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第3部 君は僕を捨てないよね
87.白黒の暗号
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それから間もなくして、エリーナさんは、たくさんの毛布にグルグル巻きにされて、馬車の揺れが体に響かないようにされた状態で、キャルン国へと旅立って行った。
さすがに血を分けた妹のお見送りには、リリーナ姫も同席した。
……本当は興味が無さそうだったんだけど、エステティシャンのアリスの機転によりスペシャルでミラクルなトリートメントスパをご提供するという、ご褒美を目の前にぶら下げることにより、彼女は渋々、その重い腰を持ち上げたのだった。
「ふんっ! 人から良く思われたいからって、自分の意思が無いから、ストレスなんか溜め込んでこんなことになるのよ! 自業自得だわっ」
エリーナさんが乗った馬車が遠ざかって行く間、姫はこんなセリフを吐いて捨てていた。
そんな……帝国のために、皇太子様のために頑張っていたエリーナさんに、そんな事を言うなんて……
だけど、なぜか的を射ているように感じさせるのが不思議だ。
人から良く思われたいっていうのは、キャルンの人々から“聖女”って呼ばれてる事を言ってるのかな?
それに確かに、自分の事を差し置いて、周りに尽くして振り回されてばかりいたら、体も心も疲れてしまいそうだもんね。
しかし、他国へ人質に出されたという同じ経験を踏んでいるはずなのに、なんで皇太子様とリリーナ姫はこうも違うんだろう。
姫のワガママ力……もとい、心の強さの半分でも皇太子様に分けることが出来たら、お話が出来なくなるなんて事態も、避けられたのかもしれない。
そうして、スペシャルでミラクルなトリートメントスパが施される事になった日、私は公爵様のお見舞いに皇城へ向かった。
皇女様たちの働いている現場は、やはり多忙を極めているのでお邪魔出来ないが、少しだけその階の様子を見にだけ行ってみた。
思った通り、人が慌ただしく動き回っている。
すると、皇女様の執務室からお父様が現れたと思ったら、お兄様が皇太子様の執務室の方から駆けてきた。
彼らは、皇女様の側近だけでなく、皇太子様とアルフリードのサポートにも回ることになったらしいので、2つの部屋を頻繁に行き来しているようだった。
身内の人だったら、少しくらい声を掛けてもいいかな……
そう思って近づいていると、2人はあんまり言葉は交わしていなくて、手の指を不思議な形にして、肘を曲げて腕を振ったりしている。
「お、お父様、お兄様、お忙しい所すみません。皇城の様子は、これまでとお変わりありませんか?」
職場モードの2人は全神経を研ぎ澄ませているような鋭い顔つきをしていて、話しかけた私をそんな隙のない目つきでキッと睨みつけた。
こ、怖い……やっぱり話し掛けなければ良かった……
「なんだエミリアではないか。ここは相変わらずだ。私もラドルフも、これまで抱えていた仕事も並行せねばならないから、席を外す場合はどちらかが殿下達の近くにいるようにはしているが……やはり、ジョナスン殿下との連携に時間がかかって、どうにもならん」
少し顔の筋肉が緩んで、威圧感がやわらいだお父様がチラリとお兄様が走ってきた方を見た。
そこには、いつものごとく、何人もの人の列が出来てしまっている。
「さっき見えたんですけど、腕を動かしたりしてたのは、何でですか?」
あんまり2人にも時間が無いみたいなので、気になることは今聞いてしまおう。
「あれは暗号ってやつだ」
そうしたら、お兄様が答えてくれた。
暗号! さすが諜報組織まで持ってる家門の主たちだ、本人たちもそんなスパイ的な技術を持ち合わせているなんて。
だけど……
「どうして、皇城の中で暗号なんて?」
「ここは、帝国の中枢組織の中でも最重要の機密事項を扱う場だ。同じ皇城内で働く人間であっても、情報が外部に触れる機会は最小限にとどめなくてはならない」
お父様は私の方にかがみこんで、めちゃくちゃ小さい声で話した。
なるほど。ってことは、お父様とお兄様はほとんど、あの手振りや指の形だけで会話してるってことなのか……!!
「も、もしかして、その暗号を使えば、皇太子様とアルフリードもお話できるようになるって事ですか!?」
私は小声なんだけど、ビックリマークがつくようなニュアンスでお父様の目を見て、思わず聞き返した。
「いや、それはならん。これはエスニョーラ家に代々伝わるものだからな。他の者に教えることはできない」
なんだ……エスニョーラ家限定なのか。
「皇太子様のピアノでアルフリードとも意思疎通ができると思ったのに、それもダメだったし……エスニョーラ家みたいな暗号を作るしか無いのかな? でも、長い会話をするには、その暗号を作ったり、覚えるのにも時間がかかってしまいそうですよね……」
私は思わず、こんな愚痴を彼らにこぼしてしまっていたのだった。
すると、お兄様が、
「そんなの簡単に作れるだろう? しかも殿下のピアノの腕前を考えれば、尚更、簡単だ」
ちょっと意味不明の事を言ってきた。
簡単に作れる? ピアノで?? 一体、どういう事だろう……
すぐに、皇太子様の執務室に、皇女様と共に集まることになった。
「私の先日の誕生プレゼントの中にこんなものがあったが、使えそうか?」
今日は丸1日を要するような、姫のスペシャルでミラクルなトリートメントスパのおかげで、しばらく皇城に滞在できるので、様子を見ていると、皇女様は自室から細長くて、白と黒の鍵盤が付いている板みたいなのを持ってきた。
どうやら、前の世界でもよく見かける、持ち運びできるようなキーボードがこっちの世界にもあるようだ。
そうして、お兄様はA4くらいの紙に、何かを書き始めた。
それは、そんなに時間のかかるものではなくって、すぐに、
「できた。殿下、こちらを使っていただけますか?」
書いた紙を皇太子様にお渡しした。
そこには、楽譜らしきものが書かれていて、五線譜の下には文字が1文字ずつ書かれている。
「それから、皇女殿下と公爵子息にも同じものを覚えていただきたい」
そう言われて、皇女様とアルフリードは皇太子様の持っている紙を覗き込んだ。
私も一緒にさりげなく覗いてみると、どうやら、これは文字と音符が対応していて、
例えば、
「ド」だったら「あ」
「レ」だったら「い」
「ミ」だったら「う」
と言うように、音符を文字に置き換えたリストのようになっていた。
こっちの世界の文字は50以上あるので、1音だけでは全然足りないから、和音で表記されている文字もある。
うそでしょ……つまり、これを覚えて、皇太子様が鳴らしたピアノの音を解読しろっていうの……?
そんなこと、エスニョーラ家の、それもお父様とお兄様限定でしか、できない事じゃない!
多分、皇女様とアルフリード、皇太子様もおんなじ事を考えてると思うけど、じーっとその紙を凝視していらっしゃる。
そしてついに、皇太子様がその紙から目を離して、執務机の上に置かれている、皇女様のお誕生日プレゼントであるキーボードに手を置いた。
ところで、お兄様が書いた紙は全然見ていないけど、大丈夫かな……
そんな私の心配をよそに、彼はポロロンと両手でなめらかに、綺麗なメロディを紡ぎ始めた。
短くはあったけど、これで何らかの言葉を音で暗号化したということだろうか?
私には……あの紙を見ても、メロディが複雑に聞こえて全く何と言ったのか分からない。
すると、皇女様がフッと笑って、
「そうかそうか、お兄様もそう思われるか!」
そう、大きな声で言った。
えっ……皇女様は、あの紙を覚えて、皇太子様が発する暗号を解いちゃったってこと!?
そして、また皇太子様がピアノを弾いた。
今度は、アルフリードが大きく頷きながら、
「なるほど、それはいい案ですね! ぜひ、そうしましょう」
嬉しそうに笑いながら、相槌を打っている。
うそ!? うそでしょ!!
アルフリードまで、解読してしまってるなんて……
再び皇太子様が音を鳴らすと、
「いえ、これくらい大した事ではありません。お役に立て何よりです」
家だと乱暴な口調だけど、目上の皇太子様にはすごく丁寧な調子でお兄様が答えた。
「褒美なども結構ですよ。殿下の側近を務めさせて頂いているだけで、我が家門の栄誉でありますから」
今度はお父様が答えた。
そ、そうか、最後に皇太子様が鳴らした音の意味は直訳すると、
『苦労を掛けた、褒美を取って使わす』
だろうな……だけど、その前の皇女様とアルフリードが答えた時の音の意味は、全く分からない!! なんて言ってるのか、分かんないよ!!
そして、この場で分からないのは、私だけみたいだ……
知らなかったよ。アルフリードも皇女様も、そして皇太子様まで、エスニョーラ家並みの頭脳を持ち合わせてたなんて。
「これならば、会話するのと同じではないか! なぜ今まで思いつかなかったのか。侯爵殿に子息殿、側近の役職に付いて早々、良い仕事をしたな。私からも感謝する」
皇女様がそう言うと、
「もともと、この案のきっかけを作ったのはエミリアですから。エミリアに感謝ください」
お父様はそう返した。
私には全く理解できずに、皆からも置いてきぼりにされてるのに、なぜか皇太子様と会話できない危機を救った立役者として、私は祭り上げられた。
何はともあれ、これで皇太子様とアルフリードが支障なく、コミュニケーション取れるようになった訳だ。
これで一安心だろうか。
お兄様達はいらいないって言ってたけど、ご褒美の皇城のパティシエさんからの珍しいスイーツの数々を手土産に渡された私は、王子様からのお手紙が届いていないかチェックするため、エスニョーラ邸のヤエリゼ君のところに移動することにした。
さすがに血を分けた妹のお見送りには、リリーナ姫も同席した。
……本当は興味が無さそうだったんだけど、エステティシャンのアリスの機転によりスペシャルでミラクルなトリートメントスパをご提供するという、ご褒美を目の前にぶら下げることにより、彼女は渋々、その重い腰を持ち上げたのだった。
「ふんっ! 人から良く思われたいからって、自分の意思が無いから、ストレスなんか溜め込んでこんなことになるのよ! 自業自得だわっ」
エリーナさんが乗った馬車が遠ざかって行く間、姫はこんなセリフを吐いて捨てていた。
そんな……帝国のために、皇太子様のために頑張っていたエリーナさんに、そんな事を言うなんて……
だけど、なぜか的を射ているように感じさせるのが不思議だ。
人から良く思われたいっていうのは、キャルンの人々から“聖女”って呼ばれてる事を言ってるのかな?
それに確かに、自分の事を差し置いて、周りに尽くして振り回されてばかりいたら、体も心も疲れてしまいそうだもんね。
しかし、他国へ人質に出されたという同じ経験を踏んでいるはずなのに、なんで皇太子様とリリーナ姫はこうも違うんだろう。
姫のワガママ力……もとい、心の強さの半分でも皇太子様に分けることが出来たら、お話が出来なくなるなんて事態も、避けられたのかもしれない。
そうして、スペシャルでミラクルなトリートメントスパが施される事になった日、私は公爵様のお見舞いに皇城へ向かった。
皇女様たちの働いている現場は、やはり多忙を極めているのでお邪魔出来ないが、少しだけその階の様子を見にだけ行ってみた。
思った通り、人が慌ただしく動き回っている。
すると、皇女様の執務室からお父様が現れたと思ったら、お兄様が皇太子様の執務室の方から駆けてきた。
彼らは、皇女様の側近だけでなく、皇太子様とアルフリードのサポートにも回ることになったらしいので、2つの部屋を頻繁に行き来しているようだった。
身内の人だったら、少しくらい声を掛けてもいいかな……
そう思って近づいていると、2人はあんまり言葉は交わしていなくて、手の指を不思議な形にして、肘を曲げて腕を振ったりしている。
「お、お父様、お兄様、お忙しい所すみません。皇城の様子は、これまでとお変わりありませんか?」
職場モードの2人は全神経を研ぎ澄ませているような鋭い顔つきをしていて、話しかけた私をそんな隙のない目つきでキッと睨みつけた。
こ、怖い……やっぱり話し掛けなければ良かった……
「なんだエミリアではないか。ここは相変わらずだ。私もラドルフも、これまで抱えていた仕事も並行せねばならないから、席を外す場合はどちらかが殿下達の近くにいるようにはしているが……やはり、ジョナスン殿下との連携に時間がかかって、どうにもならん」
少し顔の筋肉が緩んで、威圧感がやわらいだお父様がチラリとお兄様が走ってきた方を見た。
そこには、いつものごとく、何人もの人の列が出来てしまっている。
「さっき見えたんですけど、腕を動かしたりしてたのは、何でですか?」
あんまり2人にも時間が無いみたいなので、気になることは今聞いてしまおう。
「あれは暗号ってやつだ」
そうしたら、お兄様が答えてくれた。
暗号! さすが諜報組織まで持ってる家門の主たちだ、本人たちもそんなスパイ的な技術を持ち合わせているなんて。
だけど……
「どうして、皇城の中で暗号なんて?」
「ここは、帝国の中枢組織の中でも最重要の機密事項を扱う場だ。同じ皇城内で働く人間であっても、情報が外部に触れる機会は最小限にとどめなくてはならない」
お父様は私の方にかがみこんで、めちゃくちゃ小さい声で話した。
なるほど。ってことは、お父様とお兄様はほとんど、あの手振りや指の形だけで会話してるってことなのか……!!
「も、もしかして、その暗号を使えば、皇太子様とアルフリードもお話できるようになるって事ですか!?」
私は小声なんだけど、ビックリマークがつくようなニュアンスでお父様の目を見て、思わず聞き返した。
「いや、それはならん。これはエスニョーラ家に代々伝わるものだからな。他の者に教えることはできない」
なんだ……エスニョーラ家限定なのか。
「皇太子様のピアノでアルフリードとも意思疎通ができると思ったのに、それもダメだったし……エスニョーラ家みたいな暗号を作るしか無いのかな? でも、長い会話をするには、その暗号を作ったり、覚えるのにも時間がかかってしまいそうですよね……」
私は思わず、こんな愚痴を彼らにこぼしてしまっていたのだった。
すると、お兄様が、
「そんなの簡単に作れるだろう? しかも殿下のピアノの腕前を考えれば、尚更、簡単だ」
ちょっと意味不明の事を言ってきた。
簡単に作れる? ピアノで?? 一体、どういう事だろう……
すぐに、皇太子様の執務室に、皇女様と共に集まることになった。
「私の先日の誕生プレゼントの中にこんなものがあったが、使えそうか?」
今日は丸1日を要するような、姫のスペシャルでミラクルなトリートメントスパのおかげで、しばらく皇城に滞在できるので、様子を見ていると、皇女様は自室から細長くて、白と黒の鍵盤が付いている板みたいなのを持ってきた。
どうやら、前の世界でもよく見かける、持ち運びできるようなキーボードがこっちの世界にもあるようだ。
そうして、お兄様はA4くらいの紙に、何かを書き始めた。
それは、そんなに時間のかかるものではなくって、すぐに、
「できた。殿下、こちらを使っていただけますか?」
書いた紙を皇太子様にお渡しした。
そこには、楽譜らしきものが書かれていて、五線譜の下には文字が1文字ずつ書かれている。
「それから、皇女殿下と公爵子息にも同じものを覚えていただきたい」
そう言われて、皇女様とアルフリードは皇太子様の持っている紙を覗き込んだ。
私も一緒にさりげなく覗いてみると、どうやら、これは文字と音符が対応していて、
例えば、
「ド」だったら「あ」
「レ」だったら「い」
「ミ」だったら「う」
と言うように、音符を文字に置き換えたリストのようになっていた。
こっちの世界の文字は50以上あるので、1音だけでは全然足りないから、和音で表記されている文字もある。
うそでしょ……つまり、これを覚えて、皇太子様が鳴らしたピアノの音を解読しろっていうの……?
そんなこと、エスニョーラ家の、それもお父様とお兄様限定でしか、できない事じゃない!
多分、皇女様とアルフリード、皇太子様もおんなじ事を考えてると思うけど、じーっとその紙を凝視していらっしゃる。
そしてついに、皇太子様がその紙から目を離して、執務机の上に置かれている、皇女様のお誕生日プレゼントであるキーボードに手を置いた。
ところで、お兄様が書いた紙は全然見ていないけど、大丈夫かな……
そんな私の心配をよそに、彼はポロロンと両手でなめらかに、綺麗なメロディを紡ぎ始めた。
短くはあったけど、これで何らかの言葉を音で暗号化したということだろうか?
私には……あの紙を見ても、メロディが複雑に聞こえて全く何と言ったのか分からない。
すると、皇女様がフッと笑って、
「そうかそうか、お兄様もそう思われるか!」
そう、大きな声で言った。
えっ……皇女様は、あの紙を覚えて、皇太子様が発する暗号を解いちゃったってこと!?
そして、また皇太子様がピアノを弾いた。
今度は、アルフリードが大きく頷きながら、
「なるほど、それはいい案ですね! ぜひ、そうしましょう」
嬉しそうに笑いながら、相槌を打っている。
うそ!? うそでしょ!!
アルフリードまで、解読してしまってるなんて……
再び皇太子様が音を鳴らすと、
「いえ、これくらい大した事ではありません。お役に立て何よりです」
家だと乱暴な口調だけど、目上の皇太子様にはすごく丁寧な調子でお兄様が答えた。
「褒美なども結構ですよ。殿下の側近を務めさせて頂いているだけで、我が家門の栄誉でありますから」
今度はお父様が答えた。
そ、そうか、最後に皇太子様が鳴らした音の意味は直訳すると、
『苦労を掛けた、褒美を取って使わす』
だろうな……だけど、その前の皇女様とアルフリードが答えた時の音の意味は、全く分からない!! なんて言ってるのか、分かんないよ!!
そして、この場で分からないのは、私だけみたいだ……
知らなかったよ。アルフリードも皇女様も、そして皇太子様まで、エスニョーラ家並みの頭脳を持ち合わせてたなんて。
「これならば、会話するのと同じではないか! なぜ今まで思いつかなかったのか。侯爵殿に子息殿、側近の役職に付いて早々、良い仕事をしたな。私からも感謝する」
皇女様がそう言うと、
「もともと、この案のきっかけを作ったのはエミリアですから。エミリアに感謝ください」
お父様はそう返した。
私には全く理解できずに、皆からも置いてきぼりにされてるのに、なぜか皇太子様と会話できない危機を救った立役者として、私は祭り上げられた。
何はともあれ、これで皇太子様とアルフリードが支障なく、コミュニケーション取れるようになった訳だ。
これで一安心だろうか。
お兄様達はいらいないって言ってたけど、ご褒美の皇城のパティシエさんからの珍しいスイーツの数々を手土産に渡された私は、王子様からのお手紙が届いていないかチェックするため、エスニョーラ邸のヤエリゼ君のところに移動することにした。
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