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天界 編

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新しい器官を創ってから、日を空けずに交わらなくてはならない。
交わりとは、新しい器官に雄を突き入れ、種を撒くこと。

器官に突き入れる方は本能を開放する獣の姿になり射精しないと意味がない。
本能と言ってはいるが、獣化は情欲時のみらしい。
基本的に神はヒトとさほど変わらない姿であり、カミーユが天界に来てから黒虎が獣化したのは性交時しかない。なぜ情欲時の本能が獣化することなのか聞いたところ、大昔、神は獣の姿だったらしいが、様々なものと交わり、時を経るにつれ薄れたらしい。

ちなみに相手が女性の場合や男神の場合、獣化しなくても子供は授かるそうだ。
つまり、相手が異界の男だからカミーユだから黒虎が獣化しなければならないということだ。

異界の男を孕ませるには甚大な魔法力が必要だ。受け入れる側も心身ともに削られるが、挿れる側は魔力欠乏症になる恐れもあるし、その間に悪い神に襲われたり最悪の場合殺されたりする危険が伴う。

カミーユと黒虎の子をもうけるということは、かなりリスキーだ。だが、それに挑戦しようとふたりは決めた。

そして―――


「ぁ、ぁっ、ぁあっ、ああっ!」

この日も黒い毛皮の敷布に顔を埋めながら、黒虎の長大な雄を尻穴から受け入れていた。新しい器官を成してからカミーユの中は濡れるようになり、花油を使わずともいやらしい水音を立てながら黒虎を甘く締め付ける。
ぬるぬると愛液に塗れる筒の中を雄が行き来し、直腸の内壁と擦れるたびにカミーユの声が漏れる。

「入れるぞ」

それは“後孔に挿れる“ではなく”雌生殖器に入れる“合図だ。

ぐにぐにと雌生殖器の入り口を捏ねていた雄の丸い先端が一気に押し込まれた。

「はあっ、ぁああ!ンっ!」

高魔力と技巧で淫らにされたカミーユが歓喜の声を上げる。

雌生殖器と直腸の分かれ目を雄の先端が何度も出たり入ったりするうちに、カミーユは天井無しの快楽に入る。

「あぁっンっ、いいっ、いいぃっ!」

黒虎の雄もカミーユの中の感触といやらしい肢体と声に応えぐぐぐっと大きくなる。

やがて思いきり腰を打ち込み、先端どころか幹の方まで雌生殖器へと雄が埋まった。

「はぁあ―――ンっ!」

「…くっ…!」

カミーユの肩辺りに着いた黒虎の両腕が獣脚になっている。顔も身体もどこかしこも獣になった黒虎を受け入れているカミーユの尻穴の口皺が伸びきり、裂けそうなほど広げられる。

「ああああああああああ!!」

カミーユの後孔口と直腸は目いっぱい広がりながらも、黒虎の雄をきゅうきゅうと搾り取るように締めつける。
創られた生殖器に、半分ほどまで入り込んだ雄から、子種の液体がぶちまけられた。


長い長い射精が終わると、大きな牙のある口から伸びた長い舌で項を舐めていた黒虎に変化が起き、唇での愛撫に変わる。
上体を起こし、まだ繋がったままで毛皮に横寝になり、カミーユをその横に寝かせ後ろから抱き込みながら、髪をかき分けた項に唇が落とされる。

「……は……ぁ…」
「……大丈夫か?」
「……今日も、すごかった…」
「気持ちよかったか」
「……」
「俺はすごく気持ちよかった」
「…ぃぅ、…」
「カミーユの中はとてもいい」
「…から…」
「直腸もいいが、生殖器に突き入れる時がたまらない」
「だからふぁあ!」

もう言うなと言おうとしたカミーユの口から艶めかしい声が出てしまい慌てて口を押える。
未だ中にいる黒虎がゆるゆると腰を振ってきて、それに反応してしまったのだ。

「ば、ばかっ、もうだめだって…んンっ」
「直腸でも出したい」
「だ、だめ。ホントにダメっ…」

雌生殖器からは退出しているが黒虎の雄が既に硬くなっているのが中の感じで分かる。

分かるけど、腰が立たなくなるまでするのは勘弁してほしいんだよ。
ただでさえ色々と抉られてるんだから!

じゅぼじゅぼっと卑猥な音が結合部から聞こえる。黒虎がさらに腰の振りを大きくすると、さらにいやらしくぐしょっぐしょっと鳴り出した。

「んっ、ホントダメ!やめろ―――!」

黒虎の真名を口にすると、腰の揺れをピタと止めてくれた。

どうやら真名を呼ぶものには従順になるらしい。

いつも真名を呼んでよくないことをさせないようにできればいいのに、肌を合わせてる時以外は忘れてるんだよな。
忘れてると言うより、真名を教えてもらったことも真名があることも思い出せないというか、真名に関することすべてが無になっている。

「カミーユ」

頬をこめかみに擦り付けねだってくるが当然却下だ。
カミーユは既に辛い腰のだるさを叱咤してなんとか黒虎を引き剥がした。

「ンっ」

抜いた途端、結合していた箇所からとろりと粘液が零れ、腿と毛皮の敷布を濡らす。
カミーユは羞恥と屈辱と悦びとが混ざる何とも言えない感情を、紺青の瞳をぎゅっと閉じやり過ごす。

「流そう」

黒虎がカミーユを横抱きにして湯場へ転移した。
湯場の椅子にカミーユを座らせた黒虎の雄はまだ勃ったままで辛そうではあるが、そこは耐えてもらう。

循環機能搭載の浴槽にはいつでもきれいな湯が張られている。
「まずは水分補給だ」
一緒に転移させていたのだろう、いつもの甘い水の入ったコップを渡され、ゆっくりと一杯を飲み切る。
もう少し飲んでおけと言われ、おかわりを飲んでいる間に、黒虎は色々な液体で汚れ乱れた黄金色の髪を背中側に整えてくれる。尻下まで伸びていたカミーユの髪は、いまは肩甲骨辺りで整えられている。これでも長いと言ったのだが、これ以上は短くしてほしくないと王様に懇願されたので、結局長髪のままだ。

飲み終わったコップを置くと、緩い水圧にされたシャワーで湯を肩から胸にかけて当ててくれる。
「腰が立てないほどじゃないから自分でできる」
「俺がやりたいんだ。カミーユは髪を洗っていろ」
言いながら身体に飛び散っていた諸々の粘液が洗い流される。
カミーユは言われたとおりに、湯で湿らされた髪に石鹸で泡を作り洗い始めた。身体を洗い終わった様子の黒虎が後孔辺りもきれいにしようとしたが断固抵抗し、黒虎自身を洗わせている間に、カミーユ自身で指で後孔口を広げきれいにする。

腰が立たなくなるまで性交すると、これ・・を嬉々と黒虎がするのも嫌なのだ。
興が乗ってそのまま湯場で挑まれることもあるし、とても任せられない。

互いにきれいになったところで浴槽に浸かる。
広い浴槽なのに必ず黒虎が寄ってきて、脚の間に座らされてしまう。
ふたりの長い髪は頭上にくるくると巻かれ、かんざしのようなものを刺して纏められる。

「腹の具合はどうだ」
「えと、特に何も」
「そうか」

浴槽に浸かると交わされる定型のような会話なのだが、「そうか」という黒虎の声がいつも甘くて、湯に浸かっているだけではなく顔が熱くなる。
気恥ずかしくて前を向いたままのカミーユの下腹に黒虎の手が回り、ゆっくりと撫でられた。

いつもは身体が温まるまで、ゆっくり下腹を撫でられながら、たわいない話を始めるのだが、この日は違った。

黒虎が後ろからカミーユの肩越しに顔をつけ、背中を密着させ、下腹を緩く抱きかかえるように両腕を回してきたのだ。

具合が悪くなったのか?
魔力欠乏症!?

魔力が極端に体内から放出されると幾日も床に臥せることがあるらしい。
「黒虎!?」
最悪の場合、死に至ることもあると灰虎から聞いていたので慌てて声をかけた。

「…着床している」
「えっ!?」
「受精卵が着床した」
「ななんでそんなことわかるんだ」

口にしてから神様だからわかるかとはたと気づいたが、黒虎はもうそれどころではないらしい。
背中にぎゅっと抱き着かれて、カミーユは頭さえ動かせない。


「カミーユと俺の子だ」


本当に嬉しそうに呟くものだから、カミーユは重いとかくっつくなとか言えなくなってしまう。

密着している背中に黒虎の心音が伝わってきて、黒虎も人と同じなんだとなんとなく安堵した。



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