『僕は肉便器です』

眠りん

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四話 便器だから

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「邪魔するな」


 悠璃は三枝を睨めつけた。
 もう関わる事ないと思った男が目の前にいる。しかも今は抵抗出来ない体勢だ、逃げられない。


「邪魔をするつもりはない」

「ああ、また俺に小便かけたくなった? いいぜ相手してやるよ」

「それもしない」

「じゃあ出ていけよ。迷惑だ」

「ハッ、お前こそ。ここは公共施設だぞ、迷惑かけてんのは誰だよ」


 そこをつかれると悠璃は閉口するしかない。いくら終わった後も掃除してから帰っているとはいえ、プレイ中は誰も使えない状態にしているのも確かなのだから。


「俺は、ただ償いがしたい」

「しなくていい」

「お前を守りたいと思ってる」

「いらない」

「悠璃、拒否しないで」


 三枝は小さい折りたたみナイフをポケットから取り出した。そして刃を出し、悠璃の首に当てて脅迫をした。
 さすがの悠璃もこれには肝を冷やす。恐怖を覚えているのだ、身体が少し震えている。


「……下の名前で呼ぶなよ……。つかお前本当に犯罪者になるつもりか」

「知ってるだろ、俺は大義名分があれば犯罪をも厭わないと」


 三枝は吹っ切れたような笑みを浮かべている。清々しい程良い笑顔だ。
 悠璃はそんな姿に諦めを覚えた。


「見学だよ、いいだろ?」


 溜息と共に悠璃は頷いた。


 三枝はナイフをしまうと、便器のタンクと壁の間の隙間に立った。悠璃は存在を無視してしまえばいいだろうと思い次に個室に入ってきた常連の男にいつもの台詞を吐く。


「僕は肉便器です。どうぞ僕を使って精液や聖水をおかけください」


 これでスイッチがオンになった。いつもであれば──。


「あれ……彼は? なんでそんなところに?」

「あ……俺の事は気にしないで下さい」

「君もお仲間?」

「いえ、ただの見学というか」

「ちょっと!」


 関係ない二人が話し始めてしまい、すかさず悠璃が口を挟んだ。やはり三枝は邪魔な存在だと認識を改めた。
 ただ立っているだけなら問題ないかと思いきや、いつもならすぐに男性器を差し出してくる者が三枝に興味を示している。
 これは悠璃にとって死活問題だ。


「三枝、やっぱ帰れ。落ち着かねーし、そこにいたらお前にも小便とか精液とか飛んでくるぞ」

「構わないよ。ただあまり危険な行為をしていたら止める。俺はお前のボディガードだからな」

「いらないって」

「分かった。俺が気になるなら、気にならないようにしてやれば良いんだな?」


 そう言うと、三枝はポケットからネクタイを取り出した。無地で紺色のシンプルなものだ。


「そのネクタイ……」

「覚えてる? 中学ん時使ってたやつ」

「悪趣味」

「まだ序の口だ」


 三枝はそのネクタイで悠璃の視界を塞いでしまった。頭の後ろでしっかりと縛る。


「こうして塞いでしまえば周りの事は気にならなくなるだろ?」

「やだって」

「すみません、どなたか彼の口を塞いでいただけますか? 意味は分かりますよね?」


 三枝が悠璃以外の者達に呼びかけた。悠璃は三枝に集中していた上に目を塞がれて今何人が集まっているのか知る事は出来ないが、十人程集まっている。


「三枝……」

「身を委ねて。君の好きなものだ、受け入れられる」


 悠璃の唇に誰かの男性器の先端があてがわれた。好きなものだというのは間違いでない。悠璃は頬を染め、ゆっくりと口を開く。


 すると太くて長い男根が唇と上下の歯の間を割って入ってきた。悠璃の為に我慢していたのだろう、聖水が口内に流れて、少しずつ嚥下せる。
 尿が舌を擦る感覚に下半身が熱くなってくる。


「本当に君はそれが好きなんだね。君のもガチガチに硬くなっているよ」

「ん……んん」


 三枝の声が耳を刺激する。自分の様子を説明されて余計に身体が熱くなる。頭はぼうっとしてもっと激しく乱れたいという欲求に身をくねらせる。


「足りないようです。皆さん、彼を個室から出してください。そちらの広い場ならやれる事も増えるでしょう」


 悠璃は男達数名に両手足を掴まれ、個室から出された。床に寝かし、口内を犯す男根が二つに増えた。


「いつも狭くてやりずれぇと思ってんだよ」

「おらもっと咥えろ」


 手を拘束する、簡易な手錠は外してしまい、悠璃がどんなに暴れても外せないよう麻縄で両手首を縛って頭の上に持っていき、近くのパイプに繋いだ。
 悠璃は一切抵抗出来ない。皆それぞれ悠璃の身体を弄び始めた。


「ああ、彼は尻の穴をまだ慣らしていないので、十分に広げてから犯してあげて下さい」


 今までであれば一人から多くても三人が順番に悠璃を辱めていたが、今は好きな時に好きなだけ凌辱出来るのだ、全員が持ち寄った玩具を使う。

 ローションで悠璃の穴を少し解しただけで、慣らしきっていない穴に、無理矢理太いディルドを捩じ込んだ。切れないよう注意をしながら。


「ひぃ……うぅ」


 悠璃が叫ぼうと、口に二本の男性器が詰め込まれていて声は上がらない。
 誰に何をされているのかが分からない恐怖、なのに身体は熱くなるばかりだ。

 両足も両手も動かせない。足は自業自得でも腕は三枝に縛られた。三枝への怒りが込み上げる。
 悠璃はマゾヒストではない、自分が許す範囲外をされればさすがに快楽を得る事など出来ない。


「皆さん彼に小便をかけてやってください。飲ませてあげてもいいですね。そうしないと、彼も辛いだけですので」


 それを忘れていたとばかりに悠璃を囲んでいる数名が悠璃に聖水をかけ始めた。
 口に捩じ込んでいる二人は、なかなか出ないのか悠璃の口から自分の男根を出した。
 唾液まみれの男性器は糸を引いて、ぬらぬらと光っている。


「や、やめろっ。いつもの場所に戻せよ」

「悠璃は肉便器だろう?」

「……そ、そうだよ。だから」

「ならどこでも全ての小便と精液を受け止められるようにしなくちゃね。場所なんて関係ない、君は便器だ」


 その三枝の言葉が引き金となった。


「はい……僕は便器です。どこでも便器になります」

「いい子だね」


 縛られている痛みも、視界を奪われている恐怖も、『自分が便器だ』という認識によって、全てがどうでも良くなる。

 口の中や頭、顔に聖水が注がれていくと、もう悠璃は理性を手放し、便器になりきった。
 口に入ったものは喉を上下させながら飲み干す。それが幸せだとでも言うように、すぐに次の聖水を求めて口を開いている。


「彼のNGは守ってください。それ以外は危険だと見なせば俺が止めるので」


 エスカレートしていく陵辱者達のストッパーとなるべく発した三枝の注意の言葉は悠璃には聞こえない。
 尻を抉られる痛みも、乳首を抓られて引っ張られる痛みも全てが快楽だ。

 便器だと言われ、責め立てられているこの状況に興奮している。


「僕のお尻にも入れて……皆さんの聖水、入れてください!」


 悠璃のその言葉に周りは躊躇した。
 尻に放尿するのは容易な事ではない。穴に入れるのには一度性器を硬くしなければならず、硬くなれば尿は出にくくなる。


「難しい事言いやがる」

「ほんと、君は便器と言いながら女王様だ。穴に入れながら小便出来る奴いるか?」

「じゃあ私が……」


 常連のうち一人の男が悠璃の尻に埋まっているディルドを取り出し、自分のものをあてがう。


「君は悠璃君と言うんだね?」

「僕は便器です。名前なんてありません」

「いつもそうなら可愛いんだけどな」


 声から掃除中会話した男だと気付く。彼はいつも悠璃が掃除中声を掛けてくる。冷たくあしらわれるのがオチだが、それでも諦めずに。

 悠璃は毎回話しかけてくれる彼に少なからず好意を抱いている。冷たくしてしまうのは、悠璃の甘えでもあるのだ。


 彼は萎えた性器を尻穴に捩じ込むと、ゆっくりと放尿を始めた。
 悠璃の腸内を黄色いものが満たしていく。


「はぁっ……イイ、それイイ」

「さっき少し出しちゃったから少ないかな」

「もっと注いで下さい。この便器に出してください」

「まったく」


 彼はもう出し切れないというところまで出してしまうと、男性器を悠璃の中から出した。
 後孔からは聖水が少しずつ零れて床を汚していく。

 誰もが息を飲んで見つめた。聖水と精液に塗れる悠璃を。憐れむというより、淫靡なものでも見るかのように。



「さて、そろそろお開きかな」

「ですね。色々出してスッキリしましたし」

「便器君、今日もありがとね。ちょっとハードだったね」


 集まっているメンバーは皆友好的だ。この後仲良い者同士で飲みにでも行くかという雰囲気を醸しており、一人二人と人が減っていく。
 悠璃はいつも誘いを断っているので、誘う者はいなくなった。


 最後に残った三枝だけが悠璃の手首の縄や足の縄を外した。素に戻った悠璃は一切声を出さず呆然としている。


「悠璃、これで懲りただろう。まだ肉便器を続けると言うのなら、もっと酷い目に合わせるからね」


 三枝はその一言を残し、トイレから出ていった。そして悠璃は一人残り、少しの間佇んでいた。
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