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しおりを挟む始まりはたぶん、俺の方からだった。
「また君か。どうしてしっかり確認をしないんだ」
やや声が大きくなってしまう。
「あ、あの……」
「なんだ、言い訳するならさっさと直しをしてくれないか」
「は、はい。申し訳ございませんでした。すぐ修正いたします」
真っ赤な顔をして慌てて頭を下げ書類を持っていく新人の姿に、ため息をつく。
「冴木ぃ、いつになくイラついているな。お前が感情を出すなんて珍しい」
一旦頭を冷やそうと休憩コーナーの隅でブラックコーヒーを選んでいると、同期の前田が絡んできた。
「二徹ともなると感情のコントロールが効かないんだよ」
「はっ、二徹くらいで音を上げるなんて、年取ったな」
「お前もな」
「クールでカッコいい次長様が型なしだぞ」
「お前なぁ……俺の神経逆撫でしに来たのか?」
「いんや、ちょっと見かけ時にあんまりな勢いだったからさ。ほら、さっきの子、ちゃんと後でフォローしとけよ、
俺のお気に入りの新人ちゃんなんだから」
「なら、お前がフォローすればいいだろ」
「あ、そうね。じゃあそうしよーっと」
そう言って同期一のチャラ男との異名をとる前田は休憩コーナーを出ていく。あれでいて仕事はきっちりこなすし、男前でもあるからモテないはずがない。どこをどうやって時間を作っているのか知らないが、彼女――時には彼氏――を作ったらできる限り一緒にいるらしい。
はぁ、何なんだ。
でも、確かにあんな風に言うつもりはなかった。
だけど、あのデータは重要な箇所で、だからこそしっかり確認を頼むって念押しをしたはずだったのに……。しかもあの子は今回で2度目だ。同じような間違いばかり……。やはり期待したのが悪かったのか。
「今日も帰れないかもなぁ」
もう一度ため息をついてから席に戻るために立ち上がる。
定時後、さすがに一度戻って着替えとシャワーだけはしないとと家へ急ぐ。ほんの少し仮眠を、と思っていたら思ったより寝てしまい、慌てて会社に向かった。既に22時を過ぎており、ビルのエントランスホールは夜間モードとなりうす暗い。エレベーターを降りるとこの階だけまだ電気がついていた。
誰か残っているのか?
部署に入るとガランとした部屋で残っていたのは、橘唯人。
昼間に俺がミスを指摘した新人が、たった一人残って作業をしていた。
「まだ残っていたのか」
声を掛けるとビクッと肩を震わせた。
「あぁ、悪い、驚かすつもりではなかったんだ。」
「いえ、申し訳ございません。まさか次長だと思わず……。もう誰も居ないはずだったので…」
うつむき加減で答える。
しまった、昼間のままフォローもなしだったな。
「修正か?」
「はい、手間取って申し訳ございません」
「どこか引っかかるのか?」
「あの……実は、ここの部分の資料がなかなか見つけられなくて」
橘は俯いたままでまだ目は合わない。
「どこだったか……。あ、これだ」
「あ、ありがとうございます!」
やっと目が合った。
でもすぐに視線が下がり、資料へ目がいき、数字を辿る。
「すぐに確認します。次長、ありがとうございました。訂正が終わりましたら提出します」
「ああ……。まだやるのか?」
「え?」
「ならさっさとやってしまおう」
これ以上新人を残業させたら人事にうるさく言われるしな……。誰ともなく言い訳をしてPCに向かった。
「申し訳ありません。結局一緒にやってもらって」
「いや、修正が出来たならそれでいい。今後は気をつけるように」
「はい、申し訳ございませんでした」
橘はもう一度頭を下げ、帰り支度を始める。
「次長はお帰りにならないのですか?」
「もう少しだけやっていく。終電には帰るつもりだ」
本当は終わりそうもないが、終電にも帰れないブラックな部署というイメージがつくのは良くない気がする。
「そうですか、では何か他にお手伝いできることはございますか?」
ふいに聞かれたことに驚く。これからまだ手伝う気でいるのか?
「いや、大丈夫だ。遅いから早く帰った方がいい」
「分かりました。それでは申し訳ございませんがお先に失礼致します」
また頭を下げる。
綺麗な所作だ。秘書でもやっていけるな。
「謝ってばかりだな」
「あ、申し訳ございません」
「ほら」
互いに目が合い、思わず笑ってしまった。
何度も頭を下げながら帰宅していく彼の姿をつい見えなくなるまで見送っていた。
**
その翌日から会議や打ち合わせ、出張が重なり、ようやくデスクで落ち着いて仕事が出来たのはそれから2週間後だった。
机の上の菓子に目が留まる。
有名な老舗の菓子だ。
好きな銘柄だったので、つい見つめていると、
「あ、それ、橘さんからですよ」
「橘?」
そう言えば見かけていないな。
「はい、お世話になったお礼ですって。イマドキの子にしたら珍しくちゃんとした子ですよね。まぁだから秘書課なのかしらねぇ?」
「え?」
「あら次長、橘さん配属決まってもう異動しましたよ、お菓子は異動の日に差し入れてくれたんです。次長でも食べられるようにって日持ちするの選んだみたいですよ。いい子でしたよねー、橘さん」
異動?
そうだ、ここにいたのは正式な配属が決まるまでの仮配属だった。
カレンダーを見る。辞令が出たのは1週間前のことだった。社内イントラには今年の新人の配属が発表されていた。
橘唯人は秘書課へ配属となっていた。
そうか……、もう、居ないのか。
確かに、橘の艷やかでサラサラと流れる黒髪はもう探してもこのフロアには見当たらない。大きな瞳も黒目がちで俺に話しかけるときはいつも心配そうに揺れていたな。
なぜかそんなことを考えた。
秘書課はフロア自体も違う上、幹部付きのため、そうそう会うこともない。
まぁ、元気でやってくれれば、いや、もう俺は関係がないことか……。
なんとなく菓子には手が伸びずそのまま机の上に置いておいた。
**
「これは……?」
目の前には、膝につかんばかりに頭を下げている部下と資料。
「あの、申し訳ございません! 私の報告違いでした。申し訳有りません」
「え?」
部下が持ってきたのは、以前橘に修正させた資料の一部だった。
「どういうことだ?」
「あの、出張前のプレゼン資料にミスがあったと聞いたものですから、改めて確認したところ、私の報告書に間違いがあったせいだったので、それで、あの、新人に修正させたと……」
そこからは彼が言っていることを半分くらいしか聞いていなかった。
橘のせいではなかったのか、なのにそれすらも確認せずまとめた資料をもってきただけの橘を責め、修正までさせたのか、俺は……。疲れていたとは言え、なんてことを……。だが、なんで橘も自分のミスではないと言わないんだ。いや……俺が言わせなかったんだな。
イラつく俺に戸惑いながらも頭を下げ、一人で遅くまで残っていた橘。それでもまだ仕事を手伝おうとしてくれた気遣いと、笑ってくれた顔がちらつく。
好物のはずの菓子は、ずっと机の上に置きっぱなしだった。
季節が変わったことを実感した頃、会議から戻ると机の上の菓子が見当たらなかった。
「あ、次長、さすがに日持ちするとはいえ、もう限界かと……。捨てときましたけど、あのお菓子美味しかったですよ、もったいない。いらないならいらないっておっしゃって下さいね。美味しいだけじゃなく、橘さんがくれたお菓子ってだけで欲しがる人いっぱいいるんですから。」
橘の痕跡は俺の前から全て無くなってしまった。
**
その後は見かけたり、すれ違うことはあっても、なかなか話す機会はなかった。
カフェスペースで同僚と楽しそうに話している姿を遠くからみて、元気な姿に安心する。不意に目があうと会釈をしてくれたが、俺はそれ以上近づけなかった。もう部署も違う、新人指導もまともに出来なかった俺が気軽に声を掛ける資格はないように思った。それでも、あの黒目がちの瞳が自分に気付くかどうか、いつもどこかで気にしていた。
だから、新規プロジェクトに橘がいて驚いた。
「橘……」
思わず声を掛けていた。
「はい、何でしょうか冴木部長」
「いや。……あ、これからよろしく頼む」
「はい、よろしくお願い致します」
ふわっと微笑む笑顔を見て、顔に熱が集まるのを感じた。
橘はプロジェクト自体に全面に立ってという役回りではなかったが、細かい事務作業もミスなく、資料もよく読み込んでいるため整理された資料で使いやすかった。何より各部署や取引際との調整が欠かせなかったため、秘書課の橘唯人は非常に役に立った。今まで事務という仕事に対してあまり何とも思っていなかったが、こんなにも違うものかと驚いた。
目の回るような忙しさではあったが、無事プロジェクトが完了し、社長から金一封が出たため打ち上げは豪華なものとなった。話題のレストランを貸し切り、プロジェクトに参加した全員が呼ばれ、参加した。
気がつくと、橘はそれはもうベロベロになっていた。
「橘さん、これも美味しいよ」
「はぁえ? ありがとうございます。んっ、本当ですねぇ。美味しいです」
両脇から向かいから、橘を囲った輩からどんどん飲まされている。ほんのりと赤くなった頬とさらに潤んでいる瞳がそいつらを映す。
ペースが早くないか?
勝手にイライラしてくる。
「ちょっと……失礼、しますね……」
橘が会場の出入り口へ向かうと、何人か橘の後を追っていった。何となく気になり、自分も出入り口へ向かっていた。
「橘さん、大丈夫?」
「打ち上げ終わったら別のところで飲み直さない?」
「いいね、行こうよ、橘さん」
トイレで何人かに囲まれ、橘は「はぁ」と曖昧に頷いている。
これ以上飲ませてどうするつもりだ。
「おい、そこ何やってる」
男たちについ苛立った声を掛けてしまう。
俺だとわかると、気まずそうな、残念そうな顔をして皆会場へ戻っていった。
「君は……。いつもこうなのか?」
「冴木部長? えっと……。何がですかぁ?」
仕事中とは違う、ちょっと大きめの声だ。
ほんのり赤い頬と若干眠そうな瞳が俺を見上げる。
そんな姿を他のやつに見せないでくれ。
「飲み過ぎだ。もう帰るぞ」
不思議そうな、焦ったような顔の橘をせかし、打ち上げ会場を後にした。
会場を出ると、案の定足取りがおぼつかない。
「大丈夫か?」
「大丈夫です。あの冴木さんはもう戻って頂いて大丈夫ですから。」
先ほどよりは酔いが冷めたのか、口調がいつものように戻っている。
「いや、心配だから送っていく」
「え?」
驚いた橘の様子に再度イライラが募る。
そんな状態で一人で帰らせられないだろう。
「最寄りはどこだ?」
「えっと……」
ほら、いつもの機敏さがないじゃないか。
「いつもこうなのか?」
さっきと同じことを繰り返してしまう。
「?? どういう意味ですか?」
キョトンとまあるい目が見つめ返してくる。
「だから、いつも飲んだらああなるのか? それとも誰かあの中に好きなやつでもいたのか?」
口が勝手に話し出す。何を言っているんだ、俺は。
「違います。好きな人なんて……だって、俺の、俺の好きなのは冴木さんです!」
「え?」
「ここまで送って頂いてありがとうございました。もう大丈夫ですから。さようなら」
会場からほど近い駅につき、ツンとしながらも足元がおぼつかない彼をボーっと見送る。
そのまま気がつくと自分の終電がなくなっていた。
タクシーに揺られながら窓の外を眺める。
『俺の好きなのは冴木さんです!』
先程の彼の言葉が耳から離れない。じわじわと胸が温かくなり、顔が熱くなる。帰り着くころには口元が緩んだ顔の自分が窓に映っていた。
翌週の月曜の朝はいつになくソワソワしていた。
もうプロジェクトは終わったのだ、彼は秘書課へ戻る。そう頻繁に会うこともない。分かっている、しかも橘はあの時酔っていたからどこまで覚えているのかわからない。だからといって、俺から確かめる勇気もなく、ただ毎朝あの艷やかな黒髪を探し、廊下で、カフェで、トイレで、どこかですれ違わないか見渡し、見つけられないことにホッとし、次の瞬間にはガッカリするという心持ちを味わった。
ずっとソワソワし続けていたその週の金曜の夜、真っ赤な顔をした橘に打ち上げ時の謝罪がしたいとエントランスで声を掛けられた。
そしてもうこれ以上ないほど赤い顔の彼から改めて告白され、俺たちは付き合うこととなった。
**
橘唯人と付き合ってからもうすぐ半年となったある日、唯人から連絡がきた。
――12月24日のご予定はいかがですか?
スケジュールを確認する。
すぐ返信を送る。
――その日も出張の予定
なかなか返信がこない。
――わかりました。お仕事頑張って。
30分後、ようやく来たメッセージに、自分がどんな返事をしたのか思い知った。
「眉間にシワ入ってんよ、冴木部長さん。美形が怒ってたら怖いんだけど」
「……怒ってはない」
「じゃあ何よ? 唯ちゃんと喧嘩しちゃった? 大丈夫よ、唯ちゃんなら俺が引き受けてあげるよー」
「前田、冗談でも笑えないぞ。それから橘のことを変な風に呼ぶな」
「だから怖いって。ハイハイ、悪かった。……で? 何よ」
「いや……」
「ま、話してみなよ」
そのままコーヒー片手に隣に座り込む前田に一昨日のメールのやり取り内容を話す。
「そ、で、橘からのメッセで、ようやくその日が何だったか思い出しだんだ。それで? なんて返事したの?」
「……してない」
「は?」
前田の目が驚きで見開く。
「してないって何?」
「だから、その後の返事なんてしてない」
「なんで?」
「なんでって、仕事頑張れって来ただけだし」
「はぁ……。お前さー、それだから結局彼女に振られるんだよ。唯ちゃんも大変だな」
「橘は違う」
「いんや、このままだといつもと同じだね。『仕事と私どっちが大事なの?』か『私ばっかり好きなの辛い』ってねぇ~」
「!!」
「はは、お前がそんな顔するなんてな。ちゃんと言葉にしないと伝わらねーんだよ。お前、自分から好きになったことないんだろ。はっ、初恋成就おめでとー。ムカつくから今夜奢れ。飲み行くぞ」
「もう付き合ってからだいぶ経つんだが……」
「すぐ別れるかと思ってたんだよ。大体お前が男と付き合うなんて思ってなかったしな」
俺の失恋慰め会でもあるからな、と前田は勝手にレストランを予約した。
確かに、今まで男と付き合ったことはない。というより、男と付き合うというイメージは全くなかった。でも唯人が告白してきたときに、自分から「付き合おう」と言っていた。唯人はただ俺が好きだと言っただけだった。伝えたかっただけだからと。そのまま立ち去ろうとする腕を掴んで付き合おうと言ったのは、確かに俺で、なぜかそう言わないと、捕まえておかないといけないと思った。唯人はひどく驚いた後、「はい」と花が咲いたように笑った。その笑顔を見た瞬間、堪らなくなった。とっさに掴んでいた腕を引いて物陰に連れ込み、そのままキスをした。あんな衝動的な行動は初めてだった。
**
出張前、クリスマス前ですが、とわざわざプレゼントを渡してくれた。自分も残業だと言っていたが、鼻の頭が赤くなっていて、寒い中待っていたのだろうと推測できた。唯人を待たせるのは本意ではないし、あまり遅くまで待っていて欲しくはないのだが、咄嗟のことで驚き、ろくに返事も出来なかった。本当はそのまま夕食でも誘いたかったが、これ以上彼を遅くまで寒い外に置きたくない想いが先に立ち、出てきたのは「送る」という言葉だけ。そうして家まで送り、軽くキスをして別れた。
何なのだ、俺は。
いつもはどんな風に接していたんだ。
いや、比べるものではない。それは唯人に失礼だ。でも考えれば考えるほど空回り気味で、ちょっと寂しそうに笑う唯人を見て心が痛む。
どうやってあの心からの笑顔で笑ってくれるのか。
思えばいつも自分から何かをしたことはなかった。いつも好きだと言われ、特に嫌でなければ付き合った。でも学生のころは趣味が優先。社会人となってからは仕事が優先だった。 特に仕事は面白くてたまらなかった。成果をあげれば認められるのが楽しかった。だから誰であっても同じで、そのことは伝えていたはずなのだが、いつも結局は仕事が大事なのかと別れを切り出されるか、怒って去っていく。それに対して特に何も思わなかった。別れればまた誰かに好きだと言われ付き合うだけだ。優しくはしてきたつもりだ。欲しい物があれば買ってやり、行きたいところには付き合った。それが付き合うことだと思っていた。
でも、唯人は何が欲しいともどこに行きたいともあまり言わなかった。そうなると、自分でどうしていいものかわからなくなった。仕事が忙しいからと会う時間を作らないくせに、会えない時に彼がどうしているのか気になった。あの笑顔を誰かに向けているかもしれないと思うと堪らなかった。それなのにようやく顔が見られてホッとすると上手く言葉が出てこない、そんな自分を知られたくなくてつい大人ぶってしまう。キスから先にも進みたいのに、拒まれたらと思うと行動に移せなかった。
「唯人が喜ぶこと……」
いつか話してくれたサンタがいる、いないで母親を困らせた話しを思い出す。唯人が話すことは全部覚えている。何が好きで、何が苦手で、どんなことがあったか……。
そうだ……。
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そろそろ届いた頃か?
会えない、ということがこんなにも寂しく思うものだと知らなかった。
来年はちゃんとスケジュールを確認しよう。
一人ホテルでウロウロとしてしまう。
と、スマホが震える。
――最高のクリスマスプレゼントありがとうございます! 大切にします! お仕事がんばってください。
あぁ、良かった、喜んでくれた。
唯人の笑顔を思い浮かべ、自然と笑顔になる。
唯人はいつも真っ直ぐに言葉をくれる。
会いたい。
早く会いたい。
――唯人、メリークリスマス。出張が終わったらすぐに会いに行っても良いだろうか?
――はい、もちろんです! 待っています。
離れていても心が満たされる感覚を初めて覚えた。
君のことがこんなにも愛おしい。大好きだと早く言いたい。
もっともっと君を感じたい。
**
『ほんとはサンタっていないんだって! パパとママなんでしょ?! うそつき!』
昔、母にそう言った記憶がある。
でも、フィンランドから来たというサンタとの写真を見せられて納得したらしい。ただ、その時の母は本気でサンタはいると言っていたと思う。だからこそ、写真だけではなくサンタのことを信じたのだ。
いつの間にか、色々なことをそのまま受け取らなくなって、大人になってしまった。
でも、いつも母はサンタはいるわよって言っていたな……。
冴木さんはまだ出張から帰ってこない。
でももう心が寂しいとは思っていない。
冴木さんが帰ってきたら、もう一度ちゃんと好きだって言おう。それで自分からキスをしよう。どれだけ好きなのかもっと知ってもらうんだ。
絵本とバラを見ながら彼を思うだけで笑顔になれる。
こんなに素敵なクリスマスとなるとは思っていなかった。
明日はクリスマスケーキを買って実家に行こうかな。
母さんの顔を見たら言おうかな。
サンタって本当にいるんだねって。
そしたらきっと言われるな。
――ほら、ママの言った通りでしょ?
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