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※ 待って貰えて良かった
しおりを挟む──もう、とっくに、こういう事をする関係になってなきゃいけなかったのよね……
この緊張感はきらいじゃない、と思った。ベッドの上、何度か触れるだけのキスをして、そして、熱く濡れる舌をぬるりと入れられた。
どう呼吸をすればいいのか、舌を動かせばいいのか、分からなくて翻弄されるが不安はない。舌と舌とを絡めあう深いキスの最中も、もったりと膨らんだ胸の重さを愉しむかのように揉まれたが、嫌悪感は無かった。
心から好きなれた相手との触れ合いは喜びしかない。口元が緩むのを抑えられなかった。
私が彼に恋をするまで、待って貰えて本当に良かったと思う。
「……辛くないか?」
エルンストの問いに、私はおおきく首を横に振る。辛い事など何一つ無かった。はやく彼と一つになりたい。私の雌は疼いて仕方なかった。
「大丈夫。嬉しいです」
私が笑顔でそう返すと、また身体を引き寄せられた。首すじに、鎖骨にするすると唇を落とされて、そして、私の白銀の髪がばさりとシーツの上に広がった。
私をやんわり押し倒したエルンストの瞳には、確かな熱が込められているような気がした。
◆
「……はっ、はぁっ……」
エルンストの腕のなかで、私は懸命に息を吐き出していた。はじめて受け入れた男性の太い昂りに、目の端からは生理的な涙がこぼれ落ちた。少しでも中で動かれると摩擦を感じて、火がつくような痛みを覚えた。
彼は私の隘路に自身を埋めながら、下生えをかき分け、陰核の皮をするりと剥いた。ずるむけになった蕾を指でさすっている。
私は強すぎる刺激に身をよじった。これをされると女性は気持ち良くなるらしいが、私はなぜか痛みのほうが強い。お腹にぎゅっと力が入る。
「痛い? 苦しいのか?」
私は首を横に振る。ここで苦しむそぶりを見せれば、また彼はしばらく私に触れなくなってしまうかもしれないから。
「平気です……」
すうはあと息をはき、圧迫感で感覚が鈍くなったお尻の穴に懸命に力を入れる。ロアンヌ先生は言っていた。男は女が感じているのも苦しんでいるのも同じにみえるから、とりあえず尻穴に力を入れて、嬌声をあげていろと。
嫌な『生きるための知恵』だが、彼に嫌われたくなかったから頑張った。これはお金のためじゃない。私のためだ。私が彼にもっと愛されたいから、我慢するのだ。
「変な気は回さなくていいから」
「ううっっ」
身体を屈めた彼は、ツンと勃った私の胸の先端を口に含んだ。唾液を含んだ舌でぺろりと撫でまわされて、背中がぞわぞわした。
「あっ、あぁ、それっ、……いやですっ……!」
下腹部がとつぜん、びくりと大きく波打つ。きつく締め上げて、私のなかに納められた彼の形がはっきりと分かった。
こりこりに固くなった胸の先に歯を立てられたり、やわやわと舐められたりすると、お腹の奥が疼いて仕方なくなって、もっとして欲しいのに、きゅうっと呼吸が苦しくなって。嫌ではないのに嫌だと言ってしまう。
水のなかじゃないのに、息継ぎが上手くできなくて頭がくらくらした。
「胸がいいのか」
「やぁっ、あっ!」
空いたほうの胸の先端もきゅっと摘まれて、私はまた彼を締め上げた。どうして胸をいじられると下腹部が反応するのか、人体は不思議だ。
ぬめりのある液を身体の奥からじわりと吐き出しながら、私の媚肉は彼を包みこんだ。
「ここも膨らんできたね」
「……っ!」
尿道の上あたり、ぷくりと膨らんだ部分を摘まれて、私の身体はおおきく戦慄いた。皮をめくられたばかりの時は、痛いぐらいだった刺激が、今は泣きたくなるぐらい気持ちが良い。
何度も何度も背をのけぞらせて、私は悲鳴をあげた。もはや身体は言うことを聞かない。エルンストから与えられる刺激にただただ過敏に反応していた。
「……濡れてきた」
息もたえだえになっている私の顔を優しく撫でながら、エルンストは蠱惑的な笑みを浮かべている。彼はまだ濡れていない私の中に無理やり入り込み、しとどに潤っていく様を楽しんでいたのだ。趣味は悪いと思うが、私はきらいじゃないと思った。
「動いてください……」
エルンストはまだ一度も達していない。彼にも気持ちよくなって欲しかった。
「ありがとう、マフローネさん」
ぬかるみを歩くような粘着のある水音。膀胱の裏辺りを擦られるたびに、ぞわぞわとした感覚がせりあがってくる。彼の吐息が聞きたいが、私は悲鳴を止められない。
「あっん、ああぁっ! やだっ、変になる……!」
くすぐったいのを異様に強くしたような感触に、私は下腹部に力を入れながら身をよじる。脚の指はまるまり、お腹と背中は常にびくびく跳ねている。目からも口からも透明なものが出ているが、拭っている余裕はない。
ガクガクと腰を揺らして、私はただ暴力的な快楽に打ち震えていた。むず痒い。中がぬかるんでいけばいくほど、身体が敏感になり、腹のなかがうねるのだ。
「かわいい、どんどん乱れてくれ」
「やだぁっ……!」
まるで粗相をしたかのように、脚の付け根とお尻がどんどん濡れていくのが分かる。彼が出し入れを繰り返すたびにびちゃびちゃと漏れ出るのだ。べたべたした冷たい感触が気持ち悪いが、やめることは出来ない。私の雌はもっともっとと彼の熱杭に刺激を求め続けている。
「はぁっ、ダメだ、もう限界かもしれない」
「あっ、あ、……わ、わたしのなかに」
ください、そう言おうと思ったのに。細かく登りつめていた私は言えなかった。お腹の奥に熱いものが吐き出され、それはじわりと広がった。膣の奥で跳ねた感触がして、びっくりした。
私の中に吐精したエルンストは深く息を吐きだしている。額に、身体に汗をかき、眉間にしわを寄せる彼は妙に色っぽかった。
こんな本能剥き出しのような行為をしていても、彼はあまり乱れていない。私は喘いで、泣いて、よがっていたというのに。
彼は私の中から自身をずるりと引き抜いた。まだ完全に力は抜けきっていないのか、半分勃っているような気がする。桃色が混じったような白いものがべっとり付着していた。見た目的にもにおい的にも良いとは言えないが、はじめての結合が上手くいってなんだか感慨深い。
「はずかしい……」
「な、何が……?」
それでももっと可愛い反応をしたかったと思う私は、強欲だろうか?
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