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第四王子ダーク
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「しかもパーティ会場でライガ兄上が国王に対して、怪しい動きをしているようには見えなかった」
王弟は皆、国王が住まう王宮の建物ではなく、王宮の敷地内にある離宮に住んでいる。そして、国王陛下から呼び出しがあるまでは基本的に王宮に顔を出すことは無い。つまり、ライガ兄上が国王に何かしようと思ったのならばパーティの時以外にありえない。
「その通りだ……。しかし我々の目に見えてなかっただけで、ライガ兄上は何かを仕込んでいた可能性も考えられる」
「何かを仕込む?」
「ああ」
「いったい、どのような方法でレオン兄上を?」
「それが分かれば、とっくに第二王子がレオン国王を害して王位を簒奪しようとしたと告発しているさ……。ライガ兄上は先日まで母方の実家がある白虎王国に滞在していた。そこで我が国には無い毒物を入手したならば、あるいは……」
忌々し気に舌打ちする第三王子はどうやら心底、ライガ王子を疑っているようだ。
「ブランシュ兄上の中ではレオン兄上が何者かに害されているなら、ライガ兄上が行ったに違いないと見ているのですね」
「まぁ、怪しい者は複数いるが……」
「複数と言うと?」
「例えば宰相ハイン。あれも腹に一物抱えているが……。まぁ、あれは国王の殺害を企てるほどの度胸もメリットも無いだろう」
銀髪の宰相は権力欲が強い俗物だが、レオン国王が崩御した所で次期国王の座に就ける訳では無い。確かに国王を暗殺するにはリスクが高い割にメリットが少なすぎる。
「他に怪しい者というのは?」
「立場的にはレオン兄上の婚約者……。伯爵令嬢フローラだな」
「フローラが?」
王立学園時代のクラスメイトで魔力の高さを見込まれ、国王陛下の婚約者となった赤髪の伯爵令嬢フローラが名指しされ思わず聞き返すと、ブランシュ兄上は愉快そうに口角を上げた。
「国王陛下の婚約者としてパーティ会場ではにこやかに振る舞っていたが、肝心のレオン兄上からは目線も合わせて貰えないほど明らかに避けられていた……。あれは兄上が婚約破棄する意向だとすぐ分かった」
「伯爵令嬢フローラが婚約破棄を逆恨みして、国王暗殺を企んだ可能性もあると?」
「いや、伯爵令嬢フローラはパーティ会場は勿論、それ以降もレオン兄上と直接の接触は無かったそうだ。伯爵令嬢フローラが兄上を害せたとは思えない……。それに伯爵令嬢フローラはパーティ会場でライガ兄上と話しながら、寵姫ローザを睨みつけていた」
「そういえば後宮で火事があり、寵姫ローザが危うく死ぬ所だったとか」
王弟は皆、国王が住まう王宮の建物ではなく、王宮の敷地内にある離宮に住んでいる。そして、国王陛下から呼び出しがあるまでは基本的に王宮に顔を出すことは無い。つまり、ライガ兄上が国王に何かしようと思ったのならばパーティの時以外にありえない。
「その通りだ……。しかし我々の目に見えてなかっただけで、ライガ兄上は何かを仕込んでいた可能性も考えられる」
「何かを仕込む?」
「ああ」
「いったい、どのような方法でレオン兄上を?」
「それが分かれば、とっくに第二王子がレオン国王を害して王位を簒奪しようとしたと告発しているさ……。ライガ兄上は先日まで母方の実家がある白虎王国に滞在していた。そこで我が国には無い毒物を入手したならば、あるいは……」
忌々し気に舌打ちする第三王子はどうやら心底、ライガ王子を疑っているようだ。
「ブランシュ兄上の中ではレオン兄上が何者かに害されているなら、ライガ兄上が行ったに違いないと見ているのですね」
「まぁ、怪しい者は複数いるが……」
「複数と言うと?」
「例えば宰相ハイン。あれも腹に一物抱えているが……。まぁ、あれは国王の殺害を企てるほどの度胸もメリットも無いだろう」
銀髪の宰相は権力欲が強い俗物だが、レオン国王が崩御した所で次期国王の座に就ける訳では無い。確かに国王を暗殺するにはリスクが高い割にメリットが少なすぎる。
「他に怪しい者というのは?」
「立場的にはレオン兄上の婚約者……。伯爵令嬢フローラだな」
「フローラが?」
王立学園時代のクラスメイトで魔力の高さを見込まれ、国王陛下の婚約者となった赤髪の伯爵令嬢フローラが名指しされ思わず聞き返すと、ブランシュ兄上は愉快そうに口角を上げた。
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「いや、伯爵令嬢フローラはパーティ会場は勿論、それ以降もレオン兄上と直接の接触は無かったそうだ。伯爵令嬢フローラが兄上を害せたとは思えない……。それに伯爵令嬢フローラはパーティ会場でライガ兄上と話しながら、寵姫ローザを睨みつけていた」
「そういえば後宮で火事があり、寵姫ローザが危うく死ぬ所だったとか」
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