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セリナの近況
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こうして、出来上がったチーズケーキを木の皮を編んで作った箱に入れて、グレイ不動産へと向かった。店内には灰色の髪に眼鏡をかけたグレイさんが眉間にシワを寄せながら、不動産物件の資料らしき書類を眺めているのが見えた。私は、おずおずと扉を開け、店内に入る。
「あの、すいません」
「はい。おや、これはセレニテス様……。今日はどうされたんですか?」
「その……。不動産売却の件でグレイさんには大変お世話になったので、改めてお礼を言いたくて……」
「ああ。その事でしたら、私は不動産屋として当然の仕事をしたまでですから」
「いえ、不動産のことや不動産相場のこと。何も分からない私に対して、ちゃんと対応して下さったグレイさんには本当に感謝しているので……」
「そう言って頂けると不動産屋として、とても嬉しく思います。不動産屋冥利に尽きますね」
クイと眼鏡を上げたグレイさんは真っすぐな灰色の髪を揺らして、少し照れくさそうに微笑んだ。そんなグレイさんに、私は持参した箱を差し出す。
「あの、これ……。つまらない物ですが、せめてものお礼にと思って……。私が作ったチーズケーキです。良かったら召し上がって下さい」
「チーズケーキですか……」
「はい。ウチの店でも人気商品なんです。……グレイさんのお口に合うか分かりませんが」
「そうなんですか。わざわざ、ありがとうございます。後で頂きますね」
眼鏡の奥で、嬉しそうに瞳を細めたグレイさんを見て、持ってきてよかったと私は胸をなで下ろした。
ちなみに、グレイさんはウチのチーズケーキを気に入ってくれたらしく、その後、定期的にやって来てはチーズケーキを丸ごと。ホールケーキで購入してくれるようになった。
前からチーズが好きなのかな? と思っていたが、まさかチーズケーキのみ購入し続ける熱心な常連さんになってくれるとは思っていなかったので驚く。
いや、ウチの店的にはリピーターがまた一人増えて、ありがたい限りなのだが……。しかし、三日もあけずにチーズケーキのみホールで丸ごと一台、購入し続けるというのは飽きないのか心配になる。
「今までチーズケーキは一種類だけだったけど……。グレイさんの為にも、チーズケーキの種類を増やした方がいいのかしら?」
そんなことを思い出しながら雨の降り続く外の景色を眺めていると、雨音に混ざって馬蹄の音が聞こえてくる……。と思っていたら店の前に立派な馬車が停まった。見覚えのある馬車だと思っていたら、中から女性が出て来て店内に入ってきた。
「いらっしゃいませ~」
「また会ったわね」
双子の猫耳メイドの声を受けながら、私の顔を見て優美に口角を上げた黒髪の女性。つい、先日会ったばかりの人だとすぐに気づいた。
「あなたは……。女官長さん!」
「ええ。今日はあなたに良い話を持ってきたのよ」
「良い話?」
「あの、すいません」
「はい。おや、これはセレニテス様……。今日はどうされたんですか?」
「その……。不動産売却の件でグレイさんには大変お世話になったので、改めてお礼を言いたくて……」
「ああ。その事でしたら、私は不動産屋として当然の仕事をしたまでですから」
「いえ、不動産のことや不動産相場のこと。何も分からない私に対して、ちゃんと対応して下さったグレイさんには本当に感謝しているので……」
「そう言って頂けると不動産屋として、とても嬉しく思います。不動産屋冥利に尽きますね」
クイと眼鏡を上げたグレイさんは真っすぐな灰色の髪を揺らして、少し照れくさそうに微笑んだ。そんなグレイさんに、私は持参した箱を差し出す。
「あの、これ……。つまらない物ですが、せめてものお礼にと思って……。私が作ったチーズケーキです。良かったら召し上がって下さい」
「チーズケーキですか……」
「はい。ウチの店でも人気商品なんです。……グレイさんのお口に合うか分かりませんが」
「そうなんですか。わざわざ、ありがとうございます。後で頂きますね」
眼鏡の奥で、嬉しそうに瞳を細めたグレイさんを見て、持ってきてよかったと私は胸をなで下ろした。
ちなみに、グレイさんはウチのチーズケーキを気に入ってくれたらしく、その後、定期的にやって来てはチーズケーキを丸ごと。ホールケーキで購入してくれるようになった。
前からチーズが好きなのかな? と思っていたが、まさかチーズケーキのみ購入し続ける熱心な常連さんになってくれるとは思っていなかったので驚く。
いや、ウチの店的にはリピーターがまた一人増えて、ありがたい限りなのだが……。しかし、三日もあけずにチーズケーキのみホールで丸ごと一台、購入し続けるというのは飽きないのか心配になる。
「今までチーズケーキは一種類だけだったけど……。グレイさんの為にも、チーズケーキの種類を増やした方がいいのかしら?」
そんなことを思い出しながら雨の降り続く外の景色を眺めていると、雨音に混ざって馬蹄の音が聞こえてくる……。と思っていたら店の前に立派な馬車が停まった。見覚えのある馬車だと思っていたら、中から女性が出て来て店内に入ってきた。
「いらっしゃいませ~」
「また会ったわね」
双子の猫耳メイドの声を受けながら、私の顔を見て優美に口角を上げた黒髪の女性。つい、先日会ったばかりの人だとすぐに気づいた。
「あなたは……。女官長さん!」
「ええ。今日はあなたに良い話を持ってきたのよ」
「良い話?」
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