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※手探り
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「すごい身体ね」
「まあな、俺は近衛騎士っつっても斥候だった。荒事に巻き込まれることなんざ、日常茶飯時だったからな。俺の身体、……怖くないか?」
オサスナは一見細いように見えて、全身しっかりとした筋肉がついていた。肩も胸も腹も、叩いて鍛えあげた、まさしく鋼と言って良い体躯をしている。フェデリカはオサスナの身体を純粋に美しいと思った。ごつごつしているが、しなやかで、孤高の野生動物を彷彿とさせる。ところどころ切り傷が出来ているが、恐ろしいとはまったく思わない。
「……綺麗だわ」
「フェデリカは変わっているな」
「そう? オサスナが綺麗すぎて、何だかあなたに肌を晒しているのが恥ずかしくなってきたわ」
「フェデリカこそ、綺麗だ」
フェデリカは先に脱いでいた。あらわになった胸元を彼女は無意識に隠そうとする。
「あんまり胸がないのよ、私。お腹まわりも太いし」
「そうか? 俺はフェデリカだったら何でもいい」
「適当ねえ」
フェデリカがくすりと笑うと、オサスナは喉を鳴らした。肌を晒した状態で微笑む彼女に、グッとくるものがあったらしい。
「なぁ、キスしてもいいか?」
「ええ」
「舌を入れる、深いキスがしたい」
「今夜はわざわざ断りなんか、いれなくてもいいのよ?」
オサスナはどこまでも真面目だった。女癖が悪いとの噂とは真逆だった。フェデリカは、オサスナのこんな一面を知っているのは自分だけだと思い、──言い方は良くないだろうが、胸に優越感が沸いた。口は悪くとも見目の良いオサスナは、王都中の女の子を憧れだ。そんな彼を自分は独占している。
「私って厭な女だわ」
「今更気がついたのかよ?」
「まぁ、オサスナ。私のこと、厭な女だと思っていたの?」
「まぁな。俺の心を無意識に弄ぶ、厭な女だと思ってた」
「それは厭な女ね」
「だろ?」
二人はまた視線を合わせあうと、笑いあった。お互いの身体に手を這わせながら、そっと唇を重ねる。お互い、こういうことは不慣れだ。ぎこちなく唇を開け、舌先をくっつけ合う。この行為が合っているのかさえ、二人はよく分からない。でも、舌を絡めるのは気持ちが良いと思った。
「……オサスナの唾液の味、好きかも」
「フェデリカ、あんまり煽るなよ」
「今夜は最後までするのだから、煽るぐらいでちょうどいいのよ」
「違いねえ」
オサスナはくっくと喉を鳴らして笑った。
フェデリカは大きな枕を背にゆっくり身体を横たえる。オサスナはちゅっちゅっと彼女に軽い口づけを落としながら、二の腕を掴むとやんわり揉んだ。
「オサスナ……。普通、胸を揉まない?」
「フェデリカの二の腕って、普段はパフスリーブに隠れているだろう? 形すら見えないところのほうが興奮しないか?」
「そうかしら……」
オサスナの性癖がよく分からない、とフェデリカは首を傾げる。だが、腕をふにふにと揉まれるのは意外にも気持ちが良い。オサスナの大きな手がフェデリカの脇のほうまで回ったところで、彼女は声を上げた。
「あぁっっ……!」
「感じてんのか? フェデリカ」
「んっ、んんっっ、脇の下、揉まれると……なんかヘンなの」
「ヘン?」
「すごく、気持ちがよくて」
「なんか乳首も勃ってるぞ?」
そう言うと、オサスナはフェデリカの胸に顔を埋め、あえて胸の尖りを避けて円を描くように彼女の乳房を舐めあげた。フェデリカは悩ましげな声を漏らす。
「うあぁっ……」
「フェデリカ、かわいい」
「んんっ、あっ、そんなの……あっっ、だめっ……!」
フェデリカの反応に気を良くしたオサスナは、ツンと勃った胸の尖りを口に含むと、じゅっと音を立てて吸い上げた。フェデリカは強い刺激に首を横へ振る。生温かくて、舌の滑る感触が気持ちいい。
オサスナはもう片方の乳房も、同じように舐めあげ、その尖りを吸った。フェデリカの目尻には涙が浮かぶ。と、同時に、彼女は脚の間にいつもとは違う感覚を覚える。月の触りが来るところが熱を持ち、妙に疼くのだ。
「お、オサスナ……」
「何だ?」
「あの……」
フェデリカはなおも愛撫を続けているオサスナの腕を掴む。だが、脚の間を触って欲しいとはなかなか言いにくい。いくら気心が知れた相手とは言え、自分の性的欲求を伝えるのは恥ずかしい。
オサスナはひとつ息を吐いた。
「フェデリカ、して欲しいこと、して欲しくないことは何でも言え。俺はこういうことは初心者だから分からん」
「そうよねえ……。あのね、脚の間がその……落ち着かなくて」
「落ち着かない? お前もなのか?」
「え、ええ……」
フェデリカはオサスナの股間にあるものを見て、パッと目を逸らす。なんとなく、凝視してはいけないような気がした。
「ああ……濡れているな」
「どうしてこんなことになっているのかしら?」
「俺の拙い愛撫にも興奮したんだろ」
フェデリカはオサスナに促されるがまま、脚を大きく開き、膝の裏を自分で抱えた。恥ずかしいが、性交するには股を大きく開かないといけない。相手がオサスナで良かったとフェデリカは心から思う。これが出会ったばかりの男とだったら、絶望しただろう。
「なあ、フェデリカ、ここ、舐めてもいいか?」
「んっっ」
オサスナはフェデリカのぴっちり閉じられた秘裂に人差し指を押し当てると、ぐりぐりと動かし始めた。蜜口の場所を探っているらしい。すぐに彼は蜜が滴る隘路を見つけ出した。脚の間、狭いなかに異物が入ってくる。フェデリカは思わず、オサスナの指を締め付けてしまった。
「うわっ、せま……。なぁ、舐めて広げていいか?」
「う、うん」
フェデリカは蜜口に入れられた指の異物感に、首を縦に振った。オサスナに秘部を舐められるのは、抵抗感がないと言ったら嘘になるが、それでも指で解されるよりはマシだと思い、受け入れた。
「……っ……んんっっ……」
オサスナはフェデリカの太ももに手を置くと、彼女の股に顔を埋めた。舌を突き出し、まずは二枚貝が重なりあったようになったところをペロリと舐める。それだけでフェデリカの腰が軽く浮いた。今度は蜜口を広げるように、もっと深く舌を入れる。すると、蜜口から文字通りとろりとした透明な蜜が出てきた。オサスナはそれをずずっと音を立てて啜りあげた。
「あああっっっ‼︎」
フェデリカの細腰がビクビクと震える。自分の行為でフェデリカが感じてくれている。今までに感じたことのないほど、高揚感を感じたオサスナは、さらに大胆にフェデリカの秘部を攻めたてる。綻んできた蜜口の中へ限界まで舌を差し入れ、その入り口を執拗に舐め回す。すると、蜜口が急激に窄まった。
オサスナは目線を少し上へやると、赤く膨らんだ小さな芽を見つけた。自分がフェデリカの蜜口を舐めたことで、大きくなったような気がする。ここも舐めたほうが良いと思い、彼はその赤い芽も舐めた。
「ひっ、ひぁっ……! オサスナ……」
「フェデリカ、嫌か?」
「ううんっ、嫌じゃないの……でも、身体がおかしくなる……っ!」
「ここには俺しかいないんだ。どんどんおかしくなってくれ」
オサスナはフェデリカの反応を見ながら、少し解れた蜜口に指を一本差し入れ、それをゆっくり前後に抜き差ししながら、赤い芽を舐めあげた。フェデリカは嬌声をあげている。自分の行為、ひとつひとつに反応し、乱れていくフェデリカを見ていると、股間にあるものが痛いほど熱を持った。
フェデリカの蜜口からはとめどなく蜜が滴っている。指でなかを弄るとぬちゃぬちゃと水音がするほどだ。
オサスナは思った。このなかへ入りたい、と。
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