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四章
二話
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偽造通行証を見た兵達は、訝しげにフリードを見つめた。
「お前…本当にルーベリア民か?」
兵達がそう言ってくるのも当然だ。フリードはクレイルで産まれた為、ヘイリア国民にも、ルーベリア国民にも見えない。
異様に美しい顔をしているのも相まって、兵達の疑いは深まるばかりだ。フリードは咄嗟に、目を潤ませてジールの後ろに隠れた。
「兄さん。やっぱりボク、ルーベリア国民に見えないんだよ。お母さんがクレイル国民で、ボクお母さん似だから…」
「お前らが兄弟?にわかに信じがたいが…」
フリードの言葉に、兵士が更に疑惑を深める。
するとジールは兵達を睨み付け、フリードを守るように前に出た。
「おい、俺の弟はハーフなんだよ、文句あんのか?俺と弟は異母兄弟だが、れっきとした兄弟だ!」
すると兵士の一人がジールを指さし、
「お前が兄?弟じゃなくて?俺にはお前がどう見ても十五歳くらいにしか見えないんだが…」
と眉を寄せながら問い詰めてくる。だがジールも負けじと本物の通行証をズイッと兵士の前に出して、
「だからそう言ってるだろ。失礼な奴だな」
フリードも持たされた偽造通行証を見せて、兵士が二つの通行証を見比べた。
「むぅ……。それは失礼した。通っていいぞ」
兵士の許可を得たジールとフリード、その後に問題なく許可を得たアグリルは、無事ルーベリア国内へと入る事が出来た。
町は地面から建物に至るまで全てが整備されており、二階建ての建物がずらりと等間隔に並んでいる。
ルーベリアにとっては辺境の土地であるのに、ヘイリア帝国の帝都と同じレベルで栄えている事に、フリードは内心驚く。
「ここは国境の町、カメリアだ。今日はここで一泊した後、明日馬車に乗って、まずは帝都まで向かう」
ジールがそう言いながら歩き出し、フリードとアグリルがそれに続いた。
途中、建物群の奥に教会のような空に伸びるような高い建物が建っていた。
一番上には大きな鐘があり、遠くからでもあの鐘だけは目に入りそうだ。
「フリード、あれは教会の支部だよ。ルーベリアはドルーズ教を信仰していて、異端者は殺されるから注意してね」
アグリルの説明にフリードは一瞬固まって、
「……は?」
と返した。ジールが続きを説明する。
「ルーベリアは優秀な人がのし上がれる完全実力主義の国だけど…。
ドルーズ様は自分を信仰しない者を嫌うからね。といっても堅苦しい事は何もないから安心してよ」
以前、イリーナが話していた事を思い出し、疑問が頭に浮かんだ。
イリーナは育った村で巫女をしていたと聞いた。イリーナが聞いていた神の声は、ドルーズ教会が信仰している神と同じなのだろうか。
「もしかして、イリーナが聞いていたという神の声は、ドルーズ様なのか?」
問いに答えたのはジールだ。
「いや、皇后様がいた村では、ドルーズ様ではない神を信仰している。
だから神の声が聞こえるという力は重宝されても、異端者だから爪弾きにされた。
人扱いなんてされない、でも便利な能力は利用するってわけだ」
その説明に、フリードは吐き気すら覚えた。
「それでも神の声が聞こえるという力は信じたのか」
「都合のいいところだけを見て、都合の悪いところは見て見ぬふりってところなんだろ。
だから、フリードもここにいる間はドルーズ様を信仰しなきゃね」
ジールの言葉にフリードは少し不快感を感じつつも頷いた。
クレイル公国にいた頃、信仰していた宗教を棄教したフリードは、今は無宗教という状態だ。
ヘイリア帝国も国民が信仰している宗教はあるが、地域ごとに枝分かれしており、誰がどの信者かというのはあまり重要ではない。
隣の家の者が別の宗派だとしても気にしないお国柄な上、ウェルディスからは無宗教のままでも問題ないと言われていた。
「心配しなくても、普通にしてりゃ大丈ー夫!」
そう言って先に進むジールの後を追ったその時だった。ドンッ!と横から来た人がフリードにぶつかった。
すぐにアグリルがフリードの前に滑り込み、ぶつかった者に剣を向けようとした。
「アグリルやめろ!」
フリードは、剣の柄を握るアグリルの腕を掴み、後ろに下がらせた。
そして片膝をついて、ぶつかった拍子に倒れ込んだ者に、手を差し伸ばした。
その者は、頭がすっぽり入る真っ白なフード付きのマントを羽織っており、フリードを見上げた顔は目から下しか見えなかった。
その下に着込んでいる服も、履いているブーツも全てが白い。
こんなところで倒れ込んだら、綺麗な服が汚れてしまいそうだ。
フリードの手を掴んで立ち上がった者は、フリードと同じ目線に立つと顔が見えた。
男とも女とも言えない中性的な顔つきだ。
歳の頃は恐らく十代後半で、フリードと同じくらいに見える。
その者はフリードを見ると、優しく微笑んだ。
「ありがとうございます。
お優しい方ですね。私のような者に手を差し伸ばして下さるなんて…」
声を聞いても性別は明らかにならなかった。
「いえ、こちらこそ気付かずに申し訳ない」
違和感を覚えながらもフリードは謝罪すると、その者は更に身を縮ませた。
「え、あ……あの。私に謝る必要はありません。フードが大きくて前が見えにくいのに、走っていた私に非がありますから」
すると先を歩いていたジールが戻ってきて、その者に微笑んだ。
「うちの弟が申し訳ない。お怪我はありませんか?」
するとその者はブンブンと首を左右に振り、
「心配はご無用ですっ!あ、私は急ぎますので」
と何度もフリードに頭を下げてまた走っていった。その姿を見てフリードは、ルディネスを思い浮かべた。
今はそこまで弱々しい感じではないが、出会った頃はビクビクして可哀想な程だった。
今の者があの時のルディネスと重なり、
「ルディよりも腰の低い人がいたもんだ」
と、フリードは呟いた。
「あの人は教会に属する異端審問官だよ。普段は真っ白な服を着ているけれど、いざ異端者が捕まると、彼らは黒い服に身を包み、拷問を行う。
白い服を血で汚さない為にね。そのせいもあって、異端審問官は国民の嫌われ者なんだよ」
ジールの言葉を聞きながら、フリードはその者が消えていった先を見つめた。
「男性だったのかな…?」
「さてな、異端審問官に選ばれる奴っていうのはワケありだから、あんまり関わらない方がいいだろ。特にフリードはな。宿に入ったら色々教えるから行こうぜ~」
ジールが再び歩き出して、フリードとアグリルはその後に続いた。その時ボソリとアグリルが、
「フリード様も俺も、あの人が近付いて来た事に気付かなかった…?」
と呟いた。それはフリードも疑問に感じた事ではあるが、もう関わらない人物だと思い、フリードはそれ以上考えるのをやめた。
フリード達は街の中でも高級な宿に入った。三人部屋が用意され、部屋の中はホコリ一つない程綺麗なものだ。
部屋に用意された料理も、料理人の腕が良く、食べ慣れないルーベリアの食事だが、フリードは気に入った。
ウェルディスの愛人になるまで、食事というのは、生命維持の為に必要なものという認識で、味覚はあってないようなものだった。
だが、離宮で美味しい料理に慣れてしまってから、料理を味わって食べるのが楽しみになっていた。
そんなフリードに気付いたのかアグリルが、
「これ美味しいね」
と微笑んだ。フリードは真似をするように微笑み返した。
「フリードの緊張も解けてきたようで良かったよ」
ジールがニコニコとした顔でそう言うので、フリードは少し恥ずかしくなった。
任務で必要な時と、ウェルディス以外の前で、力の抜けた顔なんて、今まで出来なかった。
最近は、近しい間柄なら少し気を抜けるようにはなったが……。
それは、今まで誰も信じてはいけないという教育を受けてきたからだ。
ウェルディスに救われてからも、人を信じる事はなかったのだが、前回の任務でリュートを信じなかった為に、苦戦した事で考えが変わった。
ヘイリア帝国はクレイル公国とは違い、仲間同士助け合うものだという前提を聞かされた。
サマエルのメンバー皆がクレイル公国からフリードを守ろうとしてくれている、その恩に報いる為にも、警戒してはいけないと思うようになったのだ。
周囲への警戒は怠る事はないが、アグリルとジールに警戒の目は向けていない。それだけで楽に過ごせる。
フリードはそれが嬉しかった。
食事が終わると、ジールがキリッと真面目な顔になり、
「さて、ドルーズ教について少し説明するよ。その前に、アグリルはドルーズ教だった?」
とアグリルに聞いた。アグリルは首を横に振る。
「俺はドルーズ教とは関係ないよ。親父も何かに信仰してる感じではなかったし」
ジールは頷き、話を進めた。
「国を転々としてたんだっけ?まぁぶっちゃけ俺も神様なんて信じちゃいないけどな。
昼も言った通りドルーズ教は信仰していない者を嫌う。けど、掟というものがあるわけでもないし、週に一度地域ごとにある教会でのミサに行っていれば特に問題はないんだよ。
昼に異端審問官なんてのもいたけど、信仰していない人がいたからといって、すぐに捕まるものじゃない。
ここルーベリアは、皇帝こそ神の使いだと言われていてね、皇帝を神に見立ててお祈りをするんだ。
だから皇帝にとって邪魔な奴を、異端者として捕らえて拷問にかけるんだ。実は信仰心が篤くても関係なかったりするよ」
クスクスと笑うジールに、フリードは問い掛ける。
「じゃあこの国にいる間の注意点というのは…」
「特になしだ。けど、あからさまに他国の信仰をうかがわせるような行為は、異端審問官に声を掛けられるから気を付けろよ。
ヘイリアとの関係が悪化する前なら、他国の旅行者で済むけど、今他国の者だと思われた場合、最悪ヘイリアに追い返されるからな」
フリードとアグリルは揃って頷いた。
ジールが話し終えると、その日は旅の疲れもあって、三人ともすぐに就寝したのだった。
───────────────────
※投稿、遅くなってすみません。
仕事が忙しくて書いてる暇がなかったです。
もう少し頻度を上げられるようにしますね。
「お前…本当にルーベリア民か?」
兵達がそう言ってくるのも当然だ。フリードはクレイルで産まれた為、ヘイリア国民にも、ルーベリア国民にも見えない。
異様に美しい顔をしているのも相まって、兵達の疑いは深まるばかりだ。フリードは咄嗟に、目を潤ませてジールの後ろに隠れた。
「兄さん。やっぱりボク、ルーベリア国民に見えないんだよ。お母さんがクレイル国民で、ボクお母さん似だから…」
「お前らが兄弟?にわかに信じがたいが…」
フリードの言葉に、兵士が更に疑惑を深める。
するとジールは兵達を睨み付け、フリードを守るように前に出た。
「おい、俺の弟はハーフなんだよ、文句あんのか?俺と弟は異母兄弟だが、れっきとした兄弟だ!」
すると兵士の一人がジールを指さし、
「お前が兄?弟じゃなくて?俺にはお前がどう見ても十五歳くらいにしか見えないんだが…」
と眉を寄せながら問い詰めてくる。だがジールも負けじと本物の通行証をズイッと兵士の前に出して、
「だからそう言ってるだろ。失礼な奴だな」
フリードも持たされた偽造通行証を見せて、兵士が二つの通行証を見比べた。
「むぅ……。それは失礼した。通っていいぞ」
兵士の許可を得たジールとフリード、その後に問題なく許可を得たアグリルは、無事ルーベリア国内へと入る事が出来た。
町は地面から建物に至るまで全てが整備されており、二階建ての建物がずらりと等間隔に並んでいる。
ルーベリアにとっては辺境の土地であるのに、ヘイリア帝国の帝都と同じレベルで栄えている事に、フリードは内心驚く。
「ここは国境の町、カメリアだ。今日はここで一泊した後、明日馬車に乗って、まずは帝都まで向かう」
ジールがそう言いながら歩き出し、フリードとアグリルがそれに続いた。
途中、建物群の奥に教会のような空に伸びるような高い建物が建っていた。
一番上には大きな鐘があり、遠くからでもあの鐘だけは目に入りそうだ。
「フリード、あれは教会の支部だよ。ルーベリアはドルーズ教を信仰していて、異端者は殺されるから注意してね」
アグリルの説明にフリードは一瞬固まって、
「……は?」
と返した。ジールが続きを説明する。
「ルーベリアは優秀な人がのし上がれる完全実力主義の国だけど…。
ドルーズ様は自分を信仰しない者を嫌うからね。といっても堅苦しい事は何もないから安心してよ」
以前、イリーナが話していた事を思い出し、疑問が頭に浮かんだ。
イリーナは育った村で巫女をしていたと聞いた。イリーナが聞いていた神の声は、ドルーズ教会が信仰している神と同じなのだろうか。
「もしかして、イリーナが聞いていたという神の声は、ドルーズ様なのか?」
問いに答えたのはジールだ。
「いや、皇后様がいた村では、ドルーズ様ではない神を信仰している。
だから神の声が聞こえるという力は重宝されても、異端者だから爪弾きにされた。
人扱いなんてされない、でも便利な能力は利用するってわけだ」
その説明に、フリードは吐き気すら覚えた。
「それでも神の声が聞こえるという力は信じたのか」
「都合のいいところだけを見て、都合の悪いところは見て見ぬふりってところなんだろ。
だから、フリードもここにいる間はドルーズ様を信仰しなきゃね」
ジールの言葉にフリードは少し不快感を感じつつも頷いた。
クレイル公国にいた頃、信仰していた宗教を棄教したフリードは、今は無宗教という状態だ。
ヘイリア帝国も国民が信仰している宗教はあるが、地域ごとに枝分かれしており、誰がどの信者かというのはあまり重要ではない。
隣の家の者が別の宗派だとしても気にしないお国柄な上、ウェルディスからは無宗教のままでも問題ないと言われていた。
「心配しなくても、普通にしてりゃ大丈ー夫!」
そう言って先に進むジールの後を追ったその時だった。ドンッ!と横から来た人がフリードにぶつかった。
すぐにアグリルがフリードの前に滑り込み、ぶつかった者に剣を向けようとした。
「アグリルやめろ!」
フリードは、剣の柄を握るアグリルの腕を掴み、後ろに下がらせた。
そして片膝をついて、ぶつかった拍子に倒れ込んだ者に、手を差し伸ばした。
その者は、頭がすっぽり入る真っ白なフード付きのマントを羽織っており、フリードを見上げた顔は目から下しか見えなかった。
その下に着込んでいる服も、履いているブーツも全てが白い。
こんなところで倒れ込んだら、綺麗な服が汚れてしまいそうだ。
フリードの手を掴んで立ち上がった者は、フリードと同じ目線に立つと顔が見えた。
男とも女とも言えない中性的な顔つきだ。
歳の頃は恐らく十代後半で、フリードと同じくらいに見える。
その者はフリードを見ると、優しく微笑んだ。
「ありがとうございます。
お優しい方ですね。私のような者に手を差し伸ばして下さるなんて…」
声を聞いても性別は明らかにならなかった。
「いえ、こちらこそ気付かずに申し訳ない」
違和感を覚えながらもフリードは謝罪すると、その者は更に身を縮ませた。
「え、あ……あの。私に謝る必要はありません。フードが大きくて前が見えにくいのに、走っていた私に非がありますから」
すると先を歩いていたジールが戻ってきて、その者に微笑んだ。
「うちの弟が申し訳ない。お怪我はありませんか?」
するとその者はブンブンと首を左右に振り、
「心配はご無用ですっ!あ、私は急ぎますので」
と何度もフリードに頭を下げてまた走っていった。その姿を見てフリードは、ルディネスを思い浮かべた。
今はそこまで弱々しい感じではないが、出会った頃はビクビクして可哀想な程だった。
今の者があの時のルディネスと重なり、
「ルディよりも腰の低い人がいたもんだ」
と、フリードは呟いた。
「あの人は教会に属する異端審問官だよ。普段は真っ白な服を着ているけれど、いざ異端者が捕まると、彼らは黒い服に身を包み、拷問を行う。
白い服を血で汚さない為にね。そのせいもあって、異端審問官は国民の嫌われ者なんだよ」
ジールの言葉を聞きながら、フリードはその者が消えていった先を見つめた。
「男性だったのかな…?」
「さてな、異端審問官に選ばれる奴っていうのはワケありだから、あんまり関わらない方がいいだろ。特にフリードはな。宿に入ったら色々教えるから行こうぜ~」
ジールが再び歩き出して、フリードとアグリルはその後に続いた。その時ボソリとアグリルが、
「フリード様も俺も、あの人が近付いて来た事に気付かなかった…?」
と呟いた。それはフリードも疑問に感じた事ではあるが、もう関わらない人物だと思い、フリードはそれ以上考えるのをやめた。
フリード達は街の中でも高級な宿に入った。三人部屋が用意され、部屋の中はホコリ一つない程綺麗なものだ。
部屋に用意された料理も、料理人の腕が良く、食べ慣れないルーベリアの食事だが、フリードは気に入った。
ウェルディスの愛人になるまで、食事というのは、生命維持の為に必要なものという認識で、味覚はあってないようなものだった。
だが、離宮で美味しい料理に慣れてしまってから、料理を味わって食べるのが楽しみになっていた。
そんなフリードに気付いたのかアグリルが、
「これ美味しいね」
と微笑んだ。フリードは真似をするように微笑み返した。
「フリードの緊張も解けてきたようで良かったよ」
ジールがニコニコとした顔でそう言うので、フリードは少し恥ずかしくなった。
任務で必要な時と、ウェルディス以外の前で、力の抜けた顔なんて、今まで出来なかった。
最近は、近しい間柄なら少し気を抜けるようにはなったが……。
それは、今まで誰も信じてはいけないという教育を受けてきたからだ。
ウェルディスに救われてからも、人を信じる事はなかったのだが、前回の任務でリュートを信じなかった為に、苦戦した事で考えが変わった。
ヘイリア帝国はクレイル公国とは違い、仲間同士助け合うものだという前提を聞かされた。
サマエルのメンバー皆がクレイル公国からフリードを守ろうとしてくれている、その恩に報いる為にも、警戒してはいけないと思うようになったのだ。
周囲への警戒は怠る事はないが、アグリルとジールに警戒の目は向けていない。それだけで楽に過ごせる。
フリードはそれが嬉しかった。
食事が終わると、ジールがキリッと真面目な顔になり、
「さて、ドルーズ教について少し説明するよ。その前に、アグリルはドルーズ教だった?」
とアグリルに聞いた。アグリルは首を横に振る。
「俺はドルーズ教とは関係ないよ。親父も何かに信仰してる感じではなかったし」
ジールは頷き、話を進めた。
「国を転々としてたんだっけ?まぁぶっちゃけ俺も神様なんて信じちゃいないけどな。
昼も言った通りドルーズ教は信仰していない者を嫌う。けど、掟というものがあるわけでもないし、週に一度地域ごとにある教会でのミサに行っていれば特に問題はないんだよ。
昼に異端審問官なんてのもいたけど、信仰していない人がいたからといって、すぐに捕まるものじゃない。
ここルーベリアは、皇帝こそ神の使いだと言われていてね、皇帝を神に見立ててお祈りをするんだ。
だから皇帝にとって邪魔な奴を、異端者として捕らえて拷問にかけるんだ。実は信仰心が篤くても関係なかったりするよ」
クスクスと笑うジールに、フリードは問い掛ける。
「じゃあこの国にいる間の注意点というのは…」
「特になしだ。けど、あからさまに他国の信仰をうかがわせるような行為は、異端審問官に声を掛けられるから気を付けろよ。
ヘイリアとの関係が悪化する前なら、他国の旅行者で済むけど、今他国の者だと思われた場合、最悪ヘイリアに追い返されるからな」
フリードとアグリルは揃って頷いた。
ジールが話し終えると、その日は旅の疲れもあって、三人ともすぐに就寝したのだった。
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※投稿、遅くなってすみません。
仕事が忙しくて書いてる暇がなかったです。
もう少し頻度を上げられるようにしますね。
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