名探偵が弟になりまして

雨音

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学校襲撃 3

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甲高い音とともに発射された弾丸が、そのクラスメイトの顔の横を通って、うしろの壁に突き刺さった。
「ひっ……!」
 小さく悲鳴を上げ、彼は力が抜けたように席に座り込んだ。
 それを見て、みんながたがた、震えている。
 本当の銃なんだ。
 うるさくしたら撃たれるかもしれないんだ、って。
 どこか現実離れしていた恐怖が、銃声とともに、リアルとなって押し寄せてくる感覚――。
「おかしな動きはするなっつったろうが。いいか? 
 次は、当てる。」
 どく、どく、どく、と心臓の鼓動が速まっていく。
 ……このままだったら、犠牲者が出てしまうかもしれない。この人たちは隠し財産を持って逃げるのに。
 そんなの、ゼッタイ、だめだ。
「っ、」
 ……でも、わたしに何ができるって言うんだろう。
 みんなを助けるには、爆弾を解除しなくちゃいけない。そうしないと逃げ切れない人が出てしまう。けれど、わたしには爆弾の場所なんてわからないし、解除の方法も知らない。
 わたしはちら、と横を見た。
……たしかに、わたしにはわからない。けど、スバルくんなら?
「え? ガキどもですか。変わりありませんよ。ええはい、まだ誰も殺してません。」
時間だけがすぎていく中、不意に男が、防弾ベストのポケットから無線機らしいものを取り出した。
誰かと話しているみたい。敬語だから、さっきのSとかいう人だろうか。
 ……わたしがみんなを助けるためには、この人の監視を外した上で、爆弾を見つけて解除する必要がある。
 多分だけど、この人を倒すこと自体はそう難しくない。
銃を持っているのは脅威だけど、それにさえ気をつければ大したことはないはず。
 ……見張りは各クラスに一人。
でも、他のクラスの見張りの人にバレないようにあの人を倒したとして……ろうかなどに見回りをしてる人がいないとは限らない。
もしいきなり銃を持った犯人――敵と遭遇してしまったら、いくらなんでも不利すぎる。
犯人たちの動きを予測し、爆弾の位置を推理し、そしてそれを解除する、なんて――やっぱりわたしじゃ、どうしようもない。わたしだってもう、『強い』ところは見せたくない。
でも――これで、本当にいいのかな。このまま黙って言う通りにしていて、いいのかな。
 ぎゅ、と机の下で、こぶしを握る。 
このまま動かなければ、みんなの命が危ないのは、わかり切っていることだ。必ず逃げ切れない人が出て、誰かが犠牲になってしまう。
 わたしは、席に座っているさゆりを見た。
気丈に前を向いているけど、顔色は真っ青で、くちびるがかすかにふるえている。
 クラスのみんなもそうだ。みんな、怖がってる。おびえてる。……当然だ。
 ――なら、わたしは、このままじゃだめだ。

 今度こそ、さゆりを、みんなを助けるためにも、覚悟を決めなくちゃ。

「あのっ!」
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