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原始・古代
強い女の話
しおりを挟む12月2日(日) 朝 ずっと曇り 11℃
「それは、うちへの当て付けかい?」
「へ?何が?」
「それだよそれ。今まさに口に運んだ食べ物だよ」
「え?何で?」
ホットグラノーラを食べているうちの向かいで何故よりによって今日ソレを食べるんだ…。明日にしなさい。
みーちがフォーク&ナイフで幸せそうに食べている、マヨネーズ・卵・チーズ・胡椒が絶妙なハーモニーを奏でる【ラピュタトースト】を感情が抜け落ちた表情でじっと見つめながら理由を告げる。
「今日は花奏ちゃんがうちのお腹の上に落ちてきた日なんだよ……」
「あぁ……あったね」
みーちの顔からも一瞬で笑顔が鳴りを潜めた。
うん、よしよし。みーちがここで声をあげて思い出し笑いをする人でなしじゃなくて良かったよ。
まだ完全に術後回復していない、縫った腹部に人が乗る恐怖。怖いよねー。況してや飛●石を持っていない、重力に素直に従う生身の人間だもの。
***
《小話 幼児は消える》
本当の今日、うちから花奏ちゃんを遠ざけるべく、母・みーち・花奏ちゃん・姉の4人でショッピングモールへと外出した。
うちは自宅で1人リビングのソファーでずっと横になったまま読書をし、必要最低限の動きのみで過ごしていた。
ーそして、おやつ時ー
「あーち、ただいみゃーっ!」
鑑賞用幼児、花奏ちゃんが帰ってきた。
ソファーからだと死角になっていて見えない、リビングのドアが開いた音がしたが、みーちの「手荒いうがいしてからでしょ!」の声と共に、人の気配は消えた。
それを確認すると、当時のうちは何を思ったのか(寝たフリでもしておこう)と横向きから仰向けに慎重に姿勢をかえて、目を閉じた。
ドンッ!
「ふべぇっ!!うっぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
反射で起き上がってしまったことで、更に腹部に激痛が走ったがそれどころでは無かった。
何事かと視線を下に向けると、花奏ちゃんがうちのお腹に頭突きをしながら、腰に腕を巻き付けて足先まで綺麗に上に乗っていた。
な、なんで……足音聞こえなかったよ?い、いつの間に…?と、痛すぎて仕事をしない頭で考えていたら、絶叫を聞き付けたみーちが走ってきた。
「えぇっ!?かなちゃん!何であーちの上に乗ってんの!?あーち乗って良いなんて言ってないでしょ!?」
涙目になっているうちの顔をチラチラ見ながら、親らしく叱りつけてくれた。
それを受け、両手で容赦なくうちの腹部に体重をかけながらむくりと起き上がり、ソファーから降りた幼児は裾をもじもじと弄りながら口を開いた。尚、この時のBGMはうちの悶絶する「うぐぅぅっ……」である。
「だ、だって……あーちに抱っこ…してほちかったんだみょんっ…うぁあーーんっ!」
畜生。言い訳可愛すぎか。
嘘泣きをしながらみーちにしがみつく花奏ちゃんを見ながら、うちは涙を拭いた。
完
もう腹部の縫い目は全く痛くないのに、当時を思い返したら何だか疼いてきた気がする。気のせいであって欲しい。
それにしてもと思い、向かいの席で花奏ちゃんのお茶目さ加減を自分でも何か思い出してか、苦い顔をしているみーちに水を向ける。
「思えば、花奏ちゃんはあの頃から言い訳が上手かったよねー」
「うん…困ったもんだよね」
「想像して無かった面白い発想の言い訳されるとつい許しちゃうから調子に乗っちゃうのかねぇ」
「それで許してんのあーちだけだから」
「困った伯母ちゃんも居たもんだねー」
「私の話、聞いて?」
グラノーラの残りを食べながら他人事のように的確な相槌を打っていたら、ふと【落下】繋がりである事を思い出した。
このエピソードは全国共通なものだろうと共感すべく、トーストを食べきって紅茶を飲み干そうとしている女人に含み笑いをしながら質問する。
「ねぇねぇ。高校で『あーあー…イケメンが空から降ってこないかなー』って言う子居たよね?」
うちの顔を感情が読めない顔で見つめてきながら飲みきり、コップとお皿を両手に持って立ち上がったところで真っ直ぐこちらを向いて答えをくれた。
「居ない。そもそもそういう恋愛脳の人とは友達にならない」
「え?普通の手段で出逢おうとしてないんだから全然恋愛脳じゃないでしょ。脳筋でしょ」
「如何なる手段でも手に入れようとする考えが恋愛脳だよ」
「えー…」
まだ言いたい事があったのに、シンクに食器を置きに立ち去って、そのままお風呂掃除へと行ってしまった。
それにしても……ええー。
これってどの高校でも聞くあるあるじゃなかったの?
1クラスで1人は言う、一種のお約束じゃなかったの?
3年間で少なくとも2人は言ってたのに。
『降ってきたところを受け止める』って凄い決意表明までほぼ同じ台詞を言っていたのに。
街角でぶつかりそうになって出逢うんじゃなくて、大事故か死亡事故が起きかねないシチュエーションを選択するのが女子高生の常識じゃなかったの?
うーん…アレか!みーちの高校はマラソン大会もあったし、健脚揃いだから自分の脚でイケメンを見付けに行く派だったのか。
ま、何にせよ人が上から来るのは怖い。
あ、真正面から多神さんが高速で来ても怖かったわ。
普通に出逢いたいね。でも、普通って何だろうか。
掃除機をかけたらレモンティーを淹れようと決め、立ち上がった。
*****
夕方 曇り
「えー…どうしよう」
「んー……書くー?」
「でも死にたくないしなぁ」
「(最期に食べるなら)お寿司…よりも上生菓子…よりもやっぱりお味噌汁かなー」
※全て麻来の独り言です。
…………
「出来たっ!」
数多の葛藤を越えて完成した。
中々簡潔にまとめられたと思うから、みーちの反応が楽しー…
「あれっ?どうしたの?何かお化け見た時みたいな顔してるけど」
本を両手で開いた状態でソファーに座ったまま、口を小さく開けてこちらを呆然と見つめたまま動かないなんて、どうしたんだろうか。らしくないぞ。
ちょっと動いた拍子に腰をやっちゃったのかな。
うちが上半身を左右に揺らしながら「おーい」と、何度呼び掛けても反応が全く無いから迎えに行くか。
キンちゃん用の椅子からソファーまでは5歩で着くので、トコトコ歩いてみーちの左隣に座り、肩を優しく叩きながら声掛けをする。
「どうしたの?わたにほ出来たから読んでみてよー」
みーちは口を真一文字に閉めると同時に目を固く閉じ、しっかりと一拍おいてからガバリと勢い良くこっちに強い視線を向けてきた。
「どうしたのじゃないから!散々独り言をぶつくさ言ってた事に対しての弁明なり釈明なりを一切しないで、突然『出来たっ!』って歓喜に満ち溢れる人間めっちゃ怖いから!!」
「ほへ?何か言っちゃってた?無意識だわー…。まぁ読んで読んで」
「ちっ!」
舌打ちされた人~?
はい、小澤です。
【わたにほ】
《古墳時代part2》 ※OKグーグル、ワイドショー風で♪
●前回の続き、今回は中期〔4世紀後半~5世紀末〕の話
★麻来的!~朝鮮半島と倭国物語~
〔第弐話〕 お山の大将、世界を知る
391年、百済の期待に応え、倭国軍は新羅の王城を占拠することに成功した。
しかし!朝鮮半島には忘れてはならない国があった。
そう、北の高句麗である。
400・404年と倭国軍は高句麗に大敗を喫し、朝鮮半島においての影響力は弱まったのであったー。 続
次回 最終話 権力の届かぬ者。待て、次回!
上の話の証拠がコチラ!
◎高句麗好太王碑文 @中国吉林省←朝鮮半島じゃないんかい! *1
・414年に子の長寿王が建てた。
・高さ約6.4mで約1775字が4面に刻まれている!
・内容:391年に倭が百済と新羅を臣民にした。
399年、百済が倭と通じて、新羅内に倭兵が侵入したため、救援のために5万の兵を派遣した。
また、404年には倭の水軍が帯方界まで侵入して来たから好太王自ら兵を率いて大敗させた!と、書いてある。*2
・内容に誇張や虚偽があるけど、この時代の貴重な資料!
★麻来ラム★ ーなぜ倭兵はボロ負けしたかー
・倭国軍は大刀と重い甲で武装し、接近戦を戦法としていた。
・高句麗軍は組織的な騎兵で武器は矛。歩兵にしても鉞や超距離型の弓を持っていた。
結論:そりゃ負けるわ。
■この頃世界では…■
・420年 中国で宋が建国される!←479年に滅亡…。
・442年 北魏が華北に統一政権を樹立!
□ 倭の五王現るッ!
・421~478年にかけ、宋への朝貢を行い、皇帝によって冊封を受けた!*3
・五王の名前:讃/珍/済/興/武!←この順番で宋に朝貢した。5人の関係性は未だ不明だよ!
・武は[雄略天皇]であると考えられている!
●『宋書』倭国伝 ー倭王武の上表文ー *4
・東の毛人、西の衆夷、海北への征服活動をし、中国皇帝の徳を行き渡らせるために領土を広げる行為を(ヤマト王権は)行っていると主張している!
↑毛人は蝦夷。衆夷は九州のヤマト王権に服属していない熊襲や隼人、海北は朝鮮半島のこと。
□この頃の古墳は……
・5世紀に入ると前方後円墳の規模が巨大化!
・ヤマト王権の盟主墳が百舌鳥・古市古墳群に移動!*5
↓代表的な古墳はもちろんコチラっ!
◎大仙陵古墳 @大阪府堺市
・全長486mで百舌鳥古墳群の代表格!日本最大!
・日本書紀の記述により、仁徳天皇陵とされている。
・680万700人の人手と15年8ヶ月の年月がかかったとされる!(大林組プロジェクトチーム「王陵」1985年より)
○まとめ○
・中国に冊封を求めたのはこの時代だけ!
・ヤマト王権は虎の威を借りるために大国にすがった。
・中期は百済・宋とお互いに良く海を渡りました。←実は倭人だけじゃなかったよ。
*1:広開土王とも呼ばれている。どっちでもOK!
*2帯方界:平壌の南海上あたり。高句麗の本拠地のそばだった!
*3冊封:従属すること。宋の配下!
*4『宗書』:宗の60年間について沈約が書いた。全100巻の紀伝体。倭国伝は正しくは[夷蛮伝倭国条]。
*5:百舌鳥・古市古墳群は2019.07.06世界文化遺産に!おめでとう♪
(1248字)
☆あくまで個人の意見です!
☆諸説あり!
To be continued...
「うん。はい、内容についての質問は特に無いんだけど、『死にたくない』って言ってたのはなんで?」
胸の高さで小さく右手を挙げながら、一切こちらを見ずに淡々と聞いてきた。
それを受けたうちは今、非常に動揺している。
確かにまとめながら『死にたくない』って思ったけど、声に出していたとは…。突然言われたら不穏すぎるワードじゃん。
でも、何でかを話す前に【わたにほ】を片付けないといけない。
うちもみーちと同じようにクールに話を進めることにする。
「それを話す前に、今から出すクイズに答えて貰わないといけない」
「RPGゲームの中ボスみたいな台詞…。まぁ、答えてあげよう」
中ボス?倒される事が必至なのに強がっているって事かしら?
兎に角、キミにこの問題が解けるかな~?の、ノリで出題してあげよう。うちは空気が読める大人。
「百舌鳥・古市に巨大前方後円墳が沢山造られた理由は何故でしょ~かっ?」
……しまった。
陽気さを重視して、傾げた顔の横で両手をパーに広げつつ右足の爪先を上げるモーションをしてしまった。チュートリアルの小ボスに成り下がってしまった。
思わず口許に拳を当てながら高速で反省会をしていたら、みーちが俯いていた姿勢から顔を上げた。答えをどうぞ。
「んー…そこに王族が沢山居たんじゃん?あとは、テオティワカンとかマヤのピラミッド的な奴に取り入れられてた春分と秋分の時に光の柱が出来るみたいな立地だったとか?」
「ておてぃわかんって一瞬何かの呪文かと思ったわ。古墳人はえらい現実的で、百舌鳥の古墳たちは当時の海岸線に沿って造られてて、古市の方は難波から倭の中心に続く陸路に造られたの。百済や宋の使節の目を意識した立地だったらしいよ。今は木が生えまくって山みたいだけど、本来の古墳は拭石が敷き詰められていて見た目真っ白だし、巨大だし、目を引くよねー」
「成る程ねー。雲のトランポリンみたいな感じね」
「え?……う、ん…そう、かな?」
大きい公園にある巨大な白いトランポリンね。跳び跳ねすぎると、地面を歩くときに足下が覚束無くなるアレね。
あ、てお……何だったか忘れちゃったよー!草や蔦が脚に絡まり付いてきそうなマジカルな響きだったのに。
「で、何を悩んでた訳?」
うちの脳内事情などお構い無しに、頬杖をつきながら左上にあるうちの顔を気だるげに見つめてきた。良い女がするやつ。
確かに、約束の【わたにほ】は一先ず終わったから……よし、言おう。そしてみーちにどうすれば良いか判断を仰ごう。
キンちゃんの後ろの空きスペースに置いていたノートを取り、該当ページを開きながらおずおずと話し出す。
「えっとね……」
〔古事記の『三韓征伐』って知ってる?…あ、知らない。
仲哀天皇が神功皇后と九州の熊襲を征討しに向かったの。で、筑紫に滞在中に航海の神である住吉大神から「海を渡って新羅を討て」って神託が下ったのね。それに対して出兵を拒否した天皇は神罰が下って急死…。
皇后は側近の武内宿禰と大軍を率いて渡海し、戦わずして威圧で新羅を臣従させたんだって。しかもこの時お腹には赤ちゃんが居て、石でお腹を冷やして出産を3ヶ月遅らせて、筑紫で応神天皇を出産したって話。
ちなみに、その応神天皇は八幡神として祀られていて、この後の時代でもちょいちょい出てくるよ〕
みーちに【わたにほ】に書くべきか迷った話をぽそぽそと伝えた。
聞き手のみーちは、時折「ふーん」と言いながら最後までしっかりと聞いてくれた。
そして話し終わると同時に、うちの手からひょいとノートを取り、パラパラ捲りながら口を開いた。
「私的には別に字数も稼げるし書けば良いと思うけど、何が問題なわけ?」
「え?ええと…お察しの通り、この話は好太王碑文にある、倭兵軍が新羅の王城を占拠した記述と合致するのね。更には、その碑文には真実は違えども百済と新羅を臣民にしたって書いてあるでしょ。この古事記と碑文の2つが戦時下において、日本軍が朝鮮半島を統治する正当な根拠にされていたんだって…」
「……ほう」
みーちが事情が変わったぞと言うかのように、少し下りていた瞼をしっかりと上げ直し、頬杖を止めてしっかりと左側に立っているうちの方へと体ごと向いた。
それを内心ありがたく思いつつ、うちの本音を言わせて貰う。
「戦争ってデリケートもデリケートな問題だし、況してや日本の神様が外国に出兵しろってけしかけるなんておかしいと思わない?他国に迷惑をかけてまで日本の領土を広げんなよって思って、書くべきかどうしたもんか悩んでたの。仮に書いたとしても、文章にこのうちの批判的感情が滲んじゃいそうだし、多神さんやチェックしてくれているらしい神様がお怒りNG出して来たら一巻の終わりだしさ」
「ん、理解した。でさ、朝鮮の人たちは件の碑文を見る度に『く、くやし~い』ってなってるの?」
「え?……朝鮮半島に住む皆さんの国民感情は本の何処にも無かったから分からん」
突然何を聞いてきたかと思えばだった。そもそも、碑文があるのは吉林省だから、気軽に見に行けないよ。パスポートプリーズだよ。
でも、お陰で少し重くなっていた空気は見事に霧散したから感謝しておきます。
「で、結論。このノートには既に書いてある訳だし、付け足すかは好きにしたら?」
「んー…なら【裏にほ】には書いておこうかな」
この話題を完全に無かった事にするのは違うと思うし、花奏ちゃんの為と言うよりも、大学で政治学を学んで今は日本史と向き合っている自分が忘れないためにデータとして残そう。
ん?でもちょっと待てよ……。
神様が実在するのは多神さんで分かりきっているのに、勢いで住吉大神様をディスってしまった気が……。
「ねぇ、『うらにほ』ってなー…」
「うわぁあああああああああーっ!!」
恐ろしい事実に気付いてしまった。
瞬く間に全身を悪寒が走り、恐怖で頭を抱えてその場にしゃがみこんだ。
ヤバいヤバい……こ、このままだと神罰が下る。
目の前のモコモコルームソックスに包まれた脚に土下座状態でしがみつき、じわじわと涙でぼやけてきた両目を上に向けて、脚の持ち主に懇願する。
「みーちっ!うちの代わりに多神さんに質問聞いて来て!」
「え?イヤだけど」
「ヤダダメーっ!お願いお願い!住吉大神様の事を悪く言っちゃった事について、多神さんに『うち死にますか?』って聞いた瞬間、『そうだな』って言われながらザスッと殺られたら怖いもん!だからみーちが『あーち、どうにかなっちゃいますか?』って聞いてーっ!」
「落ち着け。神様の悪口言った事で死ぬなら、あーちはもうとっくに息絶えてるから」
「酷っ…!」
もう死んでいるって、一気に世紀末みたいな事をサラっと言わないでよ。今だけは本当に笑えないから。
それに、住吉大神様は今はまだ、ただ知らないだけかもしれないじゃない。
多神さんが住吉大神様と友達だったり、直属の部下とかだったら絶対チク…伝えちゃう。それを防ぐために実々様に一肌脱いで欲しいのよ。
もう少しで涙が一筋流れそうな、今にも溺れそうな目で諦めずに陳情する。
「心を入れ替えー…るのは直ぐには無理だから、これからはしおらしくしますから、どうかお許し下さいって伝えてー!最悪アウトでも無関係なみーちを挟む事で即死を回避させて!うぅっ……自分で言ってて辛くなってきたけど!」
脚を両手でガクガク揺すりながら全力でお願いしたからか、あゝ無情を貫いていた相手側に動きがあった。
「ええぃ、くどいぞっ!」
「あぁっ……」
立ち上がりながら、しがみついていたうちの手を容赦無く振り払われた。継母がするやつ。
床に悲劇のヒロインのように倒れ伏せながら見上げると、みーちは大きく溜め息をつきながら腕を組み、仕方がないなと言う顔をしていた。さながら熱海の貫一とお宮の像の構図。
「その命が大丈夫かどうかの質問しか聞かないからね!で、夕飯はシチューね」
「みーち様っ…!感謝の言葉しかございません!」
「はいはい。感謝しなさい」
片手を上げながらみーちはキッチンへと去っていった。イケメンがするやつ。
その背中を万謝の笑顔で見送りつつ、この命が消えずに済んだらお祝いしないとだわ!と思いながら床から椅子の上に移動し、【裏☆わたにほ】ファイルを開いた。
…あ、今まさに、脚に絡まり付く呪文の効果をみーちに自分でやってしまってたな。て……何だったっけ?もう完全に忘れた。後でみーちに聞こう。
12/02(Sun)
まだ身体に一切の異変はおきておりません。(夜11時現在)
みーちにうちの命、預けた!
そう言えば、みーちは今日は朝はトースト、お昼は豆腐丼、夜はシチューと、3食全部白い物を食べていた。白物は家電だけじゃなかったんだね。
テオティワカン!忘れないように書いておきます。まさかメキシコの世界遺産で、この古墳時代にバッチリ被っている遺跡だったなんて……デスティニーか。
おわり
[字数 13392+1248=14640]
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