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第2部 消えた志求磨
49 盾と機械(レオニード・ザハロフ視点)
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もうだいぶ長いこと突っ立ったままだ。いい加減飽きてきた。
隣のガンマンヤローは無愛想で話しかけてもロクに返事もしねぇ。
どうせ一緒なら由佳みたいなイイ女が良かった……。
「ちっ、退屈だぜ……。《宝剣男子》だか包○男子だか知らねーが、来るならさっさと来やがれ」
「おい、レオニード。気を緩めるなよ。来やがったぞ」
クレイグが腰のホルダーから2丁拳銃を引き抜く。
通路の曲がり角から姿を現した男──間違いない、《宝剣男子》華叉丸だ。
「この一本道の通路でまっすぐ向かってきやがる。バカが──」
クレイグの銃撃。ドドドドンッ、と2丁拳銃が火を吹く。
俺もサボってるわけにはいかない。両手をバキバキと硬質化、鋭利な爪と頑丈な皮膚を持つ魔物のような手に変化。
身長以上もある大弓に矢をつがえ、狙いを定める。ヤツは背後から出したデカイ剣で銃弾を防いではいるが、それ以上進めないようだ。この隙に仕止める。
願望の力を一気に高め、矢に乗せて放った。
矢は孔雀緑色の尾を引きながら一直線に華叉丸へ──。
ヤツは大剣を床に突き立てる。ゴッ、と白い光が立ち昇り、俺の矢はそれに吸い込まれた。
光が収まり、ヤツがいたところには大型の盾がズンとそびえ立つ。
「なんだぁ、ありゃ。あのヤローの能力か」
「……らしいな。おい、動きだしたぞ」
重そうな大型の盾が持ち上がった。盾を持っているのは白い甲冑の大柄な男。長い金髪になかなか整った顔立ち。
《聖騎士》マックス・ロックウッド。
頭の中にダダダダと文字が打ち込まれた。華叉丸はたしか剣を人に戻すこともできると聞いていた。あのロン毛はそうやって出てきたのだろう。
マックスは盾を前面に構えてズンズン歩いてくる。
後ろの華叉丸をかばいながらここを突破するつもりだ。
「ナメやがって……クソが」
クレイグが2丁拳銃をホルダーへ戻し、ババッ、とコートをひるがえす。
ジャララララッ、と弾帯が大蛇のようにのたうち出てきた。
ガシャアッ、と構えたのは──回転式多銃身機関銃。
「おいっ、いきなりぶちかますつもりか」
「うるせぇ……チマチマやんのは面倒なんだよ。コイツでまとめて肉片にしてやる」
ドギャギャギャギャギャッ、と激しい射撃音に舌打ちしながら耳を塞ぐ。
バラバラと飛び散る薬莢も当たり、熱っちい、くそっ、と悪態をつく。
全弾撃ち尽くし、キイイイ、と銃身の回転が止まる。
盾野郎と華叉丸は──。
硝煙で視界が遮られている。だがあれほどの射撃を受ければ跡形も残らないだろう。だが──。
ゴウッ、と硝煙を突き破って前進する大型の盾。おいおいおいっ、と慌てて矢を連続で放ち、クレイグも再び2丁拳銃で攻撃。
だがあえなく矢も銃弾も盾に弾かれ、あと数歩のところまでマックスが迫る。
「クソがっ!」
クレイグと同時に叫ぶ。突き出された盾の一撃をかわし、わずかな下の隙間に矢を射つ。クレイグはショットガンに持ち替え、やはり足元へ散弾をブッ放つ。
これは効いた。マックスはガシャッとヒザをつく。瞬間、盾の陰からバッと飛び出したのは華叉丸。跳躍して俺達の頭上を飛び越えた。
「行かせるかよっ!」
すかさず矢を放つ。しかし、ヤツの背中から1本の剣が飛び出して叩き落とされた。その剣はゴテゴテとした機械のような剣。カッ、と光ったと思えば人の形に変化。
俺の頭の中にダダダダがくる。
《願望式人型戦闘兵器》シトライゼ。
オレンジ色のおかっぱ頭に海外の近未来SF映画に出てきそうな濃い顔。ムチムチの赤いハイレグボディースーツに身を包んだ女だ。
シトライゼはジャキッ、とこちらに指先を向ける。イヤな予感がして飛び退いた。俺のいた場所にズガガガッ、と機銃掃射のように銃弾が撃ち込まれた。
指が銃……コイツ、まさかロボットの願望者なのか。
「目標は攻撃を回避。確実にダメージを与えるため、接近戦モードに移行します」
無表情、棒読みでシトライゼが向かってくる。くそ、コイツにかまっている場合じゃない。華叉丸を追わなければ。クレイグは──ダメだ、マックスの対応に手いっぱいのようだ。俺がどうにかするしかない。
大弓を構えようとして──ギャアッ、とシトライゼが一気に距離を詰めてきた。この速さ……よく見ればシトライゼの足の底がローラーブレードに変化している。
弓を叩き落とされ、左腕と首を掴まれて壁に押さえつけられる。なんてばか力だ……。このまでは首の骨がへし折られてしまう。
ヒザ蹴り。相手は微動だにしない。右拳で脇腹を何度も殴る。これも効果なし。
願望の力を高め、バキバキと硬質化した右手でシトライゼの顔面を掴んだ。ヤツの顔がミシミシと音を立てる。
こうなったら我慢比べだ。俺の首が折れるのが先か、そっちの顔面が潰れるのが先か──。
隣のガンマンヤローは無愛想で話しかけてもロクに返事もしねぇ。
どうせ一緒なら由佳みたいなイイ女が良かった……。
「ちっ、退屈だぜ……。《宝剣男子》だか包○男子だか知らねーが、来るならさっさと来やがれ」
「おい、レオニード。気を緩めるなよ。来やがったぞ」
クレイグが腰のホルダーから2丁拳銃を引き抜く。
通路の曲がり角から姿を現した男──間違いない、《宝剣男子》華叉丸だ。
「この一本道の通路でまっすぐ向かってきやがる。バカが──」
クレイグの銃撃。ドドドドンッ、と2丁拳銃が火を吹く。
俺もサボってるわけにはいかない。両手をバキバキと硬質化、鋭利な爪と頑丈な皮膚を持つ魔物のような手に変化。
身長以上もある大弓に矢をつがえ、狙いを定める。ヤツは背後から出したデカイ剣で銃弾を防いではいるが、それ以上進めないようだ。この隙に仕止める。
願望の力を一気に高め、矢に乗せて放った。
矢は孔雀緑色の尾を引きながら一直線に華叉丸へ──。
ヤツは大剣を床に突き立てる。ゴッ、と白い光が立ち昇り、俺の矢はそれに吸い込まれた。
光が収まり、ヤツがいたところには大型の盾がズンとそびえ立つ。
「なんだぁ、ありゃ。あのヤローの能力か」
「……らしいな。おい、動きだしたぞ」
重そうな大型の盾が持ち上がった。盾を持っているのは白い甲冑の大柄な男。長い金髪になかなか整った顔立ち。
《聖騎士》マックス・ロックウッド。
頭の中にダダダダと文字が打ち込まれた。華叉丸はたしか剣を人に戻すこともできると聞いていた。あのロン毛はそうやって出てきたのだろう。
マックスは盾を前面に構えてズンズン歩いてくる。
後ろの華叉丸をかばいながらここを突破するつもりだ。
「ナメやがって……クソが」
クレイグが2丁拳銃をホルダーへ戻し、ババッ、とコートをひるがえす。
ジャララララッ、と弾帯が大蛇のようにのたうち出てきた。
ガシャアッ、と構えたのは──回転式多銃身機関銃。
「おいっ、いきなりぶちかますつもりか」
「うるせぇ……チマチマやんのは面倒なんだよ。コイツでまとめて肉片にしてやる」
ドギャギャギャギャギャッ、と激しい射撃音に舌打ちしながら耳を塞ぐ。
バラバラと飛び散る薬莢も当たり、熱っちい、くそっ、と悪態をつく。
全弾撃ち尽くし、キイイイ、と銃身の回転が止まる。
盾野郎と華叉丸は──。
硝煙で視界が遮られている。だがあれほどの射撃を受ければ跡形も残らないだろう。だが──。
ゴウッ、と硝煙を突き破って前進する大型の盾。おいおいおいっ、と慌てて矢を連続で放ち、クレイグも再び2丁拳銃で攻撃。
だがあえなく矢も銃弾も盾に弾かれ、あと数歩のところまでマックスが迫る。
「クソがっ!」
クレイグと同時に叫ぶ。突き出された盾の一撃をかわし、わずかな下の隙間に矢を射つ。クレイグはショットガンに持ち替え、やはり足元へ散弾をブッ放つ。
これは効いた。マックスはガシャッとヒザをつく。瞬間、盾の陰からバッと飛び出したのは華叉丸。跳躍して俺達の頭上を飛び越えた。
「行かせるかよっ!」
すかさず矢を放つ。しかし、ヤツの背中から1本の剣が飛び出して叩き落とされた。その剣はゴテゴテとした機械のような剣。カッ、と光ったと思えば人の形に変化。
俺の頭の中にダダダダがくる。
《願望式人型戦闘兵器》シトライゼ。
オレンジ色のおかっぱ頭に海外の近未来SF映画に出てきそうな濃い顔。ムチムチの赤いハイレグボディースーツに身を包んだ女だ。
シトライゼはジャキッ、とこちらに指先を向ける。イヤな予感がして飛び退いた。俺のいた場所にズガガガッ、と機銃掃射のように銃弾が撃ち込まれた。
指が銃……コイツ、まさかロボットの願望者なのか。
「目標は攻撃を回避。確実にダメージを与えるため、接近戦モードに移行します」
無表情、棒読みでシトライゼが向かってくる。くそ、コイツにかまっている場合じゃない。華叉丸を追わなければ。クレイグは──ダメだ、マックスの対応に手いっぱいのようだ。俺がどうにかするしかない。
大弓を構えようとして──ギャアッ、とシトライゼが一気に距離を詰めてきた。この速さ……よく見ればシトライゼの足の底がローラーブレードに変化している。
弓を叩き落とされ、左腕と首を掴まれて壁に押さえつけられる。なんてばか力だ……。このまでは首の骨がへし折られてしまう。
ヒザ蹴り。相手は微動だにしない。右拳で脇腹を何度も殴る。これも効果なし。
願望の力を高め、バキバキと硬質化した右手でシトライゼの顔面を掴んだ。ヤツの顔がミシミシと音を立てる。
こうなったら我慢比べだ。俺の首が折れるのが先か、そっちの顔面が潰れるのが先か──。
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