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スマートフォンを操作するフリをして連写で証拠写真を集める。夫はヘラヘラしながら女の腰に手を添えて歩き出した。
当てが外れた。
どうみても堅気の女じゃない。銀座のクラブ、いや、キャバ嬢か。
となれば浮気もクソもない、これ以上の尾行も時間の無駄。帰宅することにした。
家に帰ると夫からラインが入っていた。
『取引先と飲みに行くから帰りは遅くなる、先に寝てていいぞ』
一人の時間が増えたことに思わずニヤける。
『お仕事お疲れ様です。頑張ってね』
せいぜい鴨られろ。
急いで家事を済ませると風呂に浸かり、寝る準備を万端にしてからウーバーイーツでピザを注文した。
たまった録画のドラマを見ながらビール片手にピザを食べる。
最高に幸せ。
「ハァァァ、酔った勢いで車に轢かれないかなぁ」
誰もいないのを良いことに言葉にだして呟いた。その際には即死でお願いしますと付け加えて。
一気に三話分のドラマを見終わるとすでに十二時を回っていた。開けたビールは三缶、ほろ酔い。
どうせ深夜まで帰ってこないだろうと冷蔵庫からもう一本取り出そうとしたところで『ガチャガチャ』っと玄関から聞こえてきた。
はやい。終電で帰ってきたのか。
「ったくやってらんねえよクソが」
真っ赤な顔で悪態をつきながらリビングに入ってきた夫はテーブルに並んだ空き缶とビザの残骸を見て震えている。
「テメーは旦那様が働いてる時にパーティー開くのか?」
仕事じゃねえだろ。
「ふざっけんなよ! テメッ、ふざっけん」
夫は顔を真っ赤にしてテーブルをひっくり返した。空き缶が、ピザの残骸が。乾いた音を響かせながら床に転がり落ちた。
空で良かった。
と思ったのも束の間。夫は半乾きの私の髪を無造作に掴むと顔をテーブルに押し付けた。酔っているせいかあまり痛みは感じない。
「おい! 舐めてんのかテメーは? 俺の飯はどーした? まさかそこに転がってるピザじゃねえだろうな、ああ!」
「ごめんなさい、帰りが遅いって聞いたから……」
「馬鹿かテメーは! 早くなる事も想定して動くんだよカス! 使えねえな、だからテメーは派遣しか出来ねえんだよ! 社会人として未熟なんだよ」
掴まれた髪を解放されて顔を上げた、夫は真っ赤に充血した目でコチラを睨みつけている。
「ごめんね、すぐに作るから」
キッチンに向かおうとしたところで背中を蹴っ飛ばされた、そのはずみで顔面からキッチンの壁に突っ込んだ。
「ツッ」
おでこに触れるとうっすらと手に血がついた。
「もういらねえよブス!」
そういって脱衣所に消えていった。
シンクの扉を開いて包丁を手に取る、後ろから背中に刺す、何度も何度も、絶命した後もずっと。何度も何度も……。
大丈夫、大丈夫。あと少し。
それまでの我慢。
当てが外れた。
どうみても堅気の女じゃない。銀座のクラブ、いや、キャバ嬢か。
となれば浮気もクソもない、これ以上の尾行も時間の無駄。帰宅することにした。
家に帰ると夫からラインが入っていた。
『取引先と飲みに行くから帰りは遅くなる、先に寝てていいぞ』
一人の時間が増えたことに思わずニヤける。
『お仕事お疲れ様です。頑張ってね』
せいぜい鴨られろ。
急いで家事を済ませると風呂に浸かり、寝る準備を万端にしてからウーバーイーツでピザを注文した。
たまった録画のドラマを見ながらビール片手にピザを食べる。
最高に幸せ。
「ハァァァ、酔った勢いで車に轢かれないかなぁ」
誰もいないのを良いことに言葉にだして呟いた。その際には即死でお願いしますと付け加えて。
一気に三話分のドラマを見終わるとすでに十二時を回っていた。開けたビールは三缶、ほろ酔い。
どうせ深夜まで帰ってこないだろうと冷蔵庫からもう一本取り出そうとしたところで『ガチャガチャ』っと玄関から聞こえてきた。
はやい。終電で帰ってきたのか。
「ったくやってらんねえよクソが」
真っ赤な顔で悪態をつきながらリビングに入ってきた夫はテーブルに並んだ空き缶とビザの残骸を見て震えている。
「テメーは旦那様が働いてる時にパーティー開くのか?」
仕事じゃねえだろ。
「ふざっけんなよ! テメッ、ふざっけん」
夫は顔を真っ赤にしてテーブルをひっくり返した。空き缶が、ピザの残骸が。乾いた音を響かせながら床に転がり落ちた。
空で良かった。
と思ったのも束の間。夫は半乾きの私の髪を無造作に掴むと顔をテーブルに押し付けた。酔っているせいかあまり痛みは感じない。
「おい! 舐めてんのかテメーは? 俺の飯はどーした? まさかそこに転がってるピザじゃねえだろうな、ああ!」
「ごめんなさい、帰りが遅いって聞いたから……」
「馬鹿かテメーは! 早くなる事も想定して動くんだよカス! 使えねえな、だからテメーは派遣しか出来ねえんだよ! 社会人として未熟なんだよ」
掴まれた髪を解放されて顔を上げた、夫は真っ赤に充血した目でコチラを睨みつけている。
「ごめんね、すぐに作るから」
キッチンに向かおうとしたところで背中を蹴っ飛ばされた、そのはずみで顔面からキッチンの壁に突っ込んだ。
「ツッ」
おでこに触れるとうっすらと手に血がついた。
「もういらねえよブス!」
そういって脱衣所に消えていった。
シンクの扉を開いて包丁を手に取る、後ろから背中に刺す、何度も何度も、絶命した後もずっと。何度も何度も……。
大丈夫、大丈夫。あと少し。
それまでの我慢。
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