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第44話
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居酒屋『ひょっとこ』で現地集合した星矢と翔太は、なんだか会ってすぐに沈黙が訪れる。
ビールの泡がだんだんと小さくなっていく。
飲もうとしていたビールも気が落ちていく。
星矢も誘ったが、何から話せばいいのかわからなくなっている。
「…先輩。ビール、早く飲まないと
美味しくなくなりますよ。」
「…あ、ああ。そうだな。」
乾杯をするのも忘れて、ぼんやりと過ごす星矢。ジョッキを持つ手が止まっている。
「星矢、お前も早く飲んだらどうだ。」
「……ゆっくり飲みます。」
「……。」
沈黙が訪れる。誘ったのは星矢の方。
「「あ」」
同時に同じ言葉に笑いあった。
「先にどうぞ。」
「いや、星矢いいぞ。」
「……聞きたかったんですが、『莉華』さんって
先輩の彼女ですか?」
「おっとぉ。ズバッと聞くね。」
「そりゃぁ、気になりますから。」
「婚約者だった人だよ。」
「え?婚約者?結婚する予定だったんですか?
ご結婚おめでとうございます!」
「先走るなって。俺は結婚してないぞ。」
目を丸くして驚いていた。
「いろんな事情があって、婚約することになって、破談になった。俺が断った。」
「すごい端折ってますけど、どういうことですか?」
「と、とにかく、結婚するのをやめたの。
嫌になって。」
「そ、そんな、子供みたいな言い草で…。」
「嫌なのは嫌なんだ。勝手にどんどん周りが決めちゃったもんだから。俺は結婚なんて考えてなかったのにさ。」
ゴクリと喉を鳴らして、ビールを飲む星矢は、枝豆をつまんだ。翔太は機嫌悪そうにビールを一気に飲み干した。
「確認なんですけど、莉華さんって、
先輩と付き合っていたんですか?」
「……付き合うっていうか、成り行きで1日だけ一緒に過ごしただけで、俺はそこまで好きじゃなかった。勝手に向こうが盛り上がって…お見合いみたいに上司が決めるもんだから。」
「…大変でしたね。」
「だろ?俺は、操り人形だったんだよ。
まんまと騙されて…バツイチは免れたけどさ。危ない危ない。」
星矢は少し微笑んだ。それを見た翔太はイラっとする。
「笑い事ではないんだぞ。」
「わかってますって。
でも安心しました。
先輩が結婚してしまったかと思って…。」
「……結婚はしてねぇけど。」
何も入ってないジョッキを飲んでみせた。
「注文しますか?」
「あ、ああ。次はハイボールかな。」
タブレットのお酒をタップする。からあげもついでに注文した。
「今度は俺のターンだな。
星矢に聞きたかったから。」
「へ?なんのことですか?」
「この間、会ったときの男子は?」
「だ?男子?誰のことですか?」
ごまかすようにお酒を飲む。
枝豆からポンポンと豆を出して遊んだ。
ヤキモチ焼かれているのかなと
嬉しくなった。
「……一緒にいたろ?」
「高校の時の同級生ですよ。
心配するようなことは何もないです。」
「し、心配?俺は何も言ってないぞ。」
翔太は自分で言ってて恥ずかしくなってきた。頬を赤らめる。
星矢は、颯人と一緒にいて、楽しかった記憶がある。でも、翔太にやきもちを妬かせるというこの空間嫌いじゃないとも思った。
今日の夜は長くなりそうだ。
ビールの泡がだんだんと小さくなっていく。
飲もうとしていたビールも気が落ちていく。
星矢も誘ったが、何から話せばいいのかわからなくなっている。
「…先輩。ビール、早く飲まないと
美味しくなくなりますよ。」
「…あ、ああ。そうだな。」
乾杯をするのも忘れて、ぼんやりと過ごす星矢。ジョッキを持つ手が止まっている。
「星矢、お前も早く飲んだらどうだ。」
「……ゆっくり飲みます。」
「……。」
沈黙が訪れる。誘ったのは星矢の方。
「「あ」」
同時に同じ言葉に笑いあった。
「先にどうぞ。」
「いや、星矢いいぞ。」
「……聞きたかったんですが、『莉華』さんって
先輩の彼女ですか?」
「おっとぉ。ズバッと聞くね。」
「そりゃぁ、気になりますから。」
「婚約者だった人だよ。」
「え?婚約者?結婚する予定だったんですか?
ご結婚おめでとうございます!」
「先走るなって。俺は結婚してないぞ。」
目を丸くして驚いていた。
「いろんな事情があって、婚約することになって、破談になった。俺が断った。」
「すごい端折ってますけど、どういうことですか?」
「と、とにかく、結婚するのをやめたの。
嫌になって。」
「そ、そんな、子供みたいな言い草で…。」
「嫌なのは嫌なんだ。勝手にどんどん周りが決めちゃったもんだから。俺は結婚なんて考えてなかったのにさ。」
ゴクリと喉を鳴らして、ビールを飲む星矢は、枝豆をつまんだ。翔太は機嫌悪そうにビールを一気に飲み干した。
「確認なんですけど、莉華さんって、
先輩と付き合っていたんですか?」
「……付き合うっていうか、成り行きで1日だけ一緒に過ごしただけで、俺はそこまで好きじゃなかった。勝手に向こうが盛り上がって…お見合いみたいに上司が決めるもんだから。」
「…大変でしたね。」
「だろ?俺は、操り人形だったんだよ。
まんまと騙されて…バツイチは免れたけどさ。危ない危ない。」
星矢は少し微笑んだ。それを見た翔太はイラっとする。
「笑い事ではないんだぞ。」
「わかってますって。
でも安心しました。
先輩が結婚してしまったかと思って…。」
「……結婚はしてねぇけど。」
何も入ってないジョッキを飲んでみせた。
「注文しますか?」
「あ、ああ。次はハイボールかな。」
タブレットのお酒をタップする。からあげもついでに注文した。
「今度は俺のターンだな。
星矢に聞きたかったから。」
「へ?なんのことですか?」
「この間、会ったときの男子は?」
「だ?男子?誰のことですか?」
ごまかすようにお酒を飲む。
枝豆からポンポンと豆を出して遊んだ。
ヤキモチ焼かれているのかなと
嬉しくなった。
「……一緒にいたろ?」
「高校の時の同級生ですよ。
心配するようなことは何もないです。」
「し、心配?俺は何も言ってないぞ。」
翔太は自分で言ってて恥ずかしくなってきた。頬を赤らめる。
星矢は、颯人と一緒にいて、楽しかった記憶がある。でも、翔太にやきもちを妬かせるというこの空間嫌いじゃないとも思った。
今日の夜は長くなりそうだ。
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