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第49話
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朝起きて、ふとんにくるまったまま、リビングに向かう。体がブルブルと震えた。
テレビのスイッチを入れて、ニュースを見る。
今の時間はそろそろ会社に行く準備をしなければならない時間だ。
自分は何をしたいのかわからなくなった。
ソファに毛布にくるまったまま座った。
ぼーっと見てもないテレビを見つめる。
頭に内容が入ってこない。
コテンと体を横にする。
背中がゴツゴツしている緑色の着ぐるみと目が飛び出しているもふもふの赤色の着ぐるみが
映っていた。
懐かしい番組を思い出す。
さすがにズル休みも長すぎるだろうと考えながら、重い体を起こそうとするがフラフラで起きられない。会社に行かないといけないのに、思うように体が動かない。
星矢は、息を荒くして、
とりあえずテレビのスイッチを切った。
これってもしかしてのもしかして、
本当に風邪ひいてしまったんじゃないかと
今頃になって気づく。
呼吸が浅い。額が熱い気がする。
喉が異常に渇く。でもお腹が空かない。
頭が痛い。
フラフラして思うように前に進めない。
スマホはどこにやったかなと床をずり這いしながら、寝室のベッドに向かった。
手を伸ばしたがあとちょっとで届かない。
諦めようとした。
その時、インターフォンがなった。
この状況で返事なんてできない。
そのまま冷たい床に頬をつけ
黙っていた。癒しの冷たさだった。
このままではいけないとふぅーと息を吐いて、
また毛布にくるまりながら、玄関の方に歩く。
「ど……なた様?」
外国人のようにカタコトになりながら、
ドアを開けると、目を丸くしてびっくりした顔の翔太がいた。ハッと気づいて、すぐにドアを閉めようとすると翔太の足が引っかかった。
「星矢、何してるんだよ。」
「……いや、大丈夫ですから。」
頬を赤くして、平日の朝だというのに
体を毛布にくるまっている。
異常な状態だと察した。
心配かけたくないとドアを閉めようとするが、
翔太の足がよけてくれない。
力が不足して、観念する。
「もう、どうぞ。ご自由に。」
諦めて、リビングのソファにどさっとうつ伏せで横になった。
「何、やってるんだって聞いてるんだ。」
「……この通りですよ。」
翔太はうつ伏せになっている星矢の額を触る。
「熱い!!やばいくらい熱いだろ。
ったく、俺が来てよかったな。」
翔太は迷惑そうな顔をしながら、内心ものすごく嬉しかった。
「ど。どうして、先輩、こんな時間に?」
「…朝採れ野菜を星矢にと思って持ってきたんだ。会社のイベント行事で野菜を育てようって企画があってさ。さっき会社専用の畑で採ってきたんだ。これのおかげで今日は会社は休みだったけどさ。星矢、ラッキーだったな。」
「…よくわかりませんが。
よかったかな。」
目をつぶり、横になりながら小さな声で話す。
もう力が残されていない。
翔太はソファで横になる星矢をベッドに運んだ。
「うひゃぁ、ちょっとやめてください。」
「いいから、黙って背負われろ。」
「……。」
抵抗する力もなかった。
星矢は翔太にベッドに運ばれて、ふとんを口もとぎりぎりまでかけられた。
「しっかり休んでおけ。」
翔太は、腕まくりをして、採れたて野菜で料理をはじめた。風邪に効くメニューをと鍋にお湯を沸かした。
あまり料理をしないという翔太が作る料理は
大丈夫なのだろうかと心配になったが、
星矢は1人じゃない空間に安心して眠りに
ついた。
アパート近くの交差点では、
クラクションが響いていた。
いつも通りの朝が街には忙しくなく、
訪れている。
テレビのスイッチを入れて、ニュースを見る。
今の時間はそろそろ会社に行く準備をしなければならない時間だ。
自分は何をしたいのかわからなくなった。
ソファに毛布にくるまったまま座った。
ぼーっと見てもないテレビを見つめる。
頭に内容が入ってこない。
コテンと体を横にする。
背中がゴツゴツしている緑色の着ぐるみと目が飛び出しているもふもふの赤色の着ぐるみが
映っていた。
懐かしい番組を思い出す。
さすがにズル休みも長すぎるだろうと考えながら、重い体を起こそうとするがフラフラで起きられない。会社に行かないといけないのに、思うように体が動かない。
星矢は、息を荒くして、
とりあえずテレビのスイッチを切った。
これってもしかしてのもしかして、
本当に風邪ひいてしまったんじゃないかと
今頃になって気づく。
呼吸が浅い。額が熱い気がする。
喉が異常に渇く。でもお腹が空かない。
頭が痛い。
フラフラして思うように前に進めない。
スマホはどこにやったかなと床をずり這いしながら、寝室のベッドに向かった。
手を伸ばしたがあとちょっとで届かない。
諦めようとした。
その時、インターフォンがなった。
この状況で返事なんてできない。
そのまま冷たい床に頬をつけ
黙っていた。癒しの冷たさだった。
このままではいけないとふぅーと息を吐いて、
また毛布にくるまりながら、玄関の方に歩く。
「ど……なた様?」
外国人のようにカタコトになりながら、
ドアを開けると、目を丸くしてびっくりした顔の翔太がいた。ハッと気づいて、すぐにドアを閉めようとすると翔太の足が引っかかった。
「星矢、何してるんだよ。」
「……いや、大丈夫ですから。」
頬を赤くして、平日の朝だというのに
体を毛布にくるまっている。
異常な状態だと察した。
心配かけたくないとドアを閉めようとするが、
翔太の足がよけてくれない。
力が不足して、観念する。
「もう、どうぞ。ご自由に。」
諦めて、リビングのソファにどさっとうつ伏せで横になった。
「何、やってるんだって聞いてるんだ。」
「……この通りですよ。」
翔太はうつ伏せになっている星矢の額を触る。
「熱い!!やばいくらい熱いだろ。
ったく、俺が来てよかったな。」
翔太は迷惑そうな顔をしながら、内心ものすごく嬉しかった。
「ど。どうして、先輩、こんな時間に?」
「…朝採れ野菜を星矢にと思って持ってきたんだ。会社のイベント行事で野菜を育てようって企画があってさ。さっき会社専用の畑で採ってきたんだ。これのおかげで今日は会社は休みだったけどさ。星矢、ラッキーだったな。」
「…よくわかりませんが。
よかったかな。」
目をつぶり、横になりながら小さな声で話す。
もう力が残されていない。
翔太はソファで横になる星矢をベッドに運んだ。
「うひゃぁ、ちょっとやめてください。」
「いいから、黙って背負われろ。」
「……。」
抵抗する力もなかった。
星矢は翔太にベッドに運ばれて、ふとんを口もとぎりぎりまでかけられた。
「しっかり休んでおけ。」
翔太は、腕まくりをして、採れたて野菜で料理をはじめた。風邪に効くメニューをと鍋にお湯を沸かした。
あまり料理をしないという翔太が作る料理は
大丈夫なのだろうかと心配になったが、
星矢は1人じゃない空間に安心して眠りに
ついた。
アパート近くの交差点では、
クラクションが響いていた。
いつも通りの朝が街には忙しくなく、
訪れている。
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