33 / 44
33 仲直り
しおりを挟む
冷たい感触が額や頬を撫でる。
それで目を覚ました。わたしを覗き込むジェシカの顔。
わたしの頭をヒザに乗せ、濡れたハンカチで顔を拭いてくれていたようだ。
「ジェシカ……ここは? わたしたちは助かったのですか」
「うん。あの廃教会の地下道はそこの橋の下に繋がってたみたい。そこから脱出してきたの」
ジェシカが指差す先に古びた石橋が見えた。
「目が覚めたか。まったく無茶をする女だ」
後ろから声。振り向くとアレックス王がそこにいた。
「レイラ?」
ジェシカが心配そうに声をかけてくる。
彼の姿を見ると自然とポロポロと涙がこぼれてきた。
「お前ほどの女でも泣くか。フロストと戦った時でも平然としていたお前が。今回のことはよほどこたえたのか」
アレックス王の言葉にわたしは涙を拭い、首を横に振った。
「違います。正直に嬉しかったからです。あなたが助けに来てくれたこと。そして無事であったことが」
ハリエットの企みはジェシカを人質にしてわたし、そしてアレックス王を誘い出すのが狙いだった。
そしてこの周辺をロージアンとハノーヴァーの軍勢が包囲すると言っていた。
だけどそんなものは影も形も見えない。
わたしの言葉にアレックス王は軽く「そうか」と答え、うつむきながら周りには聞こえないような声で「お前も無事で良かった」と言った。
アレックス王の反応にジェシカがウソでしょ、と驚いていた。
ジェシカや家臣の前では暴言を吐き、尊大な態度を取る姿しか見せていない。
「そろそろ戻ってくる頃だ」
照れを隠すようにアレックス王は石橋の先の方に視線を移した。
今は水もほとんど流れていない川。その土手の向こうからウィリアムやフロスト、複数の兵士らが現れた。
そしてその後にはロープで縛られた集団が続く。
フードを目深に被った人物ら。ロージアンの残党たちだ。
ロージアンやハノーヴァーからの援軍をあてにし、簡単に逃げられると思っていたのだろう。
だが実際はどこからも助けは来ず、逆に捕縛される状況。
その中にはハリエットもいた。
怒りに満ちた眼差しをアレックス王に向け、喚いている。
「どうして……どうして軍が来ないのっ⁉ 絶好の機会だったのに! 軍さえ来ればアレックス王を仕留められたのにっ」
「ロージアンの残党か。フン、友軍に見捨てられたかなんらかのトラブルが起きたか。どちらにしろ無駄な謀りごとだったな」
無理やりひざまずかされた彼らの前で、アレックス王はぎらりと剣を抜いた。
「や、やめてっ! ハリエットを殺さないで!」
真っ先に飛び出したのはジェシカだ。
ハリエットらをかばうように両手を広げ、アレックス王に懇願する。
「……コイツらに殺されそうになったのになぜかばう? 理解できんな」
アレックス王が首をかしげる。わたしもジェシカの横に並んで彼らの助命を乞う。
「彼らにはもう反逆する力など残っていません。それにハリエット……エレイン王女はロージアンの最後の王族です。彼女が殺されれば、現在落ち着いてきたロージアンの統治に問題が起きかねません」
「王族の生き残りがいるからこそ、それに望みを託そうと反乱を企てるのではないか? ならば根絶やしにしたほうが早いとは思わんか」
「それは逆です。そんなことをすればロージアンのみならず、シェトランドやブリジェンドからも非難の声が上がるでしょう。もちろんダラム国内からも。ダラムによって統一されたこの大陸に必要なのは恐怖による支配ではなく、陛下の広い御心による仁愛です」
「なに、仁愛だと」
「はい。自国の家臣や兵だけでなく万民に対する愛です。大陸の覇者となった陛下にはそれを施す義務があると存じます」
「……やめろ。なんというか……むず痒くなる。よくもまあ恥ずかしげもなく愛などと」
「恥ずかしいことなどありません。何度でも言います。どうか陛下の温情と仁愛を──」
「やめろ、面倒な女だ……そいつらの処遇については助命の方向で考えてやる。一定期間は虜囚として幽閉するが」
「十分です。ありがとうございます」
アレックス王は辟易した顔で城の方へ戻っていった。
その後に続き、兵に囲まれながら歩き出すハリエット。わたしと目が合った。怒るでも礼を言うわけでもない。
ただ冷たく、暗い視線でなにかを言いたげな表情だったが、結局は言葉を交わすことなく重い足取りで連れて行かれた。
✳ ✳ ✳
その日の夕方。
ジェシカも侍女へと復帰し、わたしの自室で様々な話をした。
まずはハリエットのこと。
現在は城の一室に幽閉されているようだが、ひどい扱いは受けていないようだ。
たださすがに面会は許されていない。会えたとしても、今のハリエットはまともに会話しそうになかった。
「まさかハリエットがロージアンのエレイン王女たったなんて。はじめて聞いたときは本当に驚いたわ……これからどうなるのかしら? レイラが説得してくれたお陰で死罪は無さそうだけど」
ジェシカが不安そうに聞いてきた。
自身があんな目に遭ったのにハリエットのことを心配している。
アレックス王は助命を聞き入れてくれたけれど、廷臣らが何かうるさく言ってくる懸念はある。特に法や規律に厳しいギリアン司祭なんかが。
「わたしたちでなんとか守ってあげましょう。ここでは味方になるのはわたしたちだけでしょうから」
「うん……それとごめんね、レイラ。わたしのせいであんなことになっちゃって」
「いえ、わたしがちゃんと説明出来なかったのがいけないのです。あなたは大事な友達なのに」
「それはわたしだって同じよ。レイラがどんな人を好きになったって自由なのに、わたしったら」
ジェシカはアレックス王とわたしが親密な関係になっているとまだ勘違いしているようだった。
たしかに以前のような嫌がらせはないし、理不尽な叱責もない。
お互いに腹を割って話すようにもなった。
でもそれは個人的な恋とか愛なんかとは違う。
病に冒されている身で、この国や大陸の行く末を思っているのには尊敬に値するけれども。
「いいですか、ジェシカ。アレックス王のことなのですが……」
わたしはアレックス王の病について説明。
今までの横暴な振る舞いも、人を近づけさせないのもそれを隠すためだったことを明かした。
「まさかあのアレックス王が? 今日だって元気そうに見えたのに」
「日中は調子の良い時が多いようです。ですが夜や早朝には発作を起こしたり、熱を出すこともあります」
「意地悪な態度も戦好きなのも演技だったってわけ? 大陸の平定を急いだのもハノーヴァーの脅威から守るため?」
アレックス王の性格……残忍だとか凶暴だとかは噂に過ぎないこと。それと深刻な病に冒されていることは信じてくれた。
だけどジェシカはそれでも納得がいかないようだった。
「たしかに強引な軍拡や侵略、人質の要求など彼の行ってきたことすべてが正しいとは言えません。ですが彼なりに国や民を思っていたのは事実です。限られた時間の中で、孤独に」
わたしがそう言うと、う~ん、と腕組みをしながらジェシカは唸る。
「そう考えたらちょっと可哀想な気もしてきたわね。レイラはその良き理解者になってあげてるってことか」
「理解者……そうですね。彼の志を知ったからには少しでも支えてあげたいとは思っています。表面上だけとはいえ、わたしは王妃なのですから」
「んん~? 本当にそれだけ? 目を覚ましたときにアレックス王を見て涙を流してたじゃない。あれは恋する乙女の涙じゃないのかな~?」
「ち、違いますよ。あのときに説明した通りです。お互いの無事が確認できたのが嬉しくて」
「あ、レイラが赤くなってる! めずらしい!」
「か、からかわないでください。赤くなどなっていません」
わたしが両手で顔を隠すと、ジェシカが横や後ろから覗き込もうとする。
「絶対赤くなってるよ! ねー、顔を隠さないでよ」
「だ、だめです。これは……あの炎の中で肌が乾燥して、それで」
「うそだ~、だって同じ所にいたわたしは平気だもん」
そんなやり取りをバタバタと何度もわたしたちはくり返していた。
それで目を覚ました。わたしを覗き込むジェシカの顔。
わたしの頭をヒザに乗せ、濡れたハンカチで顔を拭いてくれていたようだ。
「ジェシカ……ここは? わたしたちは助かったのですか」
「うん。あの廃教会の地下道はそこの橋の下に繋がってたみたい。そこから脱出してきたの」
ジェシカが指差す先に古びた石橋が見えた。
「目が覚めたか。まったく無茶をする女だ」
後ろから声。振り向くとアレックス王がそこにいた。
「レイラ?」
ジェシカが心配そうに声をかけてくる。
彼の姿を見ると自然とポロポロと涙がこぼれてきた。
「お前ほどの女でも泣くか。フロストと戦った時でも平然としていたお前が。今回のことはよほどこたえたのか」
アレックス王の言葉にわたしは涙を拭い、首を横に振った。
「違います。正直に嬉しかったからです。あなたが助けに来てくれたこと。そして無事であったことが」
ハリエットの企みはジェシカを人質にしてわたし、そしてアレックス王を誘い出すのが狙いだった。
そしてこの周辺をロージアンとハノーヴァーの軍勢が包囲すると言っていた。
だけどそんなものは影も形も見えない。
わたしの言葉にアレックス王は軽く「そうか」と答え、うつむきながら周りには聞こえないような声で「お前も無事で良かった」と言った。
アレックス王の反応にジェシカがウソでしょ、と驚いていた。
ジェシカや家臣の前では暴言を吐き、尊大な態度を取る姿しか見せていない。
「そろそろ戻ってくる頃だ」
照れを隠すようにアレックス王は石橋の先の方に視線を移した。
今は水もほとんど流れていない川。その土手の向こうからウィリアムやフロスト、複数の兵士らが現れた。
そしてその後にはロープで縛られた集団が続く。
フードを目深に被った人物ら。ロージアンの残党たちだ。
ロージアンやハノーヴァーからの援軍をあてにし、簡単に逃げられると思っていたのだろう。
だが実際はどこからも助けは来ず、逆に捕縛される状況。
その中にはハリエットもいた。
怒りに満ちた眼差しをアレックス王に向け、喚いている。
「どうして……どうして軍が来ないのっ⁉ 絶好の機会だったのに! 軍さえ来ればアレックス王を仕留められたのにっ」
「ロージアンの残党か。フン、友軍に見捨てられたかなんらかのトラブルが起きたか。どちらにしろ無駄な謀りごとだったな」
無理やりひざまずかされた彼らの前で、アレックス王はぎらりと剣を抜いた。
「や、やめてっ! ハリエットを殺さないで!」
真っ先に飛び出したのはジェシカだ。
ハリエットらをかばうように両手を広げ、アレックス王に懇願する。
「……コイツらに殺されそうになったのになぜかばう? 理解できんな」
アレックス王が首をかしげる。わたしもジェシカの横に並んで彼らの助命を乞う。
「彼らにはもう反逆する力など残っていません。それにハリエット……エレイン王女はロージアンの最後の王族です。彼女が殺されれば、現在落ち着いてきたロージアンの統治に問題が起きかねません」
「王族の生き残りがいるからこそ、それに望みを託そうと反乱を企てるのではないか? ならば根絶やしにしたほうが早いとは思わんか」
「それは逆です。そんなことをすればロージアンのみならず、シェトランドやブリジェンドからも非難の声が上がるでしょう。もちろんダラム国内からも。ダラムによって統一されたこの大陸に必要なのは恐怖による支配ではなく、陛下の広い御心による仁愛です」
「なに、仁愛だと」
「はい。自国の家臣や兵だけでなく万民に対する愛です。大陸の覇者となった陛下にはそれを施す義務があると存じます」
「……やめろ。なんというか……むず痒くなる。よくもまあ恥ずかしげもなく愛などと」
「恥ずかしいことなどありません。何度でも言います。どうか陛下の温情と仁愛を──」
「やめろ、面倒な女だ……そいつらの処遇については助命の方向で考えてやる。一定期間は虜囚として幽閉するが」
「十分です。ありがとうございます」
アレックス王は辟易した顔で城の方へ戻っていった。
その後に続き、兵に囲まれながら歩き出すハリエット。わたしと目が合った。怒るでも礼を言うわけでもない。
ただ冷たく、暗い視線でなにかを言いたげな表情だったが、結局は言葉を交わすことなく重い足取りで連れて行かれた。
✳ ✳ ✳
その日の夕方。
ジェシカも侍女へと復帰し、わたしの自室で様々な話をした。
まずはハリエットのこと。
現在は城の一室に幽閉されているようだが、ひどい扱いは受けていないようだ。
たださすがに面会は許されていない。会えたとしても、今のハリエットはまともに会話しそうになかった。
「まさかハリエットがロージアンのエレイン王女たったなんて。はじめて聞いたときは本当に驚いたわ……これからどうなるのかしら? レイラが説得してくれたお陰で死罪は無さそうだけど」
ジェシカが不安そうに聞いてきた。
自身があんな目に遭ったのにハリエットのことを心配している。
アレックス王は助命を聞き入れてくれたけれど、廷臣らが何かうるさく言ってくる懸念はある。特に法や規律に厳しいギリアン司祭なんかが。
「わたしたちでなんとか守ってあげましょう。ここでは味方になるのはわたしたちだけでしょうから」
「うん……それとごめんね、レイラ。わたしのせいであんなことになっちゃって」
「いえ、わたしがちゃんと説明出来なかったのがいけないのです。あなたは大事な友達なのに」
「それはわたしだって同じよ。レイラがどんな人を好きになったって自由なのに、わたしったら」
ジェシカはアレックス王とわたしが親密な関係になっているとまだ勘違いしているようだった。
たしかに以前のような嫌がらせはないし、理不尽な叱責もない。
お互いに腹を割って話すようにもなった。
でもそれは個人的な恋とか愛なんかとは違う。
病に冒されている身で、この国や大陸の行く末を思っているのには尊敬に値するけれども。
「いいですか、ジェシカ。アレックス王のことなのですが……」
わたしはアレックス王の病について説明。
今までの横暴な振る舞いも、人を近づけさせないのもそれを隠すためだったことを明かした。
「まさかあのアレックス王が? 今日だって元気そうに見えたのに」
「日中は調子の良い時が多いようです。ですが夜や早朝には発作を起こしたり、熱を出すこともあります」
「意地悪な態度も戦好きなのも演技だったってわけ? 大陸の平定を急いだのもハノーヴァーの脅威から守るため?」
アレックス王の性格……残忍だとか凶暴だとかは噂に過ぎないこと。それと深刻な病に冒されていることは信じてくれた。
だけどジェシカはそれでも納得がいかないようだった。
「たしかに強引な軍拡や侵略、人質の要求など彼の行ってきたことすべてが正しいとは言えません。ですが彼なりに国や民を思っていたのは事実です。限られた時間の中で、孤独に」
わたしがそう言うと、う~ん、と腕組みをしながらジェシカは唸る。
「そう考えたらちょっと可哀想な気もしてきたわね。レイラはその良き理解者になってあげてるってことか」
「理解者……そうですね。彼の志を知ったからには少しでも支えてあげたいとは思っています。表面上だけとはいえ、わたしは王妃なのですから」
「んん~? 本当にそれだけ? 目を覚ましたときにアレックス王を見て涙を流してたじゃない。あれは恋する乙女の涙じゃないのかな~?」
「ち、違いますよ。あのときに説明した通りです。お互いの無事が確認できたのが嬉しくて」
「あ、レイラが赤くなってる! めずらしい!」
「か、からかわないでください。赤くなどなっていません」
わたしが両手で顔を隠すと、ジェシカが横や後ろから覗き込もうとする。
「絶対赤くなってるよ! ねー、顔を隠さないでよ」
「だ、だめです。これは……あの炎の中で肌が乾燥して、それで」
「うそだ~、だって同じ所にいたわたしは平気だもん」
そんなやり取りをバタバタと何度もわたしたちはくり返していた。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結済】姿を偽った黒髪令嬢は、女嫌いな公爵様のお世話係をしているうちに溺愛されていたみたいです
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
王国の片田舎にある小さな町から、八歳の時に母方の縁戚であるエヴェリー伯爵家に引き取られたミシェル。彼女は伯爵一家に疎まれ、美しい髪を黒く染めて使用人として生活するよう強いられた。以来エヴェリー一家に虐げられて育つ。
十年後。ミシェルは同い年でエヴェリー伯爵家の一人娘であるパドマの婚約者に嵌められ、伯爵家を身一つで追い出されることに。ボロボロの格好で人気のない場所を彷徨っていたミシェルは、空腹のあまりふらつき倒れそうになる。
そこへ馬で通りがかった男性と、危うくぶつかりそうになり──────
※いつもの独自の世界のゆる設定なお話です。何もかもファンタジーです。よろしくお願いします。
※この作品はカクヨム、小説家になろう、ベリーズカフェにも投稿しています。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる