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第4話
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星矢の中のバイオリズムは、
当たり前のことながら、友達がいない
クラスは、かなり空気が重い。
朝起きて、その妄想から始まる。
ため息をついて、またぼっちかと
落ち込む。
好きでぼっちをやっているわけではない。
相性が良くないだけだ。
どこかのだれかが名言を言っていた。
友達を作りに行くことだけじゃない。
学校には、あてがわれた椅子や机がある。
そこに存在するだけで十分。
友達いなくても大丈夫だと言っていた。
それを信じて毎日過ごしてる。
確かに友達と過ごしても
傷つくことが多い。
中学の時、ラインの返事をしなかっただけで
喧嘩を売られたこともある。
ただ単に面倒だっただけ。
気づかなかっただけ。
それをわかった上で
友達付き合いしてほしいのに
全然理解し難いようだ。
でも高校になってからは、そうじゃない。
ただ話すきっかけを失っただけ。
あっという間にぼっちだ。
もう諦めた。必死になるの。
お昼休みに弁当を開いて、
大きめのヘッドホンをつけた。
声かけるなアピールに近いんだろう。
誰も近寄ってこない。
まぁ、それはそれで好都合。
音楽聴くだけでは飽き足らず、
もう一方の左手には、小説。
右手にはお箸。
はい、これで脳みそたくさん使ってます。
ぼっちなんて気にしません。
そう、無理やりそういう空間を作る。
現実逃避して、異世界やら、転生やら
現実から逃げている。
そうやって、午前中から放課後を過ごす。
息抜きといえば、部活動。
唯一、会話ができる3年の
佐々木翔子先輩に会えること。
毎日の楽しみだ。
恋愛対象ではないが、
相手してくれるってだけで心落ち着く。
ただ、星矢にとってはもっと
興奮することがある。
そう、部活終わりに自主練をして、
野球部キャプテンの竹下翔太先輩に
会えることだ。
男女関わらず、人気者で、カッコよくて、
筋肉ムキムキで、誰にでも優しいところ。
上司にしたいナンバーワンになりそうだ。
2人の空間が好きだった。
一緒に職員室へ部活で使った鍵を返しに
行くのが日課になった。
星矢が2階の音楽室で
フルートの練習してる時に
翔太はいつの間にか、
外の花壇の淵に座って、
音色を聴き入っている。
終わったのを確かめて、声をかけてくれる。
それが嬉しかった。
その日のフルートの演奏で
感想を言ってくれる。
元気のない時に吹くとわかるらしくて、
心配してくれる。
星矢は、翔太がいない日が寂しくなった。
よく話すようになったのに、
連絡先を交換してない。
友達の少ない星矢のスマホの電話帳は、
音信不通の中学の友達2人と家族分が5人で
10人も登録していない。
いつか、このラインの友達リストに翔太が
入ることを夢見てる。
***
翌日、昇降口で上靴に履き替えていると、
廊下でたまたま吹奏楽部の3年部長の
佐々木翔子先輩に声をかけられた。
「工藤くん、おはよう。」
「あ、部長、おはようございます。」
笑顔で手をあげて挨拶してくれた。
星矢は純粋に嬉しかった。
「聞きたかったんだけど、
昨日、工藤くんって野球部キャプテンの
竹下くんと一緒にいた?」
「自主練終わったあとに、
職員室へ音楽室の鍵を返すんですけど、
その時にたまたま竹下先輩と
一緒にいましたね。
それがどうかしました?」
「工藤くんが3年の人と接するの
珍しいなぁと思って…。
あ、私も3年だけどさ。
竹下くん、私と同じクラスなの。」
「そうなんですか。
知らなかったです。」
星矢は、なんとなく、胸がざわついた。
翔子は、手を振って、教室に向かった。
話が途中で終わっているような気がした
星矢は、何を言いたかったんだろうと
モヤモヤした。
持っていたバックを背負い直した。
校舎の駐車場、翔太がいつも座って
待っている花壇付近にスズメが2羽が
飛び立った。
当たり前のことながら、友達がいない
クラスは、かなり空気が重い。
朝起きて、その妄想から始まる。
ため息をついて、またぼっちかと
落ち込む。
好きでぼっちをやっているわけではない。
相性が良くないだけだ。
どこかのだれかが名言を言っていた。
友達を作りに行くことだけじゃない。
学校には、あてがわれた椅子や机がある。
そこに存在するだけで十分。
友達いなくても大丈夫だと言っていた。
それを信じて毎日過ごしてる。
確かに友達と過ごしても
傷つくことが多い。
中学の時、ラインの返事をしなかっただけで
喧嘩を売られたこともある。
ただ単に面倒だっただけ。
気づかなかっただけ。
それをわかった上で
友達付き合いしてほしいのに
全然理解し難いようだ。
でも高校になってからは、そうじゃない。
ただ話すきっかけを失っただけ。
あっという間にぼっちだ。
もう諦めた。必死になるの。
お昼休みに弁当を開いて、
大きめのヘッドホンをつけた。
声かけるなアピールに近いんだろう。
誰も近寄ってこない。
まぁ、それはそれで好都合。
音楽聴くだけでは飽き足らず、
もう一方の左手には、小説。
右手にはお箸。
はい、これで脳みそたくさん使ってます。
ぼっちなんて気にしません。
そう、無理やりそういう空間を作る。
現実逃避して、異世界やら、転生やら
現実から逃げている。
そうやって、午前中から放課後を過ごす。
息抜きといえば、部活動。
唯一、会話ができる3年の
佐々木翔子先輩に会えること。
毎日の楽しみだ。
恋愛対象ではないが、
相手してくれるってだけで心落ち着く。
ただ、星矢にとってはもっと
興奮することがある。
そう、部活終わりに自主練をして、
野球部キャプテンの竹下翔太先輩に
会えることだ。
男女関わらず、人気者で、カッコよくて、
筋肉ムキムキで、誰にでも優しいところ。
上司にしたいナンバーワンになりそうだ。
2人の空間が好きだった。
一緒に職員室へ部活で使った鍵を返しに
行くのが日課になった。
星矢が2階の音楽室で
フルートの練習してる時に
翔太はいつの間にか、
外の花壇の淵に座って、
音色を聴き入っている。
終わったのを確かめて、声をかけてくれる。
それが嬉しかった。
その日のフルートの演奏で
感想を言ってくれる。
元気のない時に吹くとわかるらしくて、
心配してくれる。
星矢は、翔太がいない日が寂しくなった。
よく話すようになったのに、
連絡先を交換してない。
友達の少ない星矢のスマホの電話帳は、
音信不通の中学の友達2人と家族分が5人で
10人も登録していない。
いつか、このラインの友達リストに翔太が
入ることを夢見てる。
***
翌日、昇降口で上靴に履き替えていると、
廊下でたまたま吹奏楽部の3年部長の
佐々木翔子先輩に声をかけられた。
「工藤くん、おはよう。」
「あ、部長、おはようございます。」
笑顔で手をあげて挨拶してくれた。
星矢は純粋に嬉しかった。
「聞きたかったんだけど、
昨日、工藤くんって野球部キャプテンの
竹下くんと一緒にいた?」
「自主練終わったあとに、
職員室へ音楽室の鍵を返すんですけど、
その時にたまたま竹下先輩と
一緒にいましたね。
それがどうかしました?」
「工藤くんが3年の人と接するの
珍しいなぁと思って…。
あ、私も3年だけどさ。
竹下くん、私と同じクラスなの。」
「そうなんですか。
知らなかったです。」
星矢は、なんとなく、胸がざわついた。
翔子は、手を振って、教室に向かった。
話が途中で終わっているような気がした
星矢は、何を言いたかったんだろうと
モヤモヤした。
持っていたバックを背負い直した。
校舎の駐車場、翔太がいつも座って
待っている花壇付近にスズメが2羽が
飛び立った。
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