はなれ小島のぐー

みくもっち

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26 帰宅

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 家に帰り着いたころには暗くなっていました。
 コタローが出迎えてくれます。

「あんたは……知ってたんだね。ソーネが街を出るのを」

「……すまない。出過ぎたまねをして。だけどああでもしないとキミは素直に会いに行こうとしないだろう?」

「……うん。あのままだったらソーネにお別れのあいさつもできなかった。会えなかったら、後悔してたと思うよ……ありがとう」

「………………」

「ソーネと約束したんだ。いつかまた会おうって。それまでにソーネの絵を描いて、見せてあげるって。ボク、がんばるよ」

 ぐーの決意に、コタローは微笑みで返しました。
 それじゃあ、わたしはこれでと帰っていきます。

 ボートで帰っていくコタローをぐーは外で見送りました。
 いつの間にかそばにヤドカリのジョーもいました。

「あのコタローってなヤツな、ここ最近えらく早起きして野菜の世話してたんだぜ。オメーは気づいてなかったみたいだがよ」

「ナバンの野菜をコタローが? だからあんなに立派に育ってたのか……。ソーネのことといい、なんであんなに親切にしてくれるのかな」

「そりゃオイラにもわかんねーな。たしかに友達でもそこまでするかよって感じだよな」

 コタローの親切は度がすぎる気がします。配達人として知り合ってから、そこまで親しくなった覚えはありません。

 ぐーは家の中に戻り、ミラの様子を見ます。
 ミラはぎこちないですが、水槽の下のほうでゆらゆら泳いでいます。

「ミラも少しは元気になってきたみてーだな。このぶんなら安心だ。いつか前みたいに話せるようになるだろ」

「うん。ミラのことはまかせといて。……あ、ボクは今からちょっと集中してやる事があるんだ」
 
「いま帰ってきたばかりなのにか? まあ無理すんなよ、ぐー。またくるからよ、じゃあな」

 まだしゃべり足りなさそうなジョーでしたが、しぶしぶ帰っていきました。

 ぐーは窓辺の席に座り、スケッチブックを開きます。
 さっそくソーネの絵を描くつもりです。早く完成させた分、ソーネに再会できるのも早くなりそうな気がしたからです。

 まずは鉛筆で下書き。ぐーの目には夕方、堤防に腰かけたソーネの姿が焼きついていました。
 あのときのソーネの絵を描くつもりです。
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