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第37話 喫茶店でクリームソーダ
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「ねぇ、悠?
最近さ、
翼が付き合い悪くて…
教室でいる時も何か
避けられている気がしてさ。
どうすればいいかな?」
学校帰りの放課後、昔ながらの喫茶店に
向かい合わせに座りながら、咲夜は
バニラアイスが乗ったメロンクリーム
ソーダを飲んでいた。1番上のさくらんぼを
真っ先に手をつける。
悠は、甘いのが苦手な方で、
ホットコーヒーを飲んでいた。
喫茶店から通りかかる生徒たちが
悠のことを見て、手を振っていた。
改めて、女子なのに女子にモテモテだと
わかる。
制服も最近、スカートじゃなくて、
ズボンになっている。
この人こう見えて女子なんですよと
ネタバラシを周りにしたいくらいに
秘密を隠している感覚に陥った。
黄色い声援が沸く。
咲夜は、悠に嫉妬した。
ストローでメロンソーダをズズッと
飲んだ。ご機嫌ななめに悠の顔を見る。
「な、何?」
コーヒーを飲んで、
マグカップをソーサーに乗せた。
「別にぃ、何でもない」
ふんとため息をつく。
「もしかして、妬いてる?」
「全然…」
嘘をついた。ごまかすのに必死。
ポーカーフェイスの顔を作れない咲夜。
悠は立ち上がり、咲夜の頬をふにっと
掴んだ。
「え、どこ行くの?」
「トイレ。待ってて」
悠は気分転換をかねて、トイレに行った。
喫茶店のトイレは男女混合だったため、
気にせず入れた。
咲夜は夕日が沈み、移りゆく景色と
外で行き交う人を眺めていた。
今はとても落ち着いていた。
あんなに不安になっていたのが
嘘のようで、むしろ刺激不足だなと
感じ始めていた。
ふと、外を見ていたら、見たことある
2人が街を並んで歩いていた。
「あれ、あれって…翼?」
咲夜は窓のギリギリに顔を寄せて、
外を見る。
隣同士歩いているのは、翼と琉偉だった。
何となく、胸がざわざわした。
何とも思っていないはずだと思っていた。
冷たいバニラアイスを食べていたからか、
今起きている出来事にストレスを感じた
のか、こめかみが痛かった。
「お待たせ。咲夜、どうした?
アイス溶けちゃうよ?」
席に戻ってすぐに味変化させようと
コーヒーにミルクと砂糖を入れて、
スプーンでくるくるとまわして、
白いミルクとコーヒーが混ざる様子を
じっと見つめていた。
「えっと……。」
(琉偉の事を話したら、
ヤキモチ妬くだろうなぁ)
咲夜は、しばし黙っていた。
悠はコーヒーからカフェオレになった
マグカップを持ち上げて、
ずずっと飲んだ。
首をかしげて、咲夜の首元に手を
持っていく。
はっと気づいて、体を後ろに動かした。
「ごめん、びっくりしたよね。
そこのワイシャツに髪の毛ついてた
からさ。取ってあげたよ。
大丈夫」
「よく気がつくね。
ありがとう」
悠は、細かいところにすぐ気がついた。
咲夜は胸あたりを触られるんじゃないかと
ドキドキした。
鳥肌がたつのがとまらない。
「今日、うち来てみる?」
悠が突然話した。
咲夜は初めてお呼ばれだと思い、
嬉しかった。
悠の部屋はどんな感じなのか
気になった。
結局のところ、
咲夜は、琉偉と翼が並んで歩いていた
話は悠には話せなかった。
「行ってみようかな」
「うん。んじゃ店出ようか」
悠は自然の流れで
くるっと丸まった伝票を持って
会計レジへ行く。
咲夜は慌てて、自分も出すと
アピールしたが完全に拒否された。
紳士的な対応にきゅんとなった。
喫茶店のドアがガラガラと鳴った。
最近さ、
翼が付き合い悪くて…
教室でいる時も何か
避けられている気がしてさ。
どうすればいいかな?」
学校帰りの放課後、昔ながらの喫茶店に
向かい合わせに座りながら、咲夜は
バニラアイスが乗ったメロンクリーム
ソーダを飲んでいた。1番上のさくらんぼを
真っ先に手をつける。
悠は、甘いのが苦手な方で、
ホットコーヒーを飲んでいた。
喫茶店から通りかかる生徒たちが
悠のことを見て、手を振っていた。
改めて、女子なのに女子にモテモテだと
わかる。
制服も最近、スカートじゃなくて、
ズボンになっている。
この人こう見えて女子なんですよと
ネタバラシを周りにしたいくらいに
秘密を隠している感覚に陥った。
黄色い声援が沸く。
咲夜は、悠に嫉妬した。
ストローでメロンソーダをズズッと
飲んだ。ご機嫌ななめに悠の顔を見る。
「な、何?」
コーヒーを飲んで、
マグカップをソーサーに乗せた。
「別にぃ、何でもない」
ふんとため息をつく。
「もしかして、妬いてる?」
「全然…」
嘘をついた。ごまかすのに必死。
ポーカーフェイスの顔を作れない咲夜。
悠は立ち上がり、咲夜の頬をふにっと
掴んだ。
「え、どこ行くの?」
「トイレ。待ってて」
悠は気分転換をかねて、トイレに行った。
喫茶店のトイレは男女混合だったため、
気にせず入れた。
咲夜は夕日が沈み、移りゆく景色と
外で行き交う人を眺めていた。
今はとても落ち着いていた。
あんなに不安になっていたのが
嘘のようで、むしろ刺激不足だなと
感じ始めていた。
ふと、外を見ていたら、見たことある
2人が街を並んで歩いていた。
「あれ、あれって…翼?」
咲夜は窓のギリギリに顔を寄せて、
外を見る。
隣同士歩いているのは、翼と琉偉だった。
何となく、胸がざわざわした。
何とも思っていないはずだと思っていた。
冷たいバニラアイスを食べていたからか、
今起きている出来事にストレスを感じた
のか、こめかみが痛かった。
「お待たせ。咲夜、どうした?
アイス溶けちゃうよ?」
席に戻ってすぐに味変化させようと
コーヒーにミルクと砂糖を入れて、
スプーンでくるくるとまわして、
白いミルクとコーヒーが混ざる様子を
じっと見つめていた。
「えっと……。」
(琉偉の事を話したら、
ヤキモチ妬くだろうなぁ)
咲夜は、しばし黙っていた。
悠はコーヒーからカフェオレになった
マグカップを持ち上げて、
ずずっと飲んだ。
首をかしげて、咲夜の首元に手を
持っていく。
はっと気づいて、体を後ろに動かした。
「ごめん、びっくりしたよね。
そこのワイシャツに髪の毛ついてた
からさ。取ってあげたよ。
大丈夫」
「よく気がつくね。
ありがとう」
悠は、細かいところにすぐ気がついた。
咲夜は胸あたりを触られるんじゃないかと
ドキドキした。
鳥肌がたつのがとまらない。
「今日、うち来てみる?」
悠が突然話した。
咲夜は初めてお呼ばれだと思い、
嬉しかった。
悠の部屋はどんな感じなのか
気になった。
結局のところ、
咲夜は、琉偉と翼が並んで歩いていた
話は悠には話せなかった。
「行ってみようかな」
「うん。んじゃ店出ようか」
悠は自然の流れで
くるっと丸まった伝票を持って
会計レジへ行く。
咲夜は慌てて、自分も出すと
アピールしたが完全に拒否された。
紳士的な対応にきゅんとなった。
喫茶店のドアがガラガラと鳴った。
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