10 / 24
十話 結城さん
しおりを挟む
食事もまともに摂れなくなって、命の危機みたいなものを感じたオレは、無意識にある場所へと向かっていた。
目的地まではネットで調べて、電車とバスを乗り継いで辿り着いた。
ここならば、またオレの願いを叶えてくれるだろうか?
幸せになりたい一心で、扉の前についていたチャイムを鳴らした。
古いビルの中にある「澤田組」の事務所の前で、緊張に汗を浮かべながら。
チャイム壊れてるのかな? 鳴ってる気がしない。反応もないし。
ドアノブを回してみたら、鍵はかかってなくて普通に開いた。
「お、お邪魔します……?」
どう挨拶していいか分からなくて、扉を開いてからアホな事を言ってしまったように思えた。
奥からヤクザの人達がやってきた。
やば、誰かがドア開けるまで待てば良かった。
「誰だテメェ!?」
「どこの組のもんだ!?」
めっちゃ凄んでくる。全員厳つい顔をしていて、睨まれただけで身体が縮こまる。マジで怖っ。
「あ、あのー。初めまして、オレ、堂島文和といいます。オレのお母さん……小山内美智子と知り合いの人がここにいる筈なんですが……」
すると、三年前にオレを人身売買組織に差し出した男が、他の組員を押し退けて目の前にやってきた。
「おっ、小山内のガキか!? お前、大変だったみたいだな! 痩せちまって可哀想に」
見た目は昔と変わらないままだ。
オレの状況を知ってくれているのは助かるけど、それよりも大事な事がある。
「えっと……名前、教えてもらえますか?」
三年前は幹部だった結城さんは、色々あって今は組長になったんだそうだ。
三人くらい座れそうな大きなソファーのど真ん中に座って、結城さんと向かい合う。
近くで組員の人達が睨んでてちょっと怖い。
結城さんはオレにお菓子とお茶を出してくれた。食欲はないけど、出されたものだし、遠慮しつつ食べながら、結城さんに話しかけた。
「お母さんは、あの後どうなったんですか?」
「アイツは借金が帳消しになったのが嬉しかったみたいで、また別の闇金から借りてたぜ。
今は消息不明だ」
「そっかぁ。オレ頑張ったのになぁ。やっぱりオレの事なんてどうでも良かったのかも」
「そんな事はない。アイツも、お前は大事だったみたいで、身体を売ってでも取り戻してぇって。本当はお前も一緒に連れて逃げるつもりだったんだと」
「そうだったんですか!?」
「そうだ。美智子の奴、お前を買った堂島と一度会ったんだ。お前が幸せそうなの確認したら消えちまった。
今はアイツに金貸しちまった闇金業者が血眼になって探してるらしい」
「そうだったんだ……。
お母さん、元気にしてるといいなぁ。闇金から逃げ切れるといいけど」
「マザコンは相変わらずか」
「そうでもないですよ。お母さんの事は心配だけど、だからってお母さんがした事を擁護はしませんから」
「ガキってのは勝手に育つもんだな」
「オレ一人で大きくなったわけじゃありませんよ。
近くで見守って育ててくれた人達がいて、ここまで大きくなれたんです。あの時、人身売買で売られて良かったと思ってます」
「堂島との生活がそんなに良かったのか」
「はい、とても。
人身売買組織が捕まって、購入者の個人情報が明らかにならなければ、オレはまだ幸せでいられたのにな……」
人身売買組織の人達がもっとセキュリティーを強化していれば良かったんじゃないの? って何度も考えた。
「こう言っちゃなんだがな。今回の事で救われたのは子供達だ。
売られた奴らは殆どが親元に帰された」
「帰りたくない子もいたんじゃないんですか?」
「まさか。帰りたい奴が99パーセントだろうよ。
金持ちの道楽で、子供の内から仕事をさせられたり、性奴隷になったり、酷い虐待を受ける者もいる」
「オレが運が良かっただけ?」
「そうだ。もう忘れて自分の人生を生きろ」
そこまで聞いて、オレの考えは間違っているのかもしれないって思った。
でも……それでも……。
「結城さん、お願いがあります! 聞いてくれますか?」
「な、なんだ? お願いっていうならそれなりの対価は払ってもらう事になるぞ」
「はい! オレをまた別の人に売ってもらえませんか!?」
「はぁっ!? お前、自由の身になったんだろ? なんだって……」
結城さんが驚いた後に怖い顔をした。きっとオレが間違ってんだよね。
分かってる。全部、ちゃんと分かってるんだ。
次売られたら、もしかしたら酷い扱いを受けるかもしれないって、覚悟してる。
それでも、もう一人ぼっちでいたくない。
「分かってますよ。オレが甘いっていう事も、全部間違ってるって事も。
でも、もう耐えきれないんです!
オレをペットにしてくれる人限定で、売ってください。お金は全て結城さんにあげますから!」
「元手ゼロで売り物が手に入るのは助かるがな。はぁ。仕方ねぇ、知り合いに物好きがいないか聞いてみるわ」
「やった!!」
誰かが一緒にいてくれるなら、どんな仕事だってするよ。
何もワガママは言わないようにしないと。
あ。それだと、もうゴロゴロは出来ないかな?
一度だけ言ってみてもいいかな。受け入れてくれるといいなぁ。
「変な奴だな。とりあえず、こっちは人身売買組織は介さないから、多分堂島と同じような事は起こらないだろう」
「ほんと?」
「分からねえ。奴がどこまで嗅ぎつけてくるか分からねぇからな」
「……奴?」
「こっちの世界じゃ有名なんだが。須賀春哉って若造がな、人身売買組織を潰してるらしい。
今まで潰されたのは二つだが、表に出ていない分も幾つかある。
しかも奴のバックにはデケー守りが二つもあって、手出しが出来ねぇ」
須賀春哉……。その名前忘れない。
またオレの邪魔をするようなら、オレの生活を守らなきゃ。
そういえば、栞ちゃんが前に──。
「もしかして、あの日の夜、外にいた人かな?」
「見た事あんのか!?」
「オレは見てない。栞ちゃんが外から家を覗いてる奴がいるって。その数ヶ月後に雪夜が逮捕されたんだ」
「それだけじゃ、須賀かどうか判断出来ねぇな。
んで栞ちゃんってのは、昔堂島が買った女の子だったか? 雪夜ってのは」
「堂島雪夜」
「だよな。主人を呼び捨てで呼んでたのか?」
「はい。雪夜がそう呼べって。雪夜と栞ちゃんの三人家族って感じで、とても楽しかったんです。
本当はね、雪夜が出所するの待つつもりだったんです……。だけど、寂しくてもう気がおかしくなりそうで」
「そうか」
「はい! だから売ってくれるって言ってくださって嬉しいです。
あ、一つだけお願いしたいんですけど、二年で家に戻してくれると助かります!」
オレは頭を下げた。これ以上下げられないってくらい。
「二年? それだと売るっていうよりレンタルだな。それだったら店を紹介してやるから、年齢詐称して身体を売ればいい。
借金があるわけでもないんだから、わざわざ闇取引きする必要ねぇよ」
下げていた頭を上げて、結城さんに不満の感情を向ける。
「売春しろって事ですか? 嫌ですよ。オレはペットになりたいんです。
主人がコロコロ変わるのも嫌です。一人の人に二年だけ可愛がられたいんです!」
「お前、自分がどれだけワガママ言ってるか分かってるか?」
「分かりません!
でも、なるべくオレの要望聞いて欲しいです。ダメなところは合わせますから。
闇取引の方が結城さんも入ってくるマージン多いんじゃないですか? オレはいくらで購入されても一切報酬は要らないって言ってるんです。
断られる理由が分かりません」
結城さんは何故か大きな溜息をついて、困った顔をオレに向けてきた。
「条件つけると相手を探すのが面倒なんだ」
「あっそっか。分かってなくてすみません。二年っていう期限以外は何もワガママ言いません」
結城さんは少し呆れた顔をしてたけど、フッと口角を上げた。
「分かったよ。俺の商品としてレンタル出来るようにしてやる。なるべく良い奴に頼んでやるから」
「ありがとうございます!」
顔を上げて礼を言ってから結城さんに頭を下げた。
結城さんはヤクザだし、良い人じゃないんだろうけど。
それでも好きな人認定したよ。
目的地まではネットで調べて、電車とバスを乗り継いで辿り着いた。
ここならば、またオレの願いを叶えてくれるだろうか?
幸せになりたい一心で、扉の前についていたチャイムを鳴らした。
古いビルの中にある「澤田組」の事務所の前で、緊張に汗を浮かべながら。
チャイム壊れてるのかな? 鳴ってる気がしない。反応もないし。
ドアノブを回してみたら、鍵はかかってなくて普通に開いた。
「お、お邪魔します……?」
どう挨拶していいか分からなくて、扉を開いてからアホな事を言ってしまったように思えた。
奥からヤクザの人達がやってきた。
やば、誰かがドア開けるまで待てば良かった。
「誰だテメェ!?」
「どこの組のもんだ!?」
めっちゃ凄んでくる。全員厳つい顔をしていて、睨まれただけで身体が縮こまる。マジで怖っ。
「あ、あのー。初めまして、オレ、堂島文和といいます。オレのお母さん……小山内美智子と知り合いの人がここにいる筈なんですが……」
すると、三年前にオレを人身売買組織に差し出した男が、他の組員を押し退けて目の前にやってきた。
「おっ、小山内のガキか!? お前、大変だったみたいだな! 痩せちまって可哀想に」
見た目は昔と変わらないままだ。
オレの状況を知ってくれているのは助かるけど、それよりも大事な事がある。
「えっと……名前、教えてもらえますか?」
三年前は幹部だった結城さんは、色々あって今は組長になったんだそうだ。
三人くらい座れそうな大きなソファーのど真ん中に座って、結城さんと向かい合う。
近くで組員の人達が睨んでてちょっと怖い。
結城さんはオレにお菓子とお茶を出してくれた。食欲はないけど、出されたものだし、遠慮しつつ食べながら、結城さんに話しかけた。
「お母さんは、あの後どうなったんですか?」
「アイツは借金が帳消しになったのが嬉しかったみたいで、また別の闇金から借りてたぜ。
今は消息不明だ」
「そっかぁ。オレ頑張ったのになぁ。やっぱりオレの事なんてどうでも良かったのかも」
「そんな事はない。アイツも、お前は大事だったみたいで、身体を売ってでも取り戻してぇって。本当はお前も一緒に連れて逃げるつもりだったんだと」
「そうだったんですか!?」
「そうだ。美智子の奴、お前を買った堂島と一度会ったんだ。お前が幸せそうなの確認したら消えちまった。
今はアイツに金貸しちまった闇金業者が血眼になって探してるらしい」
「そうだったんだ……。
お母さん、元気にしてるといいなぁ。闇金から逃げ切れるといいけど」
「マザコンは相変わらずか」
「そうでもないですよ。お母さんの事は心配だけど、だからってお母さんがした事を擁護はしませんから」
「ガキってのは勝手に育つもんだな」
「オレ一人で大きくなったわけじゃありませんよ。
近くで見守って育ててくれた人達がいて、ここまで大きくなれたんです。あの時、人身売買で売られて良かったと思ってます」
「堂島との生活がそんなに良かったのか」
「はい、とても。
人身売買組織が捕まって、購入者の個人情報が明らかにならなければ、オレはまだ幸せでいられたのにな……」
人身売買組織の人達がもっとセキュリティーを強化していれば良かったんじゃないの? って何度も考えた。
「こう言っちゃなんだがな。今回の事で救われたのは子供達だ。
売られた奴らは殆どが親元に帰された」
「帰りたくない子もいたんじゃないんですか?」
「まさか。帰りたい奴が99パーセントだろうよ。
金持ちの道楽で、子供の内から仕事をさせられたり、性奴隷になったり、酷い虐待を受ける者もいる」
「オレが運が良かっただけ?」
「そうだ。もう忘れて自分の人生を生きろ」
そこまで聞いて、オレの考えは間違っているのかもしれないって思った。
でも……それでも……。
「結城さん、お願いがあります! 聞いてくれますか?」
「な、なんだ? お願いっていうならそれなりの対価は払ってもらう事になるぞ」
「はい! オレをまた別の人に売ってもらえませんか!?」
「はぁっ!? お前、自由の身になったんだろ? なんだって……」
結城さんが驚いた後に怖い顔をした。きっとオレが間違ってんだよね。
分かってる。全部、ちゃんと分かってるんだ。
次売られたら、もしかしたら酷い扱いを受けるかもしれないって、覚悟してる。
それでも、もう一人ぼっちでいたくない。
「分かってますよ。オレが甘いっていう事も、全部間違ってるって事も。
でも、もう耐えきれないんです!
オレをペットにしてくれる人限定で、売ってください。お金は全て結城さんにあげますから!」
「元手ゼロで売り物が手に入るのは助かるがな。はぁ。仕方ねぇ、知り合いに物好きがいないか聞いてみるわ」
「やった!!」
誰かが一緒にいてくれるなら、どんな仕事だってするよ。
何もワガママは言わないようにしないと。
あ。それだと、もうゴロゴロは出来ないかな?
一度だけ言ってみてもいいかな。受け入れてくれるといいなぁ。
「変な奴だな。とりあえず、こっちは人身売買組織は介さないから、多分堂島と同じような事は起こらないだろう」
「ほんと?」
「分からねえ。奴がどこまで嗅ぎつけてくるか分からねぇからな」
「……奴?」
「こっちの世界じゃ有名なんだが。須賀春哉って若造がな、人身売買組織を潰してるらしい。
今まで潰されたのは二つだが、表に出ていない分も幾つかある。
しかも奴のバックにはデケー守りが二つもあって、手出しが出来ねぇ」
須賀春哉……。その名前忘れない。
またオレの邪魔をするようなら、オレの生活を守らなきゃ。
そういえば、栞ちゃんが前に──。
「もしかして、あの日の夜、外にいた人かな?」
「見た事あんのか!?」
「オレは見てない。栞ちゃんが外から家を覗いてる奴がいるって。その数ヶ月後に雪夜が逮捕されたんだ」
「それだけじゃ、須賀かどうか判断出来ねぇな。
んで栞ちゃんってのは、昔堂島が買った女の子だったか? 雪夜ってのは」
「堂島雪夜」
「だよな。主人を呼び捨てで呼んでたのか?」
「はい。雪夜がそう呼べって。雪夜と栞ちゃんの三人家族って感じで、とても楽しかったんです。
本当はね、雪夜が出所するの待つつもりだったんです……。だけど、寂しくてもう気がおかしくなりそうで」
「そうか」
「はい! だから売ってくれるって言ってくださって嬉しいです。
あ、一つだけお願いしたいんですけど、二年で家に戻してくれると助かります!」
オレは頭を下げた。これ以上下げられないってくらい。
「二年? それだと売るっていうよりレンタルだな。それだったら店を紹介してやるから、年齢詐称して身体を売ればいい。
借金があるわけでもないんだから、わざわざ闇取引きする必要ねぇよ」
下げていた頭を上げて、結城さんに不満の感情を向ける。
「売春しろって事ですか? 嫌ですよ。オレはペットになりたいんです。
主人がコロコロ変わるのも嫌です。一人の人に二年だけ可愛がられたいんです!」
「お前、自分がどれだけワガママ言ってるか分かってるか?」
「分かりません!
でも、なるべくオレの要望聞いて欲しいです。ダメなところは合わせますから。
闇取引の方が結城さんも入ってくるマージン多いんじゃないですか? オレはいくらで購入されても一切報酬は要らないって言ってるんです。
断られる理由が分かりません」
結城さんは何故か大きな溜息をついて、困った顔をオレに向けてきた。
「条件つけると相手を探すのが面倒なんだ」
「あっそっか。分かってなくてすみません。二年っていう期限以外は何もワガママ言いません」
結城さんは少し呆れた顔をしてたけど、フッと口角を上げた。
「分かったよ。俺の商品としてレンタル出来るようにしてやる。なるべく良い奴に頼んでやるから」
「ありがとうございます!」
顔を上げて礼を言ってから結城さんに頭を下げた。
結城さんはヤクザだし、良い人じゃないんだろうけど。
それでも好きな人認定したよ。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
あなたに誓いの言葉を
眠りん
BL
仁科一樹は同棲中の池本海斗からDVを受けている。
同時にストーカー被害にも遭っており、精神はボロボロの状態だった。
それでもなんとかやっていけたのは、夢の中では自由になれるからであった。
ある時から毎日明晰夢を見るようになった一樹は、夢の中で海斗と幸せな時を過ごす。
ある日、他人の夢の中を自由に行き来出来るというマサと出会い、一樹は海斗との約束を思い出す。
海斗からの暴力を全て受け入れようと決意してから狂いが生じて──。
優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~
日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。
もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。
そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。
誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか?
そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。
「僕は病弱なので面倒な政務は全部やってね」と言う婚約者にビンタくらわした私が聖女です
リオール
恋愛
これは聖女が阿呆な婚約者(王太子)との婚約を解消して、惚れた大魔法使い(見た目若いイケメン…年齢は桁が違う)と結ばれるために奮闘する話。
でも周囲は認めてくれないし、婚約者はどこまでも阿呆だし、好きな人は塩対応だし、婚約者はやっぱり阿呆だし(二度言う)
はたして聖女は自身の望みを叶えられるのだろうか?
それとも聖女として辛い道を選ぶのか?
※筆者注※
基本、コメディな雰囲気なので、苦手な方はご注意ください。
(たまにシリアスが入ります)
勢いで書き始めて、駆け足で終わってます(汗
魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!
松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。
15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。
その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。
そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。
だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。
そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。
「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。
前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。
だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!?
「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」
初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!?
銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。
ご主人様と性処理ペット
如月 永
BL
現在では動物の遺伝子を取り入れた人間が増えて、純粋な人間はいなくなった。
かつて性処理用ペットとして生み出された獣人は、動物保護法により今は金持ちの娯楽として愛玩ペットになっていた。
しかし一部例外として性処理用として売られる場合があった。
それは買い手に性欲過多の特殊遺伝子を持つ場合だ。
ライオン種の御主人様に飼われた猫獣人や、ドSな御主人様に飼われている犬型獣人の話。
<説明&注意>
安定のぼんやり設定。エロ度は普通。犬獣人はハート喘ぎ気味。
誤字脱字、後出し設定が不自然でも許してくれる人向け。
2000文字程度で33話まで投稿予約済み。それ以降は未定。
まだ中編くらいの長さだけど、続きそうなので長編設定。
<キャラクター覚え書>
●玄道 嵐志(げんどうあらし):
ライオン種とウサギ種の遺伝子を持つ絶倫御主人様。純の飼い主。30代半ば。
●シロ→純(じゅん):
猫型獣人。短毛種の白猫で金と水色のオッドアイ。世間知らずの17歳。年齢より見た目も言動も幼い。
●御子神 恭一朗(みこがみきょういちろう):
絃真の飼い主。絶倫動物の遺伝子を持つが、何の動物かは教えてくれない。ドS。玄道の仕事を通しての友人。20代後半。
●絃真(けんしん):
犬型獣人。ドMに調教されている。エッチの時しか御子神をご主人様と呼ばない。15歳の時に買われ、ペット歴5年。成人までの成長速度が違うため2年間で成人して現在23歳。
冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~
日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました!
小説家になろうにて先行公開中
https://ncode.syosetu.com/n5925iz/
残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。
だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。
そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。
実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく!
ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう!
彼女はむしろ喜んだ。
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる