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第67話
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星矢はお酒でかなり出来上がっていた。
頬を真っ赤に染めて、おもむろに片手には
レモンサワーの入ったグラスに
もう片方の手には木製のプレートに
これでもかと入っている
マカダミアチョコレートをバクバクと食べた。
自分のためにと買ってきてくれたことが
嬉しくて次から次へと口の中に頬張る。
甘いものを食べながらお酒を飲むと酔いが
早まるというがまんまと
その状態になってしまっていた。
職場の飲み会で慣れていた翔太は顔の色が
全然変わらないザルのようなタイプだった。
ビール、酎ハイ、焼酎、日本酒、ワインの
全部に手をつけても肌が真っ白だった。
「せ、先輩、にゃんで、そんな、
顔色変わらないですか!?」
言葉はふにゃふにゃだ。
目もうつろになっている。
「飲み過ぎだろ。
ほら、冷たい水、入れてきたから
これ飲んで休憩しろよ。」
スモークチーズを加えながら、冷蔵庫の氷を
グラスに入れて、浄水器の水を注ぎ入れ、
星矢に手渡した。
「はいー。」
フラフラになりながら、受け取って、
水をごくごくと飲んだ。
「星矢、酔い覚ましにベランダ行こう。」
「ふへ?」
星矢はうつろな目をしながら、
翔太はベランダに簡易ベンチを広げた。
指をさして座るように指示する。
ベランダから空を見上げると、
雲ひとつない真っ暗なキャンバスに
キラキラと星が煌めいていた。
酔っていた星矢でさえも綺麗な夜空を見て、
パッと目が覚めた。
「綺麗だ…。」
ベランダのふちに手をかけて2階のベランダから乗り出すように見上げた。
星だけではない、ビルの間から見える車のヘッドライトや照明の明かりの夜景も綺麗だった。
「星矢、あの星って
どうやって眩しい光になっているか
知ってるか?」
「え?なんでですか?」
「いつの間にか
また敬語に戻っているけど…
まぁいいや。
星は、大きな石の塊同士を
何回もぶつかったり離れたりして
お互いに成長してきたって話なんだよ。
人間も同じでさ、ぶつからないと
わからないことたくさんあると思うんだ。
絆っていうのかな。
本気でぶつかった時に
見つかることあると思うんだよね。
俺は、星矢と離れてみて、気づいたんだ。
ものすごく大切だったってこと。
俺がダメなところたくさんあったなって
反省した。悪かったよ。」
本音で話してくれていることがわかり、
星矢はモヤモヤしたわだかまりが
溶けた気がした。
「は、はい。あ、ありがとうございます。」
「俺はどんな星矢の味方でいるよ。
今回みたいに家を出たい時だってあると思う。
それでも帰ってくるまで待ってるから。」
星矢は、翔太の言葉にハッと息をのんだ。
無意識に頬から涙が出た。
たまっていたストレスが浄化された気がした。
どうして家出なんかしてしまったのだろう。
こんなに心の底から大切にしてくれる人が
いるのに。
「先輩、大好き。」
星矢は翔太をぎゅっとハグをした。
「だからさ、もう先輩ってマジでやめて。」
「翔太?」
「うん、そう呼んで。」
「翔太…大好き。」
「俺も星矢を愛してる。」
「言葉に表せないくらい、
いやもう表せないくらいすごくすごく
ものすごく大好きです!!」
流れ星がシャランと音を出して
長く流れていく。
キラキラと舞う星空の下で
2人は初めて飲むカクテルを開けた。
新発売の『ノクターン』という名前だ。
瓶の中で紺色の中に金粉が入っていて
夜空の星のようだった。
永遠に2人の時間が続くことを願って
乾杯する。
グラスが重なる音が響いた。
【 完 】
頬を真っ赤に染めて、おもむろに片手には
レモンサワーの入ったグラスに
もう片方の手には木製のプレートに
これでもかと入っている
マカダミアチョコレートをバクバクと食べた。
自分のためにと買ってきてくれたことが
嬉しくて次から次へと口の中に頬張る。
甘いものを食べながらお酒を飲むと酔いが
早まるというがまんまと
その状態になってしまっていた。
職場の飲み会で慣れていた翔太は顔の色が
全然変わらないザルのようなタイプだった。
ビール、酎ハイ、焼酎、日本酒、ワインの
全部に手をつけても肌が真っ白だった。
「せ、先輩、にゃんで、そんな、
顔色変わらないですか!?」
言葉はふにゃふにゃだ。
目もうつろになっている。
「飲み過ぎだろ。
ほら、冷たい水、入れてきたから
これ飲んで休憩しろよ。」
スモークチーズを加えながら、冷蔵庫の氷を
グラスに入れて、浄水器の水を注ぎ入れ、
星矢に手渡した。
「はいー。」
フラフラになりながら、受け取って、
水をごくごくと飲んだ。
「星矢、酔い覚ましにベランダ行こう。」
「ふへ?」
星矢はうつろな目をしながら、
翔太はベランダに簡易ベンチを広げた。
指をさして座るように指示する。
ベランダから空を見上げると、
雲ひとつない真っ暗なキャンバスに
キラキラと星が煌めいていた。
酔っていた星矢でさえも綺麗な夜空を見て、
パッと目が覚めた。
「綺麗だ…。」
ベランダのふちに手をかけて2階のベランダから乗り出すように見上げた。
星だけではない、ビルの間から見える車のヘッドライトや照明の明かりの夜景も綺麗だった。
「星矢、あの星って
どうやって眩しい光になっているか
知ってるか?」
「え?なんでですか?」
「いつの間にか
また敬語に戻っているけど…
まぁいいや。
星は、大きな石の塊同士を
何回もぶつかったり離れたりして
お互いに成長してきたって話なんだよ。
人間も同じでさ、ぶつからないと
わからないことたくさんあると思うんだ。
絆っていうのかな。
本気でぶつかった時に
見つかることあると思うんだよね。
俺は、星矢と離れてみて、気づいたんだ。
ものすごく大切だったってこと。
俺がダメなところたくさんあったなって
反省した。悪かったよ。」
本音で話してくれていることがわかり、
星矢はモヤモヤしたわだかまりが
溶けた気がした。
「は、はい。あ、ありがとうございます。」
「俺はどんな星矢の味方でいるよ。
今回みたいに家を出たい時だってあると思う。
それでも帰ってくるまで待ってるから。」
星矢は、翔太の言葉にハッと息をのんだ。
無意識に頬から涙が出た。
たまっていたストレスが浄化された気がした。
どうして家出なんかしてしまったのだろう。
こんなに心の底から大切にしてくれる人が
いるのに。
「先輩、大好き。」
星矢は翔太をぎゅっとハグをした。
「だからさ、もう先輩ってマジでやめて。」
「翔太?」
「うん、そう呼んで。」
「翔太…大好き。」
「俺も星矢を愛してる。」
「言葉に表せないくらい、
いやもう表せないくらいすごくすごく
ものすごく大好きです!!」
流れ星がシャランと音を出して
長く流れていく。
キラキラと舞う星空の下で
2人は初めて飲むカクテルを開けた。
新発売の『ノクターン』という名前だ。
瓶の中で紺色の中に金粉が入っていて
夜空の星のようだった。
永遠に2人の時間が続くことを願って
乾杯する。
グラスが重なる音が響いた。
【 完 】
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