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第10話
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校舎のてっぺんにあるカザミドリが
カラカラとなってる。
今日は風が少し強い。
雪はバックを背負い直して、
スニーカーの靴紐を結び直した。
昇降口の近くにある花壇には
パンジーが咲き誇っていた。
これから部活に参加しようと立ち上がって、
陸上部の部室につながる階段を
おりようとした。
「漆島くん!」
名前も知らない女子に声をかけられた。
「は、はい?」
降りようとした階段を登って、
花壇近くまで戻った。
「呼び止めてごめんなさい。」
「い、いや、別に
いいけど、何?」
「私、1年B組の
金城深月《かねしろみづき》って
言うんだけど…。」
「ああ、隣のクラス?
金城ね、わかった。
覚えておく。
ごめん、今から部活で…。」
「あ!!待って、漆島くん。
話がまだ終わってなくて…
もし良ければ、
友達になってほしいかなと。」
「え、は?友達?
友達ってそう言ってなる
もんじゃない気が
するけど、まあいいや。
何、どうすりゃいいの?」
女子に話しかけられて、
友達になろうって言われたことなかった
雪は、有頂天になっていた。
「連絡先、交換してほしいかな。」
会ってすぐに連絡先を聞いてくるのは
疑うべきだった。
調子に乗って、すぐに教えてしまった。
「ああ、いいよ。
ラインでいい?」
「うん。」
セミロングの茶色のサラサラの髪、
目の下にほくろ。
まつ毛がながく、下唇が厚かった。
目のやり場に困ったが、
高校1年生にしては
胸が大きい気がする。
積極的に話しかけてくる金城深月に
そのまま受け入れてしまう雪だった。
「登録完了っと。
返事はあまり期待しないで。
んじゃ。」
「うん、大丈夫。
ありがとう。」
手をパタパタと振って、
階段を駆け降りた。
深月は、スマホを確認して
不敵な笑みを浮かべていた。
そんなことも知らずに雪は
鼻歌を歌いながら、
陸上部の部室に向かった。
◻︎◻︎◻︎
音楽室で様々な楽器演奏をする
生徒たちでいっぱいだった。
ここは吹奏楽部の活動場所だ。
地元の演奏会で披露する曲の練習を
していた。
桜はクラリネットを
器用に吹いていた。
中学の時も吹奏楽部で
演奏していて、慣れていた。
3回拍手する音が響いた。
「はーい。みんな、
いったん、練習やめようか。
個人練習はこの辺にして、
全体練習やってみましょう!」
3年の部長 袖川さゆりが叫んだ。
部員たちはゾロゾロと整列して、
全体練習に切り替えた。
演奏会での定番曲【OMENS OF LOVE】を
部長の指揮に合わせて、演奏した。
顧問の佐藤先生が用事があり欠席のため、
代わりに部長がやっていた。
時々音を外すことがあったが、
全体的にはもう流れができていた。
桜もご満悦な表情を
浮かべていた。
「桜ちゃん、調子良さそうだね。」
「うん、そうだね。
佳穂ちゃんだって、
ノーミスだったよ?」
佐藤佳穂《さとうかほ》は
桜とは違うクラスだったが
部活が一緒で仲良くしていた。
「そう?
ありがとう。
来週の演奏会はバッチリだね。」
日曜日に市内の会場で
高校の演奏会が開催される。
朝寝ができないことに少し不満があった。
「桜ちゃん、当日一緒に行こう。」
「うん、いいよ。
駅前待ち合わせでいいかな。」
初めて学校以外で会う。
ドキドキして楽しみにしていた。
高校での友達が増えて嬉しかった。
双子の妹がいても友達が増えるだけで
安心するものだ。
カラカラとなってる。
今日は風が少し強い。
雪はバックを背負い直して、
スニーカーの靴紐を結び直した。
昇降口の近くにある花壇には
パンジーが咲き誇っていた。
これから部活に参加しようと立ち上がって、
陸上部の部室につながる階段を
おりようとした。
「漆島くん!」
名前も知らない女子に声をかけられた。
「は、はい?」
降りようとした階段を登って、
花壇近くまで戻った。
「呼び止めてごめんなさい。」
「い、いや、別に
いいけど、何?」
「私、1年B組の
金城深月《かねしろみづき》って
言うんだけど…。」
「ああ、隣のクラス?
金城ね、わかった。
覚えておく。
ごめん、今から部活で…。」
「あ!!待って、漆島くん。
話がまだ終わってなくて…
もし良ければ、
友達になってほしいかなと。」
「え、は?友達?
友達ってそう言ってなる
もんじゃない気が
するけど、まあいいや。
何、どうすりゃいいの?」
女子に話しかけられて、
友達になろうって言われたことなかった
雪は、有頂天になっていた。
「連絡先、交換してほしいかな。」
会ってすぐに連絡先を聞いてくるのは
疑うべきだった。
調子に乗って、すぐに教えてしまった。
「ああ、いいよ。
ラインでいい?」
「うん。」
セミロングの茶色のサラサラの髪、
目の下にほくろ。
まつ毛がながく、下唇が厚かった。
目のやり場に困ったが、
高校1年生にしては
胸が大きい気がする。
積極的に話しかけてくる金城深月に
そのまま受け入れてしまう雪だった。
「登録完了っと。
返事はあまり期待しないで。
んじゃ。」
「うん、大丈夫。
ありがとう。」
手をパタパタと振って、
階段を駆け降りた。
深月は、スマホを確認して
不敵な笑みを浮かべていた。
そんなことも知らずに雪は
鼻歌を歌いながら、
陸上部の部室に向かった。
◻︎◻︎◻︎
音楽室で様々な楽器演奏をする
生徒たちでいっぱいだった。
ここは吹奏楽部の活動場所だ。
地元の演奏会で披露する曲の練習を
していた。
桜はクラリネットを
器用に吹いていた。
中学の時も吹奏楽部で
演奏していて、慣れていた。
3回拍手する音が響いた。
「はーい。みんな、
いったん、練習やめようか。
個人練習はこの辺にして、
全体練習やってみましょう!」
3年の部長 袖川さゆりが叫んだ。
部員たちはゾロゾロと整列して、
全体練習に切り替えた。
演奏会での定番曲【OMENS OF LOVE】を
部長の指揮に合わせて、演奏した。
顧問の佐藤先生が用事があり欠席のため、
代わりに部長がやっていた。
時々音を外すことがあったが、
全体的にはもう流れができていた。
桜もご満悦な表情を
浮かべていた。
「桜ちゃん、調子良さそうだね。」
「うん、そうだね。
佳穂ちゃんだって、
ノーミスだったよ?」
佐藤佳穂《さとうかほ》は
桜とは違うクラスだったが
部活が一緒で仲良くしていた。
「そう?
ありがとう。
来週の演奏会はバッチリだね。」
日曜日に市内の会場で
高校の演奏会が開催される。
朝寝ができないことに少し不満があった。
「桜ちゃん、当日一緒に行こう。」
「うん、いいよ。
駅前待ち合わせでいいかな。」
初めて学校以外で会う。
ドキドキして楽しみにしていた。
高校での友達が増えて嬉しかった。
双子の妹がいても友達が増えるだけで
安心するものだ。
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