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次の日、部屋から出ると兄が無言で待ち構えていた。

「おはよ」
「…おはよう。晴、着替えたら、そこに座りなさい」 

なんかものすごく怒っている。朝ごはんは用意してくれたみたいだけど、なんかオーラがすごい。

「お兄ちゃん一晩考えたんだけど、やっぱりあいつは駄目だと思う。晴にふさわしくない。万が一恋人とかになるなら話は別だが、あんなに取っ替え引っ替えで遊びまくってるやつお兄ちゃんは認められない」
「噂でしょ、本当に取っ替え引っ替えかはまだ分かんないじゃん」
「でも、噂が立ってるってことは!」
「兄ちゃんだって親衛隊の人とやることやってるらしいじゃん」
「違う、頻度というか、俺はその…」
「俺、まぁまぁ経験あるし」
「そう!それも!スルーしてきたけど聞いてないし!許せません!」
「別にいいじゃん。ていうかまだ付き合えるか分かんないんだしかっこいいって思うのも駄目なの?」
「いや、そのそれは…」

中々引き下がらない兄に、少し腹が立ってきて、俺も負けじと応戦する。


「…俺さ、前の高校でビッチって噂されて、遠巻きにされてたんだ」
「え、」
「確かに遊んでた。周りから見たら取っ替え引っ替えに思うくらい、セックスしてたかもしれない。…男が好きで、気持ち良いことが好きで、もっともっとって変に焦ってた。自分の中では線引きというか、毎回今度こそ本気で好きになれるかもしれないと思ってた。でも、俺にはそれが難しかったんだ」
「……」
「何も無い所に噂は立たないかもしれない。だけど、噂の渦中にいる人の気持ちを俺は人より理解できると思う」
「晴……」
「はじめてなんだ、本当に。男が好きかもしれないと思っても恋はしてきたことがないから。はじめて、本当に好きになりそうな人なんだ」
「……」
「きっと、蓮夜先輩となら、本当に気持ちいいセックスが分かる気がする」

俺がそう言い切ると、兄は何故か辛そうな顔をして俯いてしまい、何も言えずにいた。

「応援してくれないなら当分部屋に帰らないから」
「え、ちょっと、晴!」

言い逃れるように部屋を出た。すると、ちょうど深山くんが部屋から出た所で、鉢合わせてしまった。

「…兄弟喧嘩?」
「そんなとこ」
「名取会長と名取って溺愛されてるらしいけど意外と喧嘩とかすんだな。」
「するよ普通に。あと、名前で呼んで。兄ちゃんと分かりづらい。」
「確かに!んじゃ晴って呼ぶわ」
「ん。俺はなんて呼べばいい?」
「啓太とか啓とかなんでもいいよ」
「んじゃ啓で」

教室に向かう途中、今度は翔と会った。

「あれ、二人揃って来たの?怪しいな~」
「何がだよ。あ、そうだ翔、今日泊めてくれない?」
「え、何。二人ってそういう関係?」

なんか啓が後ろでこちゃこちゃ言い始めたが、無視する。

「兄ちゃんと喧嘩した。帰りたくない」
「…見返りは~?」

翔の顔が雄になる。
俺は、最大限に色気を含ませた吐息混じりの声で、翔の耳元で囁いた。

「ご想像の通り♡」
「そうこなくっちゃ」

翔がペロ、と舌で唇を舐め、嬉しそうに笑う。

「え?何?まじでそういうこと?」

啓のことはガン無視だ。まあいいだろう。

「生徒会の仕事はどうするの?」
「それはいく。それとこれとは別。仕事は仕事。」
「偉いじゃん。じゃあ夜に期待だね」

戸惑う啓に別れを告げて、俺と翔は1ーAの教室に入った。



そして放課後、時間に余裕を持ってゆっくり歩いてきたから今日は息切れを起こさなかった。
途中で翔がかなり気を遣ってくれたから休みながらいけた。


生徒会での作業中、兄が何か言いたそうにチラチラ視線を受けていたが、一足先にノルマが終わったので、兄に何も声をかけないまま翔と帰ることにした。

売店で夕飯と明日の朝飯を買い、翔の部屋に入ってゆっくり過ごした。
先にお風呂に入らせてもらい、交代で翔が入っている間、ソファでテレビを観ながらだらだらと過ごしていたらいつの間にか上がってきていた翔に手を引かれて、寝室に連れて行かれた。

男二人では少し狭い、セミダブルのベッドの上に二人並んで座っている。
俺の着ていたジャージに手をかけながら翔が話し出す。

「晴くんはさ、風紀委員長のことが気になってるのかと思った」
「え?気になってるけど?ってか好きだけど」

あっけらかんと言うと驚かれた。

「そうなの?え、今から俺とヤるのは大丈夫?」
「別に良くね?片想いだし。気持ちいいこと大好きなお年頃」
「おっとこまえだね~(?)健全な男子高校生って感じで好き」

たまらずといった感じで軽いキスを何度か落とされる。
小気味良いリップ音が、これから始まる行為に対する前奏のようで、期待が高まった。

「あ~、ちゃんとすんの割と久しぶりだわ」
「まじ?てことは、この学園で初?」
「うん、まぁそゆこと」
「やり。記念すべき一発目いただきます」

心底嬉しそうに尻を撫でられた。

「あとさ、まじで体力ゴミだから途中でバテたら悪い」
「あ~、そうだね。それは覚悟かも」

翔の顔付きが変わる。こういう時、スイッチが入る感覚なのかもしれない。

「んじゃ、パパっとシちゃいますか」
「んっ…」

言うやいなや、深く口付けてきた。口内を好き勝手に弄られる。舌が縦横無尽にえげつなく動く。唇丸ごと喰われるんじゃないかと思うほどの深いキス。

「んん~~っ、ふ、はぁ、はぁ、ん」

角度を変えて、息継ぎをして、何度も何度も口付けられる。
正直、上手い。
それだけでイッてしまいそうになるほど、快感を貪るものだった。
まさに性急、というくらいに容赦なく責めたてられる。
慣れているのがめちゃくちゃ分かる手付きで的確に俺の気持ちいいポイントをついてくる。

「しょお…ちゅー、上手…」

俺は、キスだけでとろとろに溶けさせられていた。頭に酸素が上手く回らなくて、それが何とも心地よくて。

「本当?良かった。気持ちいい?」
「ん、気持ち、いい…」

素直にそう言うた、翔の喉が鳴る音が聞こえてきて、直後にまたキスを一つ、落とされた。
その合間に巧みに弄られてすっかり敏感になった乳首もくるくる、こりこりと触られてはたまらない気持ちになる。
ぷっくりと立ち上がった乳首を指で弾くように苛められて、その強い刺激に射精感が高まった。
我慢しようとしても漏れ出る声が止まらない。

「声、がまん、出来な…ん、あ、あ」
「晴くん、エロすぎ…やばいって…」

股間の方に翔の手が伸び、容赦なく揉みしだかれる。
つぅーと、下からなぞっていたかと思えば先の方をくり、と触られ、ゾクゾクが止まらない。顎をのけぞらせて刺激から必死に耐える。
翔の弄る手は、どこも気持ち良くてたまらなかった。

「あ!んあ!や、それ、ア!」

そうかと思えば今度は穴に指を突っ込まれ、内壁を擦られる。
こいつ、本当に慣れてる。翔のペースのままずっと好き勝手されてるのが、少しだけ悔しかったが、何も出来やしなかった。
いつの間にか中の指は2本に増え、挿し入れされる。
グチュグチュと聞こえる音、前立腺を内側からトントンされて訳が分からなくなってくる。
強すぎる快感にクラクラしてきた。

「晴くんさては毎日弄ってるでしょ。もう柔らかいんだけど。今ね、指3本入ってるよ」
「あ、はぁ、は、あ!分かんな…気持ちいい、んあ!」
「かわいい……」

こんなに訳が分からなくなるセックスは経験をしたことがない。大体、独りよがりに穴に突っ込まれて俺は適当にイカされて終わり。

キスだって、こんなに深いのは、ファーストキスの時以来で、だけどあの時とは比べものにならないくらいもっともっと激しかった。

もっと気持ちよくなりたい。


俺は、更なる快感を目指してろくにまだ何もしてあげられてない翔のものに手を伸ばした。

「晴くん?どしたの?」
「ん…舐めたい…はぁ…」
「え!?!?ちょ」

制止の声も聞かずに、翔のものを躊躇なく口に含む。
俺の痴態をみて、既にガチガチに硬くなってくれていたことが嬉しい。やり方は、理事長を頭の中で参考にして、無我夢中で舐め回す。

「…あ、そこ…ん、上手だね…」

翔が俺のフェラで感じてくれてるようで、優しく頭を撫でられた。
翔の感じてる声と漏れ出る吐息に当てられて、俺はもじもじと腰が動くのを止められなかった。

「ね、もう挿れて…?我慢できない…」
「…晴くんのエッチ」
「んああ!」

瞬間、体制を無理矢理変えられたと思ったら、ズクンと奥深くまで突き刺さる衝撃。
目の前に火花が飛び散ったような感覚がして頭が混乱した。

「はぁ、はぁ、んぁ……?何、これぇ、」
「晴くんたら、挿れただけでイッちゃったの?そんなにこれ、欲しかったんだ」

どうやら俺は、挿入された瞬間に達してしまったようだった。
恥ずかしすぎる。
赤くなった顔を隠すように、震える声で必死に叫んだ。

「…んっ、あ、もう、いい、から…はやく動いて…!あっ、んん」
「煽ったのはそっちだから、ね!」

ズン、と大きく動き始めたのをきっかけに激しく抜き差しされる。肌と肌のぶつかる音が生々しい。

「あっぁ、んああ、あ、イッ、ん、あ!!」

イッたばかりで激しく動かれると、敏感になりすぎて辛いほどの快感に襲われる。
突かれて、いいところを掠められる旅にイキ続けているような状態で、最早ひっきりなしに喘ぎ続けている。
みっともなく喘ぐ意外に他になす術はなかった。なけなしの余裕なんてとっくのとうにどこかへ消えた。

「あ~、晴、晴くん、ほんといい、最高、可愛い…」
「…ッッ!だ、め!また、イく!あ、あああ!」

もう何度目か分からない射精に、震え上がった。
ゾクゾクが、気持ちいいのがずっと止まらない。

「俺も…ッ!ん…」

俺が何回もイッてる間に、ようやく翔が低く、小さい声で呻いてイッた。
それを見て、とてつもない満足感と同時に疲労感に急激に襲われた。
治りきれない荒い息と共に布団に倒れ込む。自然と重くなっていく俺の瞼を見て翔は優しく微笑み、後やっとくから安心して、と言ってくれたのでありがたく任せることにして寝た。

目を覚ますと、翔に腕枕されて寝ていた。裸のままだが、布団も身体もすっかり綺麗になっていて処理してくれたことを悟った。
俺の身じろいだ気配に気がついたのか、翔も目を覚ます。

「おはよ」

ふわりと微笑んでこちらを見る翔。なんだかまるで恋人に向ける眼のようで見てるこっちが恥ずかしい。朝からその顔は眩しすぎる。

「おはよ。処理とか、任せて悪い。ありがと」
「全然大丈夫。寝てる晴くん、無防備で可愛いかったし」
「あんま嬉しく無い」
「そう?」

ふふ、と翔が楽しそうに笑う。一晩明けたのに事後のような、くすぐったくなる空気だった。

「晴くんまた俺と遊んでよ。すっごく良かった。風紀委員長が本命でも全然いいよ。」

翔が俺の髪の毛をくるくる弄りながら、そこに軽くキスを落としてくる。

「もちろん、超気持ち良かったし。」
「まじ?やった~~~」

そういうと翔は心底嬉しそうに抱きついてきた。腰が痛い。
それに軽く返しながら、そろそろ準備しようと思って起き上がる決意をした。

しかし、腰と尻が死にそうだったので、結局翔に起き上がるのを手伝ってもらい、何とか支度をしたのだった。


こうして、俺の友達第一号兼セフレができた。いやはや、慣れてるやつとのエッチは恐ろしい。
想像を絶した。
これ、好きな人とのセックスだと俺、どうなってしまうのだろうかとますます胸が高まった。

待ってて、連夜先輩!もうすぐ抱かれにいきます!
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