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第60話
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久しぶりに颯人に誘われた星矢は、
断る理由も見つけられないまま、
流れるようにカラオケ個室に来ていた。
ある程度歌い終わって、スタミナ切れになった
星矢と颯人は、新人アーティスト紹介の
テレビ画面を見ながら、近況報告をし始めた。
お互いに会社での上司の愚痴を一通りすると
星矢は、飲み終わったドリンク
底にあるの小さな氷を口に入れたら、
颯人が言う。
「俺さ、ずっと言えなかったんだけど、
星矢と一緒にいると安心するんだよねぇ。」
颯人のふわふわのもじゃもじゃした
茶色の髪の毛がちょんと上にはねていた。
猫のように目がくっきりと
くしゃとした柔らかい表情が
星矢の心を癒した。
いつもはメガネなんてしてないのに
今日はまるぶちメガネをかけている。
別な颯人の顔を見れて嬉しくなった。
「へぇ…そう?
それは嬉しいな。」
(あれ、これって、まさかなぁ…。)
今日も翔太は会社の飲み会。
上司が妻に放っておかれて寂しいと
付き合って欲しいらしく、懇願されるらしい。
莉華との関係よりマシなのかといや、そうでもないとモヤモヤ気持ちが星矢の中にはあった。
颯人はそんな考えも知りもせず、
ため息をつく星矢に首を傾げる。
「星矢、元気ない?
俺といるとつまんない?
歌う曲入れなよ。」
「あ、ごめん。ため息、
出ちゃっていたね。
颯人といると楽しいよ。
カラオケ、歌うの上手いし、
自分で歌うより
颯人の歌、聴いていたいかな。」
「そ?元気が出るなら、
気持ち込めて歌うかな!」
颯人は、タブレットからぽちぽちと
タップして好きな曲を選んでいく。
「颯人と一緒にいた方がいいのかな、僕は。」
ボソッと小さい声で言ったつもりが
颯人の耳に届いていたようだ。
マイクを持って歌おうとした颯人は
屈んで、星矢に近づいた。
星矢の顔に颯人の顔が近づいた。
部屋のライトがメガネに反射して
瞳がどこに向いているか見えなかった。
颯人の飲みかけのジンジャーエールの
グラスの氷がカランと鳴る。
目を大きく見開くと、今の颯人の行動が
信じられなかった。
星矢の唇がジンジャーエールの味がした。
星矢は喉が渇いていた。
なかなかタイミングを見つけられず、
ドリンクバーのおかわりに行けなかった。
少しの飲み物が唇にあると、
急速に潤うのが分かる。
何もなかったように颯人はマイクを握って
バラードを歌い始めた。
良い声が出ていた。
でも、今は歌詞なんて頭に入ってこない。
(颯人はもしかして、もしかして……)と
星矢の脳内はショート寸前になっている。
下唇を右の人差し指と親指で挟んだ。
口内炎が治ったばかりだ。
物足りない何かを感じた。
歌を歌い終わった颯人は、
ぼんやりしている星矢の隣にピッタリと
くっついて座り、何も言わずに唇を近づける。
求めていたものを受け取ったような気がした。
星矢は恥ずかしくなって、
颯人の顔を直視できなくなった。
断る理由も見つけられないまま、
流れるようにカラオケ個室に来ていた。
ある程度歌い終わって、スタミナ切れになった
星矢と颯人は、新人アーティスト紹介の
テレビ画面を見ながら、近況報告をし始めた。
お互いに会社での上司の愚痴を一通りすると
星矢は、飲み終わったドリンク
底にあるの小さな氷を口に入れたら、
颯人が言う。
「俺さ、ずっと言えなかったんだけど、
星矢と一緒にいると安心するんだよねぇ。」
颯人のふわふわのもじゃもじゃした
茶色の髪の毛がちょんと上にはねていた。
猫のように目がくっきりと
くしゃとした柔らかい表情が
星矢の心を癒した。
いつもはメガネなんてしてないのに
今日はまるぶちメガネをかけている。
別な颯人の顔を見れて嬉しくなった。
「へぇ…そう?
それは嬉しいな。」
(あれ、これって、まさかなぁ…。)
今日も翔太は会社の飲み会。
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付き合って欲しいらしく、懇願されるらしい。
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颯人はそんな考えも知りもせず、
ため息をつく星矢に首を傾げる。
「星矢、元気ない?
俺といるとつまんない?
歌う曲入れなよ。」
「あ、ごめん。ため息、
出ちゃっていたね。
颯人といると楽しいよ。
カラオケ、歌うの上手いし、
自分で歌うより
颯人の歌、聴いていたいかな。」
「そ?元気が出るなら、
気持ち込めて歌うかな!」
颯人は、タブレットからぽちぽちと
タップして好きな曲を選んでいく。
「颯人と一緒にいた方がいいのかな、僕は。」
ボソッと小さい声で言ったつもりが
颯人の耳に届いていたようだ。
マイクを持って歌おうとした颯人は
屈んで、星矢に近づいた。
星矢の顔に颯人の顔が近づいた。
部屋のライトがメガネに反射して
瞳がどこに向いているか見えなかった。
颯人の飲みかけのジンジャーエールの
グラスの氷がカランと鳴る。
目を大きく見開くと、今の颯人の行動が
信じられなかった。
星矢の唇がジンジャーエールの味がした。
星矢は喉が渇いていた。
なかなかタイミングを見つけられず、
ドリンクバーのおかわりに行けなかった。
少しの飲み物が唇にあると、
急速に潤うのが分かる。
何もなかったように颯人はマイクを握って
バラードを歌い始めた。
良い声が出ていた。
でも、今は歌詞なんて頭に入ってこない。
(颯人はもしかして、もしかして……)と
星矢の脳内はショート寸前になっている。
下唇を右の人差し指と親指で挟んだ。
口内炎が治ったばかりだ。
物足りない何かを感じた。
歌を歌い終わった颯人は、
ぼんやりしている星矢の隣にピッタリと
くっついて座り、何も言わずに唇を近づける。
求めていたものを受け取ったような気がした。
星矢は恥ずかしくなって、
颯人の顔を直視できなくなった。
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