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第二章「空腹のガイル」

7.実力差

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 ラフェル王国、それがミタリアが領地を構える国の名前である。
 大きな国ではないが安定した政治に強い騎士団がおり、これまで大きな問題もなく平穏に過ごしていた。ただ最近は長きに渡って燻っていた隣国ヴェスタ公国との抗争や蛮族の出現、そして北方に位置するガナリア大帝国の脅威に苛まれながらの舵取りを余儀なくされている。
 まずは蛮族の脅威を拭い去りたい。それはラフェルに暮らす皆の思いであった。



「お兄ちゃん、馬の扱い上手なんだね!」

 ミタリアとレフォードはそれぞれ馬に乗り領地視察へ出かけていた。見事な手綱さばきを見せるレフォード。感心したミタリアが笑顔になる。

「ああ、鉱石の運搬でよく使っていたからな」

 頻度は多くないが馬を使っての運搬もレフォードの仕事のひとつであった。


「それよりお前こそ上手だな。驚いた」

 孤児院時代の印象が強いミタリア。まだ幼く、泣き虫だった彼女が見事に馬を操っている。ミタリアが照れながら答える。


「随分と練習したんだよ~、何度落ちた事やら……」

 そう言って笑うミタリアは自然と周りも笑顔にする。ふたりは他愛もない会話を続けながら視察予定の村へと辿り着く。




「あ、ミタリアちゃんだ!」
「ミタリア様がいらしたぞー!!」

 ミタリアが村に入ると同時に大勢の人が集まって来た。馬から降りたふたり。村人がミタリアに話し掛ける。


「ミタリアちゃん、今日は視察?」
「泊ってくの??」
「ミタリア様、この野菜持って行って!!」

 村人に囲まれるミタリア。それに笑顔で対応する。


「えー、みんなの顔見に来ただけだよ~! 元気でやってる? 何か困ったことない??」

 領主になったとは言えとても気さくなミタリア。集まった人を皆笑顔にする。レフォードは少し離れた場所でそれを見ながら、幼いながらも付けられた彼女の別名『慈愛のミタリア』という名前を思い出した。
 差し出された大量の野菜や果物を前にミタリアが言う。


「嬉しいけどこんなに持てないよ~!!」

 それを聞いた村人がレフォードを指差して言う。

「あのに持たせたらいい」


「荷物持ち……??」

 そう口にしたミタリアが大きな声で笑って言う。


「ぷっ、あはははっ!! 違うよ! あの人は荷物持ちじゃないよ!!」

 笑い続けるミタリアに村人が尋ねる。

「違う? じゃあ護衛とか??」

「うん、そうだね。護衛もそうだけど、彼は……」

 ミタリアはそう言ってレフォードの元へ走り寄り腕を組んで言う。


「私のフィアンセで、お兄ちゃん!!」


(はあ……)

 頭を抱えるレフォード。村人はその言葉の意味が分からず口を開けてポカーンとしている。村人が尋ねる。


「フィアンセは分かったけど、ええっとお名前が『オニイ・チャーン』さんとか?」

 それを聞いたミタリアが爆笑して答える。

「きゃはははっ!! なにそれ!? おもしろーい!! 違うよ違う。私のお兄ちゃん。お兄ちゃんなの」

「ミタリア、いい加減やめろって。変な誤解される」

 困り果てたレフォードがミタリアに言う。


「えー、どうして? いいじゃん、本当のことだし。早く結婚して子供作りたいし」

「こ、子供!?」

 ミタリアの言葉にどんどん混乱していく村人達。結局彼らの誤解を解くのにレフォードが必死に何度も説明をする羽目になった。



「どちらにしろその兄ちゃんとの結婚、俺達は歓迎するぜ!!」
「おめでとー!! ミタリアちゃん!!」

 何がどうしてそうなったのか、説明を終えたレフォード達に次々と祝福の声がかけられた。ミタリアが両手を頬に当て恥ずかしそうに答える。

「ありがとー!! みんな!! 私、幸せになるね!!」


(おいおい、何なんだ、こいつらは……)

 血は繋がっていないとはいえ兄弟のように育ったふたり。結婚、ましてや子作りなどできるはずがない。当人でないとその気持ちは分からないのか、そんな風に思っていると村人のひとりが真剣な顔でレフォードに言った。


「あんた、ちゃんとミタリア様を守れるんか?」


 ゆっくりと顔を上げるレフォード。

「それはどういう意味で?」

「差し当って今この辺りは蛮族の被害が続出している。裕福な家ばかり狙っているからこんな村には来ないとは思うが、ミタリア様は領主。あんたにちゃんと守れるのか?」

 レフォードが力強く答える。


「守ろう。その蛮族も何とかする」

 それを聞いた別の村人が笑いながら言う。


「蛮族を何とかする? おいおい、冗談よせよ。あの騎士団ですら手を焼く集団だぜ。あんたみたいな奴に何とか出来る訳ないだろ??」

 他の村人からも失笑に近い声が上がる。それを聞いたミタリアが皆の前に出て言う。


「大丈夫よ。お兄ちゃん、とーっても強いんだから!」

「強い? 本当なの、ミタリアちゃん?」

 あまり信じられない顔をした村人が尋ねる。


「うん、実はね。もう一度蛮族と戦ってるの。それで撃退しちゃったの」

「ええっ!? 本当に!!?? それが本当だとしたら凄いじゃないの!!」

 その話で皆の視線がレフォードに集まる。それはある意味尊敬の眼差し。本当に蛮族を退けたのならこれほど頼もしい護衛はいない。
 しかし驚きの視線を浴びるレフォードに太い男の声が掛けられた。


「そんなの出鱈目だろう。そんな細い体で蛮族と戦えるはずがない。そいつじゃ無理だ。この俺が証明してやる」

 そう言って現れたのは周りの男達よりもひと回りもふた回りも大きな男。筋肉隆々で、一見して強者と分かる。後に聞いた話では、騎士団に志願したこともあるほど腕に自信があるとのこと。ミタリアが言う。


「ゲランさん、お兄ちゃんはそんなんじゃなくて……」

 ゲランと呼ばれた巨躯の男が答える。

「領主さん、あんたの為だ。今俺がこいつの化けの皮をはがしてやる。下がってな」

 その声に周りにいた村人達が後ろへ距離を取り始める。それでも納得のいかないミタリアがゲランに言う。


「ゲランさん! だからお兄ちゃんは……」

 そんなミタリアにレフォードが軽く手をやる。


「大丈夫。ちょっと彼と話をするだけだ」

「お兄ちゃん……」

 そう笑顔で話すレフォードの顔を見て、ミタリアも小さく頷いて後ろに下がる。ゲランが指をぽきぽき鳴らしながら言う。


「あの蛮族を倒したって言う護衛様が、いったいどれほどのものか是非知りたいもんだね~。俺はな、あの王国騎士団の入団試験を受けたほどの者なんだぜ。平民だから仕方なく不合格になっちまったんだが。まあ、今はこんな村で守衛なんてやってるが本当に俺は強くて、蛮族など幾ら来ようが俺様が居りゃ全然心配なく……」

 ゲランはレフォードの前でいつまでもひとり自慢話を続ける。いい加減何も起こらない状況に村人からヤジが飛ぶ。


「おい、ゲラン!! 何やってるんだ!! やるなら早くやれ!!」

 話に夢中になっていたゲランが我に返りそれに答える。

「ああ、わりぃ。こいつに俺の凄さを教えていたんだ。あー、お前。早くその剣を抜けよ。あ、それとも謝るんなら今だぞ」

 レフォードがやや呆れた顔で答える。


「もうそのくらいでいいだろう。お前の為だ。とっとと帰りな」

 その言葉にキレたゲランが右腕を振り上げ大声で言う。

「やっぱり何も俺の話、分かってなかったようだな!!! このペテン師がああ!!」


「お兄ちゃん!!」

 ミタリアが口に手を当てて叫ぶ。


 ドン!!!


「ぎゃっ!?」

 巨躯のゲランの右拳がレフォードの胸に当たる。鈍い音を立ててすべての動きが止まる。


(痛ってええええ!! ど、どうなってやがる!!!???)

 それはまるで大きな岩を殴っているような感覚。全く動くはずのないものを思いきり殴ってしまったような衝撃。レフォードもゲランも全く動かない状況に周りの村人が再びヤジを飛ばす。


「おい、どうした!?」
「ゲラン、何やってんだよ!!」

 体が全く動かないゲランは、その最悪な状況を少しずつ理解し始めていた。レフォードが胸に叩きつけられたゲランの右手を握って言う。


「この村の守衛を、これからも頼む」


(!!)

 握られた瞬間ゲランは察した。


 ――こいつ、強い……

 多少腕に覚えのある彼だからこそ分かった。目の前の男とは自分などでは足元にも及ばないほどの実力差がある。自分など剣すら使わず素手で十分な相手。ゲランは一刻も早くその場を立ち去りたくなっていた。


「さ、行くぞ。ミタリア」

 それより先にレフォードがミタリアに声をかける。

「え? あ、うん! じゃあ、行こっか」

 そう言ってふたりが馬に跨る。レフォードとゲランの争いが中途半端に終わってしまったことに村人が首を傾げながらそれを見送る。


「じゃあね~、また来るよ~!!」

「お気をつけて、ミタリア様!!」
「ミタリアちゃん、いつでもおいでね~!!」

 皆を笑顔にするミタリア。見送る村人に手を振って応える。


「おい、ゲラン、一体どうした……、えっ??」

 ふたりが去った後、その場に座り込んでしまっていたゲランを見た村人が驚く。

「ゲラン! おい、ゲラン、大丈夫か!?」

 彼は顔を真っ青にして全身から玉のような汗を流すゲランを見て必死に声をかける。体は震え、目の焦点が定まらない。
 何が起こったのかは分からない。ただ領主ミタリアが連れていた護衛が本物であることだけは、村一番の強者ゲランの怯える姿を見て皆が理解した。





「あ、お兄ちゃん! あれが次の街だよ!!」

 半日ほど馬で歩き、見えてきた中規模な街。ミタリアのヴェルリット家の領地の中でも最大規模の街である。整然と整備された街で人が多く活気に溢れている。
 ミタリアは中央役場の前に移動すると馬を降りてレフォードに言った。

「これからちょっとだけ打ち合わせがあるんだ。お兄ちゃんは少し時間潰してくれないかな」

 役場内は安全だとのこと。それを聞いたレフォードも馬を降り建物に入るミタリアを見送る。


「さて……」

 初めての街。右も左も分からないがやることは決まっている。レフォードは馬を馬止めに結びひとり人混みへと消えていった。




「お兄ちゃん、お待たせ!!!」

 しばらくして役場から出て来たミタリアが、入り口で待っていたレフォードに駆け寄る。真っ赤なツインテールを左右に揺らし躊躇うことなくレフォードに抱き着く。


「わっ! よ、よせって、ミタリア!?」

 動揺するレフォード。ミタリアが甘い声で言う。


「だって~、せっかくのデートなのに離れ離れになっちゃって、ミタリア寂しかったんだよ~」

(何を言ってんだ、まったく……)

 もはや呆れて言葉も出ない。ため息をつくレフォードにミタリアが尋ねる。


「お兄ちゃんは、何してたの??」

 それを聞いたレフォードが真剣な顔で答える。

「ああ、ちょっと蛮族について探りを入れていた」

「え!? そうなの!! 凄い、お兄ちゃん!!」

 驚くミタリアにレフォードが小声で言う。


「どうやら蛮族が新たな戦闘員を募集しているみたいだ。それに応募しようと思っている」


「ええっ!?」

 驚くミタリアの口を塞ぐレフォード。

「静かに。極秘事項だ」

 ミタリアは口を押えられたまま何度も頷く。
 これよりレフォードの蛮族攻略作戦が本格的に開始される。
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