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宝石  Ⅱ

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 淡い青いの石。

 ガサガサと葉っぱをかき分け、小さな石を探す。
 かなり葉の下に入り込んでしまったのか、なかなか見つからない。

「しょうがないなぁ。あんまり使いたくないけど、魔法を使うか」

 グランは、手を地面に向け魔力探知を行う。
 こまかく言うと魔力がない石のため、魔力感知に引っかからない。
でも、自分の持つ魔力を使って、物質が必ず持つ物の波動を地道に感知するのだ。

 だけれど、これがなかなか見つからない。
 ささいな波動を追い、集中する。

「あった!」

 腐葉土と化した葉の間に入り込んでいたようだ。

 爪の間に土が入ってしまったが気にせず、かき分けて拾う。
 手のひらに包めるくらいの大きさの石。
 指先で強くつまんで、なくさないように光にあてる。
 すると、青色の中にキラキラ光る小さな石がいくつも見えた。

「わぁー。これはすごい。初めての石かな? 見たことがない。…………鑑定!」

 目の前に、アイテムのスキル表示が出る。
 全てが『不明』になっている。
 誰も名前をつけていないようだ。
 やった。

「どうしようかなぁ」
「どうするの?」

 突然、声がして振り向くと、背後に幼馴染のエンジュ・ミライトがニコニコ笑って立っていた。
 グランより5年上の13才で、自分の義理の姉だ。

「こんにちは! 良い天気で嬉しいね」

 グランより少し背が高いので、顔を見上げると淡いブルーの瞳が陽の光でキラキラと反射している。
 ピンク色の髪もふわふわとしていて、見ていて心がほっこりする。

 エンジュはため息をついて、グランの体中についている土をはたき始める。
 特に、若草色の髪はひどくて葉っぱがたくさんついてしまっていた。

「あぁ。もう、土だらけ」
「ごめんね。お洗濯大変だよね」
「それは、良いけど。危険なことはしないで。怪我をするんじゃないかって、ハラハラだよ?」

 苦笑いしながら、今度はハンカチで顔を拭き始めた。

「そんなに、汚れてる?」

「うん。山奥を探検してきたみたい」
「ごめん」

 見つかる前に、浄化魔法をかけておけば良かった。
 グランは、この自分の高い能力スキルについては家族にも話していない。
 平均値から離れすぎているという事は、高くても異常だと思われてしまうからだ。

 でも、話してはないけど気づかれている。
 みんな気を使ってくれて黙っているだけ。
 それを知っているけど、お互いに優しさから自然と気を遣い合っている。

「ふふ。それで、また宝石集め?」

 エンジュは、ジャスキル石のことを宝石という。
 確かに、磨いて削れば、キラキラと光って石の価値もあがるかもしれない。
 あぁ、それも、良いかもしれないな。
 きっと似合うだろう。

「そう。今見つけたのは、新種の石なんだ。だから、名前をつけようかなって、思って………」
「すごい。大発見だね。名前、何にするの?」

 その言葉に、即答する。

「エンジュ」

 宝石の色と瞳の色が似ているから、とっさに言ってしまった。

「え?」
「あっ。石に名前つけられるのなんて、嫌だよね」

 エンジュのキョトンとしてる表情は否定の意味かと思って、慌てて謝る。
 すると、ぶんぶん頭を振って、エンジュは体全体で否定をした。

「嬉しいよ! こんなキレイな宝石が私の名前なんて」
「そう? じゃあ、今度、複製を作ってあげるね。そうしたら、所有者を共有できるから」
「うん。楽しみにしてる!」

 ふわふわとまわりに花も舞っているかのような、愛らしさをまといながら、ニコッと笑い上半身を揺らしている。

 グランは軽く頷き咳払いした後、名付けの準備に取り掛かった。

「じゃ、待ってて」

 集中して、手のひらの上に石を浮かせ力を込める。
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