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第1部 隠された令嬢
25.最悪の相性の2人 披露会編3
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「おお、団長。来てくれたか」
私の名前を呼んだお客様を先に出迎えたのはお父様だった。
エスニョーラ家が保有する騎士団のポラニエル・ウーリス団長だ。
シルバーグレーの耳上まである短髪。
引き締まっているけれど、目元のあたりにシワが寄るようなクシャッとした顔つき。
代々、ウーリス家はエスニョーラ家の騎士団長を務める家系で、お父様には子どもの頃から仕えていた間柄だ。
エミリアが生まれてすぐに、家からは出さない子として育てると決められた時も、それを知っていた数少ない人物なので、本当のエミリアが幼い頃には遊び相手を務めてくれていた事もあったらしい。
「イリスがお嬢様から目を離した時はどうなる事と思いましたが、まさか嫁がれる日がくるとは思いませんでした」
少し目の端に涙を溜めている。
「ま、待って、まだ嫁いだ訳じゃ……」
「アルフリード子息殿、お嬢様は私の娘も同然。くれぐれも頼みます……」
団長はアルフリードの手を取って私の言うことなど聞いたこっちゃない。
うう……今日はどうしてこんなに、マイペースな新キャラが何人も出てくるの……
「お前さんが、坊っちゃまの婚約者かい?」
今度は誰? 急に後ろから声をかけられた。
振り返ってみると、私と同じ背丈くらいの小柄なお婆さんがすぐそこに立っていた。
「は、はい。エミリア・エスニョーラと申します」
ワシ鼻の魔法使いのような雰囲気のお婆さんだ。
「随分、若い娘っ子を貰ったモンだ」
あなたも勘違いしてるんですか? まだ貰われてません!
「ああ、ステア、よく来てくれたね」
アルフリードはステアと呼んだお婆さんの背中を支えた。
「彼女は僕の乳母なんだ。もう年だし、皇城に勤め出してからは里に帰っていたけど、久々に長年仕えてた公爵邸でのパーティーだから呼んだんだ」
わぉ、アルフリードには乳母がいたんだ。さすが由緒ある大貴族ね。
「この大舞踏室が使われるのも坊っちゃまの10歳の節目のパーティー以来じゃないかい。 それにしても、うちのシェフの料理はどこ? 今までまかないしか食べた事なかったから、来客として食べるのが夢だったんだよ!」
はああ! 確かに、公爵家の料理とか食べてみたい……
「食事コーナーはそっちだから、エミリアも一緒に行こう。そうそう、お菓子コーナーには皇城のパティシエにわざわざ来てもらって、たくさん作ってもらったのを置いてあるはずだ」
なっ なんですって!! 絶対、食べるし!
あ、お母様にも教えてあげなきゃ。
こうしていつの間にか挨拶タイムは終わりを迎えて、私たちはアルフリードの乳母様も交えて、食事タイムに突入した。
満腹になったところで、ふと思い出した。
そういえば誰かを見ていない気がするんだけど……
「兄上、とてもお綺麗な方ですね。よくお似合いです」
乳母様以外の他のお客様には自ら話しかける事はしなかったのに、アルフリードが珍しく声を掛けた。
兄上……そうだ! なぜか嫌われてる事に気づかずアルフリードが懐いている私のお兄様!
シスコンだからショックで来れなかったなんて訳じゃないよね。
それにしても、綺麗な方? よくお似合い??
そんな相手はいないって言ってたのに、もしかして昨日の今日で見つけてきたってこと……?
こちらにやってくるカップルを見ていると、男性の方は確かに肩より下まで伸びた私と同じ亜麻色の髪を一本に束ねたお兄様だった。
でも顔を女性と反対側に背けて、眉間にシワを寄せたひどい顔をしている。
隣のドレスの女性は……誰だろう、肩上で切りそろえられたライトブラウンの髪、あの髪型はまさか……
「イリス!!?」
いつもと服装が違うから全然分からなかった。よく見れば髪型も顔もイリスだ。
ただ、その顔は青ざめているし、何よりまず目が死んでる。
一応、腕はお兄様の腕に組んでるように見えるけど、5mmくらい浮いていて完全には触れていない。
この間は、お母様の女騎士として一緒に参加できるから楽しみと言っていたのに。
いくら相手がいないからって、即席で当てがわれるなんて、イリスが可哀想!
嫌なのがもろ分かりじゃない……
「おじょうさま、このたびは、ごこんやくおめでとうございます」
さすがに私とアルフリードの前に来るとイリスは無理矢理、笑みを作って、カタコトの挨拶を始めた。
「イリス、今日のために我慢なんてしなくていいよ」
私が思わず本音を言うと、
「はは……今日だけじゃないんですょ。このシスコ……じゃなくて、こぃつ、じゃなくて、この坊っちゃまと私がこ、こ、婚約しろと、さっき旦那様と騎士団長に脅さ……いや、言われまして」
イリス、もうほとんど何言ってるか分からない程、動揺しちゃってる。
って、婚約!? お兄様とイリスが!!?
「任せるとは言ったがこんな役立たずの騎士もどき女……」
お兄様も本人の目の前で何てことを……
もう最悪の相性の2人じゃない。
そんな重要な事をついさっき伝えられたなんて…… ひどすぎるよ。
と思ったけど、私もたったの1時間で婚約相手を決められたんだった。
お父様、子供たちに恨まれても仕方がない状況よ、これは。
そのタイミングで音楽がこれまでと違うものに切り替わった。
ゆったりとしたテンポで、照明も若干落とされてムードのある雰囲気に変わった。
「エミリア、一曲お願いできるかな?」
アルフリードがまたボンヤリとした顔で、私の方に手の平を差し向けた。
うわぁ、来てしまった、この時間が。
ダンスタイムが……
******
最悪の相性の2人がここに来る直前から始まるラブコメ『侯爵子息ラドルフと女騎士イリスの近況報告』別作品で投稿中です!(完結済)
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エミリアが生まれてすぐに、家からは出さない子として育てると決められた時も、それを知っていた数少ない人物なので、本当のエミリアが幼い頃には遊び相手を務めてくれていた事もあったらしい。
「イリスがお嬢様から目を離した時はどうなる事と思いましたが、まさか嫁がれる日がくるとは思いませんでした」
少し目の端に涙を溜めている。
「ま、待って、まだ嫁いだ訳じゃ……」
「アルフリード子息殿、お嬢様は私の娘も同然。くれぐれも頼みます……」
団長はアルフリードの手を取って私の言うことなど聞いたこっちゃない。
うう……今日はどうしてこんなに、マイペースな新キャラが何人も出てくるの……
「お前さんが、坊っちゃまの婚約者かい?」
今度は誰? 急に後ろから声をかけられた。
振り返ってみると、私と同じ背丈くらいの小柄なお婆さんがすぐそこに立っていた。
「は、はい。エミリア・エスニョーラと申します」
ワシ鼻の魔法使いのような雰囲気のお婆さんだ。
「随分、若い娘っ子を貰ったモンだ」
あなたも勘違いしてるんですか? まだ貰われてません!
「ああ、ステア、よく来てくれたね」
アルフリードはステアと呼んだお婆さんの背中を支えた。
「彼女は僕の乳母なんだ。もう年だし、皇城に勤め出してからは里に帰っていたけど、久々に長年仕えてた公爵邸でのパーティーだから呼んだんだ」
わぉ、アルフリードには乳母がいたんだ。さすが由緒ある大貴族ね。
「この大舞踏室が使われるのも坊っちゃまの10歳の節目のパーティー以来じゃないかい。 それにしても、うちのシェフの料理はどこ? 今までまかないしか食べた事なかったから、来客として食べるのが夢だったんだよ!」
はああ! 確かに、公爵家の料理とか食べてみたい……
「食事コーナーはそっちだから、エミリアも一緒に行こう。そうそう、お菓子コーナーには皇城のパティシエにわざわざ来てもらって、たくさん作ってもらったのを置いてあるはずだ」
なっ なんですって!! 絶対、食べるし!
あ、お母様にも教えてあげなきゃ。
こうしていつの間にか挨拶タイムは終わりを迎えて、私たちはアルフリードの乳母様も交えて、食事タイムに突入した。
満腹になったところで、ふと思い出した。
そういえば誰かを見ていない気がするんだけど……
「兄上、とてもお綺麗な方ですね。よくお似合いです」
乳母様以外の他のお客様には自ら話しかける事はしなかったのに、アルフリードが珍しく声を掛けた。
兄上……そうだ! なぜか嫌われてる事に気づかずアルフリードが懐いている私のお兄様!
シスコンだからショックで来れなかったなんて訳じゃないよね。
それにしても、綺麗な方? よくお似合い??
そんな相手はいないって言ってたのに、もしかして昨日の今日で見つけてきたってこと……?
こちらにやってくるカップルを見ていると、男性の方は確かに肩より下まで伸びた私と同じ亜麻色の髪を一本に束ねたお兄様だった。
でも顔を女性と反対側に背けて、眉間にシワを寄せたひどい顔をしている。
隣のドレスの女性は……誰だろう、肩上で切りそろえられたライトブラウンの髪、あの髪型はまさか……
「イリス!!?」
いつもと服装が違うから全然分からなかった。よく見れば髪型も顔もイリスだ。
ただ、その顔は青ざめているし、何よりまず目が死んでる。
一応、腕はお兄様の腕に組んでるように見えるけど、5mmくらい浮いていて完全には触れていない。
この間は、お母様の女騎士として一緒に参加できるから楽しみと言っていたのに。
いくら相手がいないからって、即席で当てがわれるなんて、イリスが可哀想!
嫌なのがもろ分かりじゃない……
「おじょうさま、このたびは、ごこんやくおめでとうございます」
さすがに私とアルフリードの前に来るとイリスは無理矢理、笑みを作って、カタコトの挨拶を始めた。
「イリス、今日のために我慢なんてしなくていいよ」
私が思わず本音を言うと、
「はは……今日だけじゃないんですょ。このシスコ……じゃなくて、こぃつ、じゃなくて、この坊っちゃまと私がこ、こ、婚約しろと、さっき旦那様と騎士団長に脅さ……いや、言われまして」
イリス、もうほとんど何言ってるか分からない程、動揺しちゃってる。
って、婚約!? お兄様とイリスが!!?
「任せるとは言ったがこんな役立たずの騎士もどき女……」
お兄様も本人の目の前で何てことを……
もう最悪の相性の2人じゃない。
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と思ったけど、私もたったの1時間で婚約相手を決められたんだった。
お父様、子供たちに恨まれても仕方がない状況よ、これは。
そのタイミングで音楽がこれまでと違うものに切り替わった。
ゆったりとしたテンポで、照明も若干落とされてムードのある雰囲気に変わった。
「エミリア、一曲お願いできるかな?」
アルフリードがまたボンヤリとした顔で、私の方に手の平を差し向けた。
うわぁ、来てしまった、この時間が。
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