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第二章
ハーフ
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「なんか……ごめん」
部屋の外に出ると、タタタとタフィーが走り寄ってきてユーゴの袖を引いた。それから、申し訳なさそうにそう言って視線を下げる。
「タフィーのせいじゃないよ」
レイのことを言ってるんだろう。確かにびっくりしたし内緒にされていたのは腹が立つけれど、おかしいと思いながら聞きもしなかったユーゴにだって問題はあった。
「でも、本当にわからなかったんだ。確かにレイくんは人間にしては不自然で、でも、気配も味もちゃんと人間で……」
「あー……レイくん、ハーフだからね」
「ハーフ?」
ユーゴが首を傾げるとタフィーがコクンと首を縦に振った。
「魔物って普通木の股から産まれるじゃん? でもレイくんは人間の父親がいて魔女だった母親の腹から産まれたんだよ」
「そんなことあるの?」
「まあ実際いるからね。他にもうひとり知ってるし」
びっくりしすぎて何度も瞬きを繰り返すユーゴを見て、何故かタフィーは得意げに笑った。
「ハーフってさ、めちゃめちゃ力が強いか弱いか両極端なんだって。レイくん、普段あんなだけどすげぇ強いらしいよ」
そうなんだ。と感心していると、ガチャとドアが開く音がしてレイが出てきた。セオドアに怒られたのか、ちょっと疲れた顔をしている。
その顔をチラリと見て、ユーゴはタフィーに挨拶だけするとさっさと歩き出した。その後ろをあわてたようにレイがついてくる。
少し可哀想かなとも思ったけれど、ユーゴはまだレイから何も聞いていない。なあなあにするつもりはないのだと、態度で示したかった。
無言のまま部屋まで歩いて、客船ターミナルでもらっていた鍵をさす。ドアを開くと豪華な客室がユーゴとレイを出迎えてくれた。
でも、相変わらずユーゴは無言のまま部屋の中の探索をし、所在なげなレイはダブルベッドの上に膝を抱えて座って上目遣いにユーゴを見上げて……。───で、冒頭に戻る、という感じだ。
部屋の外に出ると、タタタとタフィーが走り寄ってきてユーゴの袖を引いた。それから、申し訳なさそうにそう言って視線を下げる。
「タフィーのせいじゃないよ」
レイのことを言ってるんだろう。確かにびっくりしたし内緒にされていたのは腹が立つけれど、おかしいと思いながら聞きもしなかったユーゴにだって問題はあった。
「でも、本当にわからなかったんだ。確かにレイくんは人間にしては不自然で、でも、気配も味もちゃんと人間で……」
「あー……レイくん、ハーフだからね」
「ハーフ?」
ユーゴが首を傾げるとタフィーがコクンと首を縦に振った。
「魔物って普通木の股から産まれるじゃん? でもレイくんは人間の父親がいて魔女だった母親の腹から産まれたんだよ」
「そんなことあるの?」
「まあ実際いるからね。他にもうひとり知ってるし」
びっくりしすぎて何度も瞬きを繰り返すユーゴを見て、何故かタフィーは得意げに笑った。
「ハーフってさ、めちゃめちゃ力が強いか弱いか両極端なんだって。レイくん、普段あんなだけどすげぇ強いらしいよ」
そうなんだ。と感心していると、ガチャとドアが開く音がしてレイが出てきた。セオドアに怒られたのか、ちょっと疲れた顔をしている。
その顔をチラリと見て、ユーゴはタフィーに挨拶だけするとさっさと歩き出した。その後ろをあわてたようにレイがついてくる。
少し可哀想かなとも思ったけれど、ユーゴはまだレイから何も聞いていない。なあなあにするつもりはないのだと、態度で示したかった。
無言のまま部屋まで歩いて、客船ターミナルでもらっていた鍵をさす。ドアを開くと豪華な客室がユーゴとレイを出迎えてくれた。
でも、相変わらずユーゴは無言のまま部屋の中の探索をし、所在なげなレイはダブルベッドの上に膝を抱えて座って上目遣いにユーゴを見上げて……。───で、冒頭に戻る、という感じだ。
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