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新緑の眩しい季節がやって来た。
今日は神奈川県立古羽高等学校の始業式。

とうに式は始まっているというのに、こんな時間になって登校して来る金髪姿のだらしない生徒が一人。

それが俺、高須健人だ。
今日から3年生だというのにやる気は全く無し。世間ではこういうのを"問題児"だとか"不良"などと言うのだろうか。

健人「校長の声ここまで漏れてやんの、どんだけデカイ声出してんだよ。あほくさ。」

ぶつくさ言いながら正門を通過すると、下駄箱に竹刀を持った生活指導の先生が一人、大崎先生だ。俺はあの先生が苦手だ。

大崎「遅いぞ高須!もう始業式始まってるぞ!走れ!」

健人「もう終わる頃だろ?いいよ出なくて、てか竹刀とか古いから辞めな。」

大崎「古くない!ナノカーボン竹刀だぞ!一昨日買ったんだぞ!」

健人「そういう問題じゃねーし。」

そうこうしている間に始業式が終わった様だ。こんな俺でもクラス替えは多少ワクワクする。高校生活の中でも比較的ビッグイベントだと思う。

しかし俺は遅刻しているので、クラス名簿の紙を貰い損ねているのだ。大崎先生から自分が何組なのかだけ聞き、新クラスへと向かう。大崎先生のニヤニヤ顔が気になるが、まぁいい。

新しいクラスは3年3組だ。教室のドアを開けると既に集会を終えた生徒たちがホームルーム前の自由時間を過ごしていた。

俺の席は~、あった。1番前の左から3番目。1番前かよ。大外れだ。すると教室のドアがドン!と勢い良く開き、見覚えのある坊主頭が入って来た。校内でも有名な風間晋平だ。そして大きな声で俺に話しかけた。

晋平「お!たか助遅いよー!ってか席となりじゃん!はははっ!」

健人「お前のとなりかよ、こりゃ大外れじゃ効かねーな・・・ってかその呼び方辞めろ。」

晋平「ひど!ひどひどひど!!」

実際のところ晋平はいい奴だ。明るく友達も多い。だが少々馬鹿なのがたまに傷であり、相手をするのが疲れると感じる事もしばしば。晋平は俺の左隣に座り、続けてこう話し出した。

晋平「こーちょー先生の話しすげー良かったぞ!特にあの話し、なんつったっけな!・・・忘れたー!はははは!!!」

この通り馬鹿なのだ。晋平とくだらない話をしていると1名の美女が視界に入って来た。学校のマドンナ的存在である藍田里奈さんだ。身長は165センチほどあろう長身で細身。黒髪のロングヘアーが揺れる、俗に言う清楚系女子だ。1年生の時から憧れだったが声をかけられずにいた。まさかクラスが同じだったなんて、大当たりだ。

一気にクラスが明るくなった気がした。いい機会だ。里奈さんとお近付きになれる様に頑張ろう。里奈さんは俺の左隣の晋平の、さらに左隣の窓際の席に座った。

晋平「りなてぃー!さっきこーちょー先生の話しなんだったっけ?唐揚げ弁当らへんまでは覚えてるんだけどな!」

里奈「唐揚げ?校長先生は好きな物をとことんやろう、進路を真剣に考えようってお話をしてたよ。」

晋平「それだそれだ!唐揚げ弁当の話は今朝の母ちゃんの話しだ!はははは!!!」

朝っぱらから唐揚げ弁当トークをする家庭って。こいつの家らしいっちゃらしい。血は争えないって事なのか。そしてそんな下らない質問をマドンナである里奈さんに気安く出来てしまう辺りも、つくづく馬鹿だなと感じてしまう。

しばらくすると教室のドアが開き、新しい担任の先生が入ってきた。見覚えのあるナノカーボン竹刀。まさか。

大崎「席に着け!ホームルーム始めるぞ!」

さっきのニヤニヤはこういう事か。やはり大外れだ。


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