週末は迷宮探検

魔法組

文字の大きさ
上 下
65 / 68
番外編・温泉回!

15

しおりを挟む
「だけど本心ではずっと、清二とやり直したいなって願っていた。もしも時間を戻すことが出来るのなら清二が村を出たあの日に戻って、あたしも一緒について行ったのにって。何度も何度も後悔していた……」

 なので昨日、冬丘が恋人づきあいをしていた本職冒険者パーティーの女性リーダーと別れたと聞いた時。不謹慎で意地が悪いとは思ったけれど、あたしは嬉しかったのよと。あかりは病人のうわ言にも似た口ぶりでとつとつと言葉を吐き捨てる。

 もしかしたらこれでまた冬丘と、昔の関係に戻れるんじゃないかという期待を抱くことが出来たから。冬丘のプロポーズを断ってしまったという過去を帳消しにして、やり直すことが出来るのではないかと思えたからだと。

 その思いは参ノ宮が、騎馬戦大会に聖たちと共に出場して自分らに勝つことが出来れば、冬丘を返すと宣言したことでさらに高まった。

「だからあたしは仲間に無理を言って仕事を変わってもらってまで……温泉に入りながら騎馬戦の騎馬になって騎手を担ぎながらお湯の中を駆け回るっていう、聞くだけでげんなりするような過酷な大会に出場することを決めたのに」
「あかりさん? お願いだからちょっと落ち着いて!」
 冬丘が観客席や聖たちのほうを交互に見やりながら、焦ったように声をあげる。その顔が赤いのは多分、お湯の熱さのためだけではないだろう。

 唐突に始まったあかりの独白劇のせいで、先程まであれほど盛り上がっていた観客席は針の落ちる音さえ聞こえそうなほどしんと静まり返っており。森本もマイクを片手に持ったまま、言うべき言葉を見つけることが出来ずにただ、固まっている。

「それがなに? 前の恋人には振られたけど、もう新しい恋人を見つけていましたなんてね。しかもその相手は、そちらのお嬢さん?」
「いや、だからそれは誤解……」
「あたしにプロポーズを断られたら、都会ですぐに新しい恋人を作って。その彼女にも振られたら、またまた次の相手を見つけるなんて。しかもそれが未成年の高校生ですって? どれだけ節操がないのよあんたは?」
「あかりさん! 頼むから僕の話も聞いて……」
「要するに、参ノ宮さんでしたっけ? あなたが、この騎馬戦に勝ったら清二を返してくれるって言ったのは嘘だったわけですよね? そりゃそうですよね。大切な恋人をむざむざと、過去の女のもとになんか返すわけないですものね」
 その言葉を本気にして必死に頑張っていたあたしを、実は二人して陰でせせら笑っていたんですねという言葉を、あかりは不穏な含み笑いと共に吐き捨てた。

 うわ、まずい。

 聖は右手のひらで顔面を覆うように抑えながら、心の中で吐息をこぼした。
 あかりは完全に目が据わっているし。言っていることも微妙に筋が通っていない。熱い温泉に長いこと浸かり続けていたせいで文字通り頭に血が昇りすぎて一時的に精神状態がおかしくなり、思いこみが激しくなってきているとしか思えなかった。

 そんなあかりの怒りをなんとか鎮めようと、冬丘は必死に声をかけ続けているけれど。いかんせん、いまの彼女にはそんな冬丘の言葉も耳に入ってきていないようだ。ましてや聖がなにを言ったところで、正気を取り戻してくれるとは考えにくい。

「ふっ。いまごろ気がついたのですか? その通りですわ。冬丘さんはいまやあたくしたち、ダイヤモンズ・ネックレスの貴重な戦力。あなたのような田んぼの肥やし臭い、田舎女のもとになんか返すはずがないではありませんか!」

 止せばいいのに。参ノ宮も愉快そうな高ら笑いをあげながら、あかりの怒りの炎に油を注ぐようなことを言い始めた。

 これには聖もさすがに眉をしかめる。
 確かに参ノ宮は他人をからかい挑発するような言動が大好きというはた迷惑な性格の持ち主だけれど。それでも他人のプライドや人格を傷つけるような下劣な真似はしないという、最低限の良心は持っていると思っていたのに。

 だがそれは聖の思いこみだったようだ。いくらなんでもこの言い草はひどい。

 聖は憤慨して、参ノ宮を諌めるべく口を開きかけた。だがその口が完全に開かれ、舌が非難の声を生み出すより前に、聖は気づいてしまった。

 参ノ宮の目も、あかりに負けず劣らず血走り据わっているということに。

 参ノ宮もあかりと同じく、暑さのせいで精神的な臨界点を突破して。そのせいで普段のはた迷惑な性格がさらに暴走したということか。聖は頭を抱えたくなった。

「そう。やっぱりそうだったんですね」
 その参ノ宮の言葉に、あかりは笑いを消して小さく独り言ちる。冬丘や聖の声は聞こえていないくせに、同じように精神がキレかかっている参ノ宮の声は聞こえ、言葉の意味も理解しているようである。
「……あんたたち。二人とも、ぶっ殺す」
 口唇をほとんど動かすことなく、あかりが呟いた次の瞬間。聖は重力の喪失感を覚えた。まるで、自分の身体がいきなり宙に浮いたかのような。

 いや。ようなではなく、実際に宙に浮いていたのだった。

 ただし聖一人だけがではなく、その下のあかりも一緒に、だ。

 つまり、あかりが大きく跳び上がったということである。彼女は首のすぐ下までお湯に浸かっていて、しかも聖というお荷物を抱えたまま三メートルほどもジャンプしたのだ。とんでもない膂力りょりょくである。

「んげえぇぇーっ!?」
 聖が思わず年頃の乙女らしからぬ悲鳴をあげ、観客席からもおおっと感嘆の声がもれ聞こえてくる中。あかりは両脚をまっすぐ伸ばしたまま、きりもみ回転しつつ参ノ宮と冬丘のほうに向かい落下……と言うか、突進していく。

「ぐっ!?」
 あかりのきりもみドロップキックを、冬丘は顔の前で交差させた両腕によってかろうじて防いだ。だがそれでもその勢いを完全には殺しきれなかったようで、そのまま一〇メートルほどを滑るように後退していった。

「たああーっ!」
 さらに。聖を肩車したまま空中でくるりと一回転したあかりはそのまま盛大な水しぶきを上げながら温泉内に着地したかと思うと。そのままお湯の中にいるとは思えないスピードで、両腕を大きく交差させながら冬丘のもとにと接近していく。

「真空斬りっ!」
 さらにあかりは左腕を素早く勢いよく振り下ろすことで、空気の断層を作り。続いて右腕を振り下ろすことで空気の断層を弾き飛ばす。これにより断層は楕円形をした真空の刃と化し、唸りを上げ回転しながら冬丘と参ノ宮へと襲いかかった。

「ひっ!?」
 これにはさすがの参ノ宮も度肝を抜かれたらしく、のぼせて熱くなっていた頭が一瞬で冷えたかのように顔面を蒼白にさせる。

 あんなものがまともに命中したら、冬丘も参ノ宮もただではすまないだろう。だが冬丘は慌てることなく、半身を引いてゆっくり息を吸いこむと、気合いと共に吸った息を吐き出しながら両手のひらを思い切り水に叩きつけた。

「むんっ! 地龍爆砕波!」
 冬丘の声と共に、水面は大きく揺らぎ。次いでその水面から赤ん坊の頭ほどの大きさがある水の塊が無数に飛び出し、あかりが生み出した真空の刃へ向かっていく。

 この地龍爆砕波。本来ならば自らの闘気を地面に叩きつけることで大地に干渉して土の砲弾をいくつも作り出し、それに精神エネルギーを注ぎこむことで破壊力を強化した上で敵に叩きつけるという冬丘の必殺技である。

 熊さんの使う『車輪式』にはさすがに遠く及ばないものの、その破壊力は絶大の一言で。邪竜の地下迷宮下層で中級レベルの魔物たちと熾烈な戦いを繰り広げている本職冒険者たちの中でも、これに勝る技を使える戦士は数えるほどしかいない。

「ぎょへえぇっ!?」
 そんなものを撃ち放たれたため、今度は聖が顔面を蒼白にさせる番となった。

 本来の土ではなく、温泉のお湯を砲弾としているため、その威力はオリジナルよりはだいぶ落ちているようだが。それでも生身の人間がこんなものをまともに食らったら、あっと言う間にミンチである。

 お湯の砲弾の一つはあかりの生み出した真空の刃とぶつかり、互いに相殺されて消滅。だがお湯の弾丸の残りは唸りをあげながら、いまも聖とあかりのほうへと飛来し続けていた。

「……フン!」
 この絶体絶命の大ピンチに、しかしあかりは全く慌てることなく。軽く目をすがめてつまらなそうな声を漏らすと、両手の拳を難く握り締めた上で、迫り来るお湯の砲弾に向けて素早く無造作にパンチを繰り出した。

 普通ならばそんなことをしたら、拳のみならず肘から先が皮膚も肉も皮も骨も引き裂かれて粉々に砕け散ってしまうところだろうけれど。あかりの拳は逆に、お湯の砲弾を全てあっさりと引き裂いて無害なただのお湯に戻し、温泉の中に返す。

 どうやら手に自らの闘気を集中してまとわせることによって、飛躍的に硬度を高めた拳でお湯の砲弾を破壊し、無力化したようだ。
 そう思い、聖は『聖眼セント・アイ』であかりの両腕に目を向けてみた。これは普通の人間には見ることの出来ない魔力やオーラなどを、様々な色をした光として視ることが出来るという僧侶の特殊能力である。

 案の定。あかりの拳には鮮やかな緑色をした光の帯に似たものが、幾重にも巻きついている様子を視ることが出来たのだが。

「な……なによ、これ?」
 聖は信じられないという思いで、ぽつりと呟く。

 闘気はある程度のレベルに達した戦士系の冒険者ならば誰でも扱うことが出来。武器にこめて攻撃力を増したりそれ自体を武器として撃ち放ったり、または自らの身体にまとわせることで攻撃力や防御力をアップさせたりと様々な使いかたがある。

 だけどその使いかたには上手い下手があり。まるで自分の身体の一部のように軽々と使いこなせる戦士もいれば、逆にその大きすぎるパワーに振り回されてしまい思うようにコントロールすることが出来ない戦士というのも多い。

 その差は、これまで強力な魔物とどれだけ戦ったことがあるかという、経験によるところが大きかった。

 戦士というのは自らの肉体を前面に出して魔物と正面からぶつかり合う職業だ。

 しかし強力な魔物というのは総じて、頑強な肉体を有している。一方それに対峙する戦士はしょせん人間でしかないため、その肉体は悲しいほどに脆く弱い。

 これでは魔物とまともに戦うことすら出来ないし、ましてや斃すことなど出来っこない。なので人間の戦士は自らの肉体を強化するために闘気をコントロールする術を覚えざるをえないこととなる。

 つまり人間の戦士が手強い魔物と互角以上に闘おうと思うなら、闘気のコントロールは必至であり。必然、強力な魔物と戦った経験が多い戦士になればなるほど、闘気の扱いかたが上手くなるのはこれまた当然のことなのだ。

 逆に言えば強力な魔物と戦った経験が少ない……あるいは弱い魔物としか戦ったことがなかったり魔物と全く戦ったことがない人間は、たとえ戦士としての素質があったとしても、うまく闘気を操ることは出来ないのである。

 闘気の強さや熟練度は、『聖眼』を通してみればすぐに分かる。弱い闘気はボロ布のように光のあちこちがほつれていたり破れたりしているし、初心者の操る闘気は色が薄く、ぼんやりとあいまいとした光しか放っていない。

 だが聖が『聖眼』で視たところ、あかりの闘気ははっきりとした緑色をしており。しかもきれいな光の帯となり、彼女の手を守るようにしっかり巻きついている。

 これは、あかりの闘気がかなり強力で、しかもその使いかたは熟練の域にまで達していることを意味していた。あたかももう何年も、邪竜の地下迷宮で最前線に立ち戦い続けていた高レベル戦士のように。

 一体どういうことなのだろう?
 いきなり始まった派手な技の応酬に、静まり返っていた観客席からは再び歓声が沸きあがり始めた。いいぞもっとやれなどと無責任な声援も飛んでくる中、聖は混乱しきりで首を左右にとひねりつづけているしかない。

 そんな聖の疑問など知ったことではないと言うかのように、また観客の声援に応えようとするかのように。あかりは気合いの叫び声と共に怒涛の勢いで突進して行き、闘気をこめた鋭く切れのある拳を、冬丘の身体に向けて数十発も打ちつけていく。

 冬丘もまた、闘気をこめた腕でその攻撃をなんとか受け流しているけれど。聖の見たところ、完全にあかりのペースであり。冬丘はあかりの攻撃をかろうじてしのぐのが精一杯と言ったていである。

 戦士としての全盛期は過ぎているとは言え、レベル三〇の戦士である冬丘が直接戦闘でここまで圧倒されるなんて、素人が闘気を自在に操ること以上に信じられない。

「……僕やあかりさんたちはこの保養所の近くにある小さな村で生まれ育ったんですが。この村には学校がないので、村の子供たちは就学する年齢になると山を降りた所にある人口四〇〇〇人ほどの別の村にある学校に通うことになっているんです」

 聖が顔中を『?』マークでいっぱいにしていることに気がついたのか。あかりの攻撃を必死にこらえながら、冬丘が説明の声をあげてくれた。

「だけどその山。道が狭く急で足場が悪い上に、サーベルウルフや人食いコンドルといった猛獣たちが多く棲んでいるという物騒な所でして」
「サ……サーベルウルフに人食いコンドルですってぇ!?」
 振り落とされないよう必死であかりの頭にしがみつきながら、聖は驚愕の叫び声をあげる。

 昨日あかりから聞いた話によれば、あかりの住む村には食料や衣料品などを売っている店はなく。そのため村の人々はそれら生活必需品を買い求めるためには、山を降りてふもとにある村まで行き来しているとのことだった。

 さらにはあかりたちも学生のころは毎日、その山を上り下りして学校に通っていたのだと確かに言っていたが。まさかそんなとんでもない連中が棲息してる山を、小学生の頃から普通に通っていたとは……。

 サーベルウルフも人食いコンドルも魔物でこそないが、獰猛で好戦的な上にその攻撃力は非常に高い。邪竜の地下迷宮で言えば、地下五階に棲息している魔物たちと同等かそれ以上に危険な生物なのだ。

「そ、そんなとんでもないものが棲んでるような山を毎日のように行き来してて、よく襲われませんでしたねえ?」
「襲われましたよ。毎日一回二回は必ず襲撃がありましたし。多い時には通学中だけで六回も攻撃を食らったことがあります。お陰でその日はようやく学校に着いたのが終業のチャイムが鳴る三分前という始末で、先生たちに滅茶苦茶怒られました」
 声を震わせながら言った聖の言葉に、冬丘は苦笑いと共にこともなげな口ぶりで応えた。

「襲われたって……そんな簡単に言いますけど。冬丘さんたち、小学生の頃からその山を通って学校に行ってたんでしょう? 小学生がサーベルウルフなんてものに襲われたら、生きて帰れるわけがないじゃないですか?」
「もちろん、一対一なら勝ち目はないです。でも当時僕たちは小学生だけでなく中学生高校生と、村の学生たち全員で集団登校していましたから」

 帰りも、下校時間が早い小中学生は放課後は図書館などで時間を潰して。高校生のお兄さんお姉さんの下校時間に待ち合わせをして一緒に帰っていたのだと、冬丘は当然のように言葉を続けた。

「いやでもそんな……いくら集団で登下校してたからって」
「山の中でサーベルウルフなどに襲われたら、中学生が小学生を守って。高校生がそいつらを撃退するっていう取り決めになっていたんですよ。もっとも敵の数が多い時は高校生だけでは戦力が足りずに、小中学生も援護して戦っていましたが」
「……」
「もちろん僕らも高校生になったら、小中学生を守ってサーベルウルフなどと戦いながら登下校をしていましたからね。そのためうちの村の人たちは子供の頃から戦闘に慣れっこになっているんですよ」
「……」
「ちなみにあかりさんは、小学生の頃からもう滅茶苦茶強くて。高校生のお兄さんお姉さんたちと一緒に先頭に立って、嬉々としてサーベルウルフらと戦っていました。僕なんか怖くて怖くて、いつも彼女の後ろに隠れてぶるぶる震えていたのですが」
 と。どこか恥ずかしがるような口ぶりで冬丘はつけ加える。

 冬丘の説明を聞いた聖は、驚き呆れて声も出せなかった。

 サーベルウルフや人食いコンドルなど、一対一の戦いでは賢悟や小夢だって勝てるかどうか分からないほどの強敵だ。

 そんな相手と小学生の頃から毎日のように戦わざるを得ない環境で育っていれば、真空斬りや闘気技の一つや二つくらい、そりゃ使えるようになるわよねえと。聖は嘆息しながら、内心で小さく独り言ちる。

 つまりあかりは冒険者認定こそされていないが、そこらの週末冒険者など足元にも及ばないほどの実力の持ち主であるということか。

 おそらくは冬丘と同等以上……と言うことはレベル三〇以上の戦士か拳闘士ボクサークラスの攻撃力は軽く有しているに違いない。これは賢悟と小夢と、ついでに聖も加えた三人でまとめてかかっていってもかなわないくらいの強さである。

 あかりは昨日、高校を卒業したら一緒に瞑竜町に行って冒険者にならないかと友人(冬丘)に誘われた時、心が動かされたけれど恐怖が先に立って結局断ってしまったと言っていたけれど。

(その恐怖っていうのは、迷宮にもぐって魔物と戦うことに対する恐怖なんだとばかり思ってたけど。そうじゃなくて単に、住み慣れた村を離れて都会で暮らすことに対する恐怖だったってことなのね……)
 そう思い、聖は渇いた苦笑いを浮かべた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしの弟と親友が、彼氏彼女の関係になってしまいそうなんです!

魔法組
キャラ文芸
 わたしこと宮部麻幌(みやべ まほろ)はごく普通の一六歳の女子高校生。そんなわたしはある日親友である高内流瑠(たかうち るる)に、好きな人が出来たと打ち明けられたのですが。その相手がわたしの実の弟で、小学四年生の宮部駿介(しゅんすけ)だと知らされ大仰天。  無論、そんな非常識かつ破廉恥なことが許されるわけがありません。ですが交際絶対反対と意気ごむわたしをよそに二人は急速に接近し、どこに出しても恥ずかしい典型的なバカップルの道へとつき進んでいきつつあるのでした!  可愛い弟を取られたくないというブラコン魂……もとい、高校生と小学生のカップルなぞ認められないという正義の想いに命じられるまま二人の仲を引き裂こうと暗躍するわたしでしたが空振りが多く、なかなかうまくいきません。  ですがわたしはあきらめません! どんな手を使ってでも必ずや二人の交際を邪魔して、間違った関係を正してみせましょう! そう。正義のために......!!

ハンリュウ! 〜隋帝国の野望〜

魔法組
歴史・時代
 時は大業8(西暦612)年。  先帝である父・文帝を弑し、自ら隋帝国2代皇帝となった楊広(後の煬帝)は度々隋に反抗的な姿勢を見せている東の隣国・高句麗への侵攻を宣言する。  高句麗の守備兵力3万に対し、侵攻軍の数は公称200万人。その圧倒的なまでの兵力差に怯え動揺する高官たちに向けて、高句麗国26代国王・嬰陽王は一つの決断を告げた。それは身分も家柄も低い最下級の将軍・乙支文徳を最高司令官である征虜大将軍に抜擢するというものだった……。  古代朝鮮三国時代、最大の激戦である薩水大捷のラノベーション作品。

月は無慈悲な夜の密室

魔法組
ミステリー
 コンセプトは「人間が二人しか存在しないはずの場所で、そのうちの一人が殺された。しかし、残りの一人は犯人ではない」というものです。この状況でどんな解決方法があるか。それを考え、結論の一つとして導き出されたのがこのお話です。  カテゴリーをミステリーにするかSFにするか少し考えましたが。SF的舞台や展開は、 謎やトリックを成立させるためのガジェットに過ぎないですし、メインテーマは前述の不可能殺人だったのでミステリーにしました。もし運営様に注意されたら変更するかもしれません。  ☆あらすじ。  月の裏側に位置する日本の月面基地ルナポート9。そこに駐在する二人の技官の一人、芹沢が何者かによって包丁で腰を刺され死亡した。  だが現在ルナポート9には……と言うより月全体でも人間は二人しか存在しない。つまり犯人はもう一人の駐在技官である近藤以外にあり得ないのだが、近藤は自らは絶対に犯人ではないと主張する。  謎を解き真実をつきとめるため、基地のロボットたちと協力して推理推論をくり広げる近藤。果たして近藤は真犯人を見つけ出し、自らの無実を証明することが出来るのだろうか?

リドル・ストーリーズ!~riddle stories~

魔法組
ライト文芸
 リドル・ストーリー。それはあえて結末を明かすことなく閉じられた物語のこと。物語に謎を残し、その後どうなったのかという結論と解釈を読者に丸投げ……もとい、委ねることによって成立する作品手法です。そんな話をいくつか思いついたので、つらつら書いていこうと考えています。  どれも短編の上、物語に連続性は全くないので一話から順番に読んでいただく必要はありません。お好きなものからどうぞ。  表紙画像は「かんたん表紙メーカー」様(https://sscard.monokakitools.net)にて作成したものを使っています。

処理中です...