようにと仰せになられたんだ。四神というのは、火神サリアメーラ、風神シミューワルト、地神ノーレンティア、そして俺、水神ヴィグセルツのことだ」

 イケメンさんは、ヴィグセルツ様と言うらしい。うん、なんかしっくりくる。

「それで、俺がお前をここに呼び出した理由なんだが、お前を俺の眷属にしたい」

 ふーん、眷属かぁ。……ん?

「眷属ぅ~!!!???」

 え、ちょっと待って。私が?貴方の?眷属?

「ダメか……?」

 ああ、ちょっ、その顔反則っ、何その少し悲しそうな顔!!クールな感じのくせに、可愛いとか反則なんですけど!!

「け、けど、他にもいい人は沢山いると思うんですけど……」
「イヤだ。俺はお前がいい」
「グフッ……!!」

 ちょ、ヤバイんですけど、可愛すぎるんですけど!!何、何なの。“イヤだ”って可愛すぎる!!くっ、けどこんなことで負けるわけには……

「頼む……眷属に、なってくれないか……?」
「やります。やりましょうとも!!なってやりましょう、眷属!!」
「!!本当か!?」
「はいっ!!」

 …………ハッ、私は今何をした?クソッ、こんなことで負けるなんて……!!
 ……でも、仕方ないと思わない?だって、クール系イケメンが眉を下げて、悲しそうに懇願するように見てくるんだよ!?断われって言う方が無理だよね!?ねぇ!?

「ありがとう。じゃあ、眷属の契約するから手を出してくれないか?」
「こうですか?」
「ああ。じゃあ、始めるぞ?」

 ヴィグセルツ様の手の上に私の手を置くと、ヴィグセルツ様はふぅっと息をついて目を閉じた。何となしに目を閉じたほうがいい気がして、私も目を閉じる。

「《我、水神ヴィグセルツの名のもとに命じる。汝、柚月 弥生ヤヨイ・ユヅキは契約のもとに我の眷属となることを。契約は一生。途切れることはない。せいある限り、我の手足となり、めいに従い、いのちを捧げろ》」

 私とヴィグセルツ様がポゥッと光りだし、しばらくすると光は私達の中に吸い込まれるようにして消えた。

「契約終了だな。これで今日から、お前は俺の眷属だ」
「ヴィグセルツ様の眷属……あの、セル様って呼んでもいいですか?」
「!!あ、ああ」
「やった!!えへへ、よろしくお願いしますねセル様♪」
「ッッ!!!!」

 なぜかセル様が胸に手を当てて、服をクシャッとした。どうしたんだろう?

「あ、そうだ。セル様、セル様には他に眷属っているんですか?」
「いや、いない。お前がはじめてだ」
「はじめて……そっか……うん、はじめてか。えへへ……」
「?どうしたんだ?」
「な、何でも!!ただ、セル様のはじめての眷属で嬉しいなぁって、思ったり、思わなかったり……」
「そ、そうか……」

 今度は顔の下半分に片手を当てて、顔を背けた。

 ???
 やっぱり、セル様の行動はよく分からない。いつか全部分かるようになりたいな、なーんてね♪
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