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パティスリーにて
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死んだ魚の目になっているヴォルフさんと私が話をしている間、双子は痛ましそうな目で銀狼獣人を見ながらヒソヒソと声を潜めて話をしている。
「やっぱりセリナ様に説明した方がいいんじゃ?」
「ダメ! こういうのは第三者が介入するとよくないし」
「でも、あんな死んだ目になってるの見てられない……」
「ただでさえ、そういう対象に見られてないっぽいのに私たちが、ちゃんと説明してお断りされたらそっちの方がマズいでしょ!?」
「確かに……」
双子がうんうんとお互いに頷き合っている間、ベルントさんは黙々と白磁器の皿に乗っているクルミとレーズンのはちみつケーキを平らげた。それを見た猫耳メイドの片割れルルは空になった皿を即座に下げる。
そしてララが新たにカットした黄金色のはちみつケーキを皿に乗せて即座にベルントさんの前に置いた。その間、黒熊獣人は白磁器のティーカップに入っているお茶を飲み干して口の中をうるおす。
空になったベルントさんのティーカップが受け皿の置かれるとルルは白磁器のポットをかたむけて、ベルントさんのティーカップに再び白い湯気の立つ熱いお茶をなみなみとそそいだ。
こまめに給仕してくれる猫耳の双子メイドの姿を見ながら、ハリエッタ姫とヴォルフさんが言っていたことを反すうする。
「ハリエッタ姫とヴォルフさんの婚約が決まったのはアルジェント公爵家の当主が不治の病におかされたからと言っていましたが、そのアルジェント公爵家の当主クルト様。つまり、ヴォルフさんのお兄さんからも話を聞きたいところですね」
「そうだな……。ハリエッタ姫の話をうのみにすることはできない」
「アルジェント公爵家の当主クルト様はハリエッタ姫が蒼狼王国を出た時、まだ国に帰っていなかったそうですから金獅子国と蒼狼王国の移動中に、何らかのトラブルがあって国に帰還できていないということですよね?」
「ああ。兄上は一体どこにいるのか、探さないといけないな」
銀狼獣人が眉間のシワを深くした。ただでさえ行方不明の相手を探すというのは大変なのに、まして実の兄が不治の病にかかっていて病状が分からないというのは、さぞかしもどかしい思いだろう。
そんなヴォルフさんを一瞥した黒熊獣人は、単独でほぼ一本まるごとクルミとレーズンのはちみつケーキを完食した後、白磁器のティーカップに入っていたお茶を飲み干して空になったカップを受け皿に置いた。
「それに関してだが……。俺に心当たりがある」
「心当たりだと?」
「ベルントさん、ヴォルフさんのお兄さんの行方をごぞんじなんですか!?」
私と銀狼獣人で尋ねれば、黒熊獣人は日が沈みかけている窓の外を眺めて琥珀色の目を細めた。
「ひとまず、明日まで待ってくれないか?」
「ええ。それはもちろん」
「やっぱりセリナ様に説明した方がいいんじゃ?」
「ダメ! こういうのは第三者が介入するとよくないし」
「でも、あんな死んだ目になってるの見てられない……」
「ただでさえ、そういう対象に見られてないっぽいのに私たちが、ちゃんと説明してお断りされたらそっちの方がマズいでしょ!?」
「確かに……」
双子がうんうんとお互いに頷き合っている間、ベルントさんは黙々と白磁器の皿に乗っているクルミとレーズンのはちみつケーキを平らげた。それを見た猫耳メイドの片割れルルは空になった皿を即座に下げる。
そしてララが新たにカットした黄金色のはちみつケーキを皿に乗せて即座にベルントさんの前に置いた。その間、黒熊獣人は白磁器のティーカップに入っているお茶を飲み干して口の中をうるおす。
空になったベルントさんのティーカップが受け皿の置かれるとルルは白磁器のポットをかたむけて、ベルントさんのティーカップに再び白い湯気の立つ熱いお茶をなみなみとそそいだ。
こまめに給仕してくれる猫耳の双子メイドの姿を見ながら、ハリエッタ姫とヴォルフさんが言っていたことを反すうする。
「ハリエッタ姫とヴォルフさんの婚約が決まったのはアルジェント公爵家の当主が不治の病におかされたからと言っていましたが、そのアルジェント公爵家の当主クルト様。つまり、ヴォルフさんのお兄さんからも話を聞きたいところですね」
「そうだな……。ハリエッタ姫の話をうのみにすることはできない」
「アルジェント公爵家の当主クルト様はハリエッタ姫が蒼狼王国を出た時、まだ国に帰っていなかったそうですから金獅子国と蒼狼王国の移動中に、何らかのトラブルがあって国に帰還できていないということですよね?」
「ああ。兄上は一体どこにいるのか、探さないといけないな」
銀狼獣人が眉間のシワを深くした。ただでさえ行方不明の相手を探すというのは大変なのに、まして実の兄が不治の病にかかっていて病状が分からないというのは、さぞかしもどかしい思いだろう。
そんなヴォルフさんを一瞥した黒熊獣人は、単独でほぼ一本まるごとクルミとレーズンのはちみつケーキを完食した後、白磁器のティーカップに入っていたお茶を飲み干して空になったカップを受け皿に置いた。
「それに関してだが……。俺に心当たりがある」
「心当たりだと?」
「ベルントさん、ヴォルフさんのお兄さんの行方をごぞんじなんですか!?」
私と銀狼獣人で尋ねれば、黒熊獣人は日が沈みかけている窓の外を眺めて琥珀色の目を細めた。
「ひとまず、明日まで待ってくれないか?」
「ええ。それはもちろん」
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